目次
この記事でわかること
FPVドローンで5.8GHz帯のVTXを使うには、アマチュア無線技士の資格取得、JARD保証認定、無線局の開局申請など複数の手続きが必要です。手続きごとに費用がかかるため、「結局いくらかかるのか」がわかりにくいのが実情です。
この記事では、FPVドローンの開局に必要なすべての費用を一覧にまとめ、最安ルートと養成課程ルートのそれぞれで総額がいくらになるかを解説します。
費用の全体像
FPVドローン(5.8GHz帯)の開局にかかる費用を、手続きの順番に沿って整理します。なお、JARD保証認定料は2024年2月に改定されており、以下は改定後の最新料金です。
| 手続き | 費用(最安) | 費用(養成課程) | 備考 |
|---|---|---|---|
| アマチュア無線4級の取得 | 5,163円 | 23,150円 | 国家試験 or 養成課程 |
| 無線従事者免許証の交付 | 1,750円 | 1,750円 | 総合通信局に申請 |
| JARD保証認定 | 5,500円 | 5,500円 | VTX 1台の場合(税込) |
| 開局申請手数料 | 2,900円 | 2,900円 | 電子申請の場合 |
| 電波利用料(初年度) | 300円 | 300円 | 年額、以降毎年 |
| 機体登録(DIPS2.0) | 900円 | 900円 | 1機、マイナンバーカード |
| 合計 | 約16,513円 | 約34,500円 | 初年度の総額 |
最安ルートなら約1.7万円、養成課程ルートでも約3.5万円で開局できます。以下、各費用の詳細を解説します。
アマチュア無線技士の資格取得費用
FPVドローンで5.8GHz帯を使うには、第四級アマチュア無線技士以上の資格が必要です。
国家試験で取得する場合
| 項目 | 費用 |
|---|---|
| 受験料 | 5,163円 |
| 参考書・問題集 | 1,000〜2,000円(任意) |
| 合計 | 約5,163〜7,163円 |
国家試験はCBT方式(コンピュータ試験)で毎月実施されています。法規12問、無線工学12問の四択マークシートで、合格率は約70〜80%です。過去問の反復学習で十分合格可能です。
養成課程講習会で取得する場合
| 項目 | 費用 |
|---|---|
| 講習会受講料(JARD) | 23,150円 |
| 合計 | 23,150円 |
JARDが実施する2日間の講習会を受講し、修了試験に合格すれば資格が取得できます。合格率はほぼ100%です。eラーニング形式も同額で受講可能です。確実に取得したい方に向いています。
無線従事者免許証の交付
資格取得後、無線従事者免許証の交付申請が必要です。
| 項目 | 費用 |
|---|---|
| 交付手数料 | 1,750円 |
| 処理期間 | 約1ヶ月 |
申請先は管轄の総合通信局です。電子申請にも対応しています。免許証は生涯有効で更新不要です。
資格取得の詳細は「FPVドローンに必要な免許|アマチュア無線+開局申請ガイド」をご覧ください。
保証認定の費用
海外製VTXには技適マークがないため、JARDの保証認定が必要です。なお、かつて保証業務を行っていたTSSは2024年3月31日をもって業務を終了しており、現在はJARDのみが保証機関です。
JARDの保証認定料(2024年2月改定後)
| 申請の種類 | 費用(税込) |
|---|---|
| 新規開局(1台目含む基本料) | 5,500円 |
| 新規開局(2台目以降、同時申請) | 1,100円/台 |
| 変更(VTXの追加・交換) | 5,500円 |
| 設置場所変更(移動範囲の変更) | 3,300円 |
2024年2月の料金改定で、旧料金から約1,400円の値上げとなっています。これはTSSの撤退により、JARDが唯一の保証機関になったことに伴う改定です。JARDとTSSの経緯については「TSS保証認定とJARDの違い|FPV開局はどちらに申請?」で解説しています。
複数台のVTXを同時に保証認定する場合
| VTXの台数 | JARD保証認定料(税込) |
|---|---|
| 1台 | 5,500円 |
| 2台 | 6,600円(5,500+1,100) |
| 3台 | 7,700円(5,500+1,100×2) |
| 5台 | 9,900円(5,500+1,100×4) |
複数台のFPVドローンを持っている方は、まとめて申請すると割安になります。保証認定の詳しい手順は「JARD保証認定とは?FPVドローンの開局に必要な手続き」をご覧ください。
開局申請の費用
保証認定を受けた後、総合通信局に無線局の開局申請を行います。
| 申請方法 | 手数料 |
|---|---|
| 電子申請(推奨) | 2,900円 |
| 書面申請(郵送) | 4,300円 |
電子申請の方が1,400円安いため、特段の理由がなければ電子申請を選んでください。審査期間も電子申請の方が短く(約1〜2ヶ月 vs 約1〜3ヶ月)なっています。
開局申請の具体的な手順は「FPVドローン5.8GHz帯の開局申請|手順と必要書類」で解説しています。
電波利用料
無線局免許を取得した後は、毎年電波利用料を納付する必要があります。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| アマチュア無線局の電波利用料 | 年額300円 |
年額300円と非常に安価です。総合通信局から毎年納付書が届くので、銀行やコンビニで支払います。
ドローン側の費用
FPVドローンを飛ばすには、電波法の手続きに加えて航空法側の手続きも必要です。
機体登録
| 本人確認方法 | 1機目 | 2機目以降 |
|---|---|---|
| マイナンバーカード | 900円 | 890円 |
| 運転免許証・パスポート | 1,450円 | 1,050円 |
100g以上のFPVドローンはDIPS2.0での機体登録が必須です。詳しくは「ドローン機体登録のやり方|100g以上は義務」をご覧ください。
飛行許可申請
DIPS2.0での飛行許可申請は手数料無料です。FPVドローンは目視外飛行に該当するため、飛行許可・承認の取得が必要です。飛行許可の申請手順は「ドローン飛行許可の申請方法|DIPS2.0での手順を解説」をご覧ください。
保険
ドローン保険への加入は法的義務ではありませんが強く推奨されています。
| 保険の種類 | 年額の目安 |
|---|---|
| 賠償責任保険(趣味利用) | 3,000〜6,000円 |
| 賠償責任保険(業務利用) | 8,000〜30,000円 |
| 機体保険 | 機体価格の10〜20% |
保険の詳細は「ドローンの保険は必要?賠償責任保険の選び方」をご覧ください。
行政書士に代行を依頼する場合
電波法の手続きに不慣れな方は、行政書士に開局申請の代行を依頼することもできます。
| 代行内容 | 費用の目安 |
|---|---|
| 保証認定+開局申請の代行 | 30,000〜50,000円 |
| 系統図の作成代行 | 5,000〜15,000円 |
| 開局申請のみの代行 | 15,000〜30,000円 |
代行費用に加えて、保証認定料や申請手数料の実費が別途かかります。工事設計書や系統図の作成が最大のハードルなので、系統図の作成だけ依頼するのも一つの方法です。
総額シミュレーション
パターン1: 最安ルート(自力で全手続き)
| 項目 | 費用 |
|---|---|
| 国家試験(4アマ) | 5,163円 |
| 免許証の交付 | 1,750円 |
| JARD保証認定(1台) | 5,500円 |
| 開局申請(電子) | 2,900円 |
| 電波利用料 | 300円 |
| 機体登録(1機) | 900円 |
| 合計 | 16,513円 |
パターン2: 養成課程ルート
| 項目 | 費用 |
|---|---|
| 養成課程(4アマ) | 23,150円 |
| 免許証の交付 | 1,750円 |
| JARD保証認定(1台) | 5,500円 |
| 開局申請(電子) | 2,900円 |
| 電波利用料 | 300円 |
| 機体登録(1機) | 900円 |
| 合計 | 34,500円 |
パターン3: 行政書士に代行を依頼
| 項目 | 費用 |
|---|---|
| 国家試験(4アマ) | 5,163円 |
| 免許証の交付 | 1,750円 |
| 代行費用(保証認定+開局申請) | 40,000円(目安) |
| 保証認定・申請手数料(実費) | 8,400円 |
| 電波利用料 | 300円 |
| 機体登録(1機) | 900円 |
| 合計 | 約56,513円 |
パターン4: 複数台(VTX 3台+機体3機)
| 項目 | 費用 |
|---|---|
| 国家試験(4アマ) | 5,163円 |
| 免許証の交付 | 1,750円 |
| JARD保証認定(3台同時) | 7,700円 |
| 開局申請(電子) | 2,900円 |
| 電波利用料 | 300円 |
| 機体登録(3機) | 2,680円 |
| 合計 | 20,493円 |
毎年かかるランニングコスト
開局後に毎年発生する費用です。
| 項目 | 年額 |
|---|---|
| 電波利用料 | 300円 |
| 賠償責任保険(加入する場合) | 3,000〜30,000円 |
| 合計 | 約3,300〜30,300円 |
5年ごとに再免許申請(電子申請1,950円、書面申請3,050円)が必要です。再免許申請の手続きは「アマチュア無線の再免許申請|期限と手続き方法」をご覧ください。
費用を節約するコツ
FPVドローンの開局費用を少しでも抑えるためのポイントを紹介します。
コツ1: 国家試験で資格を取得する
養成課程(23,150円)と国家試験(5,163円)で約18,000円の差があります。第四級アマチュア無線技士の国家試験は合格率約70〜80%と比較的合格しやすく、過去問の反復学習で十分対応できます。参考書代を含めても1万円以下で資格を取得できます。
国家試験はCBT方式(コンピュータ試験)で毎月実施されているため、スケジュールの自由度も高いです。4級アマチュア無線技士の詳細は「第四級アマチュア無線技士の取得方法」をご覧ください。
コツ2: 電子申請を活用する
開局申請は電子申請のほうが1,400円安い(2,900円 vs 4,300円)です。再免許申請も電子申請のほうが安く、5年間のトータルコストに影響します。電子申請の方法は「アマチュア無線局の電子申請|手順と注意点」で解説しています。
コツ3: VTXを複数台まとめて申請する
JARD保証認定は2台目以降が1,100円/台と割安です。複数台のFPVドローンを持っている場合や、将来的に増やす予定がある場合は、まとめて申請すると1台あたりのコストを抑えられます。
| 申請パターン | 保証認定料 | 1台あたり単価 |
|---|---|---|
| 1台ずつ個別に申請 | 5,500円 x 台数 | 5,500円 |
| 2台同時申請 | 6,600円 | 3,300円 |
| 3台同時申請 | 7,700円 | 約2,567円 |
| 5台同時申請 | 9,900円 | 1,980円 |
コツ4: 技適マーク付きVTXを使う
技適マーク(技術基準適合証明)を取得したVTXであれば、保証認定が不要になります。保証認定料の5,500円を丸ごと節約できます。ただし、5.8GHz帯で技適マーク付きのVTXは選択肢が非常に限られているのが現状です。技適の確認方法は「ドローンの技適確認方法|技適マークと技適番号の調べ方」をご覧ください。
コツ5: マイナンバーカードで機体登録する
機体登録の本人確認方法によって手数料が異なります。マイナンバーカードを使えば1機あたり900円で登録できます(運転免許証の場合は1,450円)。
手続き期間の目安
費用とあわせて気になるのが手続きにかかる期間です。全体のスケジュール感を把握しておきましょう。
| 手続き | 所要期間 | 備考 |
|---|---|---|
| 国家試験の学習 | 2〜4週間 | 過去問集の反復で十分 |
| 国家試験の受験 | 1日 | CBT方式、毎月実施 |
| 合格後の免許証交付 | 約1ヶ月 | 総合通信局で処理 |
| JARD保証認定 | 1〜3週間 | 書類に不備がない場合 |
| 開局申請の審査 | 1〜2ヶ月 | 電子申請の場合 |
| 合計 | 約3〜5ヶ月 | 最短で約2.5ヶ月 |
養成課程の場合は国家試験の学習・受験に代わり2日間の講習会を受講します。講習会の日程と修了試験の結果通知を含めると、資格取得までに2〜4週間かかります。
最短ルートを目指す場合は、資格試験の勉強と並行して系統図の作成を進めるのが効率的です。資格試験に合格したらすぐに保証認定を申請できるよう、書類を事前に準備しておきましょう。
よくある質問
Q. VTXを追加するたびに費用がかかる?
はい、VTXを追加する場合は保証認定(5,500円)と変更申請の手数料が必要です。ただし、新規開局時に複数台をまとめて申請すれば、2台目以降は1,100円/台と割安になります。
Q. 技適マーク付きのVTXなら保証認定料が不要?
はい、不要です。 技適マーク付きのVTXを使えば保証認定をスキップでき、5,500円が節約できます。ただし、5.8GHz帯で技適マーク付きのVTXは選択肢が限られています。
Q. 2.4GHz帯のデジタルFPVなら費用はいくら?
DJI FPVシステムなど2.4GHz帯の技適取得済みシステムであれば、アマチュア無線関連の費用(資格取得・保証認定・開局申請)はすべて不要です。必要なのは機体登録(900円〜)と飛行許可申請(無料)のみです。
Q. 開局後にVTXを壊してしまったら費用はかかる?
新しいVTXで変更申請を行う場合、JARD保証認定料(5,500円)と変更申請手数料が再度必要です。同じ型番のVTXに交換する場合は変更申請が不要なこともありますが、異なる機種に変更する場合は再度保証認定が必要です。予備のVTXを持っている場合は、最初にまとめて保証認定を受けておくと後から費用を抑えられます。
Q. 無線局を廃止するときに費用はかかる?
廃止届の提出は無料です。手数料は一切かかりません。ただし、未納の電波利用料がある場合はその分の支払いが必要です。廃止届の手続きは「FPVドローンの無線局廃止届|機体を手放すときの手続き」をご覧ください。
Q. 費用が高くて迷っている場合は?
2.4GHz帯のデジタルFPVシステム(DJI Avata 2など)から始めるのも一つの手です。2.4GHz帯なら機体登録(900円)だけで始められ、FPVドローンの操縦感覚をつかんでから5.8GHz帯にステップアップすることができます。
機材費用の参考
行政手続きの費用に加えて、FPVドローンの機材費用も必要です。初心者向けの機材費用の目安を紹介します。
入門セット(初心者向け)
| 機材 | 費用の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| FPVドローン(完成機) | 20,000〜50,000円 | Tiny Whoop系の小型機が入門に最適 |
| FPVゴーグル | 15,000〜50,000円 | ボックス型が安く、スリム型は高め |
| 送信機(プロポ) | 10,000〜30,000円 | RadioMaster等がFPV向けとして人気 |
| バッテリー(3〜5本) | 3,000〜10,000円 | 機体サイズに応じた容量 |
| 充電器 | 3,000〜10,000円 | 複数同時充電できるものが便利 |
| 機材合計 | 約51,000〜150,000円 | セット販売で安くなる場合も |
シミュレーターで練習してから購入する
FPVドローンは操縦が難しく、初心者が実機で練習すると墜落や破損のリスクが高いです。まずはシミュレーターで練習し、操縦感覚をつかんでから実機を購入するのが費用面でも効率的です。
| シミュレーター | 費用 | 対応OS |
|---|---|---|
| VelociDrone | 約3,000円 | Windows/Mac |
| Liftoff | 約2,500円 | Windows/Mac |
シミュレーター用にプロポ(送信機)だけ先に購入し、PCに接続して練習できます。プロポは実機でもそのまま使えるため、無駄な出費にはなりません。
まとめ
FPVドローンの開局にかかる費用は、最安ルートで約1.7万円、養成課程ルートで約3.5万円です(2024年2月のJARD料金改定後)。
- 最大のコスト: アマチュア無線技士の資格取得(国家試験5,163円 or 養成課程23,150円)
- 保証認定: JARD 5,500円(1台目、税込)、2台目以降は1,100円/台
- 開局申請: 電子申請 2,900円(書面なら4,300円)
- ランニングコスト: 電波利用料 年額300円 + 保険(任意)
- 行政書士に代行を依頼すると追加で3〜5万円
- 手続き期間は合計約3〜5ヶ月(最短で約2.5ヶ月)
- 費用節約のポイント: 国家試験で受験、電子申請を活用、VTXまとめ申請
周波数帯の選び方や手続きの全体像は「FPVドローンで使える周波数帯|5.7GHz・5.8GHzの違い」や「FPVドローンの始め方|免許・機体・申請の全手順まとめ」もあわせてご覧ください。FPVドローンの無線局を廃止する際の手続きは「FPVドローンの無線局廃止届|機体を手放すときの手続き」で解説しています。