この記事でわかること
ドローン測量は、建設現場の地形測量や土量計算、災害現場の現況把握など幅広い場面で活用されています。ドローンで測量を行うには、航空法に基づく飛行許可・承認の取得が必要になるケースがほとんどです。
この記事では、ドローン測量で必要な許可・申請の種類、i-Construction(アイ・コンストラクション)との関係、操縦者の資格要件、申請手順、費用を解説します。
ドローン測量とは
ドローン測量とは、ドローンに搭載したカメラやLiDARセンサーを使い、上空から地形データを取得する測量手法です。取得した画像データをソフトウェアで解析し、3次元点群データ・オルソ画像(正射投影画像)・数値地形モデル(DTM)などを生成します。
ドローン測量の主な用途
| 用途 | 内容 |
|---|---|
| 建設現場の起工測量 | 工事着手前の地形を3次元で記録 |
| 土量算出 | 切土・盛土の体積を3次元データから計算 |
| 出来形管理 | 工事の進捗や仕上がりを3次元データで確認 |
| 災害現場の現況把握 | 土砂崩れや河川氾濫の被害状況を広域で記録 |
| 農地の地形把握 | 圃場の排水計画や農道整備の基礎データ取得 |
従来の測量方法(トータルステーション等)と比較して、広範囲を短時間で測量できる点がドローン測量の大きな利点です。
ドローン測量とi-Construction
i-Constructionは国土交通省が推進する建設現場のICT活用施策です。i-Constructionでは、測量から設計・施工・検査に至るまで3次元データの活用を推進しており、ドローン測量はその中核技術の一つに位置付けられています。
国土交通省が策定した「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」では、ドローン測量の作業手順や精度基準が定められています。公共測量でドローンを使用する場合は、このマニュアルに準拠した作業が求められます。
ドローン測量に必要な許可・申請
飛行許可・承認(航空法)
ドローン測量で該当する可能性のある特定飛行は以下のとおりです。
| 特定飛行の種類 | 該当する場面 | 根拠条文 |
|---|---|---|
| 人口集中地区(DID)上空 | 都市部の建設現場で測量する場合 | 航空法 第132条の85第1項第2号 |
| 人・物件から30m未満 | 建物や車両の近くで測量する場合 | 航空法 第132条の86第2項第3号 |
| 目視外飛行 | 広い現場で操縦者の目視範囲を超える場合 | 航空法 第132条の86第2項第2号 |
| 地表から150m以上 | 高高度からの広域測量を行う場合 | 航空法 第132条の85第1項第1号 |
建設現場がDID内にある場合やビルの近くで飛行する場合は、複数の特定飛行に同時に該当することが珍しくありません。該当する全ての飛行について許可・承認を取得する必要があります。
飛行許可の申請方法は「ドローン飛行許可の申請方法|DIPS2.0での手順を解説」で詳しく解説しています。
機体登録(航空法)
100g以上のドローンは機体登録が義務です。測量に使われるドローンは100gを大きく超えるため、必ず機体登録を済ませてください。
機体登録の手順は「ドローン機体登録のやり方|100g以上は義務」をご覧ください。
測量法に基づく手続き
公共測量(国・自治体等の公的機関が費用を負担する測量)でドローンを使用する場合は、測量法に基づく作業規程の準則に従う必要があります。
- 公共測量を行うには測量士または測量士補の資格を持つ者が作業に従事すること
- 公共測量の作業にあたっては国土地理院への作業規程の承認申請が必要な場合がある
- 測量成果の精度は「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」に準拠すること
なお、公共測量以外の民間測量(例: 民間工事の現場での施工管理目的の測量)では、測量法に基づく作業規程の承認は原則不要です。ただし、航空法に基づく飛行許可・承認は民間測量でも必要です。
操縦者の資格要件
飛行許可申請上の要件
DIPS2.0での飛行許可申請では、操縦者に10時間以上の飛行経験が求められます。これは農薬散布や空撮など他の目的と同じ共通要件です。
国家資格(無人航空機操縦士)
国家資格はドローン測量に必須ではありません。ただし、以下のメリットがあります。
- 二等無人航空機操縦士+第二種機体認証の組み合わせにより、一定のカテゴリーII飛行で許可申請が不要になる場合がある
- 発注者や元請け企業に対して操縦者の技能を客観的に証明できる
- 入札・プロポーザルでの評価加点につながる場合がある
国家資格の詳細は「ドローン国家資格の種類と取得方法|一等・二等の違い」をご覧ください。
測量士・測量士補
ドローン測量の操縦者自体に測量士資格は不要ですが、公共測量として実施する場合は、作業全体の管理者として測量士が必要です。実務上は、測量の専門家とドローン操縦者がチームを組んで作業することが多くなっています。
申請の手順
Step 1: 現場の飛行条件を確認する
まず、測量を行う現場の位置と飛行条件を確認します。
- 現場がDID内にあるか(国土地理院の地図で確認可能)
- 空港等の制限表面に該当しないか
- 飛行高度は150m未満に収まるか
- 周辺に建物・電線等の障害物がないか
- 飛行禁止区域に該当しないか
飛行禁止区域の確認方法は「ドローンの飛行禁止区域一覧|確認方法と許可の取り方」をご覧ください。
Step 2: 機体登録を済ませる
使用する測量用ドローンの機体登録を行い、登録記号を取得します。法人所有の場合は法人名義で登録します。
Step 3: DIPS2.0で飛行許可を申請する
DIPS2.0にログインし、飛行許可・承認を申請します。
- 機体情報・操縦者情報をDIPS2.0に登録する
- 「飛行許可・承認申請」から新規申請を開始する
- 飛行の目的で「測量」を選択する
- 該当する特定飛行(DID上空、30m未満、目視外飛行など)を選択する
- 飛行の期間・場所・高度を入力する
- 飛行マニュアルを選択する
- 申請内容を確認して提出する
測量業務では複数の現場を年間通じて対応するケースが多いため、包括申請の利用が効率的です。包括申請については「ドローン包括申請とは?個別申請との違いと申請手順」をご覧ください。
Step 4: 飛行計画の通報と現場作業
飛行許可取得後、実際の測量作業の前に以下を行います。
- DIPS2.0で飛行計画の通報を行う(航空法第132条の88)
- 現場の安全確認と第三者の立入り防止措置
- 対空標識(GCP: 地上基準点)の設置(写真測量の場合)
- 気象条件の確認(風速、視程、雲底高度)
費用
ドローン測量に関わる許可申請の費用の目安です(2026年3月時点)。
| 項目 | 費用の目安 |
|---|---|
| 飛行許可・承認申請(DIPS2.0) | 無料 |
| 機体登録手数料 | 900円〜2,400円/機 |
| 行政書士への申請代行 | 3万円〜8万円程度 |
飛行許可申請自体の手数料は無料です。
なお、ドローン測量の業務全体では、機体・ソフトウェアの導入費用、解析費用、GCP設置費用なども発生しますが、これらは飛行許可申請とは別の費用です。
注意点
精度の確保
ドローン測量の精度は、飛行高度、カメラの性能、GCPの配置、解析ソフトの設定など複数の要因に左右されます。公共測量の場合は「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」の精度基準を満たす必要があるため、飛行計画の段階で精度要件を確認してください。
関係者への事前周知
建設現場の周辺で飛行する場合は、近隣住民や関係者への事前周知が重要です。工事現場であれば元請け企業や他の作業者にも飛行予定を共有してください。
天候による作業制限
測量用の写真撮影は晴天または薄曇りの条件が望ましく、影の強い快晴時や曇天時は画像品質に影響が出る場合があります。また、風速5m/s以上では機体の安定性や画像のブレに注意が必要です。
保険への加入
建設現場での飛行は第三者や構造物への損害リスクが高くなります。賠償責任保険への加入を強く推奨します。ドローン保険については「ドローンの保険は必要?賠償責任保険の選び方」をご覧ください。
よくある質問
Q. ドローン測量に測量士の資格は必要ですか?
ドローンの操縦自体に測量士資格は不要です。ただし、公共測量として実施する場合は測量士の関与が必要です。民間工事の施工管理目的であれば、測量法上の資格要件はありません。航空法上の飛行許可は公共・民間を問わず必要です。
Q. 目視外飛行の承認は必要ですか?
広い現場では、ドローンが操縦者から150m以上離れた位置を飛行することがあり、この場合は目視外飛行の承認が必要です。補助者を配置して常時目視で機体を確認できる体制であれば目視外飛行には該当しません。目視外飛行について詳しくは「ドローンの目視外飛行(BVLOS)|承認申請の条件と手順」をご覧ください。
Q. 国家資格があれば飛行許可は不要ですか?
条件によります。 二等無人航空機操縦士+第二種機体認証の組み合わせにより、DID上空や人・物件から30m未満などの一定のカテゴリーII飛行では許可申請が不要になる場合があります。ただし、全ての飛行が不要になるわけではないため、自身の飛行条件をDIPS2.0の簡易カテゴリー判定で確認してください。
Q. 年間を通じて複数の現場で測量する場合、毎回申請が必要ですか?
包括申請を利用すれば毎回の申請は不要です。包括申請では、日本全国を対象範囲として最長1年間の許可を取得できます。飛行のたびにDIPS2.0で飛行計画の通報を行えば、個別申請なしで各現場の測量が可能です。
まとめ
ドローン測量を行うには、航空法に基づく飛行許可・承認の取得と機体登録が基本です。
- 建設現場ではDID上空・30m未満・目視外飛行など複数の特定飛行に同時に該当しやすい
- 包括申請を活用すれば、年間を通じた複数現場での測量を効率的にカバーできる
- 公共測量では「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」への準拠と測量士の関与が必要
- 国家資格は必須ではないが、カテゴリーII飛行の許可不要化や発注者への技能証明に有効
- 飛行許可申請の手数料は無料
飛行許可の申請方法は「ドローン飛行許可の申請方法|DIPS2.0での手順を解説」で全体の流れを確認できます。申請代行を検討される方は「ドローン飛行許可の申請代行|費用相場と依頼の流れ」もご覧ください。