この記事でわかること
ドローンを飛ばそうとした場所がDID(人口集中地区)に該当する場合、国土交通大臣の飛行許可が必要です。許可なく飛行させると50万円以下の罰金の対象になります。
この記事では、DIDの定義と確認方法、飛行許可の申請手順、国家資格保有者が利用できるカテゴリーII飛行の条件までまとめて解説します。
DID(人口集中地区)とは
DID(Densely Inhabited District)は、総務省が国勢調査の結果に基づいて設定する人口密集エリアのことです。
DIDの設定基準
DIDは以下の基準で設定されます。
- 人口密度が1平方キロメートルあたり4,000人以上の国勢調査基本単位区が互いに隣接している
- それらの隣接する地域の人口合計が5,000人以上である
DIDのデータは5年ごとの国勢調査に基づいて更新されます。現在適用されているのは2020年(令和2年)国勢調査の結果です。次回は2025年国勢調査の結果が反映される予定です。
なぜDID上空の飛行に許可が必要なのか
DIDは住宅や商業施設が密集しているエリアです。ドローンが墜落した場合に第三者に危害が及ぶリスクが高いため、航空法で飛行許可が義務付けられています。
何人も、次に掲げる空域においては、無人航空機を飛行させてはならない。ただし、国土交通大臣がその飛行により航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれるおそれがないと認めて許可した場合においては、この限りでない。
― 航空法 第132条の85第1項
同条第1項第2号で「人又は家屋の密集している地域の上空」が特定飛行に該当する空域として定められており、この「人又は家屋の密集している地域」がDIDを指しています。
DIDの確認方法
飛行予定場所がDIDに該当するかどうかは、以下の2つの方法で確認できます。
方法1: 地理院地図で確認
国土地理院が提供する「地理院地図」でDIDの範囲を確認できます。
- 地理院地図(https://maps.gsi.go.jp/)にアクセスする
- 画面左上の「地図」メニューを開く
- 「主題図」→「人口集中地区」を選択する
- 飛行予定場所を拡大し、赤色で塗られた範囲がDIDに該当するか確認する
地理院地図では2020年国勢調査に基づくDIDが表示されます。
方法2: DIPS2.0の地図で確認
DIPS2.0(ドローン情報基盤システム)にも飛行可能エリアの確認機能があります。
- DIPS2.0(https://www.dips-reg.mlit.go.jp/)にアクセスする
- 「飛行エリアの確認」機能を選択する
- 地図上で飛行予定場所を確認する
- 赤色のエリアがDID(人口集中地区)として表示される
DIPS2.0の地図ではDIDに加えて、空港周辺や150m以上の空域など他の飛行制限エリアもまとめて確認できるため、申請前の確認にはDIPS2.0がおすすめです。
DID確認時の注意点
- DIDの境界は道路や河川に沿って設定されていることが多く、同じ町内でもDID内とDID外が混在する場合があります
- 飛行予定場所がDIDの境界付近にある場合は、安全のために許可を取得しておくのが無難です
- DIDは国勢調査の結果で更新されるため、以前はDID外だった場所が新たにDIDに指定されることがあります
DID上空の飛行許可の条件
DID上空での飛行許可を取得するには、以下の条件を満たす必要があります。
- 機体が100g以上であること(100g未満は航空法の規制対象外)
- 機体登録が完了していること
- 操縦者が10時間以上の飛行経験を有すること(2025年12月の審査要領改正後は国家資格が推奨)
- 第三者の安全を確保する措置が講じられていること(補助者の配置、飛行範囲の明示等)
- 賠償責任保険への加入が推奨されていること
機体登録がまだの方は「ドローン機体登録のやり方|100g以上は義務」をご覧ください。
申請の手順
DID上空の飛行許可は、DIPS2.0からオンラインで申請します。手数料は無料です。
Step 1: DIPS2.0にログイン
DIPS2.0(https://www.dips-reg.mlit.go.jp/)にアクセスし、アカウントでログインします。アカウントがない場合は新規作成してください。
Step 2: 「飛行許可・承認申請」を選択
ログイン後、メニューから「飛行許可・承認の申請」を選択し、「新規申請」ボタンを押します。
Step 3: 飛行の目的と理由を入力
飛行目的(空撮、点検、測量等)を選択し、「人口集中地区の上空」にチェックを入れます。他にも該当する飛行方法(夜間飛行、目視外飛行等)があれば同時にチェックしてください。
Step 4: 飛行場所と日時を入力
個別申請の場合は具体的な飛行場所と日時を指定します。業務で複数回飛行する場合は包括申請が便利です。包括申請なら「日本全国」「1年間」の範囲で申請でき、個別に場所や日時を指定する必要がありません。
包括申請について詳しくは「ドローン包括申請とは?個別申請との違いと申請手順」をご覧ください。
Step 5: 機体情報と操縦者情報を登録
使用する機体と操縦者の情報を登録します。機体はDIPS2.0に登録済みの機体から選択できます。操縦者は飛行経験(10時間以上)を入力します。
Step 6: 安全対策を入力
DID上空での飛行に必要な安全対策を入力します。主な内容は以下のとおりです。
| 安全対策 | 内容 |
|---|---|
| 補助者の配置 | 飛行範囲の周辺に補助者を配置し、第三者の接近を監視 |
| 飛行範囲の明示 | コーンやテープで飛行範囲を明示し、第三者の立入りを制限 |
| プロペラガード | 人との接触時の被害を軽減するためプロペラガードを装着 |
| 自動帰還機能 | 通信途絶時に自動で帰還する機能を有する機体を使用 |
Step 7: 申請内容を確認して提出
入力内容を確認し、「申請」ボタンを押して提出します。提出後は審査に入ります。
Step 8: 審査結果を確認
審査期間は原則10開庁日(土日祝を除く約2週間)です。審査完了後、DIPS2.0上で許可書をダウンロードできます。飛行時は許可書を携帯してください。
国家資格保有者のカテゴリーII適用
2022年12月に開始された無人航空機操縦者技能証明制度(国家資格)を保有している場合、DID上空の飛行をカテゴリーII飛行として行える場合があります。
カテゴリーII飛行とは
カテゴリーII飛行は、立入管理措置を講じた上で特定飛行を行う場合に該当します。DID上空の飛行であっても、以下の条件を満たせば飛行許可の申請が不要になります。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 操縦者の資格 | 二等以上の技能証明を保有 |
| 機体の認証 | 第二種以上の機体認証を取得した機体を使用 |
| 立入管理措置 | 飛行範囲の下に第三者が立ち入らない措置を講じる |
上記3つを全て満たすと、DID上空の飛行は国土交通大臣への許可申請が不要になります。ただし、飛行計画の通報はDIPS2.0から行う必要があります。
カテゴリーII飛行ができないケース
以下のケースでは、国家資格を持っていても従来どおり飛行許可の申請が必要です。
- 立入管理措置を講じない場合(第三者の上空を飛行する可能性がある)
- 機体認証を取得していない機体を使用する場合
- 催し場所の上空など、カテゴリーIII飛行に該当する場合
国家資格の詳細は「ドローン国家資格の種類と取得方法|一等・二等の違い」で解説しています。飛行カテゴリーの全体像は「ドローンの飛行カテゴリーとレベルをわかりやすく解説」をご覧ください。
費用
DID上空の飛行許可申請に法定手数料はかかりません。DIPS2.0からの申請は無料です。
| 項目 | 費用 |
|---|---|
| DIPS2.0での飛行許可申請 | 無料 |
| 機体登録(前提条件) | 900円〜2,400円/機 |
| 行政書士への申請代行 | 30,000円〜80,000円(相場) |
行政書士に依頼する場合の費用について詳しくは「ドローン飛行許可の申請方法|DIPS2.0での手順を解説」をご覧ください。
よくある質問
Q. DID上空で許可なく飛ばすとどうなる?
航空法第157条の11により、50万円以下の罰金の対象になります。DID上空は特定飛行に該当するため、許可なしの飛行は違法です。
Q. 自分の家の上空もDIDなら許可が必要?
はい、必要です。DIDの飛行制限は土地の所有者に関係なく、エリア全体に適用されます。自宅の敷地内であっても、DIDに該当するなら飛行許可を取得してください。
Q. DIDと飛行禁止区域は同じもの?
別の概念です。DIDは「特定飛行」に該当する空域であり、許可を取得すれば飛行できます。一方、「飛行禁止区域」には空港周辺や150m以上の空域も含まれます。飛行禁止区域の全体像は「ドローンの飛行禁止区域一覧|確認方法と許可の取り方」で解説しています。
Q. 包括申請でDID上空の飛行許可を取れる?
はい、取得できます。包括申請なら「日本全国」「1年間」の範囲でDID上空の飛行許可を一括して取得可能です。業務で複数回・複数場所を飛行する場合は包括申請が効率的です。
Q. 2025年12月の審査要領改正はDID飛行に影響する?
影響があります。2025年12月の改正で民間資格(DPA、JUIDAなど)による申請書類の簡略化措置が廃止されました。民間資格のみの操縦者は飛行経験や訓練内容をより詳細に記載する必要があります。国家資格(二等以上)を取得していれば、従来どおり簡略化された申請が可能です。
まとめ
DID(人口集中地区)上空でドローンを飛行させるには、航空法に基づく飛行許可が必要です。
- DIDは国勢調査に基づく人口密集エリアで、地理院地図やDIPS2.0で確認可能
- 飛行許可はDIPS2.0から無料で申請でき、審査期間は約10開庁日
- 二等以上の国家資格+機体認証+立入管理措置で許可申請が不要になるケースがある
- 許可なしの飛行は50万円以下の罰金
飛行許可の申請方法の全体像は「ドローン飛行許可の申請方法|DIPS2.0での手順を解説」で詳しく解説しています。