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ドローン空撮を仕事にする|許可と開業手続き

この記事でわかること

ドローン空撮は、不動産の物件紹介、観光PR、テレビ番組・映像制作、イベント撮影など幅広い分野で需要がある仕事です。個人でも比較的少ない初期投資で始められることから、副業やフリーランスとして空撮業を始める方が増えています。

この記事では、ドローン空撮を仕事にするために必要な飛行許可・申請、開業届などの事業手続き、保険の選び方、費用の目安を解説します。

ドローン空撮の仕事とは

ドローン空撮の仕事は、クライアントの依頼に応じて上空から写真や動画を撮影し、データを納品する業務です。

主な依頼内容

分野 依頼内容の例
不動産 物件や周辺環境の空撮写真・動画
建設 工事現場の進捗記録、竣工写真
観光・自治体 観光地のPR動画、地域紹介映像
映像制作 テレビ番組、CM、映画の空撮カット
イベント スポーツイベント、フェスの空撮記録
農業 圃場の空撮、生育状況の記録
太陽光発電 パネル設置状況の撮影、竣工記録

ドローン空撮に必要な許可・申請

飛行許可・承認(航空法)

空撮で該当する可能性のある特定飛行は以下のとおりです。

特定飛行の種類 該当する場面 根拠条文
人口集中地区(DID)上空 都市部での撮影 航空法 第132条の85第1項第2号
人・物件から30m未満 建物の近くでの撮影 航空法 第132条の86第2項第3号
夜間飛行 日没後の夜景撮影 航空法 第132条の86第2項第1号
目視外飛行 操縦者から機体が見えない距離での撮影 航空法 第132条の86第2項第2号
催し場所の上空 イベント会場での空撮 航空法 第132条の86第2項第4号
地表から150m以上 高高度からの広域撮影 航空法 第132条の85第1項第1号

空撮の仕事では、クライアントの撮影場所によって該当する特定飛行が毎回異なります。都市部での撮影依頼が多い場合は、DID上空・30m未満・目視外飛行などの承認をまとめて包括申請で取得しておくと、案件ごとに個別申請する手間が省けます。

飛行許可の申請方法は「ドローン飛行許可の申請方法|DIPS2.0での手順を解説」で詳しく解説しています。

機体登録(航空法)

100g以上のドローンは機体登録が義務です。業務で使用する機体は必ず登録を済ませてください。

機体登録の手順は「ドローン機体登録のやり方|100g以上は義務」をご覧ください。

施設管理者への許可

撮影場所によっては、航空法の飛行許可とは別に施設管理者の許可が必要です。

  • 公園: 都道府県・市区町村の公園管理事務所
  • 河川敷: 国土交通省の河川事務所
  • 港湾: 港湾管理者
  • 私有地上空: 土地の所有者
  • イベント会場: イベント主催者

飛行許可を取得しても、施設管理者の許可がなければ撮影場所に入れない・離着陸できないケースがあります。

開業に必要な手続き

空撮を事業として行う場合、航空法以外にも以下の手続きが必要です。

開業届の提出(個人事業主の場合)

個人でドローン空撮を事業として始める場合は、税務署に開業届(個人事業の開業届出書)を提出します。開業届は事業開始から1ヶ月以内に提出するのが原則です。

あわせて「所得税の青色申告承認申請書」を提出しておくと、確定申告時に青色申告特別控除(最大65万円)を受けられます。青色申告承認申請書の提出期限は、開業日から2ヶ月以内(1月1日〜1月15日に開業した場合は3月15日まで)です。

法人設立(法人の場合)

法人としてドローン空撮事業を行う場合は、法人設立の手続き(定款作成、設立登記、税務届出など)が必要です。

賠償責任保険への加入

業務でドローンを飛行させる以上、賠償責任保険への加入は実務上必須です。趣味用の保険では業務中の事故が補償されないため、必ず業務対応の保険を選んでください

ドローン保険の選び方は「ドローンの保険は必要?賠償責任保険の選び方」で詳しく解説しています。

申請の手順

Step 1: 機体登録を済ませる

業務で使用するドローンの機体登録を行い、登録記号を取得します。

Step 2: 包括申請で飛行許可を取得する

空撮業では案件ごとに撮影場所が異なるため、包括申請で広範囲の飛行許可を取得するのが一般的です。

包括申請で取得しておくと便利な承認は以下のとおりです。

  • DID上空の飛行
  • 人・物件から30m未満の飛行
  • 夜間飛行(夜景撮影の依頼に備えて)
  • 目視外飛行(広い範囲を撮影する場合に備えて)

DIPS2.0での包括申請の手順は「ドローン包括申請とは?個別申請との違いと申請手順」をご覧ください。

催し場所の上空での飛行は包括申請ではカバーできないため、イベント撮影の依頼を受けた場合は個別申請が必要です。

Step 3: 開業届と保険の手続き

  1. 開業届を税務署に提出する
  2. 青色申告承認申請書を税務署に提出する
  3. 賠償責任保険に加入する(業務対応のプランを選択)

Step 4: 案件ごとの対応

実際の案件を受注したら、以下を行います。

  1. 撮影場所の飛行条件を確認する(DID内か、空港周辺か、施設管理者の許可が要るかなど)
  2. 包括申請の範囲でカバーできない飛行がある場合は個別申請を行う
  3. 施設管理者への撮影許可の申請を行う
  4. DIPS2.0で飛行計画の通報を行う(航空法第132条の88)
  5. 当日の気象条件を確認し、飛行前点検を実施する
  6. 撮影を実施し、データを納品する

費用

ドローン空撮を仕事として始める際の費用の目安です(2026年3月時点)。

許可申請の費用

項目 費用の目安
飛行許可・承認申請(DIPS2.0) 無料
機体登録手数料 900円〜2,400円/機
行政書士への申請代行 3万円〜8万円程度

開業時に検討する主な費用

項目 費用の目安
開業届の提出 無料
賠償責任保険(業務対応) 年額8,000円〜30,000円程度(補償内容による)

飛行許可申請の手数料は無料です。機体やカメラの購入費用、編集ソフトの費用などは業務の規模や機材の選択によって大きく異なります。

代行費用について詳しくは「ドローン飛行許可の申請代行|費用相場と依頼の流れ」をご覧ください。

注意点

プライバシーへの配慮

空撮では、撮影対象以外の住宅の内部や人物が映り込むことがあります。映り込みが生じた場合は、公開前にモザイク処理や切り取りを行うなど、プライバシーに配慮した対応が必要です。

総務省が公表している「ドローンによる撮影映像等のインターネット上での取扱いに係るガイドライン」も参考にしてください。

著作権・使用権の取り決め

空撮データの著作権や使用権の範囲をクライアントと事前に取り決めておくことが重要です。納品後のデータの二次利用や、撮影者(自分)のポートフォリオへの使用可否などを契約書や見積書に明記してください。

催し場所の上空は包括申請の対象外

イベント会場(催し場所)の上空での飛行は、包括申請ではカバーできません。イベント空撮の依頼を受けた場合は、開催日・場所を特定した個別申請が必要です。審査には時間がかかるため、イベント開催日の少なくとも1ヶ月前には申請を済ませてください。

天候リスクへの対応

空撮は天候に左右される仕事です。クライアントとの契約時に、天候不良による撮影延期の取扱い(追加費用の有無、延期可能な回数など)を事前に取り決めておくと、トラブルを防げます。

よくある質問

Q. 国家資格は空撮業に必須ですか?

必須ではありません。 国家資格がなくても、DIPS2.0で飛行許可を取得すれば空撮業務は可能です。ただし、二等無人航空機操縦士+第二種機体認証の組み合わせにより一部のカテゴリーII飛行が許可不要になるほか、クライアントへの信頼性のアピールにもつながります。国家資格について詳しくは「ドローン国家資格の種類と取得方法|一等・二等の違い」をご覧ください。

Q. 副業でも開業届は必要ですか?

継続的に空撮の対価を受け取る場合は、開業届の提出が望ましいです。開業届を提出しなくても罰則はありませんが、青色申告の適用を受けるには開業届と青色申告承認申請書の提出が前提となります。

Q. 空撮の料金相場はどのくらいですか?

空撮の料金は撮影場所・撮影時間・編集の有無によって大きく異なります。一般的な相場は案件ごとに幅がありますが、撮影のみであれば数万円〜十数万円、編集込みであれば十数万円〜数十万円が一つの目安です。ただし、料金設定は自由であり、経験や機材、付加価値によって変動します。

Q. 飛行許可がないまま空撮の仕事を請けてしまったらどうなりますか?

特定飛行に該当する飛行を無許可で行った場合は航空法違反となり、罰則の対象になります(1年以下の懲役または50万円以下の罰金)。また、無許可飛行中の事故では保険金が支払われない可能性もあります。仕事を請ける前に、必ず飛行許可の取得状況を確認してください。

まとめ

ドローン空撮を仕事にするには、航空法に基づく飛行許可・承認の取得事業としての手続きの両方が必要です。

  • 空撮業では案件ごとに飛行場所が変わるため、包括申請で広範囲の許可をまとめて取得するのが基本
  • 催し場所の上空は包括申請の対象外のため、イベント撮影は個別申請が必要
  • 開業届の提出と業務対応の賠償責任保険への加入を忘れずに
  • 施設管理者への許可、プライバシーへの配慮、著作権の取り決めも重要
  • 飛行許可申請の手数料は無料

飛行許可の基本は「ドローン飛行許可の申請方法|DIPS2.0での手順を解説」で確認できます。ドローンに関わる法律の全体像は「【2026年最新】ドローンの法律・規制まとめ」をご覧ください。

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