この記事でわかること
無線局の開局申請や変更届を提出する先は、最寄りの「総合通信局」です。しかし、「総合通信局とは何か」「自分がどの総合通信局に申請すべきか」がわからない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、総合通信局の役割と組織体系、管轄地域の一覧、相談できる内容、問い合わせ方法を解説します。
総合通信局とは
組織の位置づけ
総合通信局は、総務省の地方支分部局です。総務省が管轄する電波行政・通信行政を地域ごとに担当する機関であり、全国に10局+1事務所が設置されています。
電波法に関する申請・届出の多くは、申請者の住所地を管轄する総合通信局に対して行います。
この法律は、電波の公平且つ能率的な利用を確保することによつて、公共の福祉を増進することを目的とする。
― 電波法 第1条
総合通信局は、この電波法の目的を地域レベルで実現するための実務機関です。
総合通信局の沿革
総合通信局は現在の名称になるまでに、いくつかの組織改編を経ています。
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 1949年(昭和24年) | 電波庁の設置に伴い、全国10か所に地方電波管理局を設置 |
| 1950年(昭和25年) | 電波監理委員会の事務局である電波監理総局の下に組織化 |
| 1952年(昭和27年) | 電波監理委員会の廃止に伴い、郵政省に移管 |
| 1985年(昭和60年) | 地方電気通信監理局に改称 |
| 2001年(平成13年) | 省庁再編により郵政省が総務省に統合。総合通信局に改称し現在に至る |
かつての名称である「電波監理局」の略称から、現在でも総合通信局のことを「電監(でんかん)」と呼ぶ無線関係者がいます。
総合通信局の内部組織
総合通信局の内部は、業務内容に応じて複数の部署に分かれています。アマチュア無線やドローンに関する申請・相談を行う際に、どの部署が担当しているかを知っておくとスムーズです。
| 部署名(例: 関東総合通信局の場合) | 主な業務 |
|---|---|
| 無線通信部 陸上課 | アマチュア無線局の免許申請・審査、FPVドローンの開局申請 |
| 無線通信部 航空海上課 | 航空無線局・海上無線局の免許 |
| 電波監理部 電波利用環境課 | 不法無線局の取り締まり、電波監視 |
| 情報通信部 | 電気通信事業の届出、情報通信振興 |
| 放送部 | 放送局の免許・監督 |
部署名は総合通信局ごとに若干異なりますが、アマチュア無線やFPVドローンに関する相談は無線通信部(陸上課)が窓口になることが一般的です。
主な業務
総合通信局は以下の業務を行っています。
| 業務分野 | 内容 |
|---|---|
| 電波監理 | 無線局の免許・検査・監督、不法無線局の取り締まり |
| 電気通信行政 | 電気通信事業の届出・登録の受付 |
| 放送行政 | 放送局の免許・監督 |
| 情報通信振興 | ICT利活用の推進、デジタルデバイド対策 |
| 電波監視 | 不法電波の探知・排除 |
アマチュア無線やドローンに関わるのは主に電波監理の業務です。電波法の基本的な仕組みは「電波法とは?基本の仕組みをわかりやすく解説」で解説しています。
電波監視と不法無線局の取り締まり
総合通信局の重要な業務のひとつが、不法無線局の取り締まりです。
総合通信局は管内の主要な地域に配置したDEURAS(デューラス)システム(電波監視システム)や不法無線局探索車を活用して、不法無線局の場所や行動を常に監視しています。悪質なケースについては警察署への告発を行います。
具体的な取り締まり活動には以下のようなものがあります。
- 路上での共同取り締まり: 警察や海上保安庁と連携し、道路上や港湾で不法無線局の電波検問を実施
- 不法電波の探知: DEURASシステムで不法電波の発信源を特定
- 通報に基づく調査: 国民からの混信・妨害の申告に基づき不法無線局を探査
- 警察への技術協力: 警察学校への職員派遣や、違法電波の見分け方の指導
技適マークのないFPVドローンのVTXを無免許で使用した場合も、不法無線局として取り締まりの対象となります。技適マークの確認については「技適マークとは?確認方法と対象機器をわかりやすく解説」をご覧ください。
管轄地域一覧
全国の総合通信局と管轄地域の一覧です。自分の住所がどの総合通信局の管轄かを確認し、その総合通信局に申請・届出を行います。
| 総合通信局 | 管轄地域 | 所在地 |
|---|---|---|
| 北海道総合通信局 | 北海道 | 札幌市 |
| 東北総合通信局 | 青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島 | 仙台市 |
| 関東総合通信局 | 茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨 | 東京都千代田区 |
| 信越総合通信局 | 新潟、長野 | 長野市 |
| 北陸総合通信局 | 富山、石川、福井 | 金沢市 |
| 東海総合通信局 | 岐阜、静岡、愛知、三重 | 名古屋市 |
| 近畿総合通信局 | 滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山 | 大阪市 |
| 中国総合通信局 | 鳥取、島根、岡山、広島、山口 | 広島市 |
| 四国総合通信局 | 徳島、香川、愛媛、高知 | 松山市 |
| 九州総合通信局 | 福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島 | 熊本市 |
| 沖縄総合通信事務所 | 沖縄 | 那覇市 |
沖縄のみ「総合通信事務所」という名称ですが、業務内容は他の総合通信局と同様です。
管轄の基準
個人の場合は住所地、法人の場合は事務所の所在地を管轄する総合通信局に申請します。
- アマチュア無線局: 常置場所(通常は自宅住所)を管轄する総合通信局
- 業務用無線局: 無線局の設置場所を管轄する総合通信局
- FPVドローンの無線局: アマチュア無線局として開局する場合は、常置場所(自宅住所)を管轄する総合通信局
たとえば、東京都在住の方がFPVドローンの開局申請をする場合は、関東総合通信局(東京都千代田区)が申請先になります。旅行先や出張先でFPVドローンを飛ばす場合でも、申請先は常置場所を管轄する総合通信局であり、飛行場所の管轄局ではありません。
相談できること
総合通信局では、電波法・通信に関するさまざまな相談を受け付けています。
無線局の免許に関する相談
- 開局申請の手続きについて
- 必要な書類の確認
- 申請書の書き方がわからない場合
- 申請状況の確認
- 変更申請・再免許申請の手続き
電波の混信・妨害に関する相談
- 無線通信に混信(他の電波が混ざる)が発生した場合
- 不法無線局と思われる電波を受信した場合
- 電波障害(テレビの受信障害等)が発生した場合
電気通信事業に関する相談
- 電気通信事業の届出が必要かどうかの判断
- 届出書類の書き方
- 電気通信事業法の解釈について
ドローン・FPVに関する相談
- ドローンの技適マークの確認について
- FPVドローンのVTXで使用できる周波数帯について
- 5.7GHz帯と5.8GHz帯の違いについて
- 無線局の開局が必要かどうかの判断
- 海外製VTXの保証認定や開局申請の進め方について
- VTXの変更申請(増設・交換時)の手続きについて
ドローンの電波法に関する相談は近年増加しています。「海外製のFPVドローンを購入したが、日本で使えるかわからない」という相談にも対応してもらえます。FPVドローンと電波法の関係は「FPVドローンに必要な免許|アマチュア無線+開局申請ガイド」で解説しています。
相談時の具体的なケーススタディ
総合通信局への相談は気軽に利用できるものです。実際にどのような場面で相談するか、具体例を紹介します。
ケース1: 開局申請の書類に不安がある場合
FPVドローンの開局申請を自分で行おうとしたが、申請書の工事設計書の記入方法がわからない。電話で関東総合通信局に相談し、記入例や注意点を教えてもらうことができます。
ケース2: 技適マークの有無が判断できない場合
海外で購入した送信機に技適マークらしいシールがあるが、正規のものか判断できない。総合通信局に技適番号を伝えて照会してもらうことで、正規の技適マーク付き製品かどうか確認できます。
ケース3: 近隣で電波障害が発生した場合
自宅のテレビに原因不明のノイズが入るようになった。総合通信局に相談すると、電波監視の担当部署が調査してくれます。不法無線局が原因の場合は、取り締まりが行われます。
問い合わせ方法
電話で相談
各総合通信局の代表電話番号に電話し、担当部署(無線通信部等)に取り次いでもらいます。
相談する際のポイント:
- 相談内容を事前に整理しておく
- 使用する無線機器の型番、周波数帯、出力を伝えられるようにする
- 既に持っている資格や免許があれば伝える
- メモを準備して回答内容を記録する
窓口で相談
各総合通信局の窓口に直接訪問して相談することも可能です。事前に電話で来訪の予約をしておくとスムーズです。
メール・問い合わせフォーム
総務省のWebサイトからメールや問い合わせフォームで相談を送ることもできます。回答までに数日かかる場合があります。
電子申請システム
申請手続き自体は総務省の「電波利用 電子申請・届出システムLite」からオンラインで行えます。電子申請の使い方は「アマチュア無線の電子申請の使い方」で解説しています。
問い合わせ時の注意点
総合通信局に問い合わせる際にスムーズにやり取りするためのコツです。
- 電話の受付時間は平日のみが基本。土日祝日は対応していない場合が多い
- 繁忙期(年度末の3月前後)は電話がつながりにくいことがある
- 法令の解釈に関する相談は、担当者によって回答に時間がかかる場合がある。急ぎの場合は事前にメールで質問内容を送っておくとスムーズ
- 申請状況の確認は電子申請システム上でも確認可能。電話で問い合わせる前にシステムを確認するのがおすすめ
- 専門用語がわからない場合でも遠慮せずに質問してよい。担当者はわかりやすく説明してくれる
総合通信局に関わる主な手続き
アマチュア無線関連
| 手続き | 申請先 | 手数料(電子申請) |
|---|---|---|
| 開局申請 | 総合通信局 | 2,750円 |
| 再免許申請 | 総合通信局 | 1,750円 |
| 変更申請 | 総合通信局 | 1,100円 |
| 廃止届 | 総合通信局 | 無料 |
開局申請の手順は「アマチュア無線の開局申請|電子申請での手順を解説」をご覧ください。手数料の詳細は「無線局申請手数料の改定(2025年10月)|新旧比較表」で解説しています。
FPVドローン関連
| 手続き | 申請先 | 手数料(電子申請) |
|---|---|---|
| 5.8GHz帯の開局申請 | 総合通信局 | 2,750円 |
| 5.7GHz帯の開局申請 | 総合通信局 | 3,550円 |
| VTX変更の変更申請 | 総合通信局 | 1,100円 |
| 廃止届 | 総合通信局 | 無料 |
FPVドローンの開局申請手順は「FPVドローン5.8GHz帯の開局申請|手順と必要書類」をご覧ください。
無線従事者免許証関連
| 手続き | 申請先 | 手数料 |
|---|---|---|
| 免許証の交付 | 総合通信局 | 1,750円 |
| 免許証の再交付(紛失等) | 総合通信局 | 1,750円 |
| 免許証の訂正(氏名変更等) | 総合通信局 | 950円 |
総合通信局と本省(総務省)の役割分担
| 機関 | 役割 |
|---|---|
| 総務省(本省) | 電波法の制定・改正、政策立案、全国的な方針決定 |
| 総合通信局 | 地域における電波行政の実施、免許申請の受付・審査、電波監視 |
個別の申請手続きは総合通信局が担当し、法律や制度の設計は総務省本省が担当しています。
総合通信局と「総合通信基盤局」の違い
名称が似ているため混同されやすいのが、総合通信基盤局です。
| 機関 | 位置づけ | 役割 |
|---|---|---|
| 総合通信局 | 総務省の地方支分部局 | 地域における電波行政の実施(免許申請の受付・審査・電波監視) |
| 総合通信基盤局 | 総務省の内部部局(本省) | 電波政策・通信政策の企画立案、電波法の制度設計 |
総合通信基盤局は東京の総務省本省にある政策立案部門であり、地方にある総合通信局とは別の組織です。一般の申請者が直接関わるのは総合通信局のほうです。
総合通信局と保証認定機関の関係
FPVドローンの開局申請では、保証認定機関(JARDまたはTSS)と総合通信局の両方に関わることになります。それぞれの役割を整理します。
| 機関 | 役割 | 手続きの流れ |
|---|---|---|
| JARD / TSS(保証認定機関) | VTXの無線設備が技術基準に適合することを保証 | 1. 保証認定申請 → 2. 保証書の発行 |
| 総合通信局 | 保証書をもとに無線局の免許を審査・交付 | 3. 開局申請 → 4. 免許状の交付 |
保証認定機関は民間の機関であり、総合通信局は行政機関です。保証認定を受けてから総合通信局に開局申請を行う、という流れになります。保証認定機関の詳細は「TSS保証認定とJARDの違い|FPV開局はどちらに申請?」、JARD保証認定の手続きは「JARD保証認定の申請手順|FPVドローン開局に必要」をご覧ください。
電波利用料と総合通信局
無線局を開局すると、毎年電波利用料を総合通信局に納付する必要があります。
免許人は、(中略)電波利用料として、無線局の免許の日から起算して三十日以内及びその後毎年その応当日(応当日がない場合は、その翌日。)から起算して三十日以内に、当該無線局の免許の日又は応当日(以下この条において「応当日等」という。)から始まる各一年の期間について(中略)納めなければならない。
― 電波法 第103条の2第1項
アマチュア無線局の電波利用料は年額300円です。開局後に総合通信局から納付書が届くので、指定された期限内に納付してください。
電波利用料の詳細は「電波利用料とは?金額と納付方法をわかりやすく解説」で解説しています。
よくある質問
Q. 引っ越した場合、管轄の総合通信局は変わる?
住所地が別の管轄地域になれば変わります。 たとえば東京から大阪に引っ越した場合、管轄が関東総合通信局から近畿総合通信局に変わります。無線局の変更届(常置場所の変更)を新しい管轄の総合通信局に提出してください。
Q. 総合通信局への相談は無料?
はい、相談は無料です。 電話・窓口・メールのいずれも無料で相談できます。申請手続き自体には手数料がかかりますが、事前の相談に費用はかかりません。
Q. 電子申請を使えば総合通信局に行かなくて済む?
はい、ほとんどの手続きは電子申請で完結します。 窓口に行く必要はありません。電子申請は24時間受付であり、自宅のPC・スマートフォンから手続きできます。
Q. 不法無線局を見つけたらどこに通報する?
管轄の総合通信局に通報してください。電波の混信や不法無線局に関する情報を受け付けています。総務省のWebサイトからも通報フォームが利用可能です。
Q. 申請書類に不備があった場合はどうなる?
総合通信局から補正指示が届きます。申請書類に不備があった場合、申請が即座に却下されるわけではなく、不備の内容と修正方法が通知されます。指示に従って書類を修正し、再提出すれば手続きが進みます。ただし、補正のやり取りの分だけ処理期間が延びるため、最初から不備のない書類を提出することが重要です。
Q. 総合通信局の審査にはどのくらいの期間がかかる?
一般的に1〜2ヶ月程度です。ただし、申請が集中する時期(年度末や制度改正後)は処理に時間がかかる場合があります。電子申請を利用すると書面申請よりやや早い傾向があります。申請状況は電子申請システムの管理画面で確認できます。
Q. 行政書士に申請を代行してもらえる?
はい、総合通信局への申請手続きは行政書士に代行を依頼できます。開局申請、変更申請、再免許申請などの手続きを行政書士が代わりに行います。書類の作成ミスを防ぎ、スムーズに手続きを進めたい方におすすめです。代行の費用や依頼の流れは「アマチュア無線の申請代行|行政書士に依頼するメリット」をご覧ください。
まとめ
総合通信局は、電波法に基づく無線局の免許・監督を担当する総務省の地方機関です。
- 全国に10局+1事務所(沖縄総合通信事務所)
- 申請先は住所地(常置場所)を管轄する総合通信局
- 無線局の免許、電波の混信、電気通信事業など幅広い相談を受け付け
- 相談は無料、電話・窓口・メールで対応
- 電子申請を使えば窓口訪問は不要
電波法の基本は「電波法とは?基本の仕組みをわかりやすく解説」で、電波法違反の罰則は「電波法違反の罰則一覧|知らなかったでは済まない」で解説しています。無線従事者の資格制度については「無線従事者とは?資格の種類と取得方法」、無線局免許の仕組みは「無線局免許とは?種類と申請方法を解説」をあわせてご覧ください。