目次
この記事でわかること
電波は有限の資源です。Wi-Fi、携帯電話、テレビ放送、航空管制、ドローンなど、さまざまな用途が限られた周波数帯を分け合って利用しています。この「分け合い」のルールを定めるのが周波数割当の仕組みです。
この記事では、周波数割当の基本的な仕組み、ITUと総務省の役割、日本の周波数帯の区分と主な用途、周波数オークション制度、そしてドローン・Wi-Fi・携帯電話で使われる周波数帯を解説します。
周波数割当の基本
周波数割当とは
周波数割当とは、電波の周波数帯をさまざまな無線業務(通信、放送、レーダー等)に配分し、個別の無線局に特定の周波数の使用を許可する仕組みです。
電波は空間を伝わる電磁波であり、同じ周波数帯を複数の無線局が同時に使用すると混信が発生します。周波数割当は、この混信を防ぎ、電波の公平かつ能率的な利用を実現するための制度です。
国際的な枠組み:ITUの役割
周波数の割当は国際的な調整のもとで行われます。
| 機関 | 役割 |
|---|---|
| ITU(国際電気通信連合) | 周波数帯の国際的な配分を規定(無線通信規則) |
| WRC(世界無線通信会議) | 3〜4年ごとに開催。周波数配分の国際ルールを改定 |
| APT(アジア太平洋電気通信共同体) | アジア太平洋地域の周波数調整 |
ITUは世界を3つの地域(Region 1〜3)に分け、地域ごとに周波数の配分表を定めています。日本は第3地域(Region 3)に属します。
日本での周波数割当:総務省の役割
日本国内の周波数割当は総務省が所管しています。
| 制度 | 内容 |
|---|---|
| 周波数割当計画 | 日本における周波数帯ごとの用途を規定 |
| 無線局免許 | 個別の無線局に周波数の使用を許可 |
| 技術基準 | 各周波数帯で使用できる無線設備の基準を策定 |
総務大臣は、電波の公平かつ能率的な利用を確保するため、周波数の割当てに関する計画を定めなければならない。
― 電波法 第26条の2(要旨)
日本の主な周波数帯と用途
日本で使われている主な周波数帯と用途を一覧にまとめます。
| 周波数帯 | 名称 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 〜300kHz | 長波(LF) | 船舶通信、標準電波(JJY) |
| 300kHz〜3MHz | 中波(MF) | AMラジオ放送、船舶通信 |
| 3MHz〜30MHz | 短波(HF) | アマチュア無線、国際放送、漁業通信 |
| 30MHz〜300MHz | 超短波(VHF) | FMラジオ、航空管制、消防・防災無線 |
| 300MHz〜3GHz | 極超短波(UHF) | テレビ放送、携帯電話、業務用無線 |
| 3GHz〜30GHz | マイクロ波(SHF) | 衛星通信、Wi-Fi(5GHz帯)、レーダー |
| 30GHz〜300GHz | ミリ波(EHF) | 5G(ミリ波)、車載レーダー |
身近な無線サービスの周波数帯
携帯電話・スマートフォン
| 世代 | 周波数帯 |
|---|---|
| 4G LTE | 700MHz, 800MHz, 900MHz, 1.5GHz, 1.7GHz, 2.1GHz, 2.5GHz, 3.5GHz |
| 5G Sub6 | 3.7GHz, 4.5GHz |
| 5G ミリ波 | 28GHz |
Wi-Fi
| 規格 | 周波数帯 |
|---|---|
| Wi-Fi 4/5/6 | 2.4GHz帯, 5GHz帯 |
| Wi-Fi 6E | 6GHz帯 |
| Wi-Fi 7 | 2.4GHz帯, 5GHz帯, 6GHz帯 |
ドローン
| 用途 | 周波数帯 |
|---|---|
| 操縦信号(プロポ) | 2.4GHz帯 |
| FPV映像伝送(アマチュア) | 5.8GHz帯 |
| FPV映像伝送(業務用) | 5.7GHz帯 |
| リモートID | 920MHz帯, 2.4GHz帯 |
ドローンの周波数帯の詳細は「ドローンで使える周波数帯一覧|電波法との関係を整理」をご覧ください。
その他
| 用途 | 周波数帯 |
|---|---|
| Bluetooth | 2.4GHz帯 |
| 特定小電力トランシーバー | 420MHz帯, 440MHz帯 |
| デジタル簡易無線 | 351MHz帯, 467MHz帯 |
| アマチュア無線 | 各バンド(1.9MHz〜10GHz以上) |
周波数オークション制度
従来の割当方式
日本では長らく、周波数の割当は比較審査方式(美人投票方式)で行われてきました。総務省が複数の申請者の中から、技術力や事業計画を比較して最適な事業者を選定する方式です。
オークション制度の導入
近年、世界的に周波数オークションの導入が進んでいます。日本でも携帯電話用周波数を対象とした周波数オークション制度の導入が議論されています。
| 項目 | 比較審査方式 | オークション方式 |
|---|---|---|
| 選定方法 | 総務省が比較審査で決定 | 入札価格で決定 |
| 透明性 | 審査基準が不透明との指摘あり | 価格による客観的な決定 |
| 国の収入 | 限定的 | 落札金額が国庫に入る |
| 導入国 | 日本(従来) | アメリカ、イギリス、ドイツ等 |
周波数オークションは、周波数という有限資源の経済的価値を反映させる仕組みとして注目されています。
よくある質問
Q. 周波数割当計画はどこで確認できる?
総務省のウェブサイトで周波数割当計画が公開されています。周波数帯ごとの用途区分、使用可能な無線局の種類、技術基準などが記載されています。
Q. 新しい周波数帯が使えるようになることはある?
あります。技術の進歩や社会的需要の変化に応じて、周波数割当計画は定期的に見直されます。近年では6GHz帯のWi-Fi 6Eへの開放や5Gミリ波帯の追加割当などが行われています。
Q. 同じ周波数帯を複数の用途で使うことはある?
あります。共用と呼ばれる仕組みで、時間帯や場所、技術的条件を分けることで同じ周波数帯を複数の用途で利用できます。例えば5GHz帯は、Wi-Fiと気象レーダーが共用しており、DFS(動的周波数選択)という技術で干渉を回避しています。
Q. アマチュア無線の周波数帯はどう決まっている?
アマチュア無線の周波数帯は、ITUの無線通信規則と日本の電波法に基づいて配分されています。アマチュア業務は二次業務として割り当てられている帯域が多く、一次業務(商用通信等)に干渉を与えてはなりません。
まとめ
周波数割当は、有限の電波資源を公平かつ効率的に利用するための基本的な仕組みです。
- ITUが国際的な周波数配分を規定し、総務省が日本国内の割当を実施
- 日本の周波数帯は長波からミリ波まで用途ごとに区分
- 携帯電話は700MHz〜28GHz、Wi-Fiは2.4GHz〜6GHz、ドローンは2.4GHz・5.7GHz・5.8GHz帯を使用
- 周波数オークション制度の導入が議論されている
- 技術の進歩に応じて周波数割当計画は定期的に見直しが行われる
- 同じ周波数帯を複数の用途で共用する仕組みもある
電波法の基本は「電波法とは?基本の仕組みをわかりやすく解説」、電波利用料については「電波利用料とは?金額一覧と納付方法」をご覧ください。