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無線局の定期検査とは?対象局と検査内容

この記事でわかること

無線局を開設した後も、一定の無線局には定期的な検査が義務付けられています。定期検査は無線局が電波法の技術基準を継続的に満たしているかを確認する重要な制度です。

この記事では、定期検査の対象局と免除条件、検査の内容、検査の周期、検査を受けない場合の罰則、そして登録検査等事業者による自主検査制度を解説します。

定期検査とは

定期検査とは、総務大臣(総合通信局)が無線局に対して定期的に行う検査です。無線設備が電波法の技術基準に適合しているか、無線局が適正に運用されているかを確認します。

総務大臣は、総務省令で定める時期ごとに、あらかじめ通知する期日に、その職員を無線局(中略)に派遣し、その無線設備等を検査させる。

― 電波法 第73条第1項

定期検査は総合通信局の職員が実施するか、後述する登録検査等事業者に委託して行われます。

定期検査の対象局と免除条件

定期検査の対象となる無線局

全ての無線局が定期検査の対象になるわけではありません。主な対象は以下の無線局です。

対象となる無線局
放送局 テレビ局、ラジオ局
大規模な固定局 中継局、基幹回線用固定局
海岸局・航空局 船舶通信の海岸局、航空管制通信局
船舶局(一定規模以上) 大型船舶の無線局
航空機局(一定規模以上) 航空機の無線局
人命安全に関わる無線局 GMDSS対応局等

定期検査が免除される無線局

以下の無線局は、原則として定期検査が免除されています。

免除される無線局 理由
アマチュア無線局 小規模な個人局のため
簡易無線局(登録局含む) 技適マーク付き機器のため
特定小電力無線局 免許不要局のため
小規模な陸上移動局 出力が小さいため
技適マーク付きの基地局等(一部) 適合表示無線設備のため

アマチュア無線局は定期検査の対象外ですが、電波法に基づく臨時検査(後述)の対象にはなり得ます。

検査の内容

定期検査では、以下の3つの観点から検査が行われます。

1. 書類検査

検査項目 確認内容
免許状 有効期限、記載事項の正確性
無線局業務日誌 適正に記録されているか
無線従事者の配置 必要な資格者が配置されているか
変更届出の状況 設備変更等の届出が適正に行われているか

2. 無線設備の検査

検査項目 確認内容
周波数 規定の周波数で動作しているか
空中線電力 免許状に記載された出力の範囲内か
スプリアス発射 不要な電波が基準内か
受信感度 受信性能が基準を満たしているか
付帯設備 電源設備、空中線(アンテナ)等の状態

3. 運用状況の検査

検査項目 確認内容
通信方法 免許された通信方法で運用しているか
秘密の保護 通信の秘密が適切に保護されているか
混信防止 他の無線局への干渉がないか

検査の周期

定期検査の周期は、無線局の種類によって異なります。

無線局の種類 検査周期
放送局 5年
海岸局 5年
航空局 5年
船舶局(旅客船等) 1年
船舶局(貨物船等) 3年
航空機局 2年
その他の無線局 5年(原則)

検査の時期が近づくと、総合通信局から事前に通知があります。

臨時検査

定期検査とは別に、総務大臣は必要に応じて臨時検査を行うことができます。

総務大臣は、必要があると認めるときは、その職員を無線局に派遣し、その無線設備等を検査させることができる。

― 電波法 第73条第5項

臨時検査は以下のような場合に実施されます。

実施される場合
電波法違反の疑い 不法電波の発射が検知された場合
混信の申告 他の無線局から混信の申告があった場合
重大な事故 無線局に関連する事故が発生した場合

臨時検査は事前通知なしで実施される場合があり、アマチュア無線局も対象になり得ます。

検査を受けないとどうなるか

罰則

定期検査を正当な理由なく拒否・妨害・忌避した場合、電波法に基づく罰則が科されます。

違反行為 罰則
検査の拒否・妨害・忌避 6月以下の懲役または30万円以下の罰金(電波法第110条)

行政処分

検査の結果、技術基準に適合していないことが判明した場合、以下の行政処分が行われる可能性があります。

処分 内容
改善命令 技術基準に適合するよう設備の改善を命じられる
運用停止命令 適合するまで無線局の運用を停止される
免許の取消し 重大な違反の場合は免許が取り消される

登録検査等事業者による自主検査

登録検査等事業者制度とは

登録検査等事業者とは、総務大臣の登録を受け、無線局の点検を行うことができる事業者です。免許人は、登録検査等事業者に点検を委託し、その結果を総合通信局に提出することで、定期検査の一部または全部を省略できます。

登録検査等事業者が無線設備等の検査又は点検を行い、その結果が技術基準に適合していることを証する書類を提出した場合には、(中略)当該検査の全部又は一部を省略することができる。

― 電波法 第73条第3項(要旨)

自主検査のメリット

メリット 内容
スケジュール調整の柔軟性 総合通信局の検査日程に縛られない
検査時間の短縮 事前の点検で問題を早期発見・修正できる
定期検査の省略 点検結果の提出で定期検査が省略される

登録検査等事業者の例

大手の無線機メーカーや通信事業者が登録検査等事業者として登録しています。免許人は、自局の無線設備に対応できる登録検査等事業者を選んで点検を委託します。

よくある質問

Q. アマチュア無線局は定期検査を受ける必要がある?

原則として不要です。アマチュア無線局は定期検査の対象から除外されています。ただし、電波法違反の疑いがある場合などには臨時検査の対象になることがあります。

Q. 定期検査の費用はかかる?

総合通信局が実施する定期検査には、免許人が支払う検査手数料が発生します。手数料は無線局の種類や規模によって異なります。登録検査等事業者に点検を委託する場合は、その事業者との契約に基づく委託費用がかかります。

Q. 検査で不合格になったらすぐに免許取消しになる?

すぐに免許が取り消されることは通常ありません。まず改善命令が出され、指定された期間内に無線設備を技術基準に適合するよう修理・調整する機会が与えられます。改善命令に従わない場合に、運用停止命令や免許取消しに至ります。

Q. 検査前に自分で設備をチェックしておくべき?

推奨されます。定期検査の前に自ら無線設備の状態を確認し、問題があれば修理・調整しておくことで、検査をスムーズに通過できます。登録検査等事業者に事前点検を依頼するのも有効な方法です。

まとめ

定期検査は、無線局の技術基準への適合性と適正な運用を確認するための重要な制度です。

  • 定期検査の対象: 放送局、海岸局、航空局、船舶局など大規模・重要な無線局
  • アマチュア無線局・簡易無線局などは定期検査が免除されている
  • 検査内容は書類・無線設備・運用状況の3つの観点
  • 検査の拒否は6月以下の懲役または30万円以下の罰金
  • 登録検査等事業者に点検を委託すれば定期検査を省略できる
  • 臨時検査は事前通知なしで実施される場合がある

無線局免許の申請方法は「無線局免許の申請方法|種類と手続きの流れ」、総合通信局の役割は「総合通信局とは?管轄と役割を解説」をご覧ください。

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