目次
この記事でわかること
2025年12月の審査要領改正により、ドローンの民間資格(DPA、JUIDA、DJI CAMPなど)を保有していても、飛行許可申請時の書類省略ができなくなりました。これまで民間資格に頼って申請を行っていた方には大きな影響があります。
この記事では、廃止された優遇措置の具体的な内容、影響を受ける人の範囲、今後どのように対応すべきか、そして国家資格の取得方法までまとめて解説します。
廃止された優遇措置の内容
民間資格による書類省略とは
2022年12月の国家資格制度開始前から、国土交通省航空局のHPに掲載された民間の講習団体(ドローンスクール)が発行する技能認証を保有していれば、飛行許可申請時に操縦者の技能に関する資料の一部を省略できる仕組みがありました。
具体的には、以下の資料が省略可能でした。
- 操縦者の飛行経歴(10時間以上の飛行実績を証明する書類)
- 操縦者の知識・能力を示す資料(学科・実技の習得状況)
- 追加基準への適合を示す資料(目視外飛行・夜間飛行等の訓練実績)
改正で何が変わったか
| 項目 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 民間資格による書類省略 | 可能(HP掲載団体の技能認証) | 廃止 |
| 国家資格による書類省略 | 可能 | 可能(従来どおり) |
| HP掲載機体による資料省略 | 可能 | 廃止(型式認証・機体認証のみ) |
| 民間団体の飛行マニュアル使用 | 可能 | 廃止(標準マニュアルのみ) |
無人航空機操縦者技能証明を受けた者が、その技能証明に係る無人航空機を飛行させる場合は、操縦者に関する飛行経歴等の資料の提出を省略することができる。
― 無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(2025年12月改正後)
改正の全容は「審査要領改正(2025年12月)|民間資格の申請簡略化が廃止」で詳しく解説しています。
廃止の背景
国家資格制度との役割の整理
2022年12月に国家資格制度が開始され、操縦者の技能を国が統一的に証明する仕組みが整いました。国家資格制度と民間資格の優遇が並存している状態は制度として複雑であり、国土交通省は国家資格への一本化を進める方針を示していました。
民間資格の質のばらつき
民間のドローンスクールは多数存在し、講習の内容や水準にばらつきがありました。民間資格の質を国が個別に保証し続けることの限界も、廃止に至った理由の一つです。
国際的な動向
欧州(EASA)や米国(FAA)でもドローン操縦者の国家的な資格・登録制度が整備されています。国際的な整合性の観点からも、国家資格を中心とした制度への移行は合理的な流れです。
影響を受ける人
直接的に影響を受けるケース
- 民間資格のみで飛行許可を申請していた個人・事業者: 書類省略ができなくなるため、申請に必要な資料が増える
- HP掲載機体の資料省略を利用していた申請者: 型式認証・機体認証を受けていない機体では資料省略ができない
- 民間団体の飛行マニュアルを使用していた事業者: 標準マニュアルへの切り替えが必要
影響を受けないケース
- すでに国家資格を取得済みの人: 従来どおり書類省略が可能
- 包括申請で有効期間中の許可を持っている人: 既存の許可は有効期間内は引き続き有効
- 趣味で飛行許可が不要な飛行のみ行っている人: そもそも飛行許可が不要であれば影響なし
今後の対応策
最優先:国家資格の取得
今後、飛行許可申請を円滑に進めるためには国家資格(無人航空機操縦者技能証明)の取得が最も効果的です。
| 資格 | 主な用途 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 二等無人航空機操縦士 | 一般的な業務利用、レベル3.5飛行 | 15万〜35万円 |
| 一等無人航空機操縦士 | レベル4飛行(有人地帯での目視外飛行) | 25万〜50万円 |
多くの業務利用では二等資格で十分です。一等資格は、将来的にレベル4飛行を行う予定がある場合に検討してください。
国家資格の詳細は「ドローン国家資格の種類と取得方法|一等・二等の違い」をご覧ください。
国家資格の取得ルート
国家資格の取得方法は2つのルートがあります。
- 登録講習機関(ドローンスクール)ルート: 登録講習機関で学科・実地の講習を受講し、修了審査に合格。その後、指定試験機関で学科試験と身体検査を受けて合格すれば資格取得
- 直接受験ルート: 登録講習機関に通わず、指定試験機関で学科試験・実地試験・身体検査のすべてを直接受験
民間資格を保有している方は、すでにドローンの操縦経験と知識があるため、登録講習機関での経験者コース(短期間・低費用)を利用できる場合があります。
飛行許可申請の見直し
国家資格を取得するまでの間は、飛行許可申請時にすべての必要書類を自分で用意する必要があります。
- 飛行経歴の記録: 10時間以上の飛行実績を証明する書類を整備
- 飛行マニュアルの見直し: 標準マニュアルの使用、またはリスク評価ガイドラインに基づくマニュアルの作成
- 機体の性能資料: HP掲載による省略ができないため、メーカーの仕様書等を自分で準備
飛行許可の申請方法は「ドローン飛行許可の申請方法|DIPS2.0での手順を解説」で解説しています。
民間資格は無駄になったのか
民間資格自体が無効になったわけではありません。 廃止されたのはあくまで飛行許可申請における行政手続き上の優遇措置です。
民間資格は以下の場面で引き続き活用できます。
- 操縦技能の証明: 取引先や発注元への技能アピール
- 国家資格取得の準備: 操縦経験があれば国家資格の取得がスムーズ
- 保険の割引: 一部の保険会社で資格保有者への割引あり
- 自治体への申請: 地方自治体が独自に資格を考慮する場合あり
ただし、行政手続きの面では国家資格のみが優遇対象であることは明確になりました。
よくある質問
Q. 民間資格は今すぐ返納すべき?
返納する必要はありません。 民間資格自体は引き続き有効であり、操縦技能の証明として活用できます。ただし、飛行許可申請の書類省略には使えなくなりました。
Q. 民間資格があれば国家試験で優遇される?
直接的な優遇はありませんが、民間資格を持っている方は登録講習機関の経験者コースを受講できる場合があり、講習期間が短く費用も抑えられます。経験者コースの有無は各登録講習機関に確認してください。
Q. すでに取得済みの飛行許可はどうなる?
有効期間内の飛行許可は引き続き有効です。次回の更新時から新しい基準が適用されます。包括申請の更新については「ドローン包括申請の更新方法|期限切れを防ぐ手順」をご覧ください。
Q. 国家資格を取る時間がない場合は?
国家資格がなくても飛行許可の申請は可能です。ただし、すべての書類を自分で用意する必要があります。専門の行政書士に申請代行を依頼する方法もあります。代行の費用感は「ドローン申請代行の費用相場|行政書士の選び方」を参考にしてください。
まとめ
- 2025年12月の審査要領改正で、民間資格(DPA・JUIDAなど)による飛行許可申請の書類省略が廃止された
- 今後の飛行許可申請では、国家資格(無人航空機操縦者技能証明)のみが書類省略の対象
- 民間資格自体は無効にならないが、行政手続き上のメリットはなくなった
- 業務でドローンを飛ばす方は国家資格(まずは二等)の早期取得を推奨
- 国家資格の詳細は「ドローン国家資格の種類と取得方法|一等・二等の違い」を参照
- 飛行許可の申請手順は「ドローン飛行許可の申請方法|DIPS2.0での手順を解説」を参照