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この記事でわかること
スマートフォンや業務用タブレット、IoTデバイスが日常的に使うLTE通信。しかし「LTEは電波法上どう扱われるのか」「なぜ個人が免許を取らずに使えるのか」という点は、意外と理解されていません。
この記事では、LTEの基本概念・電波法上の位置づけ・利用する周波数帯、そして利用者側に免許が不要な理由を解説します。IoT向けのLTE-MやNB-IoTとの関係も整理します。
LTEとは
LTE(Long Term Evolution)は、第4世代移動通信システム(4G)の主流技術として普及したモバイルブロードバンド通信規格です。NTTドコモ、au(KDDI)、ソフトバンクなどの携帯電話事業者が全国規模のネットワークを構築しています。
LTEの特徴は以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 通信速度 | 下り最大数十〜数百Mbps(環境による) |
| 接続方式 | 基地局経由の無線通信 |
| 端末 | スマートフォン、タブレット、IoTモジュールなど |
| 後継技術 | 5G(第5世代移動通信システム) |
現在は5Gが展開されていますが、LTEネットワークは引き続き広く利用されており、LTEを基盤としたLTE-M(LTE-Machine Type Communication)やNB-IoT(Narrowband IoT)はIoT用途で重要な役割を担っています。
電波法上のLTEの位置づけ
LTEは電波法上、移動通信システムの無線局として扱われます。
何人も、総務大臣の免許を受けなければ、無線局を開設してはならない。
― 電波法 第4条
LTEの基地局は「無線局」に該当するため、電波法第4条の規定により、携帯電話事業者は総務大臣の免許を取得しています。一方で、端末側(スマートフォン等)は別の仕組みで扱われます。
基地局は事業者が免許を保有
携帯電話事業者(MNO: Mobile Network Operator)は、LTE基地局を開設するために無線局免許を取得しています。基地局の設置・運用は電波法に基づき総合通信局への申請・審査を経て行われます。
端末は技術基準適合証明で対応
スマートフォンやタブレットなどの端末は、電波法第38条の2の規定に基づく工事設計認証(いわゆる技適)を取得した機器のみ使用が認められています。
特定無線設備の製造業者又は輸入業者は、(中略)その工事設計について総務大臣の登録を受けた者(以下「登録証明機関」という。)の証明を受けることができる。
― 電波法 第38条の2(趣旨)
技適マーク(技術基準適合証明・工事設計認証のマーク)が付いた端末は、技術基準に適合していることが確認されているため、利用者は別途免許を申請する必要がありません。
利用者が免許不要な理由
以上をまとめると、LTE利用者が個別に電波免許を取得しなくてよい理由は次の2点です。
- 基地局の免許は携帯電話事業者が保有しているため、利用者が別途免許を取る必要がない
- 端末は技適取得済みの機器を使用することが前提であり、個別の開局手続きは不要
ただし、技適未取得の端末(海外製の一部の端末など)を日本国内でLTE通信に使用することは、電波法違反になる可能性があります。技適については「技術基準適合証明(技適)とは?マークの意味と確認方法」をご覧ください。
LTEが利用する周波数帯
LTEに割り当てられている周波数帯は複数あります。総務省の周波数割り当て計画に基づき、各携帯電話事業者は使用する周波数帯について免許を受けています。
主なLTE周波数帯の例
| バンド | 周波数帯 | 主な用途 |
|---|---|---|
| Band 1 | 2.1GHz帯 | 都市部・屋内カバー |
| Band 3 | 1.8GHz帯 | 都市部・容量増強 |
| Band 18/26 | 850MHz帯 | 郊外・山間部の広域カバー |
| Band 19 | 850MHz帯 | 地方・屋内への浸透 |
| Band 28 | 700MHz帯 | 広域カバー・農村部 |
| Band 42 | 3.5GHz帯 | 都市部の容量増強 |
低い周波数帯(700MHz〜900MHz)ほど電波が遠くまで届き、建物内にも浸透しやすい特性があります。高い周波数帯は多くのデータを一度に送れますが、届く距離が短くなります。
各携帯電話事業者がどの周波数帯を使用できるかは、電波オークションや割当手続きを通じて総務省が決定します。周波数割当の仕組みについては「電波の周波数割当とは?免許との関係を解説」をご覧ください。
IoT用途のLTE技術
LTEを基盤としたIoT向け通信技術として、LTE-MとNB-IoTがあります。いずれも省電力・広域カバーを特徴とし、センサーやメーターなどのIoTデバイスに適しています。
LTE-M(LTE-MTC / eMTC)
LTE-MはLTEネットワーク上で動作するIoT向け通信規格です。LTEの電波を使用するため、携帯電話事業者のLTEネットワークがそのまま利用できます。利用者が個別に電波免許を取得する必要はなく、対応SIMと対応モジュールを使えば接続できます。
NB-IoT(Narrowband IoT)
NB-IoTも同様にLTE周波数帯を利用するIoT規格です。より低速・省電力で、深地下や建物深部への電波到達に優れた特性があります。LTE-MとNB-IoTの違いについては「LTE-MとNB-IoTの違い|IoT通信の選び方」で詳しく解説しています。
まとめ
LTEは電波法上、移動通信システムの無線局として扱われます。
- 基地局: 携帯電話事業者が総務大臣の免許を取得して運用
- 端末: 技適取得済みの機器を使用すれば、利用者は個別免許不要
- 周波数帯: 700MHz〜3.5GHz帯など複数の帯域を利用(総務省の割当による)
- IoT向け: LTE-M・NB-IoTはLTEネットワーク上で動作し、免許不要で利用可能
技適未取得の端末を使用することは電波法違反となる可能性があるため、端末を選ぶ際は技適マークの有無を必ず確認してください。電波法の基本的な考え方については「電波法とは?無線局の免許制度をわかりやすく解説」もあわせてご覧ください。