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LPWA通信の免許不要利用ガイド|LoRa・Sigfox

この記事でわかること

農業・スマートシティ・物流などのIoTシステムで注目されているLPWA(Low Power Wide Area)通信。LoRaやSigfoxをはじめとするLPWA技術の多くは免許不要で利用できますが、「本当に申請しなくていいのか」「何か条件はあるのか」という疑問を持つ担当者は多くいます。

この記事では、LPWA技術が免許不要になる電波法上の根拠・守るべき技術基準・技適確認の方法、そして電気通信事業届出との関係を解説します。

LPWAとは

LPWA(Low Power Wide Area)は、低消費電力かつ広域通信を実現する無線通信技術の総称です。主な特徴は以下のとおりです。

特徴 内容
低消費電力 センサーが数年間バッテリーで動作することを想定
広域通信 1基地局で数km〜数十kmの通信が可能
低速通信 データ量は小さい(数バイト〜数kbps)
主な用途 農業センサー、スマートメーター、資産追跡、環境モニタリング

主なLPWA技術の比較

規格 周波数帯 運営 免許の要否 速度 通信距離
LoRa(LoRaWAN) 920MHz帯 独自ゲートウェイまたは共用網 不要(技術基準適合機器) 数kbps 数km〜15km
Sigfox 920MHz帯 Sigfoxネットワーク(KCCS等) 不要(技術基準適合機器) 約100bps 都市部数km
Wi-SUN 920MHz帯 スマートメーター向けメッシュ網 不要(技術基準適合機器) 数十〜数百kbps 数百m
LTE-M LTE帯 携帯電話事業者 不要(事業者側が保有) 約1Mbps 全国
NB-IoT LTE帯 携帯電話事業者 不要(事業者側が保有) 約250kbps 全国

LTE-MとNB-IoTについては「LTE-MとNB-IoTの違い|IoT通信の選び方」で詳しく解説しています。

免許不要になる電波法上の根拠

LoRaやSigfoxなど920MHz帯を使うLPWA機器が免許不要で利用できる根拠は、電波法に基づく特定小電力無線局の制度(または技術基準適合機器の制度)にあります。

免許を要しない無線局であって、(中略)総務省令で定める周波数を使用し、かつ、その空中線電力が総務省令で定める値以下であるものは、免許を受けることなく開設することができる。

― 電波法 第4条ただし書(趣旨・抜粋)

具体的には、電波法施行規則・無線設備規則等で定められた技術基準を満たす機器であれば、免許なしで使用できます。

920MHz帯の技術基準の主なポイント

要件 内容
空中線電力 規定の最大出力値以下であること
周波数 割り当てられた920MHz帯の範囲内
技術基準適合証明(技適) 技適を取得した機器を使用すること

※空中線電力の具体的な上限値は、総務省「無線設備規則」等でご確認ください。技術基準の詳細は法令の改正により変わる場合があります。

技適確認の方法と重要性

LPWA機器を導入する際に最も重要なのが技術基準適合証明(技適)の確認です。技適は、無線機器が電波法に定める技術基準に適合していることを、国が登録した証明機関が証明する制度です。

技術基準適合証明を受けた特定無線設備については、(中略)技術基準に適合していることが確認されたものとして取り扱うことができる。

― 電波法 第38条の6(趣旨)

技適については「技術基準適合証明(技適)とは?マークの意味と確認方法」で詳しく解説しています。

技適未取得機器を使うリスク

技適を取得していないLoRaゲートウェイやLPWAモジュールを日本国内で使用すると、電波法違反になる可能性があります。特に以下の点に注意が必要です。

  • 海外製のLoRaゲートウェイは日本の技術基準に適合していない場合がある
  • 技適未取得のモジュールを組み込んだ自作IoTデバイスは電波法違反の可能性がある
  • 試験研究等の特例はあるが、適用条件は限定的(電波法第4条第3号)

LoRaWANの構成と手続き

LoRaWANを自社で構築する場合の主な構成要素と手続きを整理します。

LoRaWANの構成

[エンドノード(センサー)] → [ゲートウェイ] → [ネットワークサーバー] → [アプリケーション]
  • エンドノード: 温度・湿度等のセンサー。技適取得済みの機器を使用
  • ゲートウェイ: 電波を受信してインターネットに中継。技適取得済みの機器を使用
  • ネットワークサーバー: LoRaWANのネットワーク制御(クラウドサービスの利用が一般的)

手続きの有無

構成要素 電波法上の手続き
エンドノード(センサー) 技適取得済み機器なら不要
ゲートウェイ 技適取得済み機器なら不要
ネットワークサーバー(自社運用) 電波法上の手続きなし(電気通信事業の届出が必要な場合あり)

Sigfoxの利用手続き

Sigfoxは、日本国内ではKDDIコミュニケーションズ(KCCS)等が提供するネットワークを利用するサービス型LPWAです。

利用者は Sigfoxネットワーク事業者とサービス契約を結ぶことで利用でき、電波免許の手続きは不要です(ネットワーク事業者側が対応)。利用するデバイスは技適取得済みのものを選ぶ必要があります。

電気通信事業届出との関係

IoTのLPWAシステムで第三者向けにデータ伝送サービスを提供する場合は、電波法の手続きとは別に、電気通信事業法に基づく届出または登録が必要になることがあります。

自社内のセンサーデータを自社で利用する場合(自己通信)は、電気通信事業に該当しないのが一般的ですが、他者の通信を媒介する場合は届出が必要です。

電気通信事業を営もうとする者は、総務大臣の登録を受けなければならない(以下略)。

― 電気通信事業法 第9条

電気通信事業の届出については「電気通信事業の届出が必要なケース|SaaS・Webサービス向け」、IoT向けの解説は「IoT通信サービスの電気通信事業届出ガイド」をご覧ください。

よくある質問

Q. 個人でLoRaゲートウェイを自宅に設置してもよい?

技適取得済みの機器であれば、免許なしで設置できます。ただし、他者の通信を媒介するサービスを行う場合は電気通信事業法上の届出が必要になる可能性があります。

Q. 農業用センサーとして海外製のLoRaモジュールを使いたい

技適未取得の機器は日本国内で使用できません。海外製モジュールを使う場合は、日本の技適を取得したモジュールを選ぶか、技適取得の手続きを行う必要があります。

Q. LoRaとSigfoxはどちらがコスパが良い?

どちらが適しているかはユースケースによります。Sigfoxは通信速度が非常に低い代わりに月額コストが低く、シンプルな定期送信に向いています。LoRaWANは自社でゲートウェイを設置することでランニングコストを抑えられ、柔軟なカスタマイズが可能です。

まとめ

LoRaやSigfoxなどのLPWA技術は、技術基準適合証明(技適)を取得した機器を使用する限り、電波免許は不要です。

  • 免許不要の根拠: 電波法第4条ただし書による技術基準適合機器の特例
  • 守るべき条件: 技適取得済みの機器のみ使用すること
  • 技適未取得機器の使用は電波法違反リスクあり: 特に海外製機器に注意
  • 電気通信事業届出: 第三者への通信サービス提供には別途届出・登録が必要な場合がある
  • LTE-M・NB-IoTとの比較: 全国カバーが必要ならLTE系、自社エリア限定なら920MHz帯LPWAが有利なことが多い

LPWA機器の選定や電気通信事業届出については、行政書士への相談も有効です。

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