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この記事でわかること
工場の自動化、病院内の高速通信、建設現場の遠隔操作。こうしたニーズに応えるのがローカル5Gです。ローカル5Gは、企業や自治体が自らの敷地内に構築できる自営型5Gネットワークであり、導入には総務大臣の免許が必要です。
この記事では、ローカル5Gの免許申請手順・必要書類・費用・審査期間、そしてアマチュア無線との共用条件までわかりやすく解説します。
ローカル5Gとは
ローカル5Gは、携帯電話事業者(MNO)が提供する5Gとは異なり、企業や自治体が自らの建物・敷地内に構築する5Gネットワークです。通信エリアを自社で管理でき、外部のネットワーク状況に左右されない安定した通信環境を実現できます。
ローカル5Gの特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 通信方式 | 5G NR(New Radio) |
| 利用主体 | 企業、自治体、大学、病院など |
| 通信エリア | 自己の土地・建物内(敷地限定) |
| 免許 | 総務大臣の免許が必要 |
| メリット | 低遅延・高速・多数同時接続・セキュリティの確保 |
利用可能な周波数帯
ローカル5Gに割り当てられている周波数帯は以下の2つです。
| 周波数帯 | 帯域幅 | 特徴 |
|---|---|---|
| 4.6〜4.9GHz帯(Sub6) | 300MHz | 比較的広いエリアをカバー可能。屋内・屋外で利用可 |
| 28.2〜29.1GHz帯(ミリ波) | 900MHz | 超高速通信が可能。主に屋内利用向け |
Sub6帯(4.6〜4.9GHz)は建物の壁を透過しやすく、比較的広い範囲をカバーできます。一方、ミリ波帯(28.2〜29.1GHz)は直進性が高く障害物に弱いですが、大容量・超低遅延の通信が可能です。
免許申請の手順
ローカル5Gの免許を取得するには、管轄の総合通信局に申請します。
申請の流れ
- 事前検討: 利用目的、設置場所、周波数帯の選定
- 干渉調整: 既存の無線局(アマチュア無線局含む)との干渉調整
- 申請書類の作成: 無線局免許申請書・無線局事項書・工事設計書等の作成
- 総合通信局へ申請: 管轄の総合通信局に申請書を提出
- 審査: 書類審査・技術基準適合の確認
- 予備免許: 審査通過後、予備免許が交付される
- 落成検査: 設備の設置完了後、落成検査を受ける
- 本免許: 検査合格後、本免許が交付される
必要書類
| 書類 | 内容 |
|---|---|
| 無線局免許申請書 | 申請者の情報、無線局の種別等 |
| 無線局事項書 | 無線局の運用条件、通信の相手方等 |
| 工事設計書 | 無線設備の技術的条件(送信出力、アンテナ等) |
| 干渉調整結果の書類 | 既存無線局との干渉調整の結果 |
| 設置場所の図面 | 基地局の設置場所を示す図面 |
| 土地・建物の利用権限を示す書類 | 自己の土地・建物であることの証明 |
費用と審査期間
費用の目安
| 費用項目 | 金額の目安 |
|---|---|
| 免許申請手数料(収入印紙) | 約6,550円〜(局数による) |
| 電波利用料(年額) | 周波数帯・帯域幅により異なる |
| 落成検査手数料 | 約17,000円〜 |
免許申請にかかる行政手数料は比較的低額ですが、機器導入費用や工事費用は別途かかります。導入コストの全体像は「ローカル5Gの導入費用|免許申請から運用までの総コスト」をご覧ください。
審査期間の目安
| 手続き | 期間の目安 |
|---|---|
| 書類審査(予備免許まで) | 約1〜3か月 |
| 落成検査(予備免許〜本免許) | 約1〜2か月 |
| 合計 | 約2〜5か月 |
干渉調整に時間がかかる場合は、さらに期間が延びることがあります。
アマチュア無線との共用条件
ローカル5Gの4.6〜4.9GHz帯は、アマチュア無線が利用する周波数帯と一部重複しています。このため、以下の共用条件が定められています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 干渉調整の義務 | ローカル5G事業者は、既存のアマチュア無線局との干渉調整が必要 |
| 二次業務 | アマチュア無線は一次業務ではないため、ローカル5Gに対して有害な干渉を与えてはならない |
| 離隔距離 | 干渉を防ぐための離隔距離や出力制限が設定される場合がある |
ローカル5Gとアマチュア無線の共用問題の詳細は「ローカル5Gとアマチュア無線の共用問題を解説」をご覧ください。
よくある質問
Q. ローカル5Gは誰でも免許を取得できる?
一定の条件を満たせば、企業・自治体・個人事業主でも取得可能です。ただし、自己の土地・建物内での利用が原則であり、他者の土地にまたがる場合は追加の条件があります。
Q. 携帯電話事業者の5Gとの違いは?
ローカル5Gは自営型のネットワークです。携帯電話事業者(MNO)の5Gは広域をカバーする公衆網ですが、ローカル5Gは特定のエリア内で利用者が独自に構築・運用します。通信の品質やセキュリティを自社で管理できる点が大きな違いです。
Q. 屋外でもローカル5Gは使える?
Sub6帯(4.6〜4.9GHz)は屋外でも利用可能です。ミリ波帯(28.2〜29.1GHz)は主に屋内利用が想定されていますが、条件によっては屋外でも利用できます。
Q. 無線従事者の資格は必要?
第三級陸上特殊無線技士以上の資格が必要です。無線従事者資格については「無線従事者の種類と資格一覧|取得方法を解説」をご覧ください。
まとめ
ローカル5Gは、自社の敷地内に構築できる自営型5Gネットワークであり、導入には総務大臣の免許が必要です。
- 周波数帯: 4.6〜4.9GHz帯(Sub6)と28.2〜29.1GHz帯(ミリ波)の2種類
- 申請先: 管轄の総合通信局
- 審査期間: 約2〜5か月(干渉調整の状況による)
- 必要資格: 第三級陸上特殊無線技士以上
- 共用条件: 4.6〜4.9GHz帯はアマチュア無線との干渉調整が必要
導入費用の全体像は「ローカル5Gの導入費用|免許申請から運用までの総コスト」、導入事例は「ローカル5Gの導入事例10選|製造業・医療・教育」をご覧ください。無線局免許の基本は「無線局免許の申請方法|種類と手続きの流れ」をご覧ください。