目次
この記事でわかること
ドローンの包括申請(飛行許可・承認)には1年間の有効期限があります。期限が切れると許可は失効し、そのまま飛行させれば航空法違反になります。
この記事では、包括申請の更新手続きの手順(DIPS2.0での操作)、更新と新規申請の違い、更新を忘れた場合の対処法、有効期限の管理方法までまとめて解説します。
包括申請の有効期限
包括申請で取得する飛行許可・承認の有効期間は原則1年間です。
許可等の期間は、三月を超えない範囲とする。ただし、(中略)継続的に無人航空機を飛行させることが必要と認められる場合には、一年を限度として許可等を行うことができる。
― 無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領 4-1-1
包括申請は「継続的に飛行させる必要がある」と認められるケースに該当するため、最長1年間の許可が下ります。この期間が過ぎると許可は自動的に失効し、改めて手続きが必要です。
有効期限の確認方法
現在の許可の有効期限は、DIPS2.0の「申請状況確認」画面で確認できます。許可書にも有効期間が記載されています。期限の3ヶ月前から更新申請が可能ですので、早めに確認しておきましょう。
更新と新規申請の違い
包括申請の更新には「更新申請」と「新規申請をやり直す」の2つの方法があります。DIPS2.0では更新申請機能が用意されており、以前の申請内容を引き継いで効率的に手続きできます。
| 比較項目 | 更新申請 | 新規申請 |
|---|---|---|
| DIPS2.0の操作 | 「更新」ボタンから手続き | 「新規申請」から手続き |
| 申請内容 | 前回の内容が自動で引き継がれる | すべて最初から入力 |
| 許可番号 | 新しい番号が付与される | 新しい番号が付与される |
| 審査期間 | 原則10開庁日 | 原則10開庁日 |
| 飛行実績の要否 | 前回の飛行実績報告が推奨される | 不要 |
| 手数料 | 無料 | 無料 |
実質的な違いは「入力の手間」です。更新申請では前回の申請データ(機体情報、操縦者情報、飛行方法、飛行マニュアルなど)が自動で引き継がれるため、変更がなければ数分で申請を完了できます。
包括申請の基本については「ドローン包括申請とは?個別申請との違いと申請手順」で詳しく解説しています。
更新に必要なもの
更新申請に必要なものは以下の3つです。
- DIPS2.0のアカウント(前回申請時のもの)
- 前回の許可・承認番号(DIPS2.0の申請状況確認画面で確認可能)
- 飛行実績の記録(飛行日誌の整理が推奨される)
新たに書類を作成する必要は基本的にありません。ただし、前回の申請から機体の変更・追加や操縦者の変更がある場合は、更新時にその内容を反映させる必要があります。
更新の手順(DIPS2.0)
DIPS2.0での更新申請は、以下の5ステップで完了します。
Step 1: DIPS2.0にログイン
DIPS2.0(https://www.dips-reg.mlit.go.jp/)にアクセスし、申請時に使用したアカウントでログインします。
Step 2: 「更新申請」を選択
ログイン後、「飛行許可・承認の申請」メニューから「申請状況確認」画面に進みます。更新したい許可の横にある「更新」ボタンを押してください。
更新ボタンは有効期限の3ヶ月前から表示されます。それより前の時期には表示されませんので注意してください。
Step 3: 申請内容の確認・修正
前回の申請内容が自動で読み込まれます。以下の項目を確認してください。
- 飛行の目的: 変更がないか
- 飛行範囲: 全国か特定の地域か
- 飛行方法: DID上空、夜間飛行、目視外飛行等
- 機体情報: 使用する機体の追加・変更がないか
- 操縦者情報: 操縦者の追加・削除がないか
- 飛行マニュアル: 標準マニュアルか独自マニュアルか
- 保険情報: 賠償責任保険の更新状況
変更がなければそのまま次に進みます。変更がある場合は、該当箇所を修正してから申請してください。
Step 4: 申請内容を確定・送信
内容を確認したら「申請」ボタンを押して送信します。送信が完了すると、DIPS2.0に登録されたメールアドレスに受付確認メールが届きます。
Step 5: 審査結果を確認
審査期間は原則10開庁日です。審査が完了すると、「許可・承認のお知らせ」メールが届きます。DIPS2.0にログインし、新しい許可書をダウンロードしてください。
新しい許可の有効期間は、前回の許可期間の満了日の翌日から1年間です。たとえば、前回の許可が2026年6月30日までの場合、更新後の許可は2026年7月1日〜2027年6月30日となります。
更新のタイミング
更新申請は以下のスケジュールで進めるのが理想です。
| 時期 | やるべきこと |
|---|---|
| 有効期限の3ヶ月前 | DIPS2.0で更新ボタンが表示される。早めに内容を確認 |
| 有効期限の1〜2ヶ月前 | 更新申請を送信。審査期間(10開庁日)を考慮 |
| 有効期限の2週間前 | 審査完了の目安。許可書をダウンロード |
| 有効期限当日 | 旧許可が失効。新許可に切り替え |
審査に10開庁日かかることを考慮し、遅くとも有効期限の1ヶ月前には申請することを推奨します。繁忙期(年度末の3月など)は審査に通常より時間がかかる場合があります。
2025年3月24日のDIPS2.0改修と更新への影響
2025年3月24日にDIPS2.0が大幅に改修され、包括申請の更新手続きにも重要な変更がありました。
改修前の許可は変更・更新不可
2025年3月24日より前に取得した包括申請は、変更申請・更新申請ができなくなりました。該当する許可をお持ちの方は、有効期限が切れるタイミングで新規申請として一から手続きを行う必要があります。
ただし、許可そのものは有効期限まで引き続き有効です。飛行に支障はありませんが、機体の追加や操縦者の追加が必要な場合は、新規申請を行うことで対応してください。
操縦者情報の更新が必要
DIPS2.0の改修後、すべてのユーザーに「操縦者情報の登録・変更画面」からの操縦者情報の更新が求められるようになりました。更新申請を行う前に、DIPS2.0で操縦者情報が最新の状態になっているか確認してください。
具体的には、これまで申請のたびに入力していた「操縦者の基本基準・追加基準への適合性」の情報を、「操縦者情報の更新」画面から一括で登録する方式に変更されています。
申請書類の一部省略が可能に
改修後は、申請時の操縦者の技能や機体情報に関する資料(画像やマニュアル等)の添付が一部省略可能になりました。これにより、更新申請の手間がやや軽減されています。
更新と新規申請の使い分け判断フロー
包括申請の期限が近づいたとき、更新申請と新規申請のどちらを行うべきかの判断基準をまとめます。
更新申請を選ぶべきケース
- 2025年3月24日以降に取得した許可で、飛行内容に大きな変更がない場合
- 機体や操縦者の追加・変更がない、または軽微な修正のみの場合
- 前回と同じ飛行方法・飛行範囲で引き続き飛行する場合
新規申請を選ぶべきケース
- 2025年3月24日より前に取得した許可の場合(更新不可のため)
- 飛行方法を大幅に変更する場合(例: 夜間飛行を追加したい)
- 使用機体を全面的に入れ替える場合
- 有効期限が切れてしまった場合(更新不可のため)
- 包括申請から個別申請に切り替える場合、またはその逆
判断フロー
- 現在の許可は2025年3月24日以降に取得したものか? → No の場合は新規申請
- 有効期限がまだ残っているか? → No の場合は新規申請
- 飛行内容に大幅な変更があるか? → Yes の場合は新規申請を推奨
- 上記すべてクリアなら → 更新申請
更新時に見直すべきポイント
更新申請は前回の内容が引き継がれるため、つい変更を忘れがちな項目があります。更新時に以下のポイントを確認しましょう。
機体情報の確認
- 新しい機体を購入していないか: 追加が必要な場合は更新時に反映
- 機体のファームウェアアップデートにより性能が変わっていないか
- 機体を売却・廃棄していないか: 不要な機体は削除
- 機体登録の有効期限が切れていないか: 機体登録が失効していると飛行許可は意味がなくなります。機体登録の更新は「ドローン機体登録の更新方法|手順・費用・注意点を解説」をご覧ください
操縦者情報の確認
- 新しい操縦者を追加する必要はないか
- 退職した操縦者を削除する必要はないか
- 国家資格を取得した操縦者がいないか: 技能証明番号を更新
- 住所や氏名の変更がないか
保険情報の確認
- 賠償責任保険の有効期限が切れていないか
- 保険の補償額は十分か: 業務拡大に伴い補償額の見直しが必要な場合もあります
- ドローン保険の選び方は「ドローン保険の種類と選び方|賠償責任保険と機体保険」をご覧ください
飛行マニュアルの確認
- 標準マニュアルが最新版かどうか: 国土交通省が改訂した場合、最新版に対応が必要
- 独自マニュアルの場合、業務内容に合っているか: 業務内容が変わった場合は見直し
更新を忘れた場合の対処
有効期限を過ぎてしまった場合、以下の対応が必要です。
許可が失効した状態での飛行は違法
包括申請の許可が失効した状態でドローンを飛行させると、航空法第157条の11により50万円以下の罰金の対象になります。有効期限が切れたことに気づいたら、直ちに飛行を中止してください。
新規申請をやり直す
有効期限を過ぎると更新申請は利用できなくなります。この場合は、DIPS2.0で新規申請として一から手続きを行う必要があります。前回の申請データを参考にできますが、更新申請のように自動で内容が引き継がれるわけではありません。
審査期間中は飛行できない
新規申請の審査期間(原則10開庁日)中は飛行できません。業務に支障が出る可能性があるため、期限切れは絶対に避けるようにしましょう。
有効期限の管理方法
更新忘れを防ぐための管理方法を3つ紹介します。
カレンダーアラートの設定
許可取得時に、有効期限の2ヶ月前・1ヶ月前・2週間前にリマインダーを設定しておきましょう。GoogleカレンダーやOutlookの繰り返しアラート機能が便利です。
飛行日誌と連動して管理
2022年12月の制度改正により、飛行日誌の作成が義務化されています。飛行日誌に許可の有効期限を記録し、定期的な飛行記録の際に期限を確認する習慣をつけましょう。
行政書士に期限管理を依頼
申請代行を行政書士に依頼している場合、更新時期の通知や更新手続きもまとめて対応してもらえることがあります。「ドローン飛行許可の申請代行|費用相場と依頼の流れ」も参考にしてください。
よくある質問
Q. 包括申請の更新と機体登録の更新は別の手続き?
はい、まったく別の手続きです。包括申請の更新は飛行許可・承認の有効期間延長(1年ごと)であり、機体登録の更新は機体の所有者管理(3年ごと)です。それぞれの期限を別々に管理してください。機体登録の更新については「ドローン機体登録の更新方法|手順・費用・注意点を解説」で解説しています。
Q. 更新時に機体や操縦者を追加できる?
はい、更新申請の際に機体や操縦者を追加・変更できます。更新申請の内容確認画面で、機体情報や操縦者情報を修正してから申請してください。なお、有効期間中に機体を追加したい場合は「変更申請」で対応することも可能です。
Q. 更新に費用はかかる?
いいえ、飛行許可の更新申請に手数料はかかりません。DIPS2.0での手続きは無料です。行政書士に更新代行を依頼する場合は、別途報酬(2万〜5万円程度)がかかります。
Q. 前回の許可と飛行内容を大幅に変更したい場合は?
飛行方法や飛行範囲を大幅に変更する場合は、更新申請ではなく新規申請を行うほうが適切な場合があります。たとえば、DID上空飛行のみの許可から目視外飛行や物件投下を追加する場合は、新規申請で対応します。
Q. 更新申請が却下されることはある?
通常はほとんどありません。更新申請で前回と同じ内容を申請する場合、前回の審査を通過した内容がそのまま引き継がれるため、却下されるケースは稀です。ただし、機体の登録が失効している場合や、操縦者情報に不備がある場合は補正指示が出される可能性があります。更新前にDIPS2.0の登録情報を最新にしておきましょう。
Q. 有効期限が近いが審査が間に合うか不安な場合は?
審査には原則10開庁日かかります。有効期限まで10開庁日を切っている場合は、更新申請ではなく新規申請を行うことを推奨します。新規申請であれば、前回の許可が切れた翌日から新しい許可の開始日を設定することで、空白期間を最小限にできます。ただし、審査中は飛行できないため、遅くとも1ヶ月前には手続きを開始してください。
Q. 更新手続きを行政書士に代行してもらう場合の費用は?
包括申請の更新代行の費用相場は2万〜5万円程度です。新規申請の代行より安価な事務所が多く、前回から依頼している事務所であれば更新の作業がスムーズに進みます。代行費用の詳細は「ドローン飛行許可の申請代行|費用相場と依頼の流れ」をご覧ください。
Q. 更新と同時に飛行方法を追加できる?
はい、更新申請の際に飛行方法を追加できます。たとえば、前回はDID上空飛行と目視外飛行のみだった許可に、夜間飛行を追加して更新するといったことが可能です。ただし、追加する飛行方法に応じた安全対策の記載が必要になるため、飛行マニュアルの修正が求められる場合があります。
年間スケジュールで考える更新管理
包括申請の更新を確実に行うための年間スケジュールの考え方を紹介します。
モデルケース: 4月1日開始の包括申請
| 時期 | やるべきこと |
|---|---|
| 翌年1月 | 更新ボタンが表示される時期(有効期限の3ヶ月前) |
| 翌年1月〜2月 | 機体情報・操縦者情報の確認、変更があれば反映 |
| 翌年2月中旬 | 更新申請を提出(審査期間を考慮して余裕をもって) |
| 翌年3月上旬 | 審査完了・新しい許可書のダウンロード |
| 翌年3月31日 | 旧許可の有効期限 |
| 翌年4月1日 | 新しい許可の開始 |
繁忙期(3月・4月)の注意点
年度末・年度始めは航空局の審査が混み合い、通常より審査に時間がかかる場合があります。3月末が有効期限の方は、遅くとも2月中旬には更新申請を提出しておくことを推奨します。
機体登録の更新との調整
機体登録の有効期間は3年、包括申請の有効期間は1年です。この2つの更新時期が重なる年がありますので、機体登録の更新を先に済ませてから包括申請の更新を行うようにしてください。機体登録手続き中は飛行許可申請ができないため、順番を間違えると手続きが滞ります。機体登録の更新については「ドローン機体登録の更新方法|手順・費用・注意点を解説」をご覧ください。
更新忘れを防ぐためのチェックリスト
以下のチェックリストを活用して、更新漏れを防ぎましょう。
更新前チェックリスト
- DIPS2.0に登録しているメールアドレスは最新か
- 機体登録は有効期間内か(失効していないか)
- 賠償責任保険は更新されているか
- 操縦者情報は最新か(退職者の削除、新規追加者の登録)
- 機体情報は最新か(新規機体の追加、廃棄機体の削除)
- 飛行マニュアルの内容は業務に適合しているか
- 前回の許可は2025年3月24日以降に取得したものか(それ以前なら新規申請が必要)
更新後チェックリスト
- 新しい許可書をダウンロードしたか
- 新しい許可書の有効期間は正しいか
- 次回の更新時期をカレンダーに登録したか
- 飛行時に携行する許可書を差し替えたか(スマートフォン内のデータも更新)
まとめ
ドローン包括申請の更新は、DIPS2.0から5ステップで完了します。
- 包括申請の有効期間は原則1年間
- 更新申請は有効期限の3ヶ月前から可能
- 更新申請では前回の申請内容が自動で引き継がれるため入力の手間が少ない
- 審査期間は原則10開庁日。遅くとも1ヶ月前には申請を
- 更新手数料は無料
- 期限切れ後は新規申請が必要。飛行も不可
- 2025年3月24日より前に取得した許可は更新不可(新規申請が必要)
- 更新時には機体情報・操縦者情報・保険情報を見直す
- 機体登録の更新と飛行許可の更新は別手続き。更新時期が重なる年に注意
- 更新忘れを防ぐにはチェックリストとカレンダーアラートを活用
飛行許可の申請方法について詳しく知りたい方は「ドローン飛行許可の申請方法|DIPS2.0での手順を解説」もあわせてご覧ください。2025年3月の大規模改修による画面変更の詳細は「DIPS2.0の2025年改修|変更点と新しい申請方法」で確認できます。申請代行を検討している方は「ドローン飛行許可の申請代行|費用相場と依頼の流れ」も参考にしてください。