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海外製FPVドローンの日本での使用|技適と電波法の注意

目次

  1. この記事でわかること
  2. FPVドローンと電波法の関係
    1. 海外と日本の規制の違い
  3. 必要な手続きの全体像
  4. 技適マークとは
    1. 技適マークの概要
    1. 技適マーク検索の具体的な手順
    1. 技適がないとどうなるか
  5. 手続きの詳細
    1. Step 1: 技適ありのVTXに交換する
    1. Step 2: 保証認定を受けて開局申請する
    1. Step 3: 技適未取得機器の特例制度を利用する
    1. 特例制度の届出手順
    1. 判断フロー: どの方法を選ぶべきか
  6. 主要メーカーの技適状況
    1. 送信機(プロポ)の技適状況
    1. VTXの技適状況
    1. 完成機(RTF)の技適状況
    1. デジタルFPVシステム別の技適状況
    1. アナログVTXとデジタルVTXの比較
  7. 個人輸入の注意点
    1. 技適の確認が自己責任
    1. 関税と消費税
    1. 海外通販サイトごとの特徴
    1. 配送と税関での注意点
    1. 電波法以外の規制
  8. 費用の総額
  9. ケーススタディ: 海外製FPVドローン導入の具体例
    1. ケース1: 初心者がBetaFPV Cetus Xを購入した場合
    1. ケース2: 経験者がWalksnail Avatar搭載の自作機を組む場合
    1. ケース3: 手続きが面倒で技適品を選んだ場合
  10. 海外FPVドローンを業務で使いたい場合
  11. よくある質問
    1. Q. 技適なしのドローンを室内だけで飛ばすのは合法?
    1. Q. 出力を下げれば技適なしでも大丈夫?
    1. Q. 海外で購入したDJI製品は日本で使える?
    1. Q. 技適未取得機器の特例制度で180日以上使いたい場合は?
    1. Q. 行政書士に手続きを依頼できる?
    1. Q. 海外旅行先で購入したFPVゴーグルは日本で使える?
    1. Q. 技適なしのVTXを改造して出力を下げれば使える?
    1. Q. 友人から技適なしのVTXを譲り受けた場合は?
    1. Q. 技適が取れるまでの間、VTXの電源を入れなければ持っているだけで違法?
    1. Q. ELRS受信機の900MHz帯は技適が必要?
  12. まとめ

この記事でわかること

海外通販や個人輸入で手に入るFPVドローンは、国内製品より安価で選択肢が豊富です。しかし、海外製のVTX(映像送信機)や送信機(プロポ)を日本でそのまま使うと電波法違反になるケースがあります。

この記事では、海外製FPVドローンを日本で使う場合の技適マークの確認方法技適なしVTXの対処法技適未取得機器の特例制度、そしてBetaFPV・iFlight等の主要メーカーの技適状況を解説します。

FPVドローンと電波法の関係

日本国内で電波を発射する機器を使用するには、原則として無線局の免許が必要です。ただし、技適マーク(技術基準適合証明)を取得した小電力機器は免許不要で使用できます。

何人も、総務大臣の免許を受けなければ、無線局を開設してはならない。

― 電波法 第4条

FPVドローンには複数の電波発射機器が搭載されており、それぞれに技適マークの確認が必要です。

機器 周波数帯 技適の状況
送信機(プロポ) 2.4GHz 技適あり製品が多い
受信機 2.4GHz 電波を発射しない受信専用機は規制対象外
VTX(映像送信機) 5.7GHz / 5.8GHz 技適なし製品がほとんど
GPS/ELRS受信機 2.4GHz / 900MHz 製品により異なる

問題になるのは主にVTXです。5.7GHz/5.8GHz帯のVTXで技適マークを取得した製品は非常に限られており、ほとんどの海外製VTXは技適がありません。

海外と日本の規制の違い

海外製FPVドローンが日本でそのまま使えない背景には、各国の電波規制の仕組みの違いがあります。

国・地域 認証制度 FPV向け5.8GHz帯の扱い
アメリカ(FCC) FCC認証 ISMバンドとして比較的自由に使用可能。出力1W以下はライセンス不要
EU(CE) CE適合宣言 25mW以下は免許不要。それ以上はアマチュア無線免許が必要
日本(技適) 技術基準適合証明 アマチュア無線帯域のため、出力にかかわらず免許が必要

アメリカでは5.8GHz帯がISM(Industrial, Scientific and Medical)バンドとして開放されているため、FCC認証を受けたVTXは免許不要で使えます。このため海外メーカーはFCC認証のみ取得して販売しており、日本の技適マークを取得するインセンティブが低いのが実情です。

日本では5.8GHz帯はアマチュア無線の周波数帯に該当するため、技適マーク付きの小電力機器としてそのまま使用することは原則としてできません。この制度上の違いが、海外製FPVドローンを日本で使う際の最大のハードルです。周波数帯の詳細は「FPVドローンの周波数帯を解説|5.7GHz/5.8GHz帯の違い」で解説しています。

必要な手続きの全体像

海外製FPVドローンを日本で合法的に使用するための手順は以下のとおりです。

  1. 送信機(プロポ)の技適確認: 技適マークがあればそのまま使用可能
  2. VTXの対処: 技適なしの場合は保証認定→開局申請が必要
  3. アマチュア無線技士の資格取得(第4級以上)
  4. 保証認定の申請(JARD または TSS)
  5. 総合通信局への開局申請
  6. 免許状の受領・運用開始

VTXの開局申請の全体手順は「FPVドローン5.8GHz帯の開局申請|手順と必要書類」で詳しく解説しています。

技適マークとは

技適マークの概要

技適マーク(技術基準適合証明マーク)とは、無線機器が電波法の技術基準に適合していることを示すマークです。技適マークが付いている機器は、無線局の免許なしに使用できる場合があります。

技適マークは以下のいずれかの方法で確認できます。

  • 機器本体のラベル: 機器の底面や側面に印刷されている
  • 画面上の電子表示: 設定メニューから確認できる機器もある
  • 総務省の技適マーク検索サイト: 型番から技適の有無を検索可能

技適マーク検索の具体的な手順

海外製品の技適マークを確認する具体的な手順は以下のとおりです。

  1. 機器本体を確認: 機器の底面、側面、バッテリーカバー内側にラベルが貼られていないか確認する
  2. 電子表示を確認: 送信機の場合、設定メニュー内に技適番号が電子的に表示される機種もある
  3. 総務省の検索サイトを使う: 総務省「技術基準適合証明等を受けた機器の検索」ページにアクセスし、型式名称やメーカー名で検索する
  4. 販売店に確認: 日本代理店で購入する場合は、購入前に「技適マーク付きか」を直接確認する

技適マークには「R」の文字と数字列が記載されています。この番号が総務省の検索サイトでヒットすれば、正規の技適マーク付き製品です。技適マークの詳細は「技適マークとは?確認方法と対象機器をわかりやすく解説」で解説しています。

技適がないとどうなるか

技適マークのない無線機器を日本国内で使用すると、電波法第110条により1年以下の懲役又は100万円以下の罰金の対象になります。

第4条の規定による免許(中略)がないのに、無線局を開設した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

― 電波法 第110条第1号

さらに、技適なしの機器が警察や消防、航空管制など重要無線通信に妨害を与えた場合には、電波法第108条の2により5年以下の懲役又は250万円以下の罰金という重い罰則が適用される可能性があります。

電気通信業務又は放送の業務の用に供する無線局の無線設備又は(中略)重要無線通信を行う無線局の無線設備に対し、(中略)妨害を与えた者は、五年以下の懲役又は二百五十万円以下の罰金に処する。

― 電波法 第108条の2

「知らなかった」は通用しません。海外で購入した機器を日本で使う前に、必ず技適の有無を確認してください。罰則の詳細は「電波法違反の罰則一覧|知らなかったでは済まない」をご覧ください。

手続きの詳細

Step 1: 技適ありのVTXに交換する

最もシンプルな対処法は、技適マークを取得したVTXに交換する方法です。

一部のメーカーは日本市場向けに技適マーク取得済みのVTXを販売しています。海外製フレームやFC(フライトコントローラー)はそのまま使い、VTXだけを技適品に交換すれば、その部分は免許不要で使用できます。

ただし、技適取得済みのVTXは選択肢が非常に限られているのが現状です。多くのFPVパイロットは次のStep 2の方法を選んでいます。

Step 2: 保証認定を受けて開局申請する

技適マークのないVTXを使用する場合は、保証認定を受けてアマチュア無線局の開局申請を行います。これが最も一般的な方法です。

手順は以下のとおりです。

  1. アマチュア無線技士の資格を取得(「FPVドローンのためのアマチュア無線4級取得ガイド」参照)
  2. VTXの系統図を準備(「FPVドローンVTXの系統図の書き方|開局申請に必要」参照)
  3. JARD または TSS に保証認定を申請(「TSS保証認定とJARDの違い|FPV開局はどちらに申請?」参照)
  4. 保証書を添付して総合通信局に開局申請
  5. 免許状を受領して運用開始

この方法では、技適のないVTXでも合法的に日本で使用できます。ただし、あくまでアマチュア無線としての使用に限られ、営利目的での使用はできません。

Step 3: 技適未取得機器の特例制度を利用する

2019年11月に開始された技適未取得機器の特例制度を利用する方法もあります。

技術基準に相当する技術基準に適合する無線設備(中略)については、届出をして、試験的に当該無線設備を使用する無線局を開設することができる。

― 電波法 第4条の2第1項

この制度は、海外の技術基準(FCC、CE等)に適合した機器を、届出により最長180日間日本で試験的に使用できるものです。

特例制度の条件:

項目 内容
対象機器 FCC、CE等の海外認証を受けた機器
使用期間 最長180日間
届出先 総務省(Webで届出可能)
費用 無料
使用制限 試験的な使用に限定。実験・調査・技術開発目的
屋外使用 可能(ただし他の無線局に干渉を与えないこと)

注意点: この制度は「試験的な使用」に限定されています。日常的なFPV飛行のために継続的に使用することは制度の趣旨に合わない可能性があります。購入前の動作確認や、保証認定の申請準備期間中の限定的な使用に適しています。

特例制度の届出手順

特例制度を利用する場合の具体的な届出手順は以下のとおりです。

  1. 総務省の電波利用電子申請サイトにアクセスする
  2. 新規ユーザ登録を行う(メールアドレス、氏名、住所、連絡先電話番号を入力)
  3. 開設届出を提出する(実験の目的、使用する無線設備の規格、緊急連絡先を入力)
  4. 届出が受理されると届出番号が発行される
  5. 届出日から180日間、届出した機器を試験的に使用できる

届出はすべてWebで完結し、手数料は無料です。ただし、届出した機器を使用中に他の無線局に干渉を与えた場合は、直ちに使用を中止しなければなりません。

特例制度の詳しい解説は「技適未取得機器の特例制度|届出方法と注意点」をご覧ください。

判断フロー: どの方法を選ぶべきか

海外製VTXの対処法を選ぶ際の判断フローを以下にまとめます。

すでにアマチュア無線技士の資格を持っている場合: – 保証認定→開局申請が最も確実な方法。手続き期間は合計で1〜2ヶ月程度

資格をこれから取得する場合: – まず4アマの資格取得から開始する(「FPVドローンのためのアマチュア無線4級取得ガイド」参照) – 資格取得の待ち時間に特例制度を並行利用して動作確認を行うのも有効

すぐに試したいだけの場合: – 特例制度で180日間の試験的な使用が可能。ただし恒常的な使用には移行手続きが必要

手続きが面倒・不安な場合: – DJI FPV Combo / DJI Avata 2など、技適取得済みの完成品FPVドローンを選ぶのが最も手軽 – または行政書士に保証認定から開局まで一括代行を依頼する(「アマチュア無線の申請代行|行政書士に依頼するメリット」参照)

主要メーカーの技適状況

海外製FPVドローンの主要メーカーについて、2026年3月時点での技適状況を整理します。

送信機(プロポ)の技適状況

メーカー・製品 技適 備考
RadioMaster Boxer / Pocket / TX16S あり ELRS/4-in-1モジュール対応。日本代理店販売品に技適あり
FrSky Taranis / X-Lite あり 日本代理店経由の製品に技適あり
TBS Tango 2 あり Crossfire内蔵。技適取得済み
Jumper T-Pro 製品による 日本向けモデルに技適あり。海外直販品は要確認
BetaFPV LiteRadio 製品による 一部製品に技適あり。購入先で確認が必要

送信機は技適取得済み製品が比較的多いです。ただし、同一製品でも販売経路(日本代理店 vs 海外直販)によって技適の有無が異なる場合があるため、購入前に確認してください。

VTXの技適状況

メーカー・製品 技適 備考
TBS Unify Pro32 HV なし 保証認定で開局申請が必要
Caddx Vista / Walksnail Avatar なし 保証認定で開局申請が必要
HDZero Freestyle V2 なし 保証認定で開局申請が必要
Rush Tank Ultimate なし 保証認定で開局申請が必要
DJI O3 Air Unit 一部あり DJI FPV Combo等のセット製品は技適あり。単品VTXは要確認

VTXは技適なし製品がほとんどです。海外製VTXを使う場合は、原則として保証認定→開局申請の手続きが必要と考えてください。

完成機(RTF)の技適状況

メーカー・製品 送信機の技適 VTXの技適 備考
BetaFPV Cetus Pro / Cetus X あり(付属送信機) なし(VTX部分) 送信機は技適あり、VTXは開局申請が必要
iFlight Nazgul / Chimera 送信機別売 なし VTXは保証認定が必要
GEPRC CineLog / Mark5 送信機別売 なし VTXは保証認定が必要
Emax TinyHawk III あり(付属送信機) なし VTXは開局申請が必要
DJI Avata 2 / FPV Combo あり あり DJI製品はセットで技適取得済みのものが多い

DJI製品を除くと、完成機でもVTXの技適はほとんどの場合「なし」です。「完成品だから大丈夫」と思い込まず、必ずVTX部分の技適を確認してください。

デジタルFPVシステム別の技適状況

近年はデジタルFPVシステムの選択肢が増えています。主要なデジタルFPVシステムごとの技適状況を整理します。

システム VTXの代表製品 技適 特徴
DJI O3 / O4 Air Unit DJI O3 Air Unit、DJI O4 Air Unit セット販売品は一部あり 画質が最も高い。セット販売のゴーグルは技適取得済みのものが多い
Walksnail Avatar Avatar HD V2 VTX、Avatar Mini 1S VTX なし 軽量で小型機向け。保証認定→開局申請が必要
HDZero HDZero Freestyle V2、HDZero Race V3 なし 低遅延でレース向け。保証認定→開局申請が必要
アナログ TBS Unify Pro32 HV、Rush Tank等 なし 安価で軽量。保証認定→開局申請が必要

DJI以外のデジタルFPVシステムはいずれも日本での技適を取得していないのが現状です。Walksnail AvatarやHDZeroは海外のFPVコミュニティで人気ですが、日本で使用するには必ず保証認定と開局申請の手続きが必要です。

アナログVTXとデジタルVTXの比較

海外製VTXを選ぶ際、アナログとデジタルの違いを理解しておくことも重要です。

比較項目 アナログVTX デジタルVTX
価格 安い(2,000〜5,000円程度) 高い(10,000〜30,000円程度)
画質 SD画質(低解像度) HD〜フルHD画質
遅延 低遅延 システムにより異なる(HDZeroが最も低遅延)
重量 軽い(5〜10g程度) やや重い(10〜30g程度)
開局手続き 保証認定→開局申請 保証認定→開局申請
系統図の入手 比較的容易 メーカーや有志が公開

開局手続きの手間はアナログもデジタルも同じです。VTXの系統図が公開されているかどうかが手続きのスムーズさを左右します。系統図の書き方は「FPVドローンVTXの系統図の書き方|開局申請に必要」を参照してください。

個人輸入の注意点

海外通販サイト(Banggood、GetFPV、RaceDayQuads等)からFPV機器を個人輸入する際の注意点をまとめます。

技適の確認が自己責任

海外通販で購入した機器は、技適マークが付いていないことが前提です。日本代理店を経由しない購入では、技適の有無を自分で確認する必要があります。

関税と消費税

16,666円以上の個人輸入には消費税(10%)がかかります。また、品目によっては関税が加算される場合があります。VTXやドローン本体は「無線機器」に分類され、関税は原則無税ですが、消費税は課税されます。

海外通販サイトごとの特徴

FPVドローンの海外通販サイトにはそれぞれ特徴があります。購入先を選ぶ際の参考にしてください。

サイト 特徴 技適品の取り扱い
Banggood 中国系。安価だが配送に時間がかかる場合がある ほぼなし
GetFPV アメリカ系。品揃えが豊富で信頼性が高い ほぼなし
RaceDayQuads アメリカ系。レース向け部品に強い ほぼなし
AliExpress 中国系。最安値の製品が多い。品質のばらつきに注意 ほぼなし
日本国内代理店(各社) 送信機の技適品を取り扱う代理店あり 送信機は技適ありの場合が多い

海外通販で購入する場合は、VTXは技適なしが前提です。送信機(プロポ)については、日本国内の代理店を通じて購入するのが技適の面で安全です。

配送と税関での注意点

海外からFPV機器を輸入する際の配送・税関に関する注意点です。

  • 配送方法: 航空便(DHL、FedEx等)は早いが送料が高い。船便は安いが到着まで数週間かかる
  • リチウムバッテリーの航空便制限: LiPoバッテリーは航空法の危険物規制により、航空便では制限がある。バッテリー単体の場合、容量やセル数によっては航空便で発送できない場合がある
  • 税関検査: 無線機器は税関で検査される場合がある。技適なしの機器でも輸入自体は合法(使用が違法)
  • インボイスの記載: 申告金額が16,666円未満なら消費税は免除。ただし虚偽のインボイスは関税法違反

電波法以外の規制

FPVドローンを個人輸入する場合、電波法に加えて以下の規制にも注意が必要です。

  • 航空法: 100g以上の機体は機体登録が義務(「ドローン機体登録のやり方|100g以上は義務」参照)
  • リチウムバッテリーの輸送規制: 航空便での輸送に制限あり
  • PSE法: 充電器等の電気用品はPSEマークが必要な場合がある
  • 外為法(輸出貿易管理令): ドローンは用途によっては武器等に該当し輸出規制の対象となる場合がある。個人輸入では通常問題にならないが、海外への再輸出には注意
  • リモートID: 100g以上の機体はリモートID機能の搭載が義務(「リモートIDとは?ドローンの義務と対応方法」参照)。海外製フレームにはリモートID機能が搭載されていないため、外付けリモートID発信機の購入が必要

費用の総額

海外製VTXを保証認定で開局申請する場合の総費用は以下のとおりです。

費用項目 金額の目安
アマチュア無線技士 国家試験受験料(4級) 5,100円
無線従事者免許証の交付手数料 1,750円
保証認定料(JARD/TSS) 3,000〜5,000円程度
開局申請手数料(電子申請) 2,900円
電波利用料(年額) 300円
合計(目安) 約13,050〜15,050円

VTX本体の購入費用と合わせると、技適取得済みのDJI FPV製品を購入するほうが結果的に安い場合もあります。手続きの手間も含めて総合的に判断してください。

開局申請にかかる費用の内訳は「FPVドローンの開局費用|総額と内訳を解説」でさらに詳しく解説しています。

ケーススタディ: 海外製FPVドローン導入の具体例

ケース1: 初心者がBetaFPV Cetus Xを購入した場合

Aさんは海外通販でBetaFPV Cetus Xをセット購入しました。付属の送信機(LiteRadio 3 Pro)には技適マークがありましたが、機体に内蔵されたVTXには技適マークがありませんでした。

Aさんがとった手順:

  1. まず4アマの国家試験を受験し合格(勉強期間2週間、受験料5,100円)
  2. 無線従事者免許証を申請(約1ヶ月で届く、手数料1,750円)
  3. VTXの系統図をメーカー公開資料から入手
  4. JARDに保証認定を申請(約2週間、手数料4,100円)
  5. 総合通信局に開局申請を電子申請で提出(手数料2,900円)
  6. 約1ヶ月後に免許状が届き、合法的にFPV飛行を開始

総費用: VTX本体を含めず約13,850円、期間は約3ヶ月

ケース2: 経験者がWalksnail Avatar搭載の自作機を組む場合

Bさんはすでに4アマの資格を持っており、iFlight Nazgul5のフレームにWalksnail Avatar HD V2 VTXを載せた自作機を組むことにしました。

Bさんがとった手順:

  1. VTXの系統図を有志が公開しているものから入手し、内容を確認
  2. TSSに保証認定を申請(約1〜2週間、手数料3,300円)
  3. 保証書を添付して総合通信局に開局申請(手数料2,900円)
  4. 約1ヶ月後に免許状を受領

総費用: 資格取得費用を除いて約6,200円、期間は約1.5ヶ月。すでに資格を持っていると手続きが大幅に短縮されます。

ケース3: 手続きが面倒で技適品を選んだ場合

Cさんは手続きの手間を避けたく、DJI Avata 2を日本の正規代理店で購入しました。送信機もVTXもすべて技適取得済みのため、追加の開局手続きは一切不要。購入後すぐにFPV飛行を始められました。

総費用: 機体購入費用のみ。開局手続きの費用・手間はゼロ。ただし、自作機やレース用途の自由度は限定されます。

海外FPVドローンを業務で使いたい場合

海外製FPVドローンを業務(撮影業務、点検業務など)で使いたい場合は、アマチュア無線の枠組みでは対応できません。

アマチュア業務とは、金銭上の利益のためでなく、もつぱら個人的な無線技術の興味によつて行う(中略)業務をいう。

― 電波法施行規則 第3条第1項第15号

アマチュア無線は営利目的での使用が禁止されています。業務でFPVドローンを使用する場合は、以下のいずれかの対応が必要です。

  • 5.7GHz帯の特定実験試験局として開局する(第3級陸上特殊無線技士以上の資格が必要)
  • DJI製品など技適取得済みの製品を使用する

FPVドローンの業務利用については「FPVドローンの業務利用|アマチュア無線では使えない理由」で詳しく解説しています。5.7GHz帯での開局については「FPVドローン5.7GHz帯の開局申請|業務利用のための手続き」をご覧ください。

よくある質問

Q. 技適なしのドローンを室内だけで飛ばすのは合法?

いいえ、違法です。電波法は屋内・屋外を区別していません。技適マークのないVTXが電波を発射すれば、室内であっても電波法違反です。

Q. 出力を下げれば技適なしでも大丈夫?

いいえ、出力の大小にかかわりません。極めて微弱な電波(電界強度が3m離れた地点で所定の値以下)であれば免許不要ですが、FPVドローンのVTXの出力は微弱無線局の基準を大幅に超えています。

Q. 海外で購入したDJI製品は日本で使える?

製品によります。DJI製品のグローバル版でも、日本向けに技適マークを取得しているモデルがあります。DJI公式サイトや総務省の技適検索で個別に確認してください。日本の正規代理店で購入した製品は基本的に技適マーク付きです。

Q. 技適未取得機器の特例制度で180日以上使いたい場合は?

180日で制度の利用期限が切れます。それ以降は保証認定を経て正式に開局申請するか、技適取得済みの機器に交換する必要があります。特例制度の延長はできません。

Q. 行政書士に手続きを依頼できる?

はい、保証認定から開局申請までまとめて依頼できます。費用相場は「ドローン飛行許可の申請代行|費用相場と依頼の流れ」を参考にしてください。FPVドローンの開局代行は3万〜5万円程度が目安です。

Q. 海外旅行先で購入したFPVゴーグルは日本で使える?

FPVゴーグル自体は受信専用機器であり、電波を発射しないため電波法の規制対象外です。海外で購入したFPVゴーグルを日本で使うこと自体は問題ありません。ただし、ゴーグルに送信機能(ヘッドトラッキング用の送信等)が内蔵されている場合は、その送信部分について技適の確認が必要です。

Q. 技適なしのVTXを改造して出力を下げれば使える?

いいえ、出力を下げても技適なしの機器は使用できません。技適マークの有無は出力とは別の問題です。また、自分で改造した無線機器は技適マークが無効になるため、改造済みの機器を使用することも電波法違反です。改造後に使用するには、保証認定を受けて改めて開局申請を行う必要があります。

Q. 友人から技適なしのVTXを譲り受けた場合は?

譲り受けた場合も同様に、保証認定→開局申請が必要です。VTXの技適の有無は誰が所有しているかに関係なく、日本国内で電波を発射する行為自体が規制の対象です。友人がすでに開局している場合でも、VTXの使用者が変わるなら新たに開局申請が必要です。無線局の廃止届と新規開局の手順は「FPVドローン無線局の廃止届|手続きの流れ」と「FPVドローン5.8GHz帯の開局申請|手順と必要書類」を参照してください。

Q. 技適が取れるまでの間、VTXの電源を入れなければ持っているだけで違法?

持っているだけでは違法ではありません。電波法は「無線局を開設した者」を処罰対象としており、開設とは「電波を発射できる状態に設置すること」を指します。VTXの電源を入れず、電波を発射しない状態で保管しているだけであれば、電波法違反にはなりません。ただし、誤って電源が入らないよう十分注意してください。

Q. ELRS受信機の900MHz帯は技適が必要?

はい、900MHz帯のELRS(ExpressLRS)受信機は技適マークの確認が必要です。900MHz帯は日本ではアマチュア無線帯域に含まれる周波数があり、使用には注意が必要です。ただし、2.4GHz帯のELRS受信機は技適取得済み製品が増えてきています。使用する周波数帯ごとに技適の有無を確認してください。ドローンで使われる周波数帯の全体像は「ドローンの周波数帯を解説|2.4GHz/5.7GHz/5.8GHzの違い」で整理しています。

まとめ

海外製FPVドローンを日本で使用する場合、技適マークの確認が最も重要です。

  • 送信機(プロポ): 技適取得済み製品が比較的多い。日本代理店経由の購入が安全
  • VTX: 技適なし製品がほとんど。保証認定→開局申請が必要
  • 対処法は3つ: 技適VTXへの交換、保証認定で開局、特例制度の利用
  • 技適なしの機器を日本で使うと1年以下の懲役又は100万円以下の罰金
  • DJI製品はセットで技適取得済みのものが多い

海外製FPVドローンの導入を検討している方は、まず「FPVドローンに必要な免許|アマチュア無線+開局申請ガイド」で開局申請の全体手順を確認し、「FPVドローンの始め方|機体選びから飛行までの全手順」でFPVドローン導入の全体像を把握することをおすすめします。

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