電波申請ナビ

FPVドローンの無線従事者選任届の書き方

目次

  1. この記事でわかること
  2. FPVドローンと電波法の関係
    1. 選任と配置の違い
    1. 「選任」とは
  3. 必要な手続きの全体像
    1. 選任届が不要なケース
    1. 選任届が必要なケース
  4. 主任無線従事者制度との違い
    1. 主任無線従事者制度とは
    1. FPVドローンの場合どちらが該当するか
  5. 手続きの詳細
    1. Step 1: 選任する無線従事者を確認する
    1. Step 2: 選任届を作成する
    1. Step 3: 総合通信局に届出書を提出する
  6. 費用の総額
  7. 実務上のケーススタディ
    1. ケース1: ドローン事業者が複数のパイロットを雇用する場合
    1. ケース2: FPVドローンのクラブで社団局を開設する場合
    1. ケース3: 個人局の免許人が友人にドローンを操作させたい場合
  8. 選任届を忘れやすいタイミング
  9. 選任届の電子申請手順(詳細)
    1. 事前準備
    1. 電子申請の操作手順
  10. 選任の変更・解任の手続き
    1. 変更が必要なケース
    1. 解任届の書き方
  11. よくある質問
    1. Q. 個人局でFPVドローンを飛ばすだけなら選任届は不要?
    1. Q. FPVドローンのクラブを作って社団局を開設したい場合は?
    1. Q. 業務でFPVドローンを使う場合の選任届は?
    1. Q. 選任届を出さないとどうなる?
    1. Q. 無線従事者免許証を紛失した場合は?
    1. Q. 選任届を提出した無線従事者が、無線局の所在地と異なる都道府県に住んでいても問題ない?
    1. Q. 1つの無線局に複数の無線従事者を選任できる?
    1. Q. 無線従事者の資格をアップグレードした場合(4級から3級に昇格など)、選任届の出し直しは必要?
  12. まとめ

この記事でわかること

FPVドローンの無線局を運用するにあたり、無線従事者の選任届が必要になる場合があります。個人でアマチュア無線局を開局している場合は通常不要ですが、社団局(クラブ局)や業務用無線局では選任届の提出が求められます。

この記事では、無線従事者選任届が必要なケースと不要なケース届出書の書き方提出先選任の変更手続きを解説します。

FPVドローンと電波法の関係

FPVドローンのVTX(映像送信機)は電波法上の無線局にあたり、その運用には無線従事者の関与が求められます。

無線局には、総務省令で定めるところにより、無線設備の操作を行い、又はその監督を行う者(以下「無線従事者」という。)を置かなければならない。

― 電波法 第39条第1項

無線従事者とは、無線設備を操作する資格を持つ人のことです。FPVドローンの5.7GHz/5.8GHz帯VTXを操作するには、第四級アマチュア無線技士以上の資格が必要です。

選任と配置の違い

電波法では、無線従事者に関する制度として「選任」「配置」の2つがありますが、FPVドローンでは「選任」が該当します。

概念 内容 FPVドローンとの関係
選任 免許人が特定の無線従事者を指定し、その旨を届け出る 社団局・業務用無線局で必要
配置 一定の無線局に必要な資格者を配置する義務 主に大規模な無線局が対象(FPVでは通常不要)

「選任」とは

無線従事者の選任とは、無線局の免許人(無線局の持ち主)が、その無線局の操作を行う無線従事者を正式に指定する行為です。選任した場合は、総合通信局に選任届を提出する義務があります。

無線局の免許人等は、無線従事者を選任し、又は解任したときは、遅滞なく、その旨を総務大臣に届け出なければならない。

― 電波法 第51条

必要な手続きの全体像

無線従事者選任届の要否は、無線局の種類によって異なります。

個人局(アマチュア無線局)
  → 免許人=操作者 → 選任届は原則不要

社団局(クラブ局)
  → 免許人=社団、操作者=複数の構成員 → 選任届が必要

業務用無線局(陸上特殊無線技士で運用)
  → 免許人=法人、操作者=従業員 → 選任届が必要

選任届が不要なケース

ケース 理由
個人のアマチュア無線局 免許人本人が操作するため、選任の手続きは不要
免許人が唯一の操作者 選任の概念が不要(免許人自身が無線従事者)

FPVドローンを個人の趣味で飛ばしている場合、ほとんどの方がこのケースに該当します。個人局の免許人がそのまま操作者となるため、選任届を提出する必要はありません

選任届が必要なケース

ケース 具体例
社団局(クラブ局) FPVドローンのクラブで社団局を開設し、構成員が交代で操作する場合
業務用無線局 法人がFPVドローンを業務で運用し、従業員に操作させる場合
免許人以外が操作する場合 個人局でも、免許人以外の有資格者に操作を委ねる場合

業務でFPVドローンを使用する場合の詳細は「FPVドローンを業務利用する場合の無線局免許」をご覧ください。

主任無線従事者制度との違い

FPVドローンの運用に関連して混同しやすい制度に主任無線従事者制度があります。

主任無線従事者制度とは

主任無線従事者制度は、無線従事者の資格を持たない者でも、主任無線従事者の監督のもとで無線設備を操作できる制度です。

第四十条の定めにかかわらず、主任無線従事者の監督を受けて無線設備の操作((中略)アマチュア無線局の無線設備の操作を除く。)に従事する者は、(中略)当該操作に必要な資格を有する者でなくてもよい。

― 電波法 第39条第3項

ただし、この制度には重要な制約があります。

項目 内容
対象 アマチュア無線局は除外(業務用無線局のみ適用)
主任無線従事者の要件 3ヶ月以上の実務経験+主任無線従事者講習の受講
監督の範囲 主任無線従事者の操作範囲内に限定
届出 主任無線従事者の選任届を提出する義務あり

FPVドローンの場合どちらが該当するか

無線局の種別 適用される制度 備考
個人のアマチュア無線局 選任不要(免許人=操作者) 主任無線従事者制度は適用されない
社団局(アマチュア無線) 無線従事者の選任 主任無線従事者制度は適用されない
業務用無線局 無線従事者の選任 主任無線従事者制度の活用も可能

アマチュア無線局では主任無線従事者制度が適用されないため、社団局の構成員は全員がアマチュア無線技士の資格を保有している必要があります。

一方、業務用無線局では主任無線従事者制度を活用することで、資格を持たない従業員にも主任無線従事者の監督下で操作させることが制度上は可能です。ただし、FPVドローンの操作は高度な技能が求められるため、操作者にも資格取得を推奨します。

手続きの詳細

Step 1: 選任する無線従事者を確認する

選任する無線従事者は、以下の要件を満たしている必要があります。

  • 操作する無線設備に対応した無線従事者資格を保有していること
  • 5.7GHz/5.8GHz帯アマチュア無線局: 第四級アマチュア無線技士以上
  • 業務用5.7GHz帯無線局: 第三級陸上特殊無線技士以上
  • 無線従事者免許証が有効であること

無線従事者免許証は生涯有効(更新不要)のため、資格取得時に交付された免許証がそのまま使えます。

Step 2: 選任届を作成する

無線従事者選任届は、総務省の所定様式で作成します。

届出書の記入項目

記入項目 記入内容 記入例
届出の区分 選任 / 解任 選任
無線局の呼出符号 免許状に記載のコールサイン JQ1ABC
無線局の種別 アマチュア局 / 特定無線局等 アマチュア局
免許の番号 無線局免許状の番号 関ア 第○○○○号
免許人の氏名・住所 個人名または法人名
選任する無線従事者の氏名 フルネーム
無線従事者の資格 保有する資格名 第四級アマチュア無線技士
無線従事者免許証の番号 免許証に記載の番号 A-4-○○○○○
選任の年月日 選任した日付 令和8年3月3日

記入時の注意点

  • 呼出符号(コールサイン)は正確に記入してください。1文字でも間違えると差し戻しになります
  • 選任する無線従事者の資格が操作範囲に合っていることを確認してください
  • 複数の無線従事者を選任する場合は、1人ずつ別の届出書を作成します
  • 届出の日付は、実際に選任した日を記入します(届出書の提出日ではありません)

Step 3: 総合通信局に届出書を提出する

作成した選任届を、管轄の総合通信局に提出します。

提出方法

方法 詳細
電子申請 総務省 電波利用 電子申請・届出システムLiteから提出
郵送 管轄の総合通信局に郵送
窓口 管轄の総合通信局の窓口に持参

電子申請が最も手軽です。システムにログインし、「届出」メニューから「無線従事者選任(解任)届」を選択して必要事項を入力します。

管轄の総合通信局

無線局の免許を管轄する総合通信局に提出します。免許状に記載されている総合通信局が提出先です。

提出期限

電波法第51条では「遅滞なく」届け出ることが求められています。選任後、速やかに届出を行ってください。明確な日数の定めはありませんが、選任後2週間以内を目安にするのが一般的です。

届出の費用

無線従事者選任届の提出は無料です。手数料はかかりません。

費用の総額

無線従事者選任届に関する費用をまとめます。

項目 費用
選任届の提出 0円
解任届の提出 0円
変更届の提出 0円

すべての届出は無料です。費用面でのハードルはありません。

実務上のケーススタディ

ケース1: ドローン事業者が複数のパイロットを雇用する場合

状況: ドローン空撮会社が業務用5.7GHz帯の無線局を開局し、3名のパイロットが交代で操縦する。

必要な手続き: 1. 3名全員が第三級陸上特殊無線技士以上の資格を取得 2. 3名それぞれについて無線従事者選任届を総合通信局に提出(計3通) 3. パイロットの入退社に応じて選任届・解任届を随時提出

注意点: 資格を持たないパイロットが操縦することは電波法違反です。新人パイロットは資格取得後に選任届を提出してから運用を開始してください。

ケース2: FPVドローンのクラブで社団局を開設する場合

状況: 仲間5名でFPVドローンのクラブを結成し、社団局を開局して共同で運用したい。

必要な手続き: 1. 構成員5名全員が第四級アマチュア無線技士以上の資格を取得 2. 社団局の開局申請を総合通信局に提出 3. 操作を担当する構成員について無線従事者選任届を提出 4. 構成員の入退会に応じて選任届・解任届を提出

注意点: 社団局の免許人は社団(団体)であり、個人ではありません。代表者が変わった場合は、免許人の変更届も必要です。社団局の詳細は「アマチュア無線のクラブ局(社団局)の開設方法」をご覧ください。

ケース3: 個人局の免許人が友人にドローンを操作させたい場合

状況: 個人のアマチュア無線局の免許を持っているが、友人(有資格者)にも自分のFPVドローンを操作させたい。

必要な手続き: 1. 友人が第四級アマチュア無線技士以上の資格を保有していることを確認 2. 友人を無線従事者として選任し、選任届を提出 3. 友人が操作する際は、免許人(自分)のコールサインを使用

注意点: 個人局でも免許人以外が操作する場合は選任届が必要です。無資格者に操作させることは電波法違反です。

選任届を忘れやすいタイミング

実務上、選任届の提出を忘れやすいタイミングを整理します。

タイミング 必要な手続き 忘れやすい理由
新人パイロットの入社時 選任届の提出 航空法の手続きに意識が向きがち
パイロットの退職時 解任届の提出 退職手続きの一環として見落としやすい
社団局の構成員変更時 選任届・解任届の提出 個人の入退会が頻繁な場合に管理が煩雑
業務用無線局の開局直後 操作者全員の選任届の提出 開局申請の完了で手続きが終わったと勘違い

特に業務用無線局の場合、開局申請と選任届は別の手続きです。開局の許可が下りたら、忘れずに操作者の選任届を提出してください。

選任届の電子申請手順(詳細)

電子申請で選任届を提出する場合の具体的な手順を解説します。

事前準備

電子申請を利用するには、総務省 電波利用 電子申請・届出システムLiteのアカウントが必要です。

準備項目 内容
アカウント登録 Liteシステムで新規ユーザー登録
ID・パスワード 登録後、はがきで届く(約1週間
必要な情報 無線局の免許番号、コールサイン、選任する従事者の免許証番号

アカウントを持っていない場合は、開局申請の段階で作成済みのはずです。開局時のID・パスワードをそのまま使用できます。

電子申請の操作手順

  1. Liteシステムにログイン
  2. メインメニューから「届出」を選択
  3. 届出の種類で「無線従事者選任(解任)届」を選択
  4. 無線局の情報を入力(免許番号・呼出符号)
  5. 選任する無線従事者の情報を入力(氏名・資格・免許証番号・選任年月日)
  6. 入力内容を確認して「送信
  7. 受付番号が表示されたら完了

電子申請の所要時間は約10分です。書面郵送と比べて手間が大幅に少なく、切手代もかかりません。電子申請の基本的な使い方は「アマチュア無線の電子申請方法」でも解説しています。

選任の変更・解任の手続き

選任した無線従事者を変更したり解任したりする場合も、届出が必要です。

変更が必要なケース

ケース 対応
選任していた従事者が退職した 解任届を提出し、新たな従事者の選任届を提出
選任していた従事者の資格が変わった 変更届を提出(例: 4級から3級に昇格)
新たに従事者を追加する 追加する従事者の選任届を提出
無線局を廃止する 廃止届のみで可(選任の解任届は不要)

解任届の書き方

解任届は選任届と同じ様式を使用し、届出の区分を「解任」に変更するだけです。解任の年月日を記入して提出します。

無線局の廃止については「FPVドローンの無線局廃止届|機体を手放すときの手続き」で詳しく解説しています。

よくある質問

Q. 個人局でFPVドローンを飛ばすだけなら選任届は不要?

はい、原則として不要です。 個人のアマチュア無線局で、免許人本人がVTXを操作する場合、選任の手続きは必要ありません。FPVドローンの個人ユーザーの大半はこのケースに該当します。

Q. FPVドローンのクラブを作って社団局を開設したい場合は?

社団局(クラブ局)では、構成員の中から無線従事者を選任して届出が必要です。構成員全員が無線従事者資格を持っていても、選任届でだれが操作を担当するかを明確にします。

Q. 業務でFPVドローンを使う場合の選任届は?

法人がFPVドローンを業務利用するために業務用無線局を開設した場合、無線設備を操作する従業員を無線従事者として選任し、届出が必要です。業務利用では陸上特殊無線技士の資格が求められます。

Q. 選任届を出さないとどうなる?

電波法第51条の届出義務に違反した場合、30万円以下の過料の対象となる可能性があります(電波法第116条)。選任が必要なケースでは必ず届出を行ってください。

Q. 無線従事者免許証を紛失した場合は?

無線従事者免許証の再交付申請を行ってください。再交付手数料は1,650円です。申請は総合通信局に行います。再交付を受けるまでの間、選任届の提出は免許証番号がわかっていれば可能です。無線従事者免許証の再交付については「アマチュア無線免許証の再免許・再交付」をご覧ください。

Q. 選任届を提出した無線従事者が、無線局の所在地と異なる都道府県に住んでいても問題ない?

問題ありません。選任届における無線従事者の住所に制限はなく、無線局の所在地と異なる都道府県に住んでいる場合でも選任は可能です。ただし、実際に無線設備を操作する際にはその場にいる必要があります。

Q. 1つの無線局に複数の無線従事者を選任できる?

はい、可能です。業務用無線局や社団局では、複数の無線従事者を選任することが一般的です。1人ずつ個別の選任届を提出する必要があります。同時に複数名を選任する場合でも、届出書はまとめず、人数分の届出書を個別に作成して提出してください。

Q. 無線従事者の資格をアップグレードした場合(4級から3級に昇格など)、選任届の出し直しは必要?

変更届の提出が必要です。選任時の資格と現在の資格が異なる場合は、選任内容の変更として届出を行います。なお、上位資格は下位資格の操作範囲を包含するため、運用上の問題はありませんが、届出上の記載を正確に保つために変更届を提出してください。

まとめ

FPVドローンの無線従事者選任届は、多くの個人ユーザーには不要な手続きです。

  • 個人のアマチュア無線局: 免許人本人が操作するため選任届は不要
  • 社団局・業務用無線局: 操作を行う無線従事者の選任届が必要
  • 届出書は総務省の所定様式で作成し、総合通信局に提出
  • 届出は無料、提出期限は「遅滞なく」(目安は2週間以内)
  • 従事者の変更・解任時も届出が必要

FPVドローンの免許取得の全体像は「FPVドローンに必要な免許|アマチュア無線+開局申請ガイド」を、VTX交換時の変更手続きは「FPVドローンの無線局変更申請|VTX交換時の手続き」をご覧ください。無線従事者の資格の種類と操作範囲は「無線従事者の資格と種類」、総合通信局の管轄については「総合通信局の管轄エリアと役割」で解説しています。

この記事をシェア

関連記事