電波申請ナビ

【FAQ】FPVドローンは免許なしで飛ばせる?

結論:5.8GHz帯FPVは免許なしでは飛ばせない

FPVドローンを免許なしで飛ばせるかという質問に対する結論は、使用する周波数帯によって異なるというのが正確な答えです。

  • 5.8GHz帯のFPV: 無線従事者免許と無線局免許が必須。免許なしの使用は電波法違反
  • 5.7GHz帯のFPV: 同じく無線従事者免許と無線局免許が必須
  • 2.4GHz帯のFPV: 技適を取得した機器であれば免許不要で使用可能

レース用FPVドローンやフリースタイル用FPVドローンで一般的に使用される5.8GHz帯(5.7GHz帯を含む)の映像送信機(VTX)は、免許なしに使用すると電波法違反となり、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性があります。

この記事では、FPVドローンに必要な免許と手続きの全体像、2.4GHz帯FPVの取り扱い、無免許で運用した場合のリスクまで詳しく解説します。

FPVドローンとは

FPV飛行の仕組み

FPV(First Person View)ドローンとは、機体に搭載されたカメラの映像をリアルタイムで操縦者のゴーグルやモニターに送信し、操縦者がまるで機体に搭乗しているかのような視点で操縦するドローンのことです。

映像を送信する装置はVTX(Video Transmitter=映像送信機)と呼ばれ、電波を発射して映像データを送信します。この電波の発射が電波法上の規制対象となります。

なぜ5.8GHz帯が使われるのか

FPVドローンで5.8GHz帯が広く使われる理由は、映像の遅延(レイテンシー)が少なく、高速移動する機体のリアルタイム操縦に適しているためです。

周波数帯 遅延 用途 免許
5.8GHz帯 非常に少ない レース、フリースタイル 必要
5.7GHz帯 非常に少ない レース、フリースタイル 必要
2.4GHz帯 やや大きい 空撮、ホビー飛行 技適があれば不要
920MHz帯 大きい 長距離映像伝送 必要(場合による)

5.8GHz帯は日本ではアマチュア無線の周波数帯に割り当てられており、使用するにはアマチュア無線技士の免許アマチュア無線局の開局が必要です。

5.8GHz帯FPVに必要な免許と手続き

必要な2つの免許

5.8GHz帯のFPVドローンを合法的に運用するには、2つの免許が必要です。

免許の種類 内容 取得方法
無線従事者免許証 操縦者個人の資格 国家試験に合格、または養成課程を修了
無線局免許状 無線局(VTX)の開設許可 総務省(総合通信局)に開局申請

この2つはまったく別の制度です。無線従事者免許は「人」に対する資格であり、無線局免許は「設備」に対する許可です。両方が揃って初めて、合法的に5.8GHz帯FPVを運用できます。

無線従事者免許の取得

5.8GHz帯FPVで必要な無線従事者免許は、第四級アマチュア無線技士(4アマ)以上です。

資格 試験内容 難易度 費用目安
第四級アマチュア無線技士 法規12問+工学12問(4択) 比較的容易 受験料5,163円
第三級アマチュア無線技士 法規16問+工学16問(4択) やや難しい 受験料5,463円

多くのFPVパイロットは4アマを取得しています。国家試験は日本無線協会(JARD)が実施しており、CBT方式で随時受験可能です。養成課程(講習会)を受講して取得することもできます。

無線従事者免許証は一度取得すれば生涯有効で、更新手続きは不要です。

無線局の開局申請

無線従事者免許を取得したら、次にアマチュア無線局の開局申請を行います。これは機体に搭載するVTXを「アマチュア無線局」として登録する手続きです。

開局申請に必要なものは以下のとおりです。

  • 無線局免許申請書
  • VTXの工事設計書(系統図)
  • 無線従事者免許証のコピー
  • 保証認定(JARDまたはTSSによる技術基準への適合確認)

FPVドローンのVTXは一般的に技適を取得していないため、保証認定機関(JARDまたはTSS)による保証認定を受ける必要があります。

開局申請の手順については「FPVドローンの開局申請ガイド|5.8GHz帯の手続き」で詳しく解説しています。

保証認定とは

保証認定とは、技適を受けていない無線設備が電波法の技術基準に適合していることを、保証認定機関が確認する制度です。

FPVドローンのVTXは海外製がほとんどで、日本の技適を取得していません。そのため、開局申請時にJARDまたはTSSの保証認定を受ける必要があります。

保証認定機関 費用目安 特徴
JARD(日本アマチュア無線振興協会) 約3,000円〜 保証認定件数が多い
TSS(TSS株式会社) 約2,000円〜 オンライン対応が充実

保証認定の手続きは「FPVドローンのJARD保証認定|申請手順と必要書類」および「FPVドローンのTSS保証認定|JARDとの違いと選び方」で解説しています。

2.4GHz帯FPVなら免許不要?

2.4GHz帯の位置づけ

2.4GHz帯はISMバンド(Industry, Science and Medical band)と呼ばれる周波数帯で、Wi-FiやBluetoothと同じ帯域です。この周波数帯を使用する無線設備のうち、技適(技術基準適合証明)を取得したものは免許不要で使用できます。

技適のある2.4GHz帯FPV機器

DJI製ドローン(DJI FPVなど)やその他の市販ドローンの多くは、映像伝送に2.4GHz帯を使用しており、技適を取得した状態で販売されています。これらの機器は無線従事者免許も無線局免許も不要で使用できます。

ただし、2.4GHz帯のFPVは5.8GHz帯と比較して以下の特徴があります。

比較項目 5.8GHz帯FPV 2.4GHz帯FPV
映像遅延 非常に少ない(数ms) やや大きい(数十ms〜)
レース向き 最適 やや不向き
免許 必要 技適があれば不要
機器の選択肢 豊富(自作も可能) メーカー製品に限定
カスタマイズ性 高い 低い

注意:技適のない2.4GHz帯機器は使えない

2.4GHz帯であっても、技適を取得していない機器の使用は違法です。海外から個人輸入した機器や、技適マークのない並行輸入品には注意が必要です。

技適マークがない機器の問題については「【FAQ】技適マークがない機器を使うとどうなる?」で詳しく解説しています。

無免許でFPVを飛ばした場合の罰則

電波法違反の罰則

免許なしに5.8GHz帯のVTXを使用してFPVドローンを飛行させた場合、電波法第4条違反(無線局の不法開設)に該当します。

無線局を開設しようとする者は、総務大臣の免許を受けなければならない。

― 電波法 第4条第1項

罰則は以下のとおりです。

違反の内容 罰則
無線局の不法開設 1年以下の懲役または100万円以下の罰金(電波法第110条第1号)
無線従事者免許なしでの操作 30万円以下の罰金(電波法第113条)

実際に摘発されるケースはあるのか

総務省(総合通信局)は電波監視システムを運用しており、不法電波の発信源を特定・摘発する体制を整えています。FPVドローンに関しても、以下のような形で摘発されるケースがあります。

  • 電波監視による発見: 総合通信局の電波監視システムが不法電波を検知
  • 通報による発覚: 他の無線従事者や一般市民からの通報
  • 事故時の調査: ドローンの墜落事故の調査過程で免許の有無が確認される
  • イベントや大会での確認: FPVレースイベント等での無線局免許の確認

「見つからなければ大丈夫」という考えは非常に危険です。電波法違反は前科として記録されるほか、発覚した場合は無線従事者免許の取消し処分を受ける可能性もあります。

電波法違反が発覚した場合の流れ

電波法違反が発覚した場合、一般的に以下の流れで処分が行われます。

段階 内容
1 総合通信局からの指導・警告
2 違反の程度に応じて行政処分(無線局の運用停止等)
3 悪質なケースでは刑事告発(検察庁への送致)
4 裁判所での罰金刑または懲役刑

FPVドローンを合法的に飛ばすための全体像

手続きの全体フロー

5.8GHz帯FPVドローンを合法的に飛ばすために必要な手続きの全体像を整理します。

ステップ 手続き 所要期間 費用目安
1 第四級アマチュア無線技士の取得 試験勉強2〜4週間+試験 約5,000〜25,000円
2 VTXの系統図の作成 数日〜1週間 自作なら無料
3 保証認定の申請(JARD/TSS) 1〜3週間 約2,000〜4,000円
4 アマチュア無線局の開局申請 2〜4週間 電子申請2,900円
5 無線局免許状の受領 申請から約1ヶ月
6 機体登録(100g以上の場合) 数日〜1週間 900円〜
7 飛行許可の取得(必要な場合) 2〜4週間 無料(DIPS2.0)

すべての手続きを完了するまでに2〜3ヶ月程度を見込んでおくのが現実的です。

ステップ1は国家試験から

まず第四級アマチュア無線技士の国家試験を受験します。試験はCBT方式で全国の試験会場で随時受験できます。

出題範囲は「法規」と「無線工学」の2科目で、いずれも4択のマークシート形式です。過去問を繰り返し学習すれば、1〜2ヶ月の独学で合格可能な難易度です。

国家試験の代わりに養成課程(講習会)を受講する方法もあります。養成課程は2日間の講習で、修了試験に合格すれば免許が取得できます。費用は約22,750円です。

電波法だけでなく航空法も遵守

FPVドローンの飛行は電波法だけでなく、航空法の規制も同時に適用されます。

特にFPVドローンで注意が必要な航空法の規制は以下のとおりです。

  • 目視外飛行: FPV飛行はゴーグルを装着して操縦するため、操縦者は機体を直接目視できない。原則として目視外飛行に該当し、飛行承認が必要
  • 補助者の配置: 目視外飛行の承認条件として、機体を目視できる補助者の配置が求められるケースが多い
  • 機体登録: 100g以上の機体は機体登録が義務

FPVドローンの始め方全般については「FPVドローンの始め方|免許・開局から初飛行まで」をご覧ください。

アマチュア無線としてのFPV運用の制約

営利目的での使用禁止

アマチュア無線は「金銭上の利益のためでなく、もっぱら個人的な無線技術の興味によって行う」ものと定義されています。

アマチュア業務とは、金銭上の利益のためでなく、もっぱら個人的な無線技術の興味によつて行う自己訓練、通信及び技術的研究の業務をいう。

― 電波法施行規則 第3条第1項第15号

したがって、アマチュア無線の5.8GHz帯VTXを使って商業目的の空撮を行うことは原則として認められません。業務利用する場合は、陸上特殊無線技士の免許を取得し、業務用の周波数帯で開局する必要があります。

業務利用の場合の選択肢

FPVドローンを業務(商業空撮、測量、点検等)で使用する場合は、以下の選択肢があります。

方式 必要な免許 周波数帯
2.4GHz帯(技適あり) 不要 2.4GHz帯
業務用VTX(5.7GHz帯) 第三級陸上特殊無線技士以上 5.7GHz帯

業務用FPVの詳細については「FPVドローンに必要な免許と開局手続き」で解説しています。

よくある質問

Q. 海外では免許不要で5.8GHz帯FPVが使えるのに日本はなぜ必要?

各国の周波数割当と電波法制は異なります。日本では5.8GHz帯はアマチュア無線に割り当てられているため、免許が必要です。海外で合法であっても、日本国内では日本の電波法に従う必要があります。

Q. VTXを内蔵したまま電波を出さなければ違法にならない?

VTXの電源が入っていなければ電波は発射されないため、それ自体は電波法違反にはなりません。 しかし、飛行中にVTXの電源を誤って入れてしまうリスクがあるため、免許を取得する前はVTXを物理的に取り外すことを推奨します。

Q. 友人の免許で一緒にFPVを飛ばしてもいい?

いいえ、無線従事者免許は個人の資格であり、他人の免許で無線設備を操作することはできません。また、無線局免許も免許人以外の者が運用することは原則としてできません。FPVドローンを飛ばしたい人は各自が免許を取得する必要があります。

Q. デジタルFPVシステム(DJI FPVシステム等)も免許が必要?

使用する周波数帯によります。5.8GHz帯を使用するデジタルFPVシステムであれば、アナログと同様に免許が必要です。DJI FPVのように2.4GHz帯で技適を取得しているシステムであれば免許は不要です。製品の仕様書で使用周波数帯と技適の有無を確認してください。

Q. FPVゴーグルの受信だけなら免許不要?

受信のみであれば免許は不要です。電波法は「電波の発射」を規制しており、受信する行為自体は規制されていません。ただし、FPV飛行ではVTXから電波を発射する必要があるため、実質的にVTXの免許なしにFPV飛行を行うことはできません。

まとめ

  • 5.8GHz帯のFPVドローンは免許なしでは飛ばせない。無線従事者免許と無線局免許の2つが必要
  • 2.4GHz帯のFPVで技適取得済みの機器であれば免許不要で使用可能
  • 無免許で5.8GHz帯VTXを使用すると1年以下の懲役または100万円以下の罰金
  • 必要な無線従事者免許は第四級アマチュア無線技士以上。国家試験またはJARD養成課程で取得
  • 開局申請にはJARDまたはTSSの保証認定が必要
  • すべての手続きを完了するまでに2〜3ヶ月を見込む
  • アマチュア無線のFPVは営利目的での使用が原則禁止。業務利用には別の免許体系が必要
  • FPVドローンの始め方は「FPVドローンの始め方|免許・開局から初飛行まで」、開局手続きは「FPVドローンの開局申請ガイド|5.8GHz帯の手続き」を参照

この記事をシェア

このカテゴリの完全ガイドを見る

FPVドローンの手続き 完全ガイド