この記事でわかること
アマチュア無線局の免許を持っているが、使用する無線設備(無線機・VTX等)を変更したいという方向けに、変更申請の手続きをまとめました。
新しい無線機を追加したとき、古い機器を撤去したとき、VTXを別の機器に変えたときなど、機器の変更があった場合にどのような手続きが必要かを解説します。
機器変更に伴う手続きの概要
変更申請が必要なケース
免許状に登録されている無線設備の内容を変更する場合、事前に変更申請を行い、変更許可を受ける必要があります。
免許人は、(中略)無線設備の変更の工事をしようとするときは、あらかじめ総務大臣の許可を受けなければならない。
― 電波法 第17条
| 変更の種類 | 手続きの要否 |
|---|---|
| 新しい無線機(送信機)の追加 | 変更申請が必要 |
| 既存の無線機の撤去 | 変更申請が必要 |
| 無線機の機種変更(別の機器に入れ替え) | 変更申請が必要 |
| アンテナの変更(整合箱・フィーダーを含む) | 内容による(要確認) |
| 常置場所の住所変更 | 変更申請が必要 |
届出(事後報告)で済む軽微な変更
電波法施行規則に定める軽微な変更に該当する場合は、事前の変更申請ではなく事後の届出で対応できます。軽微な変更の範囲については、総合通信局または電子申請Liteのシステム内で確認してください。
変更申請の手順
Step 1: 変更内容を確認する
変更申請の前に、何を変更するかを明確にします。
- 新しく追加する無線機の技適番号
- 撤去する無線機の登録内容(現在の免許状の記載)
- 変更後の無線設備の全体構成
複数の機器を一度に変更する場合は、変更後の工事設計書全体を整理してから申請すると効率的です。
Step 2: 保証認定の要否を確認する
追加する機器が技適マーク付きかどうかを確認します。
| 追加する機器 | 保証認定 |
|---|---|
| 技適マーク付きの国内販売機 | 不要 |
| 技適マークなしの機器(海外製VTX、自作機等) | 必要(JARD or TSS) |
技適なし機器を追加する場合は、先に保証認定を受けて保証書を取得してから変更申請に進みます。
Step 3: 電子申請Liteで変更申請を行う
電子申請Liteにログインし、「変更申請」を選択して手続きを進めます。
電子申請Liteの変更申請の入力手順は以下のとおりです。
- 「申請・届出」メニューから「変更申請(無線局)」を選択
- 対象の無線局(コールサイン)を選択
- 変更内容の種別を選択(無線設備の変更等)
- 変更後の工事設計書を入力(追加機器の技適番号・周波数・出力等)
- 撤去する機器を削除(撤去がある場合)
- 保証書の番号を入力(保証認定を受けた場合)
- 内容を確認して送信
- 申請手数料を電子納付
電子申請Liteの操作については「アマチュア無線の電子申請|Liteの使い方と注意点」をご覧ください。
Step 4: 審査・変更許可の受領
審査完了後、変更許可がシステム上で発行されます。変更許可を受領してから、追加・変更した無線設備を使用できます。
変更許可を受ける前に新しい機器を使って電波を発射することは、電波法違反になります。
Step 5: 変更後の運用開始
変更許可を受領したら、変更後の無線設備を使って運用を開始できます。新しいコールサイン等の割り当て変更はない場合、既存のコールサインでそのまま運用できます。
工事設計書の書き方のポイント
変更申請で最も重要な書類が工事設計書です。変更後の無線設備の技術仕様を正確に記載する必要があります。
工事設計書に記載する主な内容
| 記載事項 | 確認方法 |
|---|---|
| 電波の型式(F1D、F3E等) | 技適証明書・保証書 |
| 送信周波数(MHz) | 機器の仕様書 |
| 空中線電力(W) | 機器の仕様書・技適証明書 |
| 技適番号 | 機器本体・取扱説明書 |
| 変調方式 | 機器の仕様書 |
電波の型式の確認
電波の型式は送信の変調方式と通信の内容を組み合わせたコードです。アマチュア無線でよく使われる型式の例を以下に示します。
| 電波の型式 | 説明 |
|---|---|
| F3E | FM音声(一般的なFMハンディ機) |
| A1A | モールス(CW送信) |
| F1D | デジタル通信(VTX等のデジタル映像伝送) |
| F9W | 映像+音声のFM複合 |
VTXの電波型式は機器によって異なります。保証認定を受けた場合は保証書に型式が記載されています。
機器変更のシナリオ別ガイド
ケース1: 新しいハンディ機を追加したい
技適マーク付きの新しいFMハンディ機を追加する場合は、保証認定不要で変更申請ができます。
追加機器の技適番号を確認し、電子申請Liteで変更申請を行います。既存の無線機はそのまま残せます(免許に複数の無線機を登録可能です)。
ケース2: FPVドローンのVTXを変更したい
VTXを別の機器に変更する場合は、以下の手順で対応します。
- 新しいVTXの技適の有無を確認する
- 技適なしの場合は先に保証認定を受ける
- 変更申請で、旧VTXを削除して新VTXを追加する工事設計書を作成する
- 電子申請Liteから変更申請を提出する
ケース3: 使わなくなった無線機を撤去したい
使わなくなった無線機を免許登録から削除する場合も変更申請が必要です。
不要な機器を免許から削除しないまま放置すると、実態と免許内容が乖離します。免許の管理の観点から、使用しなくなった機器は変更申請で削除しておくことをおすすめします。
変更申請の詳細は「アマチュア無線の変更申請手続き|設備・周波数の変更方法」でも解説しています。
申請手数料
変更申請の手数料は電子申請と書面申請で異なります。最新の手数料は総務省公式サイトでご確認ください。
電子申請のほうが書面申請より手数料が安くなります。
よくある質問
Q. 変更申請をせずに無線機を増やして使っても大丈夫?
大丈夫ではありません。 免許状に記載されていない無線設備で電波を発射することは電波法違反です(電波法第17条)。変更申請の許可を受けてから使用開始してください。
Q. 変更申請の審査はどのくらいかかる?
電子申請の場合、1〜3週間程度が目安です。ただし、申請内容の複雑さや総合通信局の繁忙状況によって異なります。
Q. 同じメーカーの後継機種に交換するだけでも申請が必要?
はい、必要です。 たとえ同じメーカーの類似機種であっても、機種(機器の仕様)が変われば工事設計書の内容が変わるため、変更申請が必要です。
Q. コールサインはそのまま使える?
はい、機器の変更でコールサインは変わりません。 コールサインは開局時に付与されるもので、機器の変更では変更されません。
Q. 申請中も旧機器は使っていい?
はい、変更申請中は旧機器をそのまま使用できます。 変更許可が出てから新機器に切り替えてください。
まとめ
アマチュア無線の機器変更時の手続きをまとめます。
- 無線設備の追加・変更・撤去には事前の変更申請が必要
- 技適マーク付きの機器追加なら保証認定不要でシンプルに申請できる
- 電子申請Liteで手続きすると手数料が安く、審査も速い
- 変更許可を受ける前に新機器を使って電波を発射してはいけない
- 工事設計書の技適番号・電波の型式・周波数・出力を正確に記載することが重要
申請書類の作成に不安がある場合は、「アマチュア無線の開局から運用までの全体フロー」で手続きの全体像を確認するか、行政書士への代行依頼をご検討ください。