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アマチュア無線3級の取得方法|4級との違いと試験対策

この記事でわかること

アマチュア無線3級(第三級アマチュア無線技士)は、4級の上位資格です。取得すると使える周波数帯と出力が拡大し、HF帯(短波帯)での国際通信もより自由に行えるようになります。

この記事では、4級との具体的な違い、取得ルート(国家試験・eラーニング養成課程)、試験内容、合格率、費用の比較、4級からのステップアップにかかる勉強期間までまとめて解説します。

アマチュア無線3級とは

4級との違い

3級を取得すると、4級と比べて以下の点が拡大します。

項目 4級 3級
最大空中線電力 HF帯: 10W、VHF以上: 20W HF帯: 50W、VHF以上: 50W
HF帯の使用範囲 一部の周波数のみ ほぼ全てのHF帯が使用可能
モールス信号 知識不要 基本的な知識が必要(試験に出題)
国際通信 可能(制限あり) より広い周波数帯で可能

3級を取るメリット

  • HF帯(短波帯)がフルに使える: 3.5MHz帯、7MHz帯、14MHz帯、21MHz帯などで国際通信が可能に
  • 出力が50Wまで拡大: 4級の20Wから大幅にパワーアップ。遠距離通信がしやすくなる
  • コンテストやDX通信で有利: 国際的なアマチュア無線の活動の幅が広がる
  • 2級へのステップアップの基礎: 将来的に2級を目指す場合、3級の知識がベースになる

3級が不要なケース

  • FPVドローンだけが目的の場合: 5.8GHz帯は4級で使用可能なため、3級は不要
  • VHF/UHF帯のハンディ機だけを使う場合: 4級の20Wで十分
  • HF帯に興味がない場合: 3級のメリットはHF帯の拡大が大きい

FPVドローンの運用だけなら4級で十分です。詳しくは「アマチュア無線4級の取得方法|試験内容と勉強法」をご覧ください。

必要な資格・条件

3級の受験にも年齢制限や学歴の条件はありません。4級を持っていなくても、いきなり3級を受験することも可能です。

項目 内容
受験資格 制限なし(4級の保有は不要)
国籍要件 なし
前提資格 なし(ただし4級を先に取得するのが一般的)

取得方法: 2つのルート

ルート1: 国家試験を受験する

日本無線協会(NIART)が実施する国家試験を受験する方法です。

項目 内容
試験方式 CBT方式(コンピュータ試験)
試験会場 全国のCBTテストセンター
試験日 通年実施
受験料 5,463円
結果通知 試験終了後に即日判定

4級と同様にCBT方式で、好きなタイミングで受験できます。

ルート2: eラーニング養成課程を受講する

JARDが実施するeラーニング養成課程を受講し、修了試験に合格する方法です。3級の養成課程はeラーニング形式が中心です。

項目 内容
受講形式 eラーニング(自宅でPC・スマホから受講)
受講時間 法規7時間+工学5時間(標準的な目安)
受講期間 申し込みから約2ヶ月以内に修了
修了試験 オンラインで実施
費用 13,750円〜(4級保有者向けの短縮コース)/ 29,950円〜(初学者向け)
合格率 ほぼ100%

4級を保有している場合は短縮コースが利用でき、費用と学習時間が大幅に削減されます。

2つのルートの比較

項目 国家試験 eラーニング養成課程
費用(4級保有者) 5,463円 13,750円〜
費用(4級なし) 5,463円 29,950円〜
勉強の自由度 自分のペースで独学 eラーニングの進度に沿う
合格率 約80%前後 ほぼ100%
所要期間 勉強2〜3週間+試験日 eラーニング受講(1〜2ヶ月)
おすすめの方 費用を抑えたい方、4級の知識がある方 確実に合格したい方、体系的に学びたい方

申請の手順

国家試験ルートでの取得手順を解説します。

Step 1: 試験の申し込み

日本無線協会のWebサイトからCBT試験の受験を申し込みます。希望の日時と会場を選択し、受験料5,463円を支払います。

Step 2: 試験の勉強をする

3級の出題範囲に沿って勉強します。4級を保有している方は、4級との差分を中心に学習すれば効率的です。主な差分は以下のとおりです。

  • モールス信号の基礎知識(符号の読み取り、Q符号)
  • HF帯の電波伝搬(電離層の種類と反射特性)
  • 電子回路の追加知識(FETなどの半導体素子)
  • 法規の追加事項(国際電気通信条約、無線通信規則)

Step 3: 試験を受験する

テストセンターでCBT方式の試験を受験します。試験時間は70分です。試験終了後、画面上で合否が判定されます。

Step 4: 無線従事者免許証を申請する

合格後、総合通信局に無線従事者免許証の申請を行います。

項目 内容
手数料 1,750円
処理期間 約1〜2ヶ月

既に4級の免許証を持っている場合でも、3級の新しい免許証が交付されます(4級は3級に包含されるため、3級の免許証1枚で両方の操作が可能)。

Step 5: 無線局の変更申請(4級で開局済みの場合)

既にアマチュア無線局を開局している方は、無線局の変更申請を行って操作範囲を3級に更新します。これにより、出力50WまでのHF帯運用が可能になります。

変更申請の手順は「アマチュア無線の変更申請|住所変更・設備変更の手順」をご覧ください。

試験内容

出題範囲と問題数

科目 問題数 合格基準 試験時間
法規 16問 11問以上正解 70分(2科目合計)
無線工学 16問 11問以上正解 同上

4級と比べて問題数が増え、合格に必要な正解数も多くなっています。

4級からの追加出題範囲

法規の追加範囲

分野 主な追加内容
国際法規 国際電気通信条約、無線通信規則の基本
モールス信号 Q符号、略符号の理解(実際に送受信する必要はない)
非常通信 より詳細な非常通信の手順
業務書類 無線局業務日誌の記載事項

無線工学の追加範囲

分野 主な追加内容
電子回路 FET、オペアンプの基礎
送信機 SSB(単側帯波)の仕組み
受信機 より詳しい回路構成
電波伝搬 電離層の種類(D層・E層・F層)と反射特性
空中線 八木アンテナ、ダイポールアンテナの特性
電源 安定化電源回路

モールス信号について

3級ではモールス信号の基本的な知識が試験に出題されます。ただし、実際にモールス信号を送受信する実技試験はありません

出題される内容は以下のとおりです。

  • Q符号: QRZ(誰か呼んでいますか)、QTH(所在地)などの主要なQ符号
  • 略符号: CQ(一般呼出)、73(さようなら)、88(親愛と挨拶)など
  • モールス符号の読み取り: アルファベットや数字の符号を読む問題

暗記量はそれほど多くなく、Q符号と主要な略符号を覚えれば対応可能です。

合格率

3級の国家試験の合格率は約80%前後です。

年度 合格率
2022年度 約81%
2023年度 約79%
2024年度 約80%

4級とほぼ同等の合格率です。4級の知識がベースにあれば、追加の勉強で十分に合格できます。

費用・手数料

国家試験ルートの費用

項目 費用
受験料 5,463円
無線従事者免許証の申請 1,750円
合計 7,213円

eラーニング養成課程ルートの費用

項目 4級保有者(短縮コース) 初学者
養成課程受講料 13,750円〜 29,950円〜
無線従事者免許証の申請 1,750円 1,750円
合計 15,500円〜 31,700円〜

4級保有者は短縮コースが利用でき、費用を大幅に抑えられます。

電子申請と書面申請の違い

3級の取得に関わる手続きの申請方法は以下のとおりです。

手続き 方法
試験の申し込み Web(日本無線協会サイト)
免許証の申請 書面(総合通信局に郵送)
無線局の変更申請 電子申請Liteがおすすめ(書面も可)

無線局の変更申請は電子申請Liteを使うと費用が安くなります。電子申請の詳細は「アマチュア無線の電子申請の使い方|Lite・総務省の違い」をご覧ください。

4級からのステップアップ勉強法

4級を保有している方が3級を目指す場合の勉強法をまとめます。

勉強期間の目安

前提 勉強期間
4級取得直後(知識が新鮮) 1〜2週間
4級取得から時間が経過 2〜3週間
4級なしでいきなり3級 3〜4週間

効率的な勉強手順

  1. 4級の復習(1〜2日): 4級の過去問を数回分解いて知識を確認
  2. 3級の差分を学習(3〜5日): モールス符号、HF帯の電波伝搬、追加の電子回路を中心に
  3. 3級の過去問を解く(5〜7日): 過去問を3〜5周。間違えた問題を重点的に復習
  4. 模擬試験で仕上げ(1〜2日): 時間を計って通しで解く

おすすめ教材

教材 特徴 費用
3級過去問題集(書籍) 直近数年分の過去問を収録 1,500円〜2,500円
無料の過去問サイト Web上で過去問を練習可能 無料
3級テキスト 4級との差分を体系的に解説 1,500円〜3,000円
モールス符号暗記アプリ スマホでQ符号・略符号を暗記 無料〜数百円

過去問中心の学習が最も効率的です。3級も4級と同様に、過去問と類似した問題が多く出題されます。

よくある質問

Q. 4級なしでいきなり3級を受験できる?

はい、受験できます。アマチュア無線の資格に受験の順序制限はありません。ただし、4級の知識がベースになるため、通常は4級から順に取得するのがおすすめです。

Q. モールス信号の実技試験はある?

ありません。2005年以降、3級の試験からモールス信号の実技(送受信の実演)は廃止されています。試験で問われるのはQ符号や略符号の意味の理解であり、モールス符号を実際に打つ・聞き取る能力は求められません。

Q. 3級を取ると何が変わる?

HF帯のほぼ全域が使えるようになり、出力が50Wまで拡大します。これにより、7MHz帯や14MHz帯での国際通信(DX通信)がしやすくなります。コンテストへの参加やDXCC(各国との交信記録)の追求など、アマチュア無線の楽しみが大きく広がります。

Q. 3級の上の2級はどのくらい難しい?

2級は3級と比べて大幅に難易度が上がります。数学(三角関数、対数、複素数)を使った計算問題が出題され、合格率も低くなります。2級の取得方法は「アマチュア無線2級の取得方法|受験資格と試験対策」をご覧ください。

Q. FPVドローン目的で3級は必要?

通常は不要です。FPVドローンのVTX(5.8GHz帯)は4級の操作範囲に含まれているため、4級で十分です。ただし、将来的にアマチュア無線そのものを楽しみたい方や、HF帯にも興味がある方は3級へのステップアップをおすすめします。各級で使える周波数帯の違いは「アマチュア無線の周波数帯|級ごとに使える範囲を解説」で詳しく比較しています。

まとめ

アマチュア無線3級は、4級からのステップアップに最適な資格です。

  • 4級との主な違いはHF帯の拡大、出力50W、モールス知識
  • 国家試験なら7,213円で取得可能
  • 試験は法規16問+工学16問、各11問以上正解で合格
  • 4級保有者なら1〜2週間の追加勉強で合格可能
  • 合格率は約80%で、過去問中心の学習が有効

アマチュア無線の再免許申請については「アマチュア無線の再免許申請|期限切れ前にやるべきこと」をご覧ください。開局申請の手順は「アマチュア無線の開局申請|電子申請での手順を解説」で解説しています。

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