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TELECとは?技適を行う登録証明機関

この記事でわかること

TELECとは、一般財団法人テレコムエンジニアリングセンターの略称です。電波法に基づく技術基準適合証明工事設計認証を行う登録証明機関であり、いわゆる技適マークの取得に深く関わる組織です。

この記事では、TELECの正式名称と組織概要登録証明機関としての役割技術基準適合証明と工事設計認証の試験業務他の登録証明機関との比較、そしてドローンやFPVに関連する場面でのTELECの位置づけを用語解説としてまとめます。

TELECの基本情報

正式名称と組織概要

項目 内容
正式名称 一般財団法人 テレコムエンジニアリングセンター
英語名 Telecom Engineering Center
略称 TELEC(テレック)
設立 1986年(昭和61年)
所在地 東京都千代田区
主な業務 技術基準適合証明、工事設計認証、EMC試験、無線設備の測定

TELECは、電波法の技術基準への適合性を審査・証明する機関として設立された一般財団法人です。日本国内で販売される無線機器の多くがTELECの審査を経て技適マークを取得しています。

TELECの沿革

TELECの設立は1986年ですが、その背景には電気通信制度の自由化があります。1985年の電気通信事業法の施行により、通信機器の技術基準適合確認が民間に開放され、TELECは民間の技術基準適合証明機関の草分けとして設立されました。

以来、国内外のメーカーから無線機器の技適取得の依頼を受け、日本最大規模の登録証明機関として実績を積み重ねています。Wi-Fiルーター、スマートフォン、Bluetooth機器、ドローンの送受信機など、日常で使われる無線機器の多くがTELECの認証を受けています。

登録証明機関とは

登録証明機関の定義

登録証明機関とは、電波法に基づいて総務大臣の登録を受けた、技術基準適合証明または工事設計認証を行う機関です。

技術基準適合証明又は工事設計認証を行おうとする者は、総務大臣の登録を受けなければならない。

― 電波法 第38条の2の2

かつては「指定証明機関」と呼ばれていましたが、2004年の電波法改正により登録制に変更され、現在の「登録証明機関」という名称になりました。

登録証明機関の役割

登録証明機関は、無線設備が電波法の技術基準に適合しているかどうかを審査し、適合していれば証明書を交付します。この証明を受けた無線設備には技適マークが付けられ、無線局の免許を受けなくても使用できるようになります(一部の設備を除く)。

登録証明機関が行う業務は、大きく分けて2種類あります。

業務 内容 対象
技術基準適合証明 個々の無線設備を1台ずつ試験して適合性を証明 個別の無線設備(1台ごと)
工事設計認証 製品の設計(工事設計)を審査し、同一設計のすべての製品を認証 量産品(型式単位)

TELECが行う2つの認証業務

技術基準適合証明

技術基準適合証明は、個々の無線設備を1台ずつ試験して適合性を証明する制度です。申請者が無線設備の実機をTELECに提出し、TELECが実際に電波を測定して技術基準を満たしているか確認します。

技術基準適合証明の流れは以下のとおりです。

手順 内容
Step 1 申請者がTELECに申請書と無線設備の実機を提出
Step 2 TELECが技術基準に基づく測定試験を実施
Step 3 技術基準に適合していれば証明書を交付
Step 4 無線設備に技適マークと証明番号を表示

技術基準適合証明は1台ごとの試験が必要なため、量産品には向きません。主に少量生産品や試作品で利用されます。

工事設計認証

工事設計認証は、製品の設計(工事設計)を審査し、同一設計の製品すべてを認証する制度です。メーカーが量産品に技適マークを付けるために利用する制度で、1回の認証で同じ設計のすべての製品が対象になります。

工事設計認証の流れは以下のとおりです。

手順 内容
Step 1 メーカーがTELECに工事設計認証を申請(設計図書・試験データを提出)
Step 2 TELECが工事設計を審査し、代表的なサンプルで測定試験を実施
Step 3 適合していれば認証書を交付
Step 4 メーカーが量産品に技適マークと認証番号を表示

工事設計認証を受けると、メーカーは自社工場で生産するすべての同一設計品に技適マークを表示可能になります。市販のWi-Fiルーターやスマートフォンのほとんどは、この工事設計認証を経て技適マークを取得しています。

技術基準適合証明と工事設計認証の違いについて詳しくは「工事設計認証と技術基準適合証明の違い」をご覧ください。

TELECの試験設備と能力

測定可能な周波数帯

TELECは9kHzから数十GHz以上の周波数帯に対応した試験設備を保有しており、ほぼすべての無線設備の技術基準適合試験に対応できます。

周波数帯 主な対象機器
HF帯(3〜30MHz) 短波通信機器、アマチュア無線機
VHF/UHF帯(30MHz〜3GHz) 業務用無線機、デジタル簡易無線、特定小電力無線
マイクロ波帯(2.4GHz・5GHz等) Wi-Fi、Bluetooth、ドローンの送受信機
ミリ波帯(60GHz等) 次世代通信機器、車載レーダー

EMC試験

TELECは技適の試験に加えて、EMC(電磁両立性)試験も行っています。EMC試験は、無線設備が他の電子機器に不要な電磁干渉を与えないこと、および外部からの電磁干渉に対して正常に動作することを確認する試験です。

他の登録証明機関との比較

日本の主な登録証明機関

TELECは日本最大の登録証明機関ですが、日本には複数の登録証明機関が存在します。主な機関は以下のとおりです。

登録証明機関 特徴
TELEC(テレコムエンジニアリングセンター) 日本最大。幅広い周波数帯に対応。海外メーカーの技適取得実績が最も多い
DSP Research 測定技術に強み。特定の周波数帯で実績あり
SGS Japan 国際的な認証機関SGSの日本法人。海外規格との同時認証が可能
TUV Rheinland Japan ドイツの認証機関TUVの日本法人。欧州規格との整合性に強み
UL Japan アメリカのULの日本法人。米国規格との同時認証に対応

TELECを選ぶメリット

複数の登録証明機関がある中でTELECを選ぶメリットは以下のとおりです。

  • 実績が最も豊富: 日本で最も多くの技適認証を手がけており、審査のノウハウが蓄積されている
  • 幅広い周波数帯に対応: HF帯からミリ波帯までほぼすべての周波数帯をカバー
  • 海外メーカーからの信頼: 海外メーカーが日本市場向けに技適を取得する際、TELECを選ぶケースが多い
  • 相互認証協定: 海外の試験機関との相互認証体制があり、海外で取得した試験データを活用可能

登録証明機関の選び方

メーカーや事業者が登録証明機関を選ぶ際のポイントは以下のとおりです。

ポイント 内容
対象機器の試験実績 自社製品と同じカテゴリの機器の試験実績があるか
対応周波数帯 製品が使用する周波数帯の試験設備があるか
海外規格との同時認証 海外でも販売する場合、海外規格の認証も同時に行えるか
費用と納期 試験費用と認証までの所要期間
サポート体制 技術的な相談や書類作成のサポートがあるか

ドローン・FPVとTELECの関係

市販ドローンの技適

DJIやAutelなどの主要ドローンメーカーが日本で販売する機体は、送受信機(プロポ)やカメラ伝送システムがTELECなどの登録証明機関で技適を取得しています。ユーザーは技適マークの有無を確認するだけで、自分で認証手続きを行う必要はありません。

FPVドローンのVTXと技適

FPVドローンで使用される5.8GHz帯のVTX(映像送信機)は、多くが海外製であり日本の技適を取得していません。そのため、FPVドローンのVTXを使用する場合は、技適ではなくJARDの保証認定を経てアマチュア無線局として開局する必要があります。

つまり、FPVドローンのVTXに関してはTELECではなくJARDが関係することに注意してください。TELECは「メーカーが製品に技適マークを付けるための機関」、JARDは「技適のない無線機を個人が使うための保証機関」という役割の違いがあります。

FPVドローンの開局手続きについては「FPVドローンの5.8GHz帯VTXで開局する方法」をご覧ください。

技適マークとTELEC

技適マークの構成

TELECで技術基準適合証明または工事設計認証を受けると、無線設備には技適マーク証明番号(認証番号)が表示されます。

技適マークの近くに記載されている番号から、どの登録証明機関で認証を受けたかを判別できます。番号の先頭の記号が登録証明機関を示しています。

番号の先頭 登録証明機関
R TELEC(工事設計認証)
T TELEC(技術基準適合証明)
D その他の登録証明機関

たとえば、番号が「R 001-XXXXXX」であれば、TELECの工事設計認証を受けた製品であることがわかります。

技適番号の検索

技適番号は、総務省の「技術基準適合証明等の公示」データベースで検索できます。技適番号を入力すると、認証を受けた無線設備の型式や周波数帯、認証日などの詳細情報を確認できます。

技適マークの仕組みと確認方法について詳しくは「技適マークとは?確認方法と技適なし機器の扱い」をご覧ください。

TELECへの技適申請の概要

メーカーが技適を取得する場合の流れ

メーカーがTELECで工事設計認証(技適)を取得する一般的な流れは以下のとおりです。

手順 内容 所要期間の目安
Step 1 TELECに事前相談(対象機器・適用規格の確認) 1〜2週間
Step 2 申請書類と試験用サンプルの提出
Step 3 TELECによる書類審査と測定試験 2〜6週間
Step 4 適合判定と認証書の交付 1〜2週間
Step 5 製品への技適マーク表示開始

全体で約1〜3ヶ月が目安ですが、製品の種類や試験内容によって大きく異なります。

費用の目安

TELECでの技適取得にかかる費用は、製品の種類や試験項目によって大きく異なります。一般的な費用感は以下のとおりです。

製品カテゴリ 費用の目安
Bluetooth機器(低出力) 30万〜60万円
Wi-Fi機器(2.4GHz/5GHz) 50万〜150万円
特定小電力無線機器 30万〜80万円
携帯電話・スマートフォン 200万〜500万円以上

これらはメーカー向けの費用であり、個人ユーザーが直接TELECに技適取得を依頼することは基本的にありません。

海外メーカーがTELECで技適を取得する場合

海外メーカーが日本市場向けにTELECで技適を取得する場合、以下の点に注意が必要です。

  • 日本の技術基準は独自の部分がある: 海外の規格(FCC、CE等)に適合していても、日本の技術基準に適合しているとは限らない
  • 日本語の書類が必要: 申請書類は原則として日本語で作成する必要がある
  • 代理人の選任: 海外メーカーの場合、日本国内に代理人を置くことが一般的
  • 相互認証の活用: 海外の試験機関で取得した測定データを活用できる場合がある

よくある質問

Q. TELECは個人でも利用できる?

TELECは主にメーカーや事業者向けの機関です。個人が自作の無線機で技適を取得することは制度上可能ですが、費用が数十万円以上かかるため、個人利用は現実的ではありません。個人がアマチュア無線で技適のない無線機を使う場合は、JARDの保証認定を利用するのが一般的です。

Q. TELECとJARDの違いは?

TELECは技適マークを付与する登録証明機関JARDはアマチュア局の保証認定を行う機関です。TELECはメーカーが製品に技適マークを付けるために利用し、JARDは個人が技適のない無線機でアマチュア無線局を開局するために利用します。両者は役割がまったく異なります

Q. TELECの技適番号はどこで確認できる?

無線機器の本体、バッテリー収納部、設定画面(スマートフォンの場合)、または外箱に記載されています。総務省の公式データベースでも検索可能です。

Q. 技適のない海外製品を日本で使うには?

原則として使用できません。技適のない無線機器を日本で使用すると、電波法違反(1年以下の懲役または100万円以下の罰金)となる可能性があります。ただし、一定の条件を満たす場合に利用可能な技適未取得機器の特例制度があります。

まとめ

  • TELECは一般財団法人テレコムエンジニアリングセンターの略称で、日本最大の登録証明機関
  • 主な業務は技術基準適合証明工事設計認証の審査・認証
  • 市販のWi-Fi・Bluetooth・スマートフォン等の多くがTELECで技適を取得
  • 日本には複数の登録証明機関があるが、TELECは実績・対応範囲ともに最大
  • FPVドローンのVTXの場合は技適ではなくJARDの保証認定が必要(TELECの出番ではない)
  • 技適マークの仕組みは「技適マークとは?確認方法と技適なし機器の扱い」を参照
  • 技術基準適合証明と工事設計認証の違いは「工事設計認証と技術基準適合証明の違い」を参照

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