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この記事でわかること
保証認定とは、技適(技術基準適合証明)を取得していない無線機が電波法の技術基準に適合していることを第三者機関が保証する制度です。FPVドローンのVTX(映像送信機)のように技適マークのない無線機を合法的に使用するために欠かせない手続きです。
この記事では、保証認定の制度の仕組みと法的根拠、保証認定が必要になるケース、JARDとTSSの違い、申請手順の流れをわかりやすく解説します。
保証認定とは
保証認定とは、無線局の開局申請にあたって、申請に係る無線設備が電波法の技術基準に適合していることを、総務大臣が指定した機関が保証する制度です。
通常、無線設備を使用するには技適マークが必要ですが、技適を取得していない無線機であっても、保証認定を受けることで無線局の免許を取得して合法的に使用できるようになります。
無線局の免許の申請があつた場合において(中略)総務大臣が指定する者が当該申請に係る無線設備についてその技術基準に適合していることの保証を行つたときは(中略)免許を与えることができる。
― 電波法 第4条の2(要旨)
保証認定は、あくまで個別の無線設備ごとに技術基準への適合を保証する制度です。技適のように製品全体に対する認証ではなく、申請者が使用する特定の無線設備について保証を行う点が特徴です。
保証認定が必要なケース
保証認定が必要になるのは、技適マークのない無線設備でアマチュア無線局を開局する場合です。代表的なケースは以下のとおりです。
| ケース | 具体例 |
|---|---|
| FPVドローンのVTX | 5.8GHz帯の映像送信機。海外メーカー製が多く技適未取得 |
| 自作の無線機 | アマチュア無線家が自作した送信機・受信機 |
| 海外製の無線機 | 海外から個人輸入した技適のないアマチュア無線機 |
| 改造した無線機 | 改造により技適の効力が失われた無線機 |
このうち、現在最も保証認定の需要が多いのはFPVドローンのVTXです。市販されているVTXの大半は海外メーカー製で日本の技適を取得していないため、FPVドローンを合法的に飛ばすには保証認定が事実上必須となっています。
JARDとTSSの違い
保証認定を行う機関として、かつてはJARDとTSSの2つがありました。しかし、TSSは2024年3月31日をもってアマチュア局の保証業務から撤退しており、現在はJARDが唯一の保証機関です。
両機関の比較
| 比較項目 | JARD | TSS(2024年3月撤退) |
|---|---|---|
| 正式名称 | 一般財団法人 日本アマチュア無線振興協会 | 株式会社 東洋信号通信社 |
| 組織形態 | 一般財団法人(非営利) | 株式会社(営利法人) |
| 保証認定費用(新規) | 5,500円(税込) | 2,580円(当時) |
| 審査期間の目安 | 約2〜4週間 | 約1〜2週間(当時) |
| 養成課程講習会 | 実施あり | 実施なし |
| 現在の状況 | 保証認定を受付中 | 保証業務から撤退済み |
TSSの撤退後、保証認定を受けるにはJARDへの申請が唯一の選択肢となっています。JARDの保証認定について詳しくは「FPVドローン|JARDの保証認定を申請する手順」をご覧ください。
TSSの撤退の経緯と影響については「FPVドローン|TSSの保証認定を申請する手順」で解説しています。
保証認定の申請手順
保証認定の申請から開局までの流れを、Step形式で整理します。
Step 1: 系統図を準備する
保証認定の申請には、使用するVTX(または無線設備)の系統図が必要です。系統図とは、無線設備の回路構成をブロック図で示した図面です。
系統図には以下の情報を記載します。
- 送信機の構成(発振回路、変調回路、増幅回路、アンテナなど)
- 使用する周波数帯
- 送信出力
- 電波の型式(F8Wなど)
系統図の具体的な作成方法は「FPVドローン用VTXの系統図の書き方」で詳しく解説しています。
Step 2: 申請書類を作成する
保証認定の申請に必要な書類は以下のとおりです。
- 無線局免許申請書(電子申請Liteで作成した情報でも可)
- 無線設備の系統図
- 工事設計書(送信機の諸元を記載)
- アマチュア無線技士の免許証のコピー
工事設計書には、VTXの型番、周波数範囲、空中線電力、電波の型式などを正確に記載する必要があります。
Step 3: JARDに申請を提出する
書類が揃ったら、JARDのウェブサイトからオンラインで申請を提出します。JARDの保証認定はオンライン申請に対応しており、JARDの会員サイト「HAMtte(ハムって)」からの手続きが可能です。事前にHAMtteのアカウントを作成しておく必要があります。
Step 4: 審査・結果通知を受ける
申請後、JARDが書類を審査します。審査期間は書類に不備がない場合で約2〜4週間です。
書類に不備があると補正依頼がメールで届きます。補正依頼を受けた場合は、速やかに修正して再提出してください。系統図や工事設計書の記載に誤りがあると複数回のやり取りが発生し、審査期間が延びる可能性があります。
審査が完了すると、保証書(保証番号)が交付されます。
Step 5: 開局申請へ進む
JARDの保証認定が完了したら、保証番号を記載して総合通信局に無線局の開局申請を行います。開局申請の手続きは「FPVドローンに必要な免許|アマチュア無線+開局申請ガイド」で解説しています。
よくある質問
Q. 保証認定の費用はいくらかかる?
JARDの保証認定費用は、新規保証が5,500円(税込)、変更保証が3,300円(税込)です(2026年3月時点)。最新の費用はJARDの公式サイトで確認してください。
Q. 保証認定に有効期間はある?
保証認定自体に有効期間はありません。ただし、保証認定はあくまで開局申請時に技術基準への適合を保証するものです。無線局の免許の有効期間は5年間であり、再免許申請時に無線設備を変更する場合は改めて保証認定が必要になるケースがあります。
Q. 複数のVTXをまとめて1回の申請で保証認定を受けられる?
はい、1回の開局申請(または変更申請)で複数のVTXをまとめて保証認定を受けることが可能です。使用する全てのVTXについて系統図と工事設計書を準備し、申請書に記載してください。
Q. 保証認定を受ければどこでもVTXを使える?
保証認定を受け、無線局の免許が交付されれば、免許状に記載された条件の範囲内で使用可能です。ただし、アマチュア無線局として開局した場合はアマチュア業務(個人的な無線技術の興味による通信)の範囲内での使用に限られ、業務目的(商業利用)での使用は認められません。
まとめ
- 保証認定とは、技適のない無線設備が電波法の技術基準に適合していることを第三者機関が保証する制度
- FPVドローンのVTXを合法的に使うために事実上必須の手続き
- TSSの撤退後、保証認定を行っているのはJARDのみ(2024年4月以降)
- JARDの保証認定費用は新規5,500円(税込)、審査期間は約2〜4週間(2026年3月時点)
- 申請には系統図、工事設計書、免許証コピーなどの書類が必要
- 保証認定が完了したら総合通信局に開局申請を行い、免許状の交付を受ける
- JARDの保証認定手順は「FPVドローン|JARDの保証認定を申請する手順」を参照
- VTXの系統図の作成方法は「FPVドローン用VTXの系統図の書き方」を参照