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技適(技術基準適合証明)とは?わかりやすく解説

技適とは

技適(ぎてき)とは、技術基準適合証明の略称で、無線機器が日本の電波法で定められた技術基準に適合していることを証明する制度です。技適を取得した機器には技適マーク(郵便マークに似たマーク)が表示されます。

日本国内で無線機器(スマートフォン、Wi-Fiルーター、Bluetooth機器、ドローンなど)を使用するには、原則として技適マークが付いている機器を使わなければなりません。技適マークのない無線機器を日本国内で使用すると、電波法違反となり罰則の対象になります。

技術基準適合証明を受けた者は、当該証明に係る特定無線設備に総務省令で定める表示を付することができる。

― 電波法 第38条の7第1項

もう少し詳しく

技適が必要な理由

日本では、電波の利用は電波法によって厳しく規制されています。無線機器が発する電波の周波数、出力、変調方式などが基準に合わないと、他の無線通信に干渉(妨害)を起こす可能性があります。

たとえば、基準外の電波を出すWi-Fiルーターが近くにあると、正規のWi-Fi通信が途切れたり、極端な場合は航空管制や緊急通信に干渉する恐れもあります。技適制度は、このような電波の混信・妨害を防ぐための仕組みです。

技適の正式名称と関連制度

「技適」と呼ばれる制度は、厳密には以下の2つの制度の総称です。

制度名 対象 証明の単位
技術基準適合証明 特定無線設備(個々の機器) 1台ごとに証明
工事設計認証 特定無線設備(量産品の設計) 設計単位で認証

技術基準適合証明は、個々の無線設備が技術基準に適合していることを1台ずつ確認して証明する制度です。

工事設計認証は、量産品の設計(工事設計)が技術基準に適合していることを認証する制度です。工事設計認証を取得すると、その設計に基づいて製造された全ての機器に技適マークを表示できます。スマートフォンやWi-Fiルーターなど、大量に製造される製品は工事設計認証で対応するのが一般的です。

日常的に「技適」と言う場合、これら2つの制度をまとめて指しています。

技適マークとは

技適マークは、技術基準適合証明または工事設計認証を受けた無線設備に付される表示です。マークの形状は以下のとおりです。

  • 円の中に「T」の字が入ったデザイン(郵便マーク「〒」に似ている)
  • マークの近くに証明番号(認証番号)が記載されている

技適マークの表示方法は以下の3つがあります。

表示方法 説明
本体への刻印・シール 機器本体やバッテリー収納部に直接表示
画面上の電子表示 スマートフォンの設定画面など、電子的に表示
パッケージ・取扱説明書 外箱や付属文書に記載(本体にも表示が必要)

近年のスマートフォンでは、設定画面から技適マークと認証番号を確認できる電子表示が主流です。

技適の認証機関

技適の証明・認証を行える機関は、総務大臣が登録した登録証明機関です。代表的な認証機関は以下のとおりです。

認証機関 正式名称 特徴
TELEC テレコムエンジニアリングセンター 日本で最も多くの技適証明を行う機関
SGS SGSジャパン グローバルな認証サービスを提供
UL Japan ULジャパン 北米規格との同時認証が可能
DSP Research DSPリサーチ IoT機器の技適取得に強み

メーカーが技適を取得する際は、これらの認証機関に無線設備を持ち込み、技術基準への適合試験を受けます。

具体例

ケース1:海外通販でWi-Fiルーターを購入した場合

海外の通販サイトで購入したWi-Fiルーターに技適マークがない場合、日本国内での使用は違法です。たとえそのルーターが高性能で安価であっても、技適マークのない無線機器を使用すると電波法違反になります。

技適マークの有無は、機器の裏面やバッテリー収納部、設定画面などで確認できます。

ケース2:海外で購入したドローンの場合

海外で購入したドローンにも技適の問題があります。ドローンは操縦のために2.4GHz帯のWi-FiやBluetoothを使用しており、これらは無線設備に該当します。

技適マークのあるドローンであれば問題ありませんが、海外のみで販売されているドローンは技適を取得していない場合が多いです。この場合、日本国内での使用は電波法違反となります。

DJI、Autel、Skydioなど主要メーカーの日本向けモデルは技適を取得済みです。ただし、同じメーカーでも海外モデルと日本モデルでは技適の有無が異なる場合があるため、購入時に確認が必要です。

ケース3:FPVドローンのVTX(映像送信機)

FPVドローンで使用するVTX(映像送信機)は、5.7GHz帯や5.8GHz帯の電波を使用します。VTXは無線設備に該当しますが、技適を取得しているVTXは限られています

技適のないVTXを使用する場合は、アマチュア無線局として開局申請を行い、保証認定を受けるという別の手続きが必要です。詳しくは「FPVドローンに必要な免許|アマチュア無線+開局申請ガイド」をご覧ください。

技適の確認方法

方法1:機器本体で確認する

無線機器の裏面、バッテリー収納部、SIMトレイ付近などに技適マークと認証番号が刻印またはシールで表示されていることがあります。小型の機器では非常に小さく表示されている場合もあるため、注意深く確認してください。

方法2:画面上の電子表示で確認する

スマートフォンやタブレットでは、設定画面から技適マークを確認できます。

  • iPhone: 設定 > 一般 > 法律に基づく情報と認証 > 日本
  • Android: 設定 > デバイス情報 > 認証情報

ドローンの場合は、メーカーの専用アプリ(DJI Fly、Autel Explorerなど)から確認できることがあります。

方法3:総務省のデータベースで確認する

総務省は技適マークのデータベース(技術基準適合証明等の公示)を公開しています。認証番号がわかれば、このデータベースで以下の情報を検索できます。

  • 認証を受けた機器の名称
  • 認証を行った登録証明機関
  • 認証日
  • 使用する周波数帯
  • 空中線電力(出力)

データベースは総務省のウェブサイト(https://www.tele.soumu.go.jp/giteki/SearchServlet?pageID=js01)からアクセスできます。

方法4:メーカーに問い合わせる

技適マークが見つからない場合は、メーカーまたは販売店に直接問い合わせるのが確実です。特に海外メーカーの製品は、日本向けモデルのみ技適を取得している場合があるため、型番を伝えて技適の有無を確認してください。

技適がない機器を使うとどうなるか

電波法違反と罰則

技適マークのない無線設備を日本国内で使用した場合、電波法第4条の無線局の免許(技適による免許不要の特例を含む)に関する規定に違反します。

罰則は以下のとおりです。

電波法の規定に違反して無線局を開設した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

― 電波法 第110条第1号

1年以下の懲役または100万円以下の罰金と非常に重い罰則が定められています。

実際に摘発されるケース

総務省は電波監視を行っており、技適のない機器による不法電波が確認された場合は警告や告発が行われます。近年は以下のようなケースで摘発事例が増えています。

  • 海外製の無線機器をそのまま使用
  • 改造した無線機器(技適の効力が失われる)
  • 技適のないFPVドローン用VTXの使用

特にドローン関連では、FPVドローンの映像送信に技適のないVTXを使用するケースが問題視されています。

技適未取得の機器を合法的に使う方法

技適のない機器を日本で使いたい場合、以下の方法があります。

1. 技適の特例制度(訪日外国人向け)

訪日外国人が持ち込む無線機器は、入国から90日以内であれば技適がなくても使用できる特例があります(2016年5月施行)。ただし、これは外国人の短期滞在に限られ、日本居住者は対象外です。

2. 技適未取得機器を用いた実験等の特例制度

2019年11月に「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」が新設されました。この制度では、技適のない機器であっても届出を行えば180日間、実験・試験・調査の目的で使用できます。届出はオンラインで行えます。

ただし、この特例は実験・試験・調査の目的に限られ、日常的な使用は認められません。

3. 無線局免許を取得する

技適のない無線設備でも、無線局免許を取得すれば合法的に使用できます。FPVドローンのVTXがこのケースに該当します。アマチュア無線局として開局申請を行い、保証認定を受けることで、技適のないVTXでも合法的に使用可能です。

ドローンと技適の関係

ドローンに含まれる無線設備

一般的なドローンには、以下の無線設備が含まれています。

無線設備 使用周波数帯 用途
送信機(プロポ) 2.4GHz帯 ドローンの操縦
機体の受信機 2.4GHz帯 操縦信号の受信
Wi-Fi 2.4GHz帯 / 5GHz帯 映像伝送・設定変更
Bluetooth 2.4GHz帯 リモートID・接続
VTX(FPVドローン) 5.7GHz帯 / 5.8GHz帯 FPV映像送信

これらの無線設備には全て技適が必要です(アマチュア無線局として免許を受ける場合を除く)。

主要メーカーの技適対応状況

日本市場で販売されている主要メーカーのドローンは、原則として技適を取得済みです。

メーカー 技適対応 備考
DJI 日本向けモデルは取得済み 海外モデルは未取得の場合あり
Autel 日本向けモデルは取得済み 日本正規代理店から購入が確実
Skydio 日本向けモデルは取得済み 法人向けが中心
Parrot 日本向けモデルは取得済み 一部モデルは日本未発売

注意すべきは、海外の通販サイトやオークションサイトで購入した場合です。同じ型番でも日本向けモデルと海外向けモデルでは技適の有無が異なることがあります。日本の正規代理店から購入するのが最も確実です。

機体を改造した場合の技適

技適を取得済みのドローンであっても、無線部分を改造すると技適の効力が失われます。たとえば以下のような改造は技適の効力を失わせます。

  • アンテナの交換・改造
  • 送信出力の変更
  • 使用周波数帯の変更
  • 無線モジュールの交換

一方、プロペラの交換やカメラの交換など、無線部分に影響しない改造であれば技適は有効です。

技適の取得代行

メーカーが技適を取得するケース

通常、技適の取得は無線機器のメーカーが行います。個人ユーザーが自分で技適を取得することは稀です。メーカーは認証機関に機器を提出し、技術基準への適合試験を受けた上で技適マークを表示します。

個人や中小企業が技適を取得する場合

自作の無線機器や、海外から輸入した機器に技適を取得させたい場合は、以下の手順が必要です。

  1. 登録証明機関(TELECなど)に相談する
  2. 機器を持ち込み、技術基準への適合試験を受ける
  3. 適合が確認されれば証明書が発行される
  4. 技適マークと認証番号を機器に表示する

費用は機器の種類や試験内容によって異なりますが、数万円〜数十万円が目安です。個人で技適を取得するのは費用面でのハードルが高いため、実際には技適取得済みの機器を購入する方が現実的です。

行政書士への相談

技適に関連する手続き(特にFPVドローンのVTXに関するアマチュア無線局の開局申請など)は、電波法の知識が必要で複雑です。手続きに不安がある場合は、電波法に詳しい行政書士への相談も選択肢の一つです。

よくある質問

Q. 技適マークがなくてもWi-Fiは使える?

いいえ、日本国内では技適マークのない機器でWi-Fiを使用することは違法です。Wi-Fiは2.4GHz帯や5GHz帯の電波を使用する無線通信であり、電波法の規制対象です。

Q. Bluetoothイヤホンにも技適は必要?

はい、Bluetooth機器にも技適が必要です。日本で正規に販売されているBluetoothイヤホンは技適を取得済みですが、海外通販で購入した場合は未取得の可能性があります。

Q. 技適マークが消えてしまった場合はどうする?

機器本体のシールが剥がれたり、刻印が読めなくなったりしても、技適の効力自体は失われません。認証番号がわかれば総務省のデータベースで確認できます。認証番号がわからない場合はメーカーに問い合わせてください。

Q. 技適と技術基準適合証明は同じ?

ほぼ同じ意味で使われます。 正確には「技適」は技術基準適合証明と工事設計認証の総称ですが、日常会話では区別せずに「技適」と呼ぶのが一般的です。

Q. 海外で購入したスマートフォンに技適がない場合は?

日本国内での使用は原則として電波法違反になります。ただし、一部のメーカー(Appleなど)は海外モデルでも日本向けの技適を取得していることがあります。設定画面で技適マークの有無を確認してください。

Q. 技適のないドローンでも機体登録はできる?

機体登録自体は技適の有無にかかわらず可能です。しかし、技適のないドローンを日本国内で飛行させることは電波法違反となります。機体登録は航空法に基づく手続き、技適は電波法に基づく制度であり、管轄が異なります

関連する手続き

技適に関連する手続きは以下のとおりです。

まとめ

  • 技適(技術基準適合証明)とは、無線機器が電波法の技術基準に適合していることを証明する制度
  • 日本国内で無線機器を使うには原則として技適マークが必要
  • 技適マークは機器本体、画面の電子表示、または総務省のデータベースで確認できる
  • 技適のない機器を使用すると1年以下の懲役または100万円以下の罰金
  • ドローンの送信機・受信機・Wi-Fi・Bluetoothにも全て技適が必要
  • DJI・Autelなど主要メーカーの日本向けモデルは技適取得済み
  • 海外通販や海外モデルは技適がない可能性があるため要確認
  • 無線部分を改造すると技適の効力が失われる
  • FPVドローンのVTXはアマチュア無線局の免許で対応可能

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