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電波利用料とは?支払い義務と金額を簡単に解説

この記事でわかること

電波利用料とは、無線局の免許を受けた者が毎年国に納付する料金です。電波の適正な利用を確保するための施策に充てられる目的財源であり、無線局を持つ限り支払い義務があります。

この記事では、電波利用料の定義と制度の趣旨支払い義務者(無線局免許人)金額の一覧(アマチュア無線局、携帯電話基地局など種別ごと)、支払い方法滞納した場合の措置電波利用料の使い道を用語解説としてまとめます。

電波利用料の定義

制度の趣旨

電波利用料は、電波の適正な利用の確保に関する施策に要する費用を、無線局の免許人等に負担してもらう制度です。1993年(平成5年)に電波法の改正により導入されました。

免許人等は、電波利用料として、無線局の免許等の日から起算して三十日以内及びその後毎年その応当日(応当日がない場合は、その翌日。以下この条において同じ。)に、当該無線局の免許等の日又は応当日(以下この条において「応当日等」という。)から始まる各一年の期間について、別表第六の上欄に掲げる無線局の区分に従い同表の下欄に掲げる金額を国に納めなければならない。

― 電波法 第103条の2第1項

電波は有限かつ公共の資源です。すべての無線局が共通の電波資源を利用する以上、その管理・監視・技術研究等にかかる費用を利用者が公平に分担するという考え方に基づいています。

電波利用料の法的性格

電波利用料は税金ではありません。行政法上は「負担金」に分類されます。税金は一般財源に充てられますが、電波利用料は電波の適正利用のための施策にのみ使われる特定財源(目的財源)です。

比較項目 電波利用料 税金
法的性格 負担金 租税
使途 電波利用施策のみ(特定財源) 一般財源
支払い義務者 無線局免許人等 国民全般
根拠法 電波法 各税法

支払い義務者

誰が支払うのか

電波利用料の支払い義務者は、無線局の免許人等です。具体的には以下の者が該当します。

区分 具体例
無線局の免許人 アマチュア無線局の免許人、業務用無線局の免許人、放送局の免許人
登録局の登録人 登録局(デジタル簡易無線の登録局など)の登録を受けた者
包括免許の免許人 携帯電話事業者などの包括免許を受けた者

アマチュア無線局であれば開局した本人(免許人)が支払い義務者です。法人が業務用無線局を開設している場合はその法人が支払い義務者です。

支払い義務の発生時期

電波利用料の支払い義務は、無線局の免許の日(または登録の日)から発生します。免許を受けた日から30日以内に最初の1年分を納付し、その後は毎年、免許の応当日に1年分を納付します。

たとえば2026年4月1日に開局した場合、以下のスケジュールで支払います。

対象期間 納付期限
1年目 2026年4月1日〜2027年3月31日 2026年5月1日まで
2年目 2027年4月1日〜2028年3月31日 2027年5月1日まで
3年目以降 同上の繰り返し 同上の繰り返し

電波利用料の金額

無線局種別ごとの金額一覧

電波利用料の金額は、無線局の種別や出力によって異なります。電波法別表第六に定められており、代表的な無線局の金額は以下のとおりです。

無線局の種別 年額
アマチュア無線局 300円
簡易無線局(登録局) 450円
特定小電力無線局 免許不要のため電波利用料なし
携帯電話基地局(包括免許) 最大で数万円/局(出力・周波数帯により異なる)
放送局(テレビ・ラジオ) 出力・周波数帯により大幅に異なる
衛星通信の地球局 数千円〜数万円
船舶局 数百円〜数千円
航空機局 数百円〜数千円

アマチュア無線局の電波利用料

アマチュア無線局の電波利用料は年額300円です。この金額はすべてのアマチュア無線局に一律で適用され、以下の条件による違いはありません。

  • 資格の級(第一級〜第四級)による違いなし
  • 空中線電力(出力)の大小による違いなし
  • 使用周波数帯による違いなし
  • 運用形態(固定局・移動局)による違いなし

年額300円はすべての無線局種別の中で最も安い金額です。コンビニのコーヒー1杯程度の負担で、1年間無線局を運用できる計算です。

アマチュア無線の電波利用料について詳しくは「アマチュア無線の電波利用料|年額と支払い方法」をご覧ください。

FPVドローンと電波利用料

FPVドローンの5.8GHz帯VTXをアマチュア無線局として開局している場合、電波利用料は年額300円です。アマチュア無線局としての扱いなので、FPVドローンだからといって特別な金額が適用されることはありません。

携帯電話事業者の電波利用料

大手携帯電話事業者(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルなど)は、全国に数十万局の基地局を設置しているため、事業者全体で数百億円規模の電波利用料を納付しています。

携帯電話の電波利用料は基地局1局ごとに計算されるため、基地局が多い事業者ほど納付額が大きくなります。この点から、電波利用料の総額における携帯電話事業者の負担割合は非常に大きいのが現状です。

電波利用料の改定

電波利用料の金額は3年ごとに見直しが行われます。見直しの際には、電波利用料の使途となる施策の費用と、無線局数の推移を勘案して金額が改定されます。

直近の改定では、アマチュア無線局の電波利用料は300円に据え置きとなっています。

支払い方法

納付書による支払い

電波利用料の納付期限が近づくと、総合通信局から納付書(納入告知書)が郵送されます。納付書を使って以下の場所で支払えます。

支払い場所 備考
銀行・信用金庫等の金融機関 窓口で納付書を提示して支払い
郵便局(ゆうちょ銀行) 窓口で納付書を提示して支払い
インターネットバンキング Pay-easy対応の場合に利用可能

口座振替

口座振替を申し込むと、納付期限に自動的に口座から引き落とされます。支払い忘れを防ぐためには口座振替が最も確実です。

口座振替の申し込みは、総合通信局に「口座振替依頼書」を提出するか、電波利用ホームページから手続きできます。

前納

電波利用料は複数年分をまとめて前納することも可能です。前納する場合、一定の割引(前納報奨金)が適用される場合があります。ただし、アマチュア無線局の年額300円に対する前納の割引額はごくわずかです。

電子納付

2023年以降、電波利用料の電子納付(ペイジー等)にも対応が進んでいます。納付書に記載されたペイジー番号を使って、インターネットバンキングやATMから支払うことができます。

滞納した場合の措置

督促

電波利用料を納付期限までに支払わなかった場合、総合通信局から督促状が送付されます。督促状には新たな納付期限が設定されています。

電波利用料を納付すべき者が電波利用料を納付期限までに納めないときは、総務大臣は、督促状によりこれを督促しなければならない。

― 電波法 第103条の2第13項

延滞金

督促を受けた場合、延滞金が加算されます。延滞金の計算は、滞納日数に応じて以下のように定められています。

期間 延滞金の割合
納付期限の翌日から1ヶ月以内 年7.3%(特例基準割合+1%のいずれか低い方)
1ヶ月経過後 年14.6%(特例基準割合+7.3%のいずれか低い方)

アマチュア無線局の年額300円の場合、延滞金の金額はごく少額ですが、制度上は延滞金が発生します。ただし、延滞金の額が1,000円未満の場合は切り捨てとなるため、実際にはアマチュア無線局の滞納で延滞金が請求されることはほぼありません。

滞納処分

長期にわたり電波利用料を滞納し続けた場合、国税滞納処分の例に準じた滞納処分が行われる可能性があります。具体的には財産の差し押さえ等ですが、アマチュア無線局の年額300円程度で滞納処分に至るケースは現実的にはほとんどありません。

ただし、業務用無線局を多数保有する法人の場合、電波利用料の合計額が大きくなるため、滞納処分のリスクは現実的な問題です。

免許の取消し

電波利用料の滞納は、直接的に無線局免許の取消し事由にはなりません。ただし、督促に応じない場合は行政上の不利益処分を受ける可能性があり、また再免許申請時に滞納がある場合は審査に影響する場合があります。

電波利用料の使い道

電波利用共益費用

電波利用料は、電波の適正な利用の確保に関する施策のために使われます。主な使途は以下のとおりです。

使途 内容
電波の監視 不法無線局の探索、電波障害の調査、電波監視システムの整備
総合無線局管理ファイルの整備 無線局データベースの構築・運用
技術試験事務 無線設備の技術基準の策定に関する試験研究
電波の安全性調査 電波が人体に与える影響の調査研究
電波利用に関する研究開発 次世代無線技術の研究、周波数の有効利用に関する研究
リテラシーの向上 電波利用に関する周知・広報活動

電波利用料の収入規模

電波利用料の年間収入は約700億円〜750億円規模です。このうち、大部分は携帯電話事業者からの納付で構成されています。

アマチュア無線局の電波利用料は1局あたり年額300円であり、アマチュア無線局全体の納付額は電波利用料収入全体の中ではごく一部です。

電波利用料の見直しと議論

電波利用料は3年ごとに見直しが行われていますが、その使途や金額設定についてはさまざまな議論があります。

  • 携帯電話事業者の負担が大きすぎるのではないかという意見
  • 電波オークション制度の導入を求める議論(周波数帯の割当てに競争入札を導入する案)
  • アマチュア無線局の電波利用料を引き上げるべきかという議論
  • 電波利用料の使途が適正かという行政評価

これらの議論を踏まえて、総務省は定期的に電波政策ビジョンを策定し、電波利用料のあり方を見直しています。

電波利用料に関するよくある質問

Q. アマチュア無線局を廃局したら電波利用料は不要?

はい、廃局届を提出した日以降の電波利用料は不要です。ただし、廃局届を出すまでの期間の電波利用料は支払い義務があります。使わなくなった無線局は速やかに廃局届を提出しましょう。廃局届の手続きは「アマチュア無線の廃止届|手続きと注意点」をご覧ください。

Q. 電波利用料の支払いに領収書は出る?

金融機関窓口で支払った場合は納付書の控えが領収書の代わりになります。口座振替の場合は通帳への記帳が支払い証明になります。法人で経費処理する場合は、これらを保管しておいてください。

Q. 電波利用料を減免する制度はある?

一部の無線局(防災用無線局、研究用無線局など)には減免制度が設けられている場合がありますが、アマチュア無線局や一般の業務用無線局には減免制度は適用されません

Q. 電波利用料の金額は毎年変わる?

原則として3年ごとの見直しのタイミングで変更される可能性があります。毎年変わるわけではありません。見直しの結果、金額が据え置きとなることもあります。

Q. 技適マーク付きの機器にも電波利用料はかかる?

技適マーク付きの機器であっても、無線局の免許が必要な場合は電波利用料がかかります。ただし、免許不要局(特定小電力無線局、Wi-Fi端末、Bluetooth機器など)は免許を受けていないため、電波利用料は不要です。

Q. FPVドローンの電波利用料はいくら?

FPVドローンのVTXをアマチュア無線局として開局している場合は、アマチュア無線局の電波利用料年額300円です。

まとめ

  • 電波利用料は無線局免許人等が毎年国に納付する料金で、電波利用施策の財源(税金ではなく負担金)
  • アマチュア無線局は年額300円(全無線局で最も安い)
  • 支払い義務は免許の日から発生し、毎年の応当日に1年分を納付
  • 支払い方法は納付書、口座振替、電子納付など
  • 滞納すると督促状の送付、延滞金の加算の対象に
  • 電波利用料の主な使途は電波の監視、無線局管理、技術研究
  • FPVドローン(アマチュア無線局)の電波利用料も年額300円
  • アマチュア無線の電波利用料の詳細は「アマチュア無線の電波利用料|年額と支払い方法」を参照
  • 無線局免許の仕組みは「無線局免許とは?開局から廃局までの流れ」を参照

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