目次
この記事でわかること
Wi-Fi 6Eは、従来の2.4GHz帯・5GHz帯に加え、新たに6GHz帯を利用できるWi-Fi規格です。帯域幅が大幅に拡大し、より高速で安定した通信が可能になります。
この記事では、Wi-Fi 6Eの概要、免許不要で使える条件、日本での利用開始経緯、5GHz帯との違い、屋内限定の制約を解説します。
Wi-Fi 6Eとは
Wi-Fi 6Eは、Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)の拡張版であり、6GHz帯(5,925〜7,125MHz)を追加で利用できる規格です。「E」はExtended(拡張)を意味します。
| 項目 | Wi-Fi 6 | Wi-Fi 6E |
|---|---|---|
| 規格 | IEEE 802.11ax | IEEE 802.11ax(6GHz帯対応) |
| 利用周波数帯 | 2.4GHz / 5GHz | 2.4GHz / 5GHz / 6GHz |
| 追加帯域幅 | なし | 最大1,200MHz(6GHz帯) |
| チャンネル数 | 5GHz帯で最大25チャンネル | 6GHz帯で最大59チャンネル追加 |
| 最大通信速度 | 9.6Gbps | 9.6Gbps(帯域拡大により実効速度が向上) |
6GHz帯のメリット
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 広い帯域幅 | 最大1,200MHzの追加帯域で混雑を回避 |
| 多数のチャンネル | 160MHz幅のチャンネルを複数同時に利用可能 |
| 低干渉 | 新しい帯域のため、既存機器からの干渉が少ない |
| 低遅延 | 帯域に余裕があるため、遅延が小さい |
日本での利用開始経緯
Wi-Fi 6Eの6GHz帯利用は、国によって解禁時期が異なります。
| 国・地域 | 解禁時期 | 利用可能帯域 |
|---|---|---|
| アメリカ | 2020年 | 5,925〜7,125MHz(1,200MHz幅) |
| EU | 2021年 | 5,925〜6,425MHz(500MHz幅、屋内限定) |
| 日本 | 2022年9月 | 5,925〜6,425MHz(500MHz幅、屋内限定) |
| 韓国 | 2021年 | 5,925〜7,125MHz(1,200MHz幅) |
日本では、2022年9月に総務省が6GHz帯の一部(5,925〜6,425MHz)を屋内限定で免許不要局として利用可能とする制度改正を行いました。
日本で利用可能な帯域
| 帯域 | 周波数範囲 | 利用条件 |
|---|---|---|
| 低電力屋内利用 | 5,925〜6,425MHz(500MHz幅) | 屋内限定、技適取得端末のみ |
アメリカや韓国では1,200MHz幅が解放されていますが、日本では現時点で500MHz幅(屋内限定)にとどまっています。残りの6,425〜7,125MHz帯の開放については今後の検討課題とされています。
免許不要で使える条件
Wi-Fi 6Eは、以下の条件を全て満たせば免許不要で利用できます。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 技適マークの取得 | Wi-Fi 6E対応機器が日本の技適(技術基準適合証明)を取得していること |
| 屋内利用限定 | 屋内でのみ利用可能。屋外での使用は認められていない |
| 出力制限 | 規定の送信出力以下であること(200mW以下) |
| AFC非対応の場合 | 屋内の低電力利用に限定 |
技適マークの重要性
Wi-Fi 6Eの6GHz帯を利用するには、機器が日本の技適を取得していることが必須です。海外で販売されているWi-Fi 6E対応機器であっても、日本の技適が付いていなければ日本国内では使用できません。
技適マークが付いていない無線機器を使用すると、電波法違反(1年以下の懲役または100万円以下の罰金)となります。
技適マークの確認方法は「技適マークとは?確認方法と技適なし機器の扱い」をご覧ください。
5GHz帯Wi-Fiとの違い
Wi-Fi 6Eの6GHz帯と、従来の5GHz帯Wi-Fiの違いを整理します。
| 項目 | 5GHz帯(Wi-Fi 5/6) | 6GHz帯(Wi-Fi 6E) |
|---|---|---|
| 周波数範囲 | 5,150〜5,725MHz | 5,925〜6,425MHz(日本) |
| 帯域幅 | 約575MHz | 500MHz(日本の開放帯域) |
| チャンネル幅 | 最大160MHz | 最大160MHz |
| DFS(レーダー回避) | 一部チャンネルで必要 | 不要 |
| 屋外利用 | 条件付きで可能 | 屋内限定 |
| 既存機器の干渉 | 多数の機器が混在 | 新しい帯域のため干渉が少ない |
DFS不要のメリット
5GHz帯では一部のチャンネルでDFS(Dynamic Frequency Selection)というレーダー回避機能が必要です。DFS対応チャンネルでは、レーダー検知時に自動的にチャンネルを変更するため、一時的な通信断が発生する場合があります。
6GHz帯ではDFSが不要であるため、このような通信断が発生せず、より安定した通信が実現します。
屋内限定の制約
日本でWi-Fi 6Eの6GHz帯を利用する場合、最も重要な制約は屋内限定であることです。
屋外で使えない理由
6GHz帯は、日本では既存の固定マイクロ波通信や衛星通信にも使われている周波数帯です。屋外でWi-Fi機器を使用すると、これらの既存サービスへ干渉を与える可能性があるため、屋内限定とされています。
屋内・屋外の判断基準
| 場所 | 利用可否 |
|---|---|
| 建物の中(オフィス、住宅、商業施設) | 利用可能 |
| 建物の屋上 | 利用不可(屋外扱い) |
| ベランダ・テラス | 原則利用不可(屋外扱い) |
| 自動車の中 | 利用不可(移動体のため) |
| 窓際(電波が屋外に漏れる場合) | 注意が必要 |
AFC(Automated Frequency Coordination)
将来的に屋外利用を可能にする技術として、AFC(自動周波数調整システム)の導入が検討されています。AFCは、既存の無線局との干渉を自動的に回避する仕組みであり、これが導入されれば屋外での6GHz帯Wi-Fi利用が一部解禁される可能性があります。
よくある質問
Q. Wi-Fi 6E対応ルーターを買えばすぐに6GHz帯を使える?
日本の技適を取得した機器であれば、屋内で利用可能です。ルーター(アクセスポイント)と接続する端末(PC、スマートフォン等)の両方がWi-Fi 6Eに対応し、技適を取得している必要があります。
Q. Wi-Fi 7(802.11be)との関係は?
Wi-Fi 7も6GHz帯を利用します。Wi-Fi 7はWi-Fi 6Eの後継規格であり、6GHz帯の活用をさらに進化させた規格です。Wi-Fi 6Eで確保された6GHz帯は、Wi-Fi 7でも引き続き利用されます。
Q. 海外で購入したWi-Fi 6E機器を日本で使えるか?
日本の技適マークが付いていなければ使えません。海外のFCC認証やCEマーキングは日本の技適の代替にはなりません。電波法違反となる可能性があるため、必ず日本の技適取得済み機器を使用してください。
Q. ドローンの映像伝送に6GHz帯は使える?
現時点では、ドローンでの6GHz帯利用は想定されていません。Wi-Fi 6Eの6GHz帯は屋内限定であり、屋外を飛行するドローンの映像伝送には利用できません。ドローンの周波数帯については電波法の規定に従う必要があります。
まとめ
Wi-Fi 6Eの6GHz帯利用のポイントは以下のとおりです。
- Wi-Fi 6Eとは: 6GHz帯(5,925〜6,425MHz)を追加で利用できるWi-Fi規格
- 免許不要の条件: 技適取得済み機器を屋内で利用する場合に限り免許不要
- 屋内限定: 屋外での6GHz帯Wi-Fi利用は認められていない
- DFS不要: 5GHz帯と異なりレーダー回避が不要で安定した通信
- 技適必須: 海外製の技適なし機器は日本国内では使用不可
技適マークの詳細は「技適マークとは?確認方法と技適なし機器の扱い」、電波法の基本は「電波法とは?基本の仕組みをわかりやすく解説」をご覧ください。電波利用料については「電波利用料とは?金額一覧と納付方法を解説」をご覧ください。