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この記事でわかること
電気通信事業の届出を完了した後も、事業者には電気通信事業法に基づく継続的な義務が複数発生します。届出が終わったことで安心してしまい、その後の義務対応を怠ると罰則の対象になる場合があります。
この記事では、電気通信事業の届出完了後に必要な義務の一覧と対応のポイントを解説します。届出手続きの基本は「電気通信事業の届出が必要なケース|SaaS・Webサービス向け」をご覧ください。
届出後の義務一覧
電気通信事業者として届出を完了した後に対応が必要な主な義務は以下のとおりです。
| 義務の種類 | 法的根拠 | タイミング |
|---|---|---|
| 利用者への説明義務 | 電気通信事業法 第26条 | サービス提供時(継続) |
| 通信の秘密の保護 | 電気通信事業法 第4条 | 常時(継続) |
| 利用者情報の適切な取扱い | 電気通信事業法 第27条の3等 | 常時(継続) |
| 重大事故の報告 | 電気通信事業法 第28条 | 重大事故発生時 |
| 業務報告書の提出 | 電気通信事業法 第166条 | 毎年度(対象事業者のみ) |
| 変更届出 | 電気通信事業法 第16条第2項 | 届出内容の変更時 |
| 廃止届出 | 電気通信事業法 第18条 | 事業廃止時 |
| 電気通信番号の管理 | 電気通信事業法 第52条等 | 番号を使用する場合 |
利用者への説明義務
概要
電気通信事業者は、提供するサービスについて利用者が契約を判断するのに必要な情報を適切に説明する義務があります。
電気通信事業者は、利用者(電気通信役務の提供を受ける者をいう。)に対し、(中略)その契約に係る重要な事項について、(中略)説明しなければならない。
― 電気通信事業法 第26条第1項
説明すべき主な項目
- サービスの内容(提供する電気通信役務の種類・機能)
- 料金(月額・初期費用・追加費用等)
- 通信速度・品質に関する情報
- 利用制限・禁止事項
- 解約条件・解約方法
- 障害時の対応・補償の有無
実務上は利用規約・サービス説明ページで対応しているケースが多いですが、利用規約の内容が不十分だと説明義務を果たしていないとみなされる可能性があります。
通信の秘密の保護
概要
電気通信事業法の根幹となる義務です。利用者の通信内容・通信の事実を正当な理由なく取得・漏洩・妨害することは禁止されています。
電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密は、侵してはならない。
― 電気通信事業法 第4条第1項
実務上の注意点
- 通信ログの取扱い: アクセスログ・通信内容のログを第三者に提供する場合は、法的根拠(裁判所命令・捜査機関からの照会等)が必要
- 社内でのアクセス管理: 通信内容へのアクセスを必要最小限の担当者に限定する
- 第三者提供の禁止: 利用者の同意なく通信の内容・事実を第三者に提供してはならない
利用者情報の取扱い義務(外部送信規律)
2023年6月の電気通信事業法改正により、利用者端末に保存されている情報を外部送信する場合の規律(外部送信規律)が導入されました。
具体的には、Cookie・端末固有ID・行動履歴等の情報を外部に送信するサービスに対して、送信する情報の内容・送信先・利用目的等を利用者に明示することが義務付けられました。
利用者情報の取扱い義務の詳細は「電気通信事業者の利用者情報の取扱い義務」をご覧ください。
重大事故の報告義務
概要
電気通信事業者は、サービスに重大な事故が発生した場合、総務省への報告が義務付けられています。
電気通信事業者は、電気通信役務の提供に関する重大な事故が生じたときは、その旨を総務大臣に報告しなければならない。
― 電気通信事業法 第28条
報告が必要な重大事故の基準
重大事故に該当するかどうかは、電気通信事業法施行規則に定める影響利用者数・継続時間・サービスの種類の組み合わせで判断します。
- 不特定多数の利用者に影響を及ぼす長時間の通信障害
- 医療・交通等の社会インフラに関係するサービスの障害
具体的な基準は総務省の定める規則・ガイドラインを確認してください。速報は事故発生後24時間以内、詳報はその後30日以内に提出することとされています(※最新の報告期限は総務省電波利用ホームページでご確認ください)。
業務報告書の提出
対象事業者
一定規模以上の電気通信事業者は、毎事業年度終了後に業務報告書を総務大臣に提出する義務があります。対象となる事業者の要件は電気通信事業法施行規則に定められています。
小規模な第二種電気通信事業者(届出事業者)については、報告書提出義務の対象外となる場合があります。自社が対象かどうかは管轄の総合通信局または総務省のWebサイトで確認してください。
変更届出
届出内容に変更があった場合、変更届出が必要です。変更届出が必要な主なケースは以下のとおりです。
| 変更内容 | 届出の要否 |
|---|---|
| 代表者の変更 | 必要 |
| 本店所在地の変更 | 必要 |
| 商号・名称の変更 | 必要 |
| 提供するサービスの内容変更(追加・廃止) | 必要 |
| ネットワーク構成の大幅な変更 | 必要 |
変更届出の手続きの詳細は「電気通信事業の変更届出|届出内容に変更があった場合」をご覧ください。
変更届出の提出期限は原則として変更後遅滞なくとされています。変更が生じたら速やかに手続きを行ってください。
廃止届出
電気通信事業を廃止する場合は廃止届出が必要です。
届出電気通信事業者は、その届出に係る電気通信事業を廃止したときは、(中略)総務大臣に届け出なければならない。
― 電気通信事業法 第18条第1項
廃止届出を行わないと、届出事業者としての義務が継続します。廃止届出の手続きは「電気通信事業の廃止届出|手続きと提出書類」をご覧ください。
媒介等業務受託者への対応
他の電気通信事業者から通信の媒介等を受託して事業を行う場合(媒介等業務受託者)は、別途媒介等業務届出が必要になる場合があります。媒介等業務届出については「媒介等業務届出の手続きと対象範囲」をご覧ください。
よくある質問
Q. 届出後に会社名が変わった場合は何が必要?
商号の変更は変更届出の対象です。変更が生じた日から遅滞なく変更届出を提出してください。合わせて、利用規約やサービス説明ページの名称も更新する必要があります。
Q. 副業でサービスを提供している場合も義務はある?
あります。 電気通信事業法は届出事業者に対して一律に義務を課しており、副業・本業の区別はありません。届出を行った以上、法に定める義務への対応が必要です。
Q. 重大事故でない小さな障害は報告不要?
報告が義務付けられるのは法令上の基準を満たす重大事故に限られます。軽微な障害は任意報告・情報提供という位置づけになります。ただし、利用者への案内(障害情報の公表)は信頼維持の観点から望ましい対応です。
Q. 個人事業主として届出した場合も同じ義務がある?
同じです。 法人・個人を問わず、届出事業者に課される義務は共通です。
まとめ
電気通信事業の届出後に必要な主な対応は以下のとおりです。
- 利用者への説明義務: 利用規約・サービス説明ページを整備する
- 通信の秘密の保護: 通信内容・ログの取扱いを適切に管理する
- 外部送信規律への対応: Cookie等の外部送信に関する情報開示を行う
- 重大事故報告: 基準に該当する事故が発生したら速やかに報告する
- 変更届出: 届出内容に変更があれば遅滞なく届出する
- 廃止届出: 事業廃止時は届出を忘れずに行う
電気通信事業届出に関するその他の手続きは「電気通信事業の変更届出|届出内容に変更があった場合」「電気通信事業の廃止届出|手続きと提出書類」をご覧ください。無線局を開設している事業者は、届出後の義務に加えて電波利用料の支払いも必要です。詳しくは「電波利用料とは?金額と支払い方法を一覧で解説」をご覧ください。