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落成検査の流れと合格のポイント

この記事でわかること

無線局の免許を受けるには、原則として落成検査に合格する必要があります。落成検査とは、無線設備が電波法の技術基準に適合しているかを総合通信局が現地で確認する検査です。

この記事では、落成検査の法的根拠・検査の流れ・検査項目・合格のポイント・不合格時の対応を解説します。

落成検査とは

法的根拠

落成検査は、電波法第10条に規定されています。

第10条 免許を与えたときは、総務大臣は、総務省令で定める場合を除き、免許人に対し、遅滞なく、当該無線局の無線設備の工事が落成した旨の届出をすべき期限を指定する。

― 電波法 第10条第1項

免許申請が審査を通過すると、総務大臣は予備免許を付与します。予備免許を受けた申請者は、無線設備の工事を完成させ、工事落成届を提出します。その後、総合通信局の職員が現地を訪問して落成検査を実施します。

免許交付までの全体の流れ

段階 内容
1. 免許申請 総合通信局に免許申請書を提出
2. 審査 申請内容を総合通信局が審査
3. 予備免許 審査通過後、予備免許を付与
4. 工事 予備免許の内容に従い無線設備を設置
5. 工事落成届 工事完了を届け出る
6. 落成検査 総合通信局の職員が現地で検査
7. 免許交付 検査合格後、免許状を交付

免許申請の詳細は「無線局免許の申請方法|種類と手続きの流れ」をご覧ください。

落成検査が省略されるケース

以下のケースでは、落成検査が省略されることがあります。

ケース 根拠 具体例
技適マーク付き無線設備 電波法 第10条ただし書 技適取得済みのトランシーバー
適合表示無線設備のみで構成 無線局免許手続規則 技適マーク付きのアマチュア無線機
登録検査等事業者の検査を受けた場合 電波法 第24条の2 登録検査等事業者による点検結果を添付
特定無線局(包括免許) 電波法 第27条の2 携帯電話端末

技適マークについては「技適マークとは」で詳しく解説しています。

登録検査等事業者の活用

登録検査等事業者とは、総務大臣の登録を受けた民間の検査機関です。登録検査等事業者に無線設備の点検を依頼し、その点検結果を添付して工事落成届を提出すると、落成検査の一部または全部が省略される場合があります。

登録検査等事業者が総務省令で定めるところにより行つた当該無線設備等の検査の結果を記載した書類を添えて(中略)届出をしたときは、(中略)検査の一部を省略することができる。

― 電波法 第24条の2第1項(趣旨)

落成検査の検査項目

落成検査では、以下の項目が確認されます。

書類検査

確認項目 内容
無線局免許状(予備免許通知書) 予備免許の内容との整合性
工事設計書 申請時の工事設計との一致
無線従事者免許証 選任された無線従事者の資格
無線業務日誌 備え付けの有無
時計 無線局に備え付ける時計の確認

電気的特性の検査

検査項目 確認内容
周波数 許可された周波数で発射されているか
空中線電力 許可された空中線電力の範囲内か
占有周波数帯幅 規定値以内か
スプリアス発射 不要な電波の発射が基準値以内か
変調特性 規定された変調方式で動作しているか

機械的・構造的な検査

検査項目 確認内容
空中線(アンテナ) 申請どおりの型式・設置状況か
無線設備の設置状況 工事設計書どおりに設置されているか
接地(アース) 適切に接地されているか
電源設備 安定した電源供給がされているか

運用に関する検査

検査項目 確認内容
通信の確認 実際に通信が正常に行えるか
呼出符号の送出 正しいコールサインで送出できるか
無線従事者の配置 適切な資格者が選任されているか

落成検査の当日の流れ

Step 1: 検査官の来訪

総合通信局から検査日時が事前に通知されます。当日、検査官(総合通信局の職員)が無線局の設置場所を訪問します。

Step 2: 書類の確認

まず予備免許通知書・工事設計書・無線従事者免許証などの書類確認が行われます。書類に不備がある場合は、その場で指摘を受けます。

Step 3: 無線設備の外観検査

無線設備の設置状況、アンテナの状態、接地の状況など、目視による外観検査が行われます。

Step 4: 電気的特性の測定

検査官が測定器を使用して、周波数・空中線電力・スプリアス発射などの電気的特性を測定します。

Step 5: 通信試験

実際に電波を発射し、通信が正常に行えるかを確認します。

Step 6: 検査結果の通知

検査完了後、合格・不合格の結果が通知されます。合格の場合は、後日無線局免許状が交付されます。

合格のためのポイント

事前準備のチェックリスト

落成検査に合格するために、以下の事項を事前に確認しておきましょう。

  • 工事設計書の内容と実際の設備が一致しているか
  • 無線従事者免許証の原本を手元に用意しているか
  • 無線業務日誌を備え付けているか
  • 時計を備え付けている
  • アンテナの設置場所・方向が申請内容と一致しているか
  • 電源設備が安定して稼働しているか
  • 接地(アース)が適切に施工されているか

よくある不合格の原因

不合格の原因 対策
空中線電力の超過 測定器で事前に確認する
スプリアス発射の超過 フィルターの設置・調整
工事設計との不一致 設備の変更があれば事前に変更申請
書類の不備 必要書類のチェックリストで確認
無線従事者の不在 検査当日に必ず立ち会う

登録検査等事業者の事前点検

検査に不安がある場合は、登録検査等事業者に事前点検を依頼することが有効です。事前点検で問題が見つかれば、落成検査の前に修正できます。また、登録検査等事業者の点検結果を添付することで、落成検査の一部省略が認められる場合もあります。

不合格の場合の対応

不合格通知を受けた場合

落成検査で不合格となった場合、指摘事項を改善したうえで再度工事落成届を提出し、再検査を受ける必要があります。

検査に合格しないときは、免許を与えない。

― 電波法 第12条(趣旨)

予備免許の有効期間に注意

予備免許には有効期間(工事落成の届出期限)が定められています。この期間内に工事を完成させ、落成検査に合格しなければ、予備免許が失効します。有効期間内に工事が完成しない場合は、期限延長の申請が可能です。

定期検査との違い

落成検査は新規開設時の検査ですが、無線局の運用開始後も定期検査が実施されます。

比較項目 落成検査 定期検査
実施時期 免許交付前 免許交付後、定期的に
目的 新設の無線設備の適合確認 運用中の設備の維持確認
根拠条文 電波法 第10条 電波法 第73条
不合格時 免許が交付されない 改善命令等の行政処分

定期検査の詳細は「無線局検査」をご覧ください。

まとめ

落成検査のポイントは以下のとおりです。

  • 落成検査は無線局の免許交付前に行われる技術基準の適合確認検査
  • 技適マーク付き設備や登録検査等事業者の点検を活用すれば検査が省略される場合がある
  • 検査項目は書類・電気的特性・構造・運用の4分野
  • 工事設計書と実際の設備の一致が最も重要
  • 不合格の場合は指摘事項を改善して再検査を受ける
  • 予備免許の有効期間内に合格する必要がある

落成検査の準備や書類作成に不安がある場合は、電波法に精通した行政書士にご相談ください。

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