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レーダー局の免許申請|気象・港湾レーダーの手続き

この記事でわかること

レーダー(RADAR: Radio Detection And Ranging)は、電波を発射して物体からの反射波を受信することで、対象物の位置・距離・速度などを測定する装置です。気象観測、港湾監視、航空管制、船舶航行など幅広い分野で使われており、その運用には電波法に基づく無線局免許(レーダー局の免許)が必要です。

この記事では、レーダー局の制度概要、種類ごとの手続き、免許申請の流れ、必要書類、費用を行政書士の視点からわかりやすく解説します。

レーダー局の法的位置づけ

レーダー局は、電波法上「無線局」の一種として位置づけられています。電波を発射する設備である以上、原則として総務大臣の免許が必要です。

無線局を開設しようとする者は、総務大臣の免許を受けなければならない。

― 電波法 第4条

レーダー局は電波法施行規則で「無線測位局」の一類型として定義されています。無線測位とは、電波の伝搬特性を利用して位置の決定や位置に関する情報の取得を行う業務です。

項目 内容
法律上の分類 無線測位局(無線標定局を含む)
根拠法 電波法、電波法施行規則
免許権者 総務大臣(各総合通信局が窓口)
技術基準 無線設備規則に定める技術基準に適合すること
有効期間 原則5年

レーダー局の種類

レーダーは利用目的によって以下のように分類されます。

種類 主な用途 使用周波数帯の例
気象レーダー 降雨・降雪の観測、気象予報 Cバンド(5GHz帯)、Xバンド(9GHz帯)
港湾レーダー 船舶の航行監視、港湾の安全管理 Sバンド(3GHz帯)、Xバンド(9GHz帯)
船舶レーダー 航行中の障害物検知、衝突防止 Sバンド、Xバンド
航空用レーダー 航空管制、航空機の位置把握 Lバンド(1GHz帯)、Sバンド
速度測定レーダー 車両の速度取締り Kバンド(24GHz帯)など
産業用レーダー 工場・倉庫の自動化、センシング ミリ波帯(60GHz、79GHz帯など)

免許申請の手順

レーダー局の免許申請は、一般的な無線局免許申請と同様の流れをたどりますが、レーダー特有の注意点があります。

Step 1: 事前検討と総合通信局への相談

レーダー局を開設する前に、以下の事項を検討します。

  • 利用目的: どのような測定・観測を行うか
  • 設置場所: レーダーの設置位置と観測範囲
  • 使用周波数帯: 目的に適した周波数帯の選定
  • 出力: 必要な送信出力の検討
  • 既存無線局との干渉: 設置場所周辺の無線局との干渉可能性

特に気象レーダーや港湾レーダーのように大出力のレーダーを設置する場合は、周辺の無線局との干渉調整が重要です。管轄の総合通信局に事前相談することを強く推奨します。

Step 2: 申請書類の作成

レーダー局の免許申請には、以下の書類が必要です。

書類 内容
無線局免許申請書 申請者情報、無線局の種別(無線測位局)等
無線局事項書 運用条件、設置場所、運用時間帯
工事設計書 レーダーの技術的仕様(送信出力、パルス幅、アンテナ利得等)
設置場所の図面 レーダーの設置位置を示す地図・建物図面
アンテナの指向特性 アンテナパターンを示す資料
干渉調整結果 周辺の無線局との干渉調整の結果(必要な場合)

工事設計書には、レーダー固有の技術的パラメータを記載する必要があります。具体的にはパルス繰り返し周波数(PRF)、パルス幅、占有周波数帯幅、アンテナ回転速度などが含まれます。

Step 3: 総合通信局への提出

申請書類を管轄の総合通信局に提出します。提出方法は以下のとおりです。

提出方法 備考
電子申請 総務省「電波利用 電子申請・届出システム Lite」を利用
書面申請 管轄の総合通信局の窓口に持参または郵送

電子申請を利用すると、申請手数料が軽減される場合があります。

Step 4: 審査

総合通信局において以下の観点から審査が行われます。

  • 周波数の割当て可能性: 申請周波数帯が利用可能か
  • 技術基準適合性: 無線設備規則の技術基準に適合するか
  • 他の無線局への影響: 干渉が生じないか
  • 申請者の適格性: 電波法の欠格事由に該当しないか

Step 5: 予備免許の交付

審査に通過すると予備免許が交付されます。予備免許には、使用周波数、送信出力、設置場所などの条件が指定されます。予備免許を受けた後、指定された条件に従ってレーダー設備を設置します。

Step 6: 落成検査

レーダー設備の設置が完了したら、落成検査を受けます。落成検査では、設備が予備免許の条件どおりに設置されているか、技術基準に適合しているかが確認されます。

免許を受けた者は、無線局の目的、通信の相手方、通信事項、放送事項、放送区域、無線設備の設置場所若しくは基幹放送の業務に用いられる電気通信設備を変更し、又は無線設備の変更の工事をしようとするときは、あらかじめ総務大臣の許可を受けなければならない。

― 電波法 第17条第1項

Step 7: 本免許の交付

落成検査に合格すると、本免許が交付されます。本免許の有効期間は原則として5年です。

種類別の手続き上の注意点

気象レーダー

気象レーダーは気象庁や地方自治体が運用するケースが多く、以下の特徴があります。

  • 大出力(数百kW級のピーク出力)のため、干渉調整が特に重要
  • Cバンド(5GHz帯)Xバンド(9GHz帯)を使用
  • 気象業務法に基づく気象測器の検定が別途必要な場合がある
  • 設置場所の選定にあたり、地形による電波の遮蔽を考慮する必要がある

港湾レーダー

港湾監視用のレーダーは、港湾管理者(港湾局や自治体)が開設するケースが一般的です。

  • VTS(Vessel Traffic Service)の一環として運用される場合が多い
  • SOLAS条約との整合性を考慮した設備仕様が求められる
  • 24時間運用が前提のため、無線従事者の配置計画も重要

船舶レーダー

船舶に搭載するレーダーは、船舶局の一部として免許されるケースと、単独のレーダー局として免許されるケースがあります。

  • 船舶安全法に基づく船舶検査の対象にもなる
  • GMDSS(全世界的な海上遭難安全制度)との関係に注意
  • 型式検定に合格した機器を使用することが一般的

費用

レーダー局の免許申請にかかる費用の目安は以下のとおりです。

費用項目 金額の目安
免許申請手数料(収入印紙) 3,550円〜(空中線電力による)
落成検査手数料 17,000円〜(設備規模による)
電波利用料(年額) 周波数帯・出力により異なる
登録検査等事業者による検査費用 数十万円〜(設備規模による)

電波利用料について

レーダー局の電波利用料は、使用する周波数帯と空中線電力によって異なります。電波利用料の詳細は「電波利用料とは?金額一覧と納付方法を解説」をご確認ください。

無線従事者の配置

レーダー局の運用には、無線従事者の配置が原則として必要です。必要な資格は無線局の規模や用途によって異なります。

レーダーの種類 必要な資格の例
気象レーダー 第一級陸上特殊無線技士以上
港湾レーダー 第一級陸上特殊無線技士以上
船舶レーダー 第一級海上特殊無線技士以上
小規模レーダー 第三級陸上特殊無線技士以上(出力による)

無線従事者の制度については「無線従事者とは?資格の種類と取得方法を解説」をご覧ください。

免許の更新(再免許)

レーダー局の免許の有効期間は原則5年であり、引き続き運用する場合は再免許の申請が必要です。

項目 内容
申請時期 有効期間満了の6か月前から1か月前まで
必要書類 再免許申請書、無線局事項書、工事設計書(変更がある場合)
審査内容 設備の現状、技術基準への適合状況

再免許の申請を怠ると免許が失効し、レーダーの運用ができなくなります。有効期限の管理は特に重要です。

行政書士に依頼するメリット

レーダー局の免許申請は、技術的なパラメータの記載や干渉調整など、専門知識が求められる手続きです。特に以下のようなケースでは、行政書士への依頼が有効です。

  • 初めてレーダー局を開設する場合: 申請書類の作成から落成検査まで一貫してサポート
  • 干渉調整が必要な場合: 周辺の無線局との調整を代行
  • 複数局を同時に申請する場合: 効率的な申請手続きを実現
  • 再免許の期限管理: 有効期限の管理と更新手続きの代行

行政書士への代行依頼の費用感については「特殊無線・実験局の行政書士代行|費用と依頼の流れ」をご参照ください。

まとめ

レーダー局の免許申請について、要点を整理します。

項目 内容
免許の必要性 レーダー局の開設には総務大臣の免許が必要
申請先 管轄の総合通信局
主な書類 免許申請書、工事設計書、設置場所図面
有効期間 原則5年(再免許で更新)
費用 申請手数料+落成検査手数料+電波利用料(年額)
無線従事者 規模に応じた資格の無線従事者を配置

レーダーの種類(気象・港湾・船舶など)によって手続きの詳細は異なりますが、事前の総合通信局への相談と十分な干渉調整が申請をスムーズに進めるポイントです。技術的に複雑な案件ほど、専門家である行政書士の活用をご検討ください。

無線局免許の一般的な申請手続きについては「無線局免許の申請方法を解説|必要書類・費用・手順」も合わせてご覧ください。レーダー局を含む無線局免許の全体的な仕組みについて理解を深めたい方は、こちらの記事をご確認ください。

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