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無線局免許の申請方法|種類と手続きの流れ

この記事でわかること

電波法では、無線局を開設するには原則として総務大臣の免許が必要です。しかし、「無線局免許」と一口に言っても、アマチュア無線局、基地局、陸上移動局、実験試験局など種類は多岐にわたり、手続きの流れも異なります。

この記事では、無線局免許の種類の全体像免許が必要な無線局と不要な無線局の違い申請から免許交付までの流れ電子申請の方法、必要書類、費用までまとめて解説します。

無線局免許とは

無線局免許とは、電波法に基づいて総務大臣(総合通信局)から交付される、無線局を開設・運用するための許可です。

無線局を開設しようとする者は、総務大臣の免許を受けなければならない。

― 電波法 第4条

電波は有限の資源であるため、無秩序に電波を発射すると混信が発生し、他の通信に支障をきたします。無線局免許制度は、電波の利用を秩序立てて管理する仕組みです。

無線局の種類

電波法で定められている主な無線局の種類は以下のとおりです。

無線局の種類 概要 具体例
アマチュア局 個人的な無線技術の興味を目的とする アマチュア無線、FPVドローン(趣味用)
基地局 陸上移動局と通信する固定局 携帯電話の基地局
陸上移動局 陸上を移動する無線局 タクシー無線、業務用ドローンのVTX
固定局 特定の場所に設置する無線局 中継局、マイクロ波通信局
船舶局 船舶に設置する無線局 船舶無線
航空機局 航空機に設置する無線局 航空無線
実験試験局 科学・技術の発達のための実験 研究開発用の無線局
特定実験試験局 新たな電波利用の実験 次世代通信技術の実証実験
簡易無線局 簡易な業務用通信 デジタル簡易無線(免許局)

免許が不要な無線局

以下の条件に該当する場合は、無線局の個別免許が不要です。

条件 根拠 具体例
発射する電波が著しく微弱 電波法 第4条第1号 微弱無線機器
技適マーク付きの小電力無線設備 電波法 第4条第3号 Wi-Fi、Bluetooth、技適付きドローン送信機
登録局(免許ではなく登録が必要) 電波法 第27条の18 デジタル簡易無線(登録局)

技適マークの詳細は「技適マークとは?確認方法と技適なし機器の扱い」をご覧ください。

申請の全体像

無線局免許の申請から免許交付までの標準的な流れは以下のとおりです。

申請書の提出
    ↓
書類審査
    ↓
予備免許の交付(大規模局の場合)
    ↓
無線設備の設置・工事
    ↓
落成検査(大規模局の場合)
    ↓
免許の交付

ただし、アマチュア無線局や簡易無線局など小規模な局の場合は、予備免許と落成検査が省略されるのが一般的です。

申請の手順

Step 1: 無線従事者の資格を取得

無線局を操作するために必要な無線従事者の資格を事前に取得します。

無線局の種類 必要な資格
アマチュア局 アマチュア無線技士(4級以上)
陸上移動局(業務用ドローンVTX等) 陸上特殊無線技士(3級以上)
基地局・固定局 陸上無線技術士または陸上特殊無線技士
船舶局 海上無線通信士
航空機局 航空無線通信士

アマチュア無線4級の取得方法は「アマチュア無線4級の取得方法|試験内容と勉強法」をご覧ください。

Step 2: 申請書類を準備

無線局免許申請に必要な主な書類は以下のとおりです。

書類 内容 全局に共通
無線局免許申請書 総務省の様式に記入 共通
工事設計書 無線設備の周波数・出力・電波の型式 共通
無線従事者免許証のコピー 操作する資格の証明 共通
送信機系統図 送信機からアンテナまでの信号の流れ 一部の局
保証認定書 技適なし設備の技術基準適合証明 アマチュア局(技適なし機器使用時)
設置場所の見取り図 基地局等の固定局 固定局のみ

Step 3: 申請を提出

申請は電子申請または書面(郵送)で行います。

電子申請の2つのシステム

システム 対象 特徴
電子申請Lite アマチュア局専用 メールアドレスのみで登録可、操作が簡単
総務省 電子申請・届出システム 全ての無線局 電子証明書(マイナンバーカード等)が必要

アマチュア無線局の方は電子申請Liteが便利です。業務用無線局は総務省電子申請を使用します。電子申請の使い方は「アマチュア無線の電子申請の使い方|Lite・総務省の違い」をご覧ください。

Step 4: 審査

総合通信局が申請内容を審査します。審査では以下の項目が確認されます。

総務大臣は、(中略)次の各号に適合していると認めるときは、免許を与えなければならない。

― 電波法 第7条第1項

審査項目 内容
工事設計の適合性 無線設備が技術基準に適合しているか
周波数の割当て 希望する周波数帯が使用可能か
無線従事者の資格 必要な資格を保有しているか
欠格事由 電波法違反歴等の欠格事由がないか

Step 5: 予備免許の交付(該当する場合)

大規模な無線局(基地局、固定局等)の場合、審査通過後に予備免許が交付されます。予備免許は「この設計で無線局を建設してよい」という許可です。

アマチュア無線局や簡易な無線局の場合、予備免許は省略されます。

Step 6: 落成検査(該当する場合)

予備免許を受けた局は、無線設備の設置完了後に落成検査を受けます。総合通信局の検査員が実際の無線設備が申請どおりに設置されているかを確認します。

アマチュア無線局は落成検査が省略されるのが一般的です(保証認定や技適による代替)。

Step 7: 免許の交付

審査(または落成検査)が完了すると、無線局免許状が交付されます。2025年10月以降はデジタル免許状での交付にも対応しています。

項目 内容
免許状の内容 コールサイン(呼出符号)、周波数、出力、有効期間等
有効期間 5年間(アマチュア局・簡易無線局等)
更新 再免許申請で更新可能

費用

無線局免許の申請手数料は、無線局の種類と申請方法によって異なります。

アマチュア無線局

手続き 電子申請 書面申請
新規開局 2,900円 4,300円
再免許(更新) 1,950円 3,050円
変更申請 1,500円 1,800円

業務用無線局(陸上移動局等)

手続き 電子申請 書面申請
新規開局 2,550円〜 3,550円〜
再免許(更新) 1,500円〜 2,900円〜

電波利用料(年額)

無線局の種類 年額
アマチュア無線局 300円
陸上移動局(簡易無線) 600円
基地局 数万円〜

電子申請は書面申請より手数料が安いため、特別な理由がない限り電子申請の利用を推奨します。

免許が不要な場合の手続き

免許不要局(技適マーク付きの小電力無線設備)を使用する場合は、申請手続きは一切不要です。製品を購入してすぐに使用できます。

ただし、デジタル簡易無線の登録局は免許は不要ですが登録が必要です。

種類 手続き 費用
免許局 無線局免許の申請 申請手数料+電波利用料
登録局 無線局の登録 登録手数料+電波利用料
免許不要局 手続きなし 無料

よくある質問

Q. 免許の申請から交付までどのくらいかかる?

無線局の種類と申請方法によって異なります。

無線局の種類 期間の目安
アマチュア無線局 約1〜2ヶ月
簡易無線局 約2〜4週間
基地局・固定局 数ヶ月〜

Q. 免許の有効期間が切れたらどうなる?

免許が失効した状態で無線局を運用すると電波法違反になります。有効期間内に再免許申請(更新手続き)を行ってください。アマチュア無線局の再免許は「アマチュア無線の再免許申請|期限切れ前にやるべきこと」をご覧ください。

Q. 1つの免許で複数の無線機を使える?

アマチュア無線局の場合は可能です。1つの免許(1つのコールサイン)で、工事設計に記載された全ての無線機を運用できます。業務用無線局の場合は、局の種類によって扱いが異なります。

Q. 法人名義で免許を取得できる?

業務用無線局は法人名義で取得可能です。アマチュア無線局は個人名義のみです(電波法施行規則で「個人的な無線技術の興味」と定められているため)。法人でFPVドローンの業務利用を行う場合は、業務用無線局の免許が必要です。業務用FPVの詳細は「FPVドローンを業務利用する場合の無線局免許」をご覧ください。

Q. 免許を受けずに電波を出したらどうなる?

不法開設として、1年以下の懲役または100万円以下の罰金(電波法第110条)の対象です。電波を出す予定がある場合は、必ず事前に免許を取得してください。

まとめ

無線局免許は、電波の利用を秩序立てて管理するための制度です。

  • 原則: 無線局の開設には免許が必要(電波法第4条)
  • 例外: 技適マーク付き小電力無線設備は免許不要
  • 主な無線局: アマチュア局、陸上移動局、基地局、船舶局等
  • 申請は電子申請がおすすめ(手数料が安い)
  • アマチュア局の申請手数料は電子申請で2,900円、有効期間5年
  • 免許なしの運用は1年以下の懲役または100万円以下の罰金

電波法の基本は「電波法とは?基本の仕組みをわかりやすく解説」、アマチュア無線局の開局は「アマチュア無線の開局申請|電子申請での手順を解説」をご覧ください。

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