目次
この記事でわかること
無線従事者の資格は電波法第40条に定められており、5分類・23種類の資格があります。「自分の目的にはどの資格が必要か」「どの資格から取ればよいか」という疑問に対して、本記事では目的別の資格選びのポイントを整理して解説します。
資格の種類の全体像は「無線従事者の種類と資格一覧|ドローンに必要な資格は?」をご覧ください。
無線従事者資格の5つの分類
無線従事者の資格は、操作できる無線設備の種類・用途によって以下の5分類に整理されています。
| 分類 | 主な用途 |
|---|---|
| 総合無線通信士 | 船舶・航空機等のあらゆる無線設備 |
| 海上無線通信士 | 船舶の無線設備 |
| 航空無線通信士 | 航空機・航空局の無線設備 |
| 陸上無線技術士 | 放送局・無線基地局等の技術的な操作 |
| アマチュア無線技士 | アマチュア無線局 |
| 特殊無線技士 | 特定の業務用無線(陸上・海上・航空・レーダー等) |
※上記の分類は電波法施行令第3条を参照。資格の詳細は総務省の告示および電波法施行令で定められています。
目的別おすすめ資格
FPVドローンを趣味で楽しみたい方
おすすめ: 第4級アマチュア無線技士
FPVドローンの映像送信機(VTX)は、主に5.8GHz帯の周波数を使用します。アマチュア無線局として開局すれば、この周波数帯の映像送信が可能になります。
- 第4級の試験はマークシート方式のみで取得可能
- FPV用途では第4級で十分(出力より免許局としての適法性が重要)
- 開局にはアマチュア無線局の免許申請が必要
アマチュア無線資格の詳細は「アマチュア無線の資格の選び方|目的別おすすめ」をご覧ください。
仕事でトランシーバー・陸上移動局を使いたい方
おすすめ: 第3級陸上特殊無線技士または第2級陸上特殊無線技士
建設業・警備業・タクシー・工場内連絡等で使用する業務用トランシーバー(陸上移動局・簡易無線等)の操作には、陸上特殊無線技士の資格が必要なケースがあります。
| 資格 | 操作できる主な無線設備 |
|---|---|
| 第3級陸上特殊無線技士 | 陸上移動局(空中線電力50W以下の一部)・簡易無線等 |
| 第2級陸上特殊無線技士 | 第3級の範囲に加えて、より大きな電力・帯域の無線設備 |
| 第1級陸上特殊無線技士 | 多重無線設備・レーダー等 |
業務用無線機を購入する際に「操作に資格は必要か」を販売店に確認することを推奨します。また、登録局(特定小電力無線・デジタル簡易無線のうち一部)は資格不要で使用できる機種もあります。
船舶に乗り組む方・マリンVHFを使いたい方
おすすめ: 第4級海上無線通信士または特殊無線技士(海上系)
プレジャーボート・漁船等で使用するマリンVHF(国際VHF無線)の操作には、海上特殊無線技士の資格が必要です。
| 資格 | 主な用途 |
|---|---|
| 第3級海上特殊無線技士 | 沿岸の小型船舶でのVHF無線電話の操作 |
| 第2級海上特殊無線技士 | より広い海域・高い電力での操作 |
| 第1級海上特殊無線技士 | 国際通信を含む海上移動業務の大部分 |
マリン用途では通常第3級海上特殊無線技士から始める方が多くなっています。
航空機の無線設備を操作したい方
おすすめ: 航空特殊無線技士
自家用操縦士等が空港や管制との交信で使用する航空無線の操作には、航空特殊無線技士または航空無線通信士の資格が必要です。航空特殊無線技士は国内での飛行を主目的とした資格です。
放送局・無線基地局の技術担当になりたい方
おすすめ: 陸上無線技術士(第1級または第2級)
放送局の送信設備の技術操作・維持・管理を担当する職種では、陸上無線技術士の資格が必要です。
| 資格 | 主な対象 |
|---|---|
| 第1級陸上無線技術士 | 全ての無線局の無線設備(技術操作) |
| 第2級陸上無線技術士 | テレビ・ラジオ以外の無線局の技術操作 |
陸上無線技術士は試験の難易度が比較的高く、電気通信主任技術者との併用で放送・通信設備の管理を担当するエンジニアに向いています。
企業の無線局の主任無線技術者になりたい方
おすすめ: 業種・用途に対応する資格(第1級・第2級陸上特殊無線技士以上が多い)
企業の無線局に選任される主任無線技術者には、管理する無線局の種別に対応した無線従事者資格が必要です。
主任無線技術者の選任と届出については「無線従事者の選任届出|企業が知るべき義務」をご覧ください。
資格の選び方まとめ表
| 利用シーン | おすすめ資格 | 備考 |
|---|---|---|
| FPVドローン(趣味) | 第4級アマチュア無線技士 | 開局申請が別途必要 |
| 業務用トランシーバー | 第3級陸上特殊無線技士 | 登録局は不要な場合も |
| プレジャーボート・漁船 | 第3級海上特殊無線技士 | 使用する無線設備による |
| 航空機パイロット | 航空特殊無線技士 | 国内飛行向け |
| 放送局・基地局の技術管理 | 第1・2級陸上無線技術士 | 難易度高め |
| アマチュア無線(HF通信) | 第3〜1級アマチュア無線技士 | 用途・出力による |
取得方法の比較
無線従事者の資格は国家試験(日本無線協会が実施)で取得するのが基本ですが、一部の資格は養成課程(講習会)で取得することもできます。
| 取得方法 | 対象資格 | 特徴 |
|---|---|---|
| 国家試験 | 全資格 | 独学可能。試験日程に合わせて受験 |
| 養成課程(講習会) | 第3・4級アマチュア無線技士、一部の特殊無線技士 | 講習会への参加で取得可。試験より取得しやすい |
よくある質問
Q. 複数の資格を持つことはできる?
できます。 用途に応じて複数の無線従事者資格を取得することが可能です。異なる無線設備を操作する場合は、それぞれに対応した資格が必要になります。
Q. 資格の更新は必要?
無線従事者の資格は更新不要です。一度取得すれば生涯有効(取り消し事由に該当しない限り)です。これは運転免許証や電気工事士等と異なる点です。
Q. 外国で取得した資格は日本で使える?
外国の無線従事者資格が日本でそのまま使えるかどうかは、締結している条約や協定の内容・資格の種類によって異なります。一般に、日本の電波法の要件を満たす資格かどうかを個別に確認することが必要です。
まとめ
無線従事者資格の選び方は利用する無線設備の種類と用途によって決まります。
- FPVドローン・趣味のアマチュア無線: 第4級アマチュア無線技士から
- 業務用トランシーバー(陸上移動局): 第3級陸上特殊無線技士
- 船舶の無線: 第3級海上特殊無線技士
- 航空機の無線: 航空特殊無線技士
- 放送局・基地局の技術管理: 陸上無線技術士
- 無線従事者の資格は更新不要で生涯有効
全資格の詳細一覧は「無線従事者の種類と資格一覧|ドローンに必要な資格は?」をご覧ください。