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無線従事者資格の全体像|23種類を一覧比較

この記事でわかること

無線従事者の資格は全23種類あり、総合無線通信士・海上無線通信士・航空無線通信士・陸上無線技術士・アマチュア無線技士の5分類に分かれています。資格によって操作できる無線設備の範囲が大きく異なるため、業務内容や目的に応じた正しい資格選びが重要です。

この記事では、23種類すべての資格を一覧表で比較し、それぞれの操作範囲・取得方法・難易度・受験料を整理します。無線局免許の申請を検討している方は、まず自分に必要な資格を確認しましょう。

無線従事者制度の概要

法的根拠

無線従事者制度は、電波法第39条から第51条に規定されています。無線設備の操作には原則として無線従事者の資格が必要です。

第39条 無線局の無線設備の操作は、(中略)無線従事者((中略)無線従事者の資格を有する者をいう。以下同じ。)でなければ行つてはならない。

― 電波法 第39条第1項

無線従事者免許証は終身有効であり、更新手続きは不要です。これは無線局の免許(有効期間あり)とは異なる点で、混同しないよう注意が必要です。

資格と無線局免許の関係

無線局を開設するには、無線局の免許申請と無線従事者の資格取得の両方が必要です。

項目 無線従事者免許 無線局免許
根拠条文 電波法 第40条 電波法 第4条
有効期間 終身有効 原則5年(更新あり)
対象 操作する「人」 開設する「局」
申請先 総合通信局 総合通信局

無線局免許の申請方法については「無線局免許の申請方法|種類と手続きの流れ」で詳しく解説しています。

5分類・23種類の一覧

総合無線通信士(3種類)

総合無線通信士は、最も操作範囲が広い上位資格です。モールス通信を含む広範な操作が認められます。

資格名 操作範囲 難易度 受験料
第一級総合無線通信士 すべての無線局の無線設備の操作 最難関 15,852円
第二級総合無線通信士 船舶局・航空局等の無線設備の操作 13,552円
第三級総合無線通信士 漁船・沿岸船等の無線局の操作 10,452円

第一級総合無線通信士は、電気通信術(モールス)の実技試験を含むため、国家試験の中でもトップクラスの難易度とされています。

海上無線通信士(4種類)

海上無線通信士は、船舶の無線局の操作に特化した資格です。GMDSS(海上における遭難及び安全に関する世界的な制度)対応の通信を行えます。

資格名 操作範囲 難易度 受験料
第一級海上無線通信士 船舶局の無線設備の操作 15,052円
第二級海上無線通信士 船舶局の一部無線設備の操作 12,752円
第三級海上無線通信士 小規模船舶局の操作 やや易 9,652円
第四級海上無線通信士 レーダー等限定的な操作 9,052円

海上特殊無線技士(3種類)

海上特殊無線技士は、海上無線通信士の特殊版で、操作範囲が限定される代わりに取得が容易です。

資格名 操作範囲 取得方法 受験料
第一級海上特殊無線技士 船舶局の国際VHF等の操作 国家試験/養成課程 7,563円
第二級海上特殊無線技士 小型船舶のVHF等の操作 国家試験/養成課程 5,863円
第三級海上特殊無線技士 沿岸小型船舶の無線電話の操作 国家試験/養成課程 5,863円

航空無線通信士(1種類)

資格名 操作範囲 難易度 受験料
航空無線通信士 航空機局・航空局の無線設備の操作 9,452円

航空無線通信士はパイロットや航空管制官にとって必須の資格です。英語の電気通信術試験が課されます。

航空特殊無線技士(1種類)

資格名 操作範囲 取得方法 受験料
航空特殊無線技士 航空機に設置する無線電話等の操作 国家試験/養成課程 5,863円

自家用パイロットなどが取得する資格で、航空無線通信士より操作範囲が狭い代わりに難易度は低めです。

陸上無線技術士(2種類)

陸上無線技術士は、放送局や大規模通信設備の技術操作に必要な資格です。

資格名 操作範囲 難易度 受験料
第一級陸上無線技術士 すべての無線局の技術操作 15,052円
第二級陸上無線技術士 空中線電力の制限付き技術操作 12,752円

テレビ局やラジオ局の送信設備を扱う放送技術者に必要とされることが多い資格です。

陸上特殊無線技士(3種類)

陸上特殊無線技士は、業務用無線やドローンの映像伝送など、実務で最もニーズの高い資格群です。

資格名 操作範囲 取得方法 受験料
第一級陸上特殊無線技士 多重通信設備の技術操作等 国家試験/養成課程 7,563円
第二級陸上特殊無線技士 一定出力以下のレーダー等の操作 国家試験/養成課程 5,863円
第三級陸上特殊無線技士 タクシー無線等の操作 国家試験/養成課程 5,863円

業務用ドローンで5.7GHz帯の映像伝送を行う場合は第三級陸上特殊無線技士以上が必要です。

アマチュア無線技士(4種類)

アマチュア無線技士は、個人的な無線技術への興味を目的とする資格です。

資格名 操作範囲 取得方法 受験料
第一級アマチュア無線技士 すべてのアマチュア局の操作 国家試験 9,452円
第二級アマチュア無線技士 200W以下のアマチュア局 国家試験 7,863円
第三級アマチュア無線技士 50W以下のアマチュア局 国家試験/養成課程 5,463円
第四級アマチュア無線技士 20W以下のアマチュア局 国家試験/養成課程 5,163円

FPVドローンを趣味で飛ばす場合は第四級アマチュア無線技士以上が必要です。アマチュア無線の開局手続きについては「アマチュア無線の開局申請」をご覧ください。

国内電信級陸上特殊無線技士(1種類)

資格名 操作範囲 取得方法 受験料
国内電信級陸上特殊無線技士 固定局の国内通信のための操作 国家試験 5,863円

モールス電信による国内通信のための資格です。現在は需要が限られています。

レーダー級海上特殊無線技士(1種類)

資格名 操作範囲 取得方法 受験料
レーダー級海上特殊無線技士 レーダーの操作 国家試験/養成課程 5,863円

資格の取得方法

無線従事者の資格を取得するには、主に以下の3つの方法があります。

国家試験

公益財団法人日本無線協会が実施する国家試験に合格する方法です。すべての資格で実施されています。

  • 試験科目: 無線工学、法規(資格により異なる)
  • 試験回数: 年2回〜3回(資格による)
  • 合格率: 第四級アマチュア無線技士で約80%、第一級陸上無線技術士で約20%程度

養成課程

総務大臣が認定した機関が実施する養成課程を修了する方法です。一部の資格で利用可能です。

  • 対象資格: 特殊無線技士、第三級・第四級アマチュア無線技士など
  • 期間: 数日間の講習
  • 修了試験: 講習後に修了試験があり、合格すれば資格取得

学校卒業による取得

一定の教育課程を修めた学校の卒業者は、一部の資格を無試験で取得できます。

  • 電波法第41条第2項に基づく
  • 大学・高等専門学校の電気通信関連学科が対象

業務・目的別の資格選びガイド

業務・目的 必要な資格 備考
タクシー無線 第三級陸上特殊無線技士 業務用無線の操作
業務用ドローン映像伝送(5.7GHz) 第三級陸上特殊無線技士 陸上移動局としての操作
FPVドローン(趣味) 第四級アマチュア無線技士 アマチュア局としての操作
携帯電話基地局の保守 第一級陸上特殊無線技士 多重通信設備の操作
テレビ放送局の送信 第一級陸上無線技術士 大電力設備の技術操作
小型船舶の無線 第二級海上特殊無線技士 国際VHF等の操作
航空管制 航空無線通信士 英語の通信が必須
アマチュア無線(一般) 第四級アマチュア無線技士 入門資格

資格取得から無線局開設までの流れ

Step 1: 必要な資格を確認する

業務内容や使用する無線設備に応じて、必要な無線従事者の資格を確認します。上記の一覧表を参考にしてください。

Step 2: 国家試験または養成課程で資格を取得する

国家試験を受験するか、養成課程を受講して無線従事者免許証の交付を受けます。申請先は住所地を管轄する総合通信局です。

Step 3: 無線局の免許を申請する

無線従事者の資格を取得したら、次は無線局の免許申請を行います。申請から免許交付までの流れは「無線局免許の申請方法|種類と手続きの流れ」で解説しています。

Step 4: 無線局の運用を開始する

免許が交付されたら、免許状に記載された条件の範囲内で無線局の運用を開始できます。

まとめ

無線従事者の資格は全23種類あり、5つの分類に分かれています。資格選びのポイントは以下のとおりです。

  • 業務目的に合った資格を選ぶことが最も重要
  • 特殊無線技士は養成課程で比較的短期間に取得可能
  • アマチュア無線技士は趣味目的に限定され、業務利用はできない
  • 無線従事者免許証は終身有効で更新不要
  • 資格取得後は別途無線局の免許申請が必要

資格の選定から無線局の免許申請まで、手続きに不安がある場合は電波法に精通した行政書士への相談をおすすめします。

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