目次
この記事でわかること
業務用無線を導入する際、免許局と登録局のどちらを選ぶべきか迷う方は多いです。両者は同じデジタル簡易無線の枠組みでありながら、制度・手続き・運用ルールに明確な違いがあります。
この記事では、免許局と登録局の制度上の違い、申請手続きの比較、使える周波数と出力、レンタルの可否、コスト比較まで詳しく解説します。
免許局と登録局の制度上の違い
免許局と登録局は、電波法上の位置づけが異なります。
| 比較項目 | 免許局 | 登録局 |
|---|---|---|
| 法的根拠 | 電波法第4条(免許制度) | 電波法第27条の18(登録制度) |
| 手続き | 免許申請→免許状交付 | 登録申請→登録状交付→開設届出 |
| 開設者 | 免許人のみ使用可能 | 登録人以外も使用可能(レンタル等) |
| 有効期間 | 5年(再免許で更新) | 5年(再登録で更新) |
| 無線従事者 | 不要 | 不要 |
登録局は、無線局の免許に代えて、登録を受けることにより開設することができる。
― 電波法 第27条の18(趣旨)
免許局の特徴
免許局は、総合通信局に免許申請を行い、審査を経て免許状の交付を受ける方式です。
- 免許人本人のみが使用できる(貸出し不可)
- チャンネル数が65chと多い
- 免許申請から交付まで1〜2か月程度かかる
- 特定の業務用途に限定される
登録局の特徴
登録局は、登録申請と開設届出で開設できる方式です。
- レンタル・貸出しが可能
- チャンネル数は30ch(うち上空用15chを含む)
- 包括登録で複数台をまとめて登録できる
- 手続きが免許局より簡便
申請手続きの違い
免許局の申請手順
- 無線機を選定(技適取得済みの機種)
- 無線局免許申請書・工事設計書等を作成
- 管轄の総合通信局に提出
- 審査(1〜2か月)
- 免許状の交付→運用開始
登録局の申請手順
- 無線機を選定(技適取得済みの機種)
- 登録申請書を作成
- 管轄の総合通信局に提出
- 登録状の交付
- 開設届出書を提出→運用開始
登録局の場合、包括登録を利用すると複数台をまとめて登録でき、後からの増設も開設届出だけで対応できます。包括登録の詳細は「包括登録とは?複数台の無線機をまとめて登録する方法」をご覧ください。
周波数・出力の違い
| 項目 | 免許局 | 登録局 |
|---|---|---|
| 周波数帯 | 351MHz帯(467MHz帯の一部も) | 351MHz帯 |
| 最大送信出力 | 5W | 5W |
| チャンネル数 | 65ch | 30ch(上空用15ch含む) |
| 通信距離目安 | 市街地1〜3km / 見通し5km | 市街地1〜3km / 見通し5km |
出力と通信距離はほぼ同等です。大きな違いはチャンネル数で、免許局のほうが多くのチャンネルを使えるため、混信の回避がしやすくなります。
レンタルの可否
| 項目 | 免許局 | 登録局 |
|---|---|---|
| レンタル | 不可 | 可能 |
| 他人への貸出し | 不可 | 可能 |
| 社内での共用 | 免許人の従業員に限る | 制限なし |
免許局は免許人以外の使用が認められていないため、レンタル業者から借りることはできません。イベントや短期の現場作業で一時的に使いたい場合は、登録局を選ぶ必要があります。
コスト比較
5台を導入する場合の費用比較です。
| 費用項目 | 免許局 | 登録局 |
|---|---|---|
| 無線機代(5台) | 約15〜40万円 | 約15〜40万円 |
| 申請手数料 | 12,750円(2,550円×5局) | 2,900円(包括登録) |
| 電波利用料(年額) | 3,000円(600円×5局) | 3,000円(600円×5局) |
| 合計(初年度) | 約17〜42万円 | 約16〜41万円 |
無線機の価格は同等ですが、登録局は包括登録を利用することで申請手数料を抑えられます。費用の詳細は「業務用無線の免許申請にかかる費用一覧」をご覧ください。
選び方の判断基準
以下のフローで判断すると、自社に合った方式を選べます。
| 条件 | おすすめ |
|---|---|
| レンタルで使いたい | 登録局 |
| 短期間・イベント利用 | 登録局 |
| チャンネル数を多く確保したい | 免許局 |
| 複数台をまとめて管理したい | 登録局(包括登録) |
| 長期間の固定利用 | 免許局 or 登録局(どちらでも可) |
よくある質問
Q. 免許局と登録局で通話品質に違いはある?
基本的に同じ品質です。どちらもデジタル方式で最大5Wの出力のため、通話品質に大きな差はありません。
Q. 免許局から登録局に変更できる?
変更ではなく、新たに登録局として手続きが必要です。免許局の廃止届を出し、別途登録局の登録申請を行います。無線機も登録局対応の機種が必要です。
Q. 免許局と登録局の無線機に互換性はある?
互換性はありません。免許局と登録局では使用するチャンネル(周波数)が異なるため、免許局の無線機で登録局のチャンネルを使うことはできません。
Q. どちらも行政書士に申請代行を頼める?
はい、どちらも行政書士に依頼できます。特に免許局は書類が多いため、代行を利用するメリットが大きいです。「業務用無線の免許申請を行政書士に依頼するメリット」をご覧ください。
まとめ
免許局と登録局は、同じデジタル簡易無線でも制度と運用ルールが異なります。
- 免許局: チャンネル数が多く混信に強いが、レンタル不可・手続きが煩雑
- 登録局: 手続きが簡便でレンタル可能。包括登録で増設も容易
- 通信距離・出力はほぼ同等(最大5W、市街地1〜3km)
- レンタルや短期利用なら登録局、長期固定でチャンネルを確保したいなら免許局
- 手続きの負担を減らすなら行政書士への代行依頼も有効
業務用無線の全体像は「業務用無線の選び方|免許局・登録局・IP無線を比較」、登録局の手続きは「登録局の開設届出|包括登録と個別登録の手順」をご覧ください。