目次
この記事でわかること
無線局の免許を取得すると、毎年電波利用料を納付する義務があります。船舶局や航空機局も例外ではなく、設備の種類や数量に応じた料額を毎年納付しなければなりません。
この記事では、船舶局・航空機局・海岸局・航空局の電波利用料の料額一覧、計算方法、納付時期と方法、滞納した場合のペナルティ、減免制度について解説します。
電波利用料とは
電波利用料は、電波の適正な利用を確保するための費用として、すべての無線局の免許人が負担する制度です。
免許人等は、電波利用料として、無線局の免許等の日から起算して三十日以内及びその後毎年その応当日から起算して三十日以内に、当該無線局の免許等の日又はその応当日(以下この条において「応当日」という。)から始まる各一年の期間について、別表第六の上欄に掲げる無線局の区分に従い同表の下欄に掲げる金額を国に納めなければならない。
― 電波法 第103条の2第1項
電波利用料は、電波の監視、不法無線局の取締り、技術基準の策定などの電波行政に使われています。電波利用料制度の全体像は電波利用料を参照してください。
船舶局の電波利用料
料額一覧
船舶局の電波利用料は、無線局の区分によって定められています。以下の料額は電波法別表第六に基づく(2026年3月時点)ものです。
| 無線局の区分 | 年額(税込) |
|---|---|
| 義務船舶局(GMDSS設備を搭載する船舶) | 5,900円 |
| 義務船舶局以外の船舶局 | 2,600円 |
| 特定船舶局(包括免許) | 400円(1局あたり) |
義務船舶局とは
義務船舶局とは、船舶安全法に基づき無線設備の搭載が義務づけられている船舶の船舶局です。SOLAS条約適用船舶や一定トン数以上の内航船舶がこれに該当します。
義務船舶局以外の船舶局とは、搭載義務はないが任意で無線設備を搭載している船舶の船舶局です。
特定船舶局の電波利用料
特定船舶局(国際VHF等の包括免許対象)の電波利用料は1局あたり年額400円と、通常の船舶局と比べて大幅に安くなっています。レジャーボートや小型漁船で国際VHFを使用する場合の負担は軽微です。
海岸局の電波利用料
海岸局の電波利用料は、空中線電力と周波数帯によって異なります。
| 無線局の区分 | 年額の目安 |
|---|---|
| 海岸局(VHF帯) | 5,900円〜 |
| 海岸局(MF/HF帯) | 設備・出力により異なる |
海岸局は使用する周波数帯や空中線電力によって料額が変動するため、具体的な金額は総合通信局に確認するか、電波法別表第六で確認してください。
航空機局の電波利用料
料額一覧
航空機局の電波利用料は以下のとおりです(電波法別表第六に基づく、2026年3月時点)。
| 無線局の区分 | 年額(税込) |
|---|---|
| 航空機局(一般) | 2,600円 |
| 義務航空機局 | 5,900円 |
航空法の規定により無線設備の装備が義務づけられている航空機の航空機局は義務航空機局に該当し、料額が高くなります。
航空局の電波利用料
航空局の電波利用料は、空中線電力と使用周波数帯によって異なります。
| 無線局の区分 | 年額の目安 |
|---|---|
| 航空局(VHF帯) | 5,900円〜 |
| 航空局(HF帯) | 設備・出力により異なる |
電波利用料の計算方法
電波利用料の計算は、電波法別表第六に基づきます。基本的な考え方は以下のとおりです。
基本料額
各無線局の区分ごとに基本料額が定められています。上記の一覧表に記載した金額がこれにあたります。
包括免許の場合
特定船舶局のように包括免許を受けている場合は、包括免許の下に開設されている局数に応じて料額が計算されます。
計算例: 特定船舶局を5局開設している場合 – 400円 x 5局 = 年額2,000円
複数の無線設備を持つ場合
一つの船舶局が複数の無線設備(VHF、レーダー、AIS等)を搭載している場合でも、電波利用料は無線局単位で計算されます。設備の数ではなく、1免許あたりの料額が適用されます。
納付時期
電波利用料の納付時期は、免許の日を基準として定められています。
| タイミング | 納付期限 |
|---|---|
| 初回 | 免許の日から30日以内 |
| 2年目以降 | 免許の応当日から30日以内 |
総合通信局から納付通知書が送付されますので、それに従って納付します。
納付方法
電波利用料の納付方法は以下のとおりです。
| 納付方法 | 備考 |
|---|---|
| 金融機関の窓口 | 納付通知書を持参して振込 |
| コンビニエンスストア | 納付通知書のバーコードで支払い |
| 電子納付(Pay-easy) | インターネットバンキング等で納付 |
| 口座振替 | 事前に届出が必要 |
| クレジットカード | 電波利用電子申請システム経由 |
口座振替を利用すると、毎年の納付手続きを省略できるため便利です。事前に「口座振替依届出書」を総合通信局に提出する必要があります。
滞納した場合のペナルティ
電波利用料を滞納すると、以下のペナルティが科されます。
督促
納付期限を過ぎても納付しない場合、総合通信局から督促状が送付されます。
延滞金
督促を受けてなお納付しない場合、延滞金が発生します。
督促を受けた者がその指定の期限までにその督促に係る電波利用料及び延滞金を納めないときは、国税滞納処分の例により処分する。
― 電波法 第103条の2第12項
免許の取消し
長期にわたって滞納を続けた場合、無線局の免許が取り消される可能性があります。
総務大臣は、免許人が電波利用料を納めないときは、その免許を取り消すことができる。
― 電波法 第76条第4項(趣旨)
電波利用料の滞納は免許の取消事由に該当するため、確実に納付してください。
減免制度
一定の条件を満たす場合、電波利用料の減免(減額または免除)を受けられる場合があります。
減免の対象となりうるケース
- 災害時に臨時に開設する無線局
- 非常通信を目的とする無線局の一部
- 国又は地方公共団体が開設する無線局
一般の船舶局や航空機局が減免の対象になることは限定的ですが、制度の詳細は総合通信局にお問い合わせください。
電波利用料の前納
電波利用料は、翌年度以降の分を前納することも可能です。前納する場合は、総合通信局に「前納届出書」を提出します。前納しても割引は適用されませんが、毎年の納付手続きの手間を省けるメリットがあります。
免許廃止時の電波利用料
無線局の免許を廃止した場合、廃止の届出日を含む年度の電波利用料は日割りで計算されます。過払い分がある場合は還付を受けることができます。
還付を受けるには、還付請求書を総合通信局に提出する必要があります。
まとめ
船舶・航空無線の電波利用料は、無線局の免許を維持するために毎年納付が必要な費用です。要点を整理します。
- 電波利用料は電波法第103条の2に基づく法定の負担金
- 船舶局(義務船舶局)は年額5,900円、特定船舶局は年額400円
- 航空機局は年額2,600円(義務航空機局は5,900円)
- 納付期限は免許の応当日から30日以内
- 納付方法は窓口・コンビニ・電子納付・口座振替等が利用可能
- 滞納すると督促・延滞金・免許取消しのペナルティがある
- 免許廃止時は日割り計算で還付を受けられる
電波利用料の管理を含む無線局免許の維持管理は、行政書士に一括して依頼することも可能です。詳細は船舶・航空無線の行政書士代行|依頼するメリットをご確認ください。