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ローカル5GとWi-Fiの使い分けガイド

この記事でわかること

工場・病院・物流施設などで構内ネットワークを整備する際、「ローカル5GにするかWi-Fiにするか」という判断を求められるケースが増えています。どちらも高速通信が可能ですが、特性・コスト・手続きの面で大きな差があります。

この記事では、ローカル5GとWi-Fi(Wi-Fi 6E・Wi-Fi 7を含む)の特性比較・向いているユースケース・導入判断基準を整理します。

ローカル5GとWi-Fiの基本的な違い

まず、両者の仕組みの違いを理解しておきましょう。

ローカル5G

ローカル5Gは、企業・自治体が自らの敷地内に構築する自営型5Gネットワークです。携帯電話事業者(MNO)の5Gとは異なり、自社で設備を設置・運用します。

  • 使用する周波数帯: 4.6〜4.9GHz帯(Sub6)または28.2〜29.1GHz帯(ミリ波)
  • 総務大臣の免許が必要(電波法第4条)
  • 専用の周波数帯を排他的に使用できるため、干渉による品質低下が起きにくい

詳しい申請手順は「ローカル5Gの免許申請|手順・費用・期間を解説」をご覧ください。

Wi-Fi

Wi-Fiは、無線LANの業界標準規格(IEEE 802.11シリーズ)に基づく無線通信技術です。

  • 免許不要(ただし出力・電波形式の要件あり)
  • 使用する周波数帯: 2.4GHz帯・5GHz帯・6GHz帯(Wi-Fi 6Eから)
  • 多数のデバイスが同じ帯域を共用するため、混雑時に品質が低下する場合がある

Wi-Fi 6Eの詳細は「Wi-Fi 6E・Wi-Fi 7の電波法上の扱いと利用方法」をご覧ください。

主要な比較項目

比較項目 ローカル5G Wi-Fi 6E/7
免許の要否 必要(総務大臣の免許) 不要(技術基準適合機器を使用)
使用周波数帯 4.6〜4.9GHz / 28.2〜29.1GHz 2.4GHz / 5GHz / 6GHz
通信速度(理論値) Gbps級(ミリ波はさらに高速) Wi-Fi 7で最大46Gbps(理論値)
遅延 超低遅延(1ms程度を目標) 数ms〜数十ms程度
カバレッジ Sub6帯は比較的広い 周波数が高いほど狭い傾向
建物内の透過性 Sub6帯は比較的高い、ミリ波は低い 2.4GHz帯は高い、6GHz帯は低い
干渉耐性 専用帯域のため高い 共用帯域のため環境次第
導入コスト(初期) 高め(基地局装置・免許手続き費用) 比較的低め(APの設置のみ)
ランニングコスト 電波利用料(年額)・維持費 低め
モビリティ 高い(ハンドオーバー対応) APをまたいだ移動は品質が低下する場合あり
端末の対応 ローカル5G対応機器が必要 Wi-Fi搭載機器は豊富
審査期間 約2〜5か月 なし

ユースケース別の判断基準

ローカル5Gが向いているケース

製造業(スマートファクトリー) 工場内の自動搬送ロボット(AGV)の遠隔制御や、製造ラインのリアルタイム制御には低遅延が求められます。多数の機器が同時に通信する環境で、専用帯域による安定した低遅延通信が必要な場合にローカル5Gが適しています。

映像の大量伝送 工場内の複数カメラの映像を同時に高品質で伝送する用途では、ローカル5Gの高スループットが活きます。

広いエリアのカバー Sub6帯(4.6〜4.9GHz)は、広い工場や物流倉庫をカバーするのに適しています。少ない基地局で広範囲をカバーできます。

通信品質の保証が必要なミッションクリティカル用途 医療機器の遠隔モニタリング、インフラ設備の遠隔監視など、通信品質の一定保証が必要な用途に向いています。

Wi-Fiが向いているケース

比較的規模の小さいオフィス・施設 小〜中規模のオフィスや会議室では、Wi-Fi 6E/7で十分な通信環境を構築できます。導入コストが低く、免許手続きも不要です。

端末の多様性が重要 スマートフォン・PC・タブレット・プリンターなど多種多様な端末を接続する場合、Wi-Fi対応機器の選択肢はローカル5G対応機器よりも圧倒的に多いです。

迅速な導入が必要 ローカル5Gの免許取得には2〜5か月の審査期間が必要ですが、Wi-Fiはすぐに導入できます。短期間で通信環境を整備したい場合はWi-Fiが有利です。

コストを抑えたい Wi-Fiのアクセスポイントはローカル5Gの基地局よりも安価で、免許申請費用も発生しません。

選択の判断フロー

以下の観点を順に確認することで、選択肢を絞り込めます。

質問 ローカル5G Wi-Fi
超低遅延(1ms級)が必要か 必要 → ローカル5G 不要 → Wi-Fiでも可
通信品質の保証(QoS)が重要か 重要 → ローカル5G 不重要 → Wi-Fiでも可
大規模な移動体の追跡が必要か 必要 → ローカル5G 不要 → Wi-Fiでも可
免許取得の時間・コストを許容できるか 許容できる → ローカル5G 難しい → Wi-Fi
初期投資を最小化したいか 問わない → ローカル5G 最小化したい → Wi-Fi

ローカル5GとWi-Fiの組み合わせ

実際の現場では、ローカル5GとWi-Fiを併用するという選択肢も有効です。

  • ミッションクリティカルな制御系: ローカル5G(低遅延・品質保証)
  • 一般業務(PC・タブレット): Wi-Fi(コスト効率)

このように用途に応じてネットワークを分離することで、コストと性能のバランスを取ることができます。

ローカル5Gの導入事例については「ローカル5Gの導入事例10選|製造業・医療・教育」をご覧ください。また、ローカル5G導入を検討する際の費用全体の把握には「ローカル5Gの導入費用|免許申請から運用までの総コスト」が参考になります。

まとめ

ローカル5GとWi-Fiの使い分けは、用途・予算・スケジュールによって判断します。

  • ローカル5G: 超低遅延・専用帯域・高信頼性が求められる用途。免許申請が必要で導入コスト・期間が大きい
  • Wi-Fi 6E/7: 一般的な業務用LAN。免許不要で導入コストが低く端末も豊富
  • 使い分けの基準: ミッションクリティカル用途・移動体追跡・大量映像伝送ならローカル5G、それ以外はWi-Fiで十分なケースが多い
  • 組み合わせも有効: 制御系にローカル5G、業務系にWi-Fiという分離が現実的な選択肢

導入の費用対効果を正確に判断するためには、現場環境のアセスメントと専門家への相談を推奨します。

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