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ローカル5Gとアマチュア無線の共用問題を解説

この記事でわかること

ローカル5Gの周波数帯の一つである4.6〜4.9GHz帯は、アマチュア無線が利用する周波数帯と重複しています。この「共用問題」は、ローカル5Gの導入が進む中で注目されるテーマです。

この記事では、ローカル5Gとアマチュア無線の共用条件、干渉回避の仕組み、事業者の義務、アマチュア無線側の注意点をわかりやすく解説します。

周波数の重複が起きる理由

アマチュア無線の4.9GHz帯

アマチュア無線には、国際電気通信連合(ITU)の無線通信規則に基づき、4,750〜4,950MHz(4.75〜4.95GHz帯)が割り当てられています。日本でも、この帯域はアマチュア無線の利用が認められている周波数帯です。

ローカル5Gの4.6〜4.9GHz帯

一方、ローカル5Gには4,600〜4,900MHz(4.6〜4.9GHz帯)が割り当てられています。この結果、4,750〜4,900MHzの範囲がアマチュア無線とローカル5Gの共用帯域となっています。

周波数帯 利用者 業務区分
4,600〜4,750MHz ローカル5G専用 一次業務
4,750〜4,900MHz ローカル5G + アマチュア無線 ローカル5G: 一次業務 / アマチュア無線: 二次業務

一次業務と二次業務

電波法における業務区分では、ローカル5Gは一次業務、アマチュア無線は二次業務に位置付けられています。

二次業務の無線局は、一次業務の無線局に有害な干渉を与えてはならない。

― 無線通信規則(ITU-RR)

つまり、共用帯域においてはローカル5Gが優先され、アマチュア無線はローカル5Gへの干渉を避ける義務があります。

共用条件と干渉回避の仕組み

ローカル5G事業者の義務

ローカル5Gが一次業務であるとはいえ、事業者には既存のアマチュア無線局との干渉調整の義務が課されています。

義務 内容
事前の干渉調整 免許申請前に、周辺のアマチュア無線局との干渉調整を実施する
干渉調整結果の提出 申請書に干渉調整の結果を記載・添付する
運用開始後の対応 実際に干渉が発生した場合は、速やかに対策を講じる
出力制限 干渉を防ぐために送信出力の制限が求められる場合がある

干渉調整の具体的な流れ

  1. 周辺のアマチュア無線局の調査: ローカル5G設置予定地の周辺にあるアマチュア無線局を総合通信局のデータベースで確認
  2. 干渉の可能性の評価: 周波数、出力、アンテナの方向などから干渉の可能性を技術的に評価
  3. アマチュア無線局への連絡: 干渉の可能性がある場合、該当するアマチュア無線局の免許人に連絡し、対応を協議
  4. 調整結果の記録: 調整結果を書面で記録し、免許申請書に添付

干渉回避の技術的手段

手段 内容
周波数の選定 共用帯域(4,750〜4,900MHz)を避け、4,600〜4,750MHzを使用する
送信出力の制限 干渉が及ぶ範囲を縮小するために出力を下げる
アンテナの指向性 アマチュア無線局の方向への電波放射を抑制する
離隔距離の確保 アマチュア無線局から十分な距離を確保する
時間的な共用 運用時間帯を分けて干渉を回避する

アマチュア無線側が注意すべき点

二次業務としての制約

アマチュア無線は共用帯域において二次業務であるため、以下の制約があります。

制約 内容
干渉の禁止 ローカル5Gに対して有害な干渉を与えてはならない
干渉の受忍 ローカル5Gからの干渉を受けた場合、保護を求めることができない
運用の停止 干渉を与えていると判明した場合、運用の停止を求められることがある

アマチュア無線局の実際の影響

現実的には、4.9GHz帯を利用するアマチュア無線局は非常に少数です。この周波数帯はマイクロ波通信に分類され、専門的な設備と知識が必要なため、一般的なアマチュア無線の運用周波数帯(HF〜UHF帯)と比べて利用者は限られています。

ただし、ローカル5Gの普及に伴い、今後この帯域でのアマチュア無線の利用環境が変化する可能性はあります。

今後の展望

ローカル5Gの導入が進むにつれ、共用帯域でのアマチュア無線の利用環境は変化していく可能性があります。総務省では、動的な周波数共用技術(ダイナミックスペクトラムアクセス)の研究が進められており、より効率的な周波数利用が期待されています。

また、ローカル5Gが4,600〜4,750MHzの非共用帯域を優先的に使用する運用が一般的になれば、アマチュア無線への影響は限定的になると考えられます。

よくある質問

Q. ローカル5Gが導入されるとアマチュア無線が使えなくなる?

直ちに使えなくなるわけではありません。ただし、共用帯域(4,750〜4,900MHz)では二次業務としての制約を受けます。ローカル5Gに干渉を与えない範囲での運用は引き続き可能です。

Q. アマチュア無線側から干渉調整を求めることはできる?

アマチュア無線は二次業務であるため、ローカル5Gに対して保護を求める権利はありません。ただし、ローカル5G事業者には事前の干渉調整義務があるため、免許申請の段階で調整が行われます。

Q. 4.9GHz帯以外の周波数帯に影響はある?

ローカル5Gのもう一つの周波数帯である28.2〜29.1GHz帯は、アマチュア無線の周波数帯とは重複していません。影響があるのは4.6〜4.9GHz帯のうち、4,750〜4,900MHzの共用帯域のみです。

Q. 海外ではどうなっている?

各国の状況は異なりますが、多くの国で5Gとアマチュア無線の共用問題が議論されています。ITU(国際電気通信連合)の世界無線通信会議(WRC)でも、周波数共用のルール整備が進められています。

まとめ

ローカル5Gとアマチュア無線の共用問題のポイントは以下のとおりです。

  • 共用帯域: 4,750〜4,900MHzがローカル5Gとアマチュア無線の共用帯域
  • 業務区分: ローカル5Gは一次業務、アマチュア無線は二次業務
  • 事業者の義務: ローカル5G事業者には事前の干渉調整義務がある
  • アマチュア無線の制約: ローカル5Gに干渉を与えてはならず、干渉を受けても保護されない
  • 現実的な影響: 4.9GHz帯を利用するアマチュア無線局は少数であり、現時点での影響は限定的

ローカル5Gの免許申請については「ローカル5Gの免許申請|手順・費用・期間を解説」、電波法の基本は「電波法とは?基本の仕組みをわかりやすく解説」をご覧ください。総合通信局の役割については「総合通信局の役割と管轄エリア一覧」をご覧ください。

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