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航空無線通信士の資格と試験|取得方法を解説

この記事でわかること

航空機局や航空局の無線設備を操作するには、航空無線通信士または航空特殊無線技士の資格が必要です。パイロット、管制官、航空会社の運航管理者など、航空無線に携わるすべての人に求められる資格です。

この記事では、航空分野の無線従事者資格の種類と操作範囲試験科目と合格率取得方法の選択肢、そして受験対策のポイントを解説します。

航空分野の無線従事者資格の全体像

航空分野に関連する無線従事者資格は、以下の2種類です。

無線設備の操作を行おうとする者は、総務大臣の免許を受けなければならない。

― 電波法 第40条第1項

資格名 略称 操作範囲の概要
航空無線通信士 航空通 航空機局・航空局のすべての無線設備
航空特殊無線技士 航空特 航空機局・航空局の一定範囲の無線設備

無線従事者資格の全体像については無線従事者も参照してください。

航空無線通信士(航空通)

操作範囲

航空無線通信士は、航空分野の最上位の無線従事者資格です。

  • 航空機に施設する無線設備の操作(国際線を含む)
  • 航空局の無線設備の操作(管制通信を含む)
  • 航空機のレーダーの操作

航空無線通信士の資格があれば、国際線のパイロットや航空管制官として必要な無線設備の操作が可能です。

試験科目

航空無線通信士の国家試験は、以下の科目で構成されます。

科目 試験形式 試験時間 内容
無線工学 多肢選択式 1時間30分 無線設備の理論と技術
法規 多肢選択式 1時間30分 電波法、航空法関連法規
英語 筆記(多肢選択+記述)+リスニング 筆記1時間30分+リスニング30分 航空通信に必要な英語力
電気通信術 実技(送話・受話) 各約2分 フォネティックコードによる送受信

試験のポイント

航空無線通信士の試験で特に注意すべき点は以下のとおりです。

英語科目: 航空英語の専門用語を含むリスニング試験があります。ICAO(国際民間航空機関)の標準フレーズを理解しておく必要があります。日常英語とは異なる航空特有の表現が出題されます。

電気通信術: フォネティックコード(Alfa, Bravo, Charlie…)を使った送話と受話の実技試験です。正確さとスピードが求められます。

無線工学: 航空用無線設備の原理、レーダーの仕組み、アンテナの特性などが出題されます。第二級陸上特殊無線技士レベルの知識が基礎になります。

合格率

航空無線通信士の合格率はおおむね30〜40%程度です。英語と電気通信術が合否を分けるポイントとなることが多いです。

科目合格制度

航空無線通信士の試験には科目合格制度があります。一部の科目に合格した場合、その科目は翌々月の試験期の最終日まで免除されます。一度にすべての科目に合格する必要はなく、複数回に分けて合格を目指すことができます。

航空特殊無線技士(航空特)

操作範囲

航空特殊無線技士は、航空無線通信士より操作範囲が限定された資格です。

  • 航空機に施設する無線設備の操作(国内通信に限る)
  • 航空局の無線設備の操作(一定範囲)
  • レーダーの操作

航空特殊無線技士の資格では、国際線での無線通信は行えません。国内の有視界飛行方式(VFR)のみで飛行する場合に適しています。

試験科目

科目 試験形式 試験時間 内容
無線工学 多肢選択式 1時間 無線設備の基礎理論
法規 多肢選択式 1時間 電波法の基礎
電気通信術 実技(送話・受話) 各約2分 フォネティックコードによる送受信

航空無線通信士と異なり、英語科目がないのが特徴です。

合格率

航空特殊無線技士の合格率はおおむね70〜80%程度で、航空無線通信士と比べて取得しやすい資格です。

取得方法の比較

方法1: 国家試験

公益財団法人日本無線協会が実施する国家試験に合格する方法です。

資格 試験回数 主な試験地 受験料
航空無線通信士 年2回(2月・8月) 東京ほか 9,362円
航空特殊無線技士 年3回(2月・6月・10月) 全国各地 5,663円

方法2: 養成課程(講習)

航空特殊無線技士は、養成課程でも取得可能です。

資格 講習期間 費用の目安
航空特殊無線技士 約4日 40,000〜60,000円

航空無線通信士には養成課程は設けられていないため、国家試験の合格が唯一の取得方法です。

方法3: 学校卒業

航空系の大学・専門学校で所定の科目を履修し卒業した場合、一部の試験科目が免除される場合があります。

パイロットと無線従事者資格の関係

パイロットライセンスを取得する際には、航空無線通信士または航空特殊無線技士の資格が必要です。

パイロットの種類 必要な無線資格
定期運送用操縦士(ATPL) 航空無線通信士
事業用操縦士(CPL) 航空無線通信士
自家用操縦士(PPL) 航空特殊無線技士以上
計器飛行証明 航空無線通信士

国際線を運航するパイロットや、計器飛行方式(IFR)で飛行するパイロットは、航空無線通信士の資格が必須です。

受験対策のポイント

無線工学

航空用無線設備の原理を中心に学習します。特に以下の分野が頻出です。

  • VHF通信装置の原理
  • ATCトランスポンダの仕組み
  • レーダーの基礎理論
  • アンテナの特性
  • 電波伝搬の基礎

法規

電波法と関連法規を中心に学習します。航空法関連の条文も出題されます。

  • 電波法の目的と基本概念
  • 無線局の免許制度
  • 無線従事者制度
  • 通信の優先順位(遭難通信、緊急通信等)
  • 航空法に基づく無線設備の装備義務

電波法の基本については電波法とはを参照してください。

英語(航空無線通信士のみ)

航空英語は独特の表現が多いため、ICAO標準フレーズ集を繰り返し学習することが効果的です。

  • 航空管制用語(cleared, hold, descend等)
  • 気象関連用語(visibility, ceiling, turbulence等)
  • 緊急時の英語表現(MAYDAY, PAN PAN等)

電気通信術

フォネティックコードの暗記と、送話・受話の反復練習が重要です。

文字 コード 文字 コード
A Alfa N November
B Bravo O Oscar
C Charlie P Papa
D Delta Q Quebec

実技試験では、1分間に50字程度の速度で正確に送受信できることが求められます。

免許証の申請

試験に合格したら、無線従事者免許証の申請を行います。

  1. 無線従事者免許申請書(所定様式)
  2. 写真(縦30mm×横24mm)
  3. 氏名・生年月日を証する書類
  4. 手数料: 1,750円(収入印紙)
  5. 合格証明書

申請先は管轄の総合通信局です。詳細は総合通信局を参照してください。

まとめ

航空無線通信士・航空特殊無線技士は、航空の安全を支える無線従事者資格です。要点を整理します。

  • 航空分野の無線資格は航空無線通信士航空特殊無線技士の2種類
  • 国際線のパイロットや管制官には航空無線通信士が必須
  • 国内VFRのみなら航空特殊無線技士で足りる
  • 航空無線通信士の取得は国家試験のみ(養成課程なし)
  • 航空特殊無線技士は養成課程でも取得可能
  • 科目合格制度を活用して複数回に分けて合格を目指せる
  • 英語と電気通信術が合否を分けるポイント

将来航空業界で働くことを目指す方は、早めに資格取得に取り組むことをお勧めします。

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