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国際VHFの免許と利用方法|小型船舶の通信

この記事でわかること

国際VHFは、船舶間および船舶と海岸局の間で音声通信を行う国際標準の無線システムです。遭難・安全通信から港内での連絡調整まで、海上通信の基幹として世界中で使用されています。

この記事では、国際VHFの基本的な仕組み免許の種類と取得方法チャンネルの使い分け、小型船舶での活用方法、必要な資格を実務的に解説します。

国際VHFとは

国際VHF(International VHF)は、156〜162MHz帯の周波数を使用する海上通信用の無線電話システムです。国際電気通信連合(ITU)の無線通信規則で規定されており、世界共通のチャンネルプランに基づいて運用されます。

国際VHFの特徴

  • 見通し距離の通信: 約20〜30海里(約37〜56km)の範囲で通信可能
  • 音声通信が基本: 明瞭な音声で通話できる
  • DSC機能: デジタル選択呼出しにより特定の相手を自動的に呼び出せる
  • 世界共通: 国際統一のチャンネルプランで海外の港でも通信可能
  • 遭難通信に対応: チャンネル16(156.8MHz)は国際遭難周波数

国際VHFと携帯電話の違い

「携帯電話があれば不要では?」と考える方もいますが、国際VHFには以下の優位性があります。

比較項目 国際VHF 携帯電話
沖合でのカバー 沿岸から20海里以上 沿岸数kmで圏外
遭難通信 チャンネル16で周辺全船に発信 118番のみ(通話圏内限定)
同報通信 可能(周辺の全船が受信) 不可
通話料 無料 通信費が発生
耐環境性 防水・耐衝撃設計 機種による

国際VHFの免許制度

国際VHFを使用するには、無線局の免許が必要です。免許の種類は、船舶の大きさや用途によって異なります。

特定船舶局(包括免許)

小型船舶やレジャーボートで国際VHFを使用する場合、特定船舶局として包括免許を受けるのが一般的です。

適合表示無線設備のみを使用する特定船舶局については、包括免許を受けることができる。

― 電波法 第27条の29

特定船舶局は通常の船舶局と比べて手続きが大幅に簡略化されており、個別の落成検査が不要です。詳細は特定船舶局の開局申請|レジャーボート・漁船向けをご確認ください。

船舶局

総トン数の大きい船舶や、国際VHF以外の無線設備も搭載する場合は、通常の船舶局として免許を受けます。詳細は船舶局の免許申請|開局手順と必要書類を参照してください。

国際VHFの免許取得手順

ここでは、小型船舶で国際VHFを使用するための特定船舶局の開局手順を説明します。

Step 1: 無線機の購入

まず、技術基準適合証明(技適マーク付き)の国際VHF無線機を購入します。据置型(固定型)とハンディ型(携帯型)があります。

タイプ 特徴 空中線電力
据置型 船舶に固定設置、外部アンテナ使用 最大25W
ハンディ型 携帯可能、内蔵アンテナ 最大5W

通信距離を確保するには据置型で外部アンテナをマスト上に設置するのが望ましいですが、予備としてハンディ型も搭載するケースが多いです。

Step 2: 無線従事者資格の取得

国際VHFの操作には、以下の資格のいずれかが必要です。

  • 第三級海上無線通信士以上
  • 第三級海上特殊無線技士以上(25W以下の場合)
  • 第二級海上特殊無線技士以上

小型船舶の場合、第三級海上特殊無線技士の資格を取得するのが最も一般的です。この資格は養成課程(約1日の講習)で取得できます。

Step 3: 特定船舶局の開局申請

無線機と資格を準備したら、特定船舶局の開局申請を行います。

必要書類は以下のとおりです。

  1. 特定船舶局の開設届出書
  2. 無線機の技適番号
  3. 無線従事者資格証明書の写し
  4. 船舶の情報(船名、船舶番号等)

Step 4: MMSI番号の取得

国際VHFのDSC機能を利用するには、MMSI番号(海上移動業務識別番号)が必要です。MMSI番号は開局申請時に総合通信局から割り当てられます。

MMSI番号は無線機にプログラミング(設定入力)する必要があり、通常は販売店や取付業者が行います。

Step 5: 運用開始

免許が交付されたら、運用を開始できます。運用にあたっては、チャンネルの使い分けと通信マナーを守ることが重要です。

チャンネルの使い分け

国際VHFのチャンネルは、用途ごとに割り当てが決められています。主なチャンネルは以下のとおりです。

チャンネル 周波数 用途
Ch.16 156.800MHz 遭難・安全・呼出し(常時聴守義務)
Ch.06 156.300MHz 船舶間安全通信
Ch.13 156.650MHz 船舶間の航行安全(操船に関する連絡)
Ch.70 156.525MHz DSC(デジタル選択呼出し専用)
Ch.12, 14 ポートオペレーション(港湾管理)
Ch.69, 72, 77等 船舶間通信(一般)

チャンネル16の重要性

チャンネル16は国際遭難周波数であり、すべての船舶局は航行中にこのチャンネルを常時聴守する義務があります。

義務船舶局は、海上における遭難通信を受信するために、総務省令で定めるところにより、常時聴守をしなければならない。

― 電波法 第65条

遭難時にはチャンネル16で「メーデー(MAYDAY)」を3回繰り返して遭難通報を行います。

運用上の注意点

国際VHFの運用にあたっては、以下の点に注意が必要です。

  • 免許状を船内に備え付ける: 運用中は免許状の原本を船内に保管する義務がある
  • 無線業務日誌の記載: 遭難通信や重要な通信を行った場合は記録する
  • 混信を避ける: 使用前にチャンネルが空いていることを確認してから送信する
  • 簡潔に通話する: チャンネルを長時間占有しない
  • 識別信号の送信: 通話の冒頭と末尾にコールサインを送信する
  • 業務外通信の禁止: 免許された通信事項以外の通信を行ってはならない

費用の目安

国際VHFの導入にかかる費用の目安は以下のとおりです。

項目 費用の目安
国際VHF無線機(据置型) 50,000〜150,000円
国際VHF無線機(ハンディ型) 30,000〜80,000円
外部アンテナ 10,000〜30,000円
第三級海上特殊無線技士(養成課程) 20,000〜30,000円
特定船舶局開局手数料 2,900円程度
電波利用料(年額) 400円

まとめ

国際VHFは、小型船舶から大型船舶まで幅広く利用される海上通信の基幹システムです。要点を整理します。

  • 国際VHFは156〜162MHz帯を使用する海上通信用無線電話
  • 小型船舶では特定船舶局として包括免許を受けるのが一般的
  • 操作には第三級海上特殊無線技士以上の資格が必要
  • チャンネル16は遭難・安全用であり常時聴守が義務
  • DSC機能の利用にはMMSI番号の取得が必要
  • 携帯電話が圏外になる沖合でも確実に通信できる安全装備

海上での安全確保のため、国際VHFの搭載を検討してみてください。免許申請の手続きに不安がある場合は、行政書士への代行依頼も可能です。

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