目次
この記事でわかること
警備業で使う無線機には、免許が不要なものと届出や免許が必要なものがあります。用途や規模によって適切な選択肢は変わります。
この記事では、警備業でよく使われる無線機の種類と、免許不要で使える選択肢の特徴・比較、デジタル簡易無線(登録局)との使い分けを解説します。
警備業で使われる無線機の種類
警備業での無線通信は、施設警備・交通誘導・イベント警備など業務形態によって求められる通信距離や同時通信の規模が異なります。
主に使われる無線機の種類と手続き要件をまとめます。
| 無線機の種類 | 手続き | 通信距離の目安 |
|---|---|---|
| 特定小電力無線機 | 免許・届出不要 | 数十m〜200m程度 |
| IP無線(携帯電話回線) | 免許・届出不要 | 全国(携帯エリア内) |
| デジタル簡易無線(登録局) | 登録申請・届出 | 市街地1〜3km |
| デジタル簡易無線(免許局) | 免許申請 | 市街地1〜3km |
| MCA無線 | 免許申請 | 広域(サービスエリア内) |
免許不要で使える選択肢
特定小電力無線機
特定小電力無線機は、電波法施行規則に定められた技術基準に適合した機種であれば、免許・届出なしで使用できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 根拠法令 | 電波法第4条第3号・電波法施行規則第6条 |
| 出力 | 10mW以下 |
| 通信距離の目安 | 屋外見通し100〜200m程度、建物内はさらに短い |
| 手続き | 不要(技適マーク付き機種のみ使用可) |
| チャンネル数 | 機種・周波数帯による |
特定小電力無線機が適している警備業務: – 商業施設内・駐車場内の近距離通信 – 店舗・ビル内の施設警備(フロア間通信) – 比較的こじんまりとした施設での警備
注意点: – 出力が低いため、屋外の広範囲・長距離通信には不向き – 同じ周波数帯を多数のユーザーが使用しているため、混信が発生する場合がある – 秘話機能があっても、電波自体は空間に発射されている
IP無線(携帯電話回線を使用するもの)
IP無線は、携帯電話(LTE・4G等)の通信回線を利用して音声通信を行う機器です。無線機の形をしていますが、通信に使う回線は携帯電話回線のため電波法上の免許は不要です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 通信回線 | 携帯電話回線(LTE等) |
| 手続き | 不要(通信サービスの契約が必要) |
| 通信距離 | 携帯電話の電波が届くエリア全域 |
| ランニングコスト | 月額通信費が発生(サービスプランによる) |
IP無線が適している警備業務: – 広域にわたる巡回警備(市区をまたぐ通信) – 複数の警備拠点間の遠距離通信 – 携帯電話のエリアをカバーできる場所での使用
注意点: – 携帯電話の電波が届かない場所(地下・山間部等)では使用不可 – 通信サービスの月額費用が継続的に発生する – 大規模災害時など通信回線が混雑した場合に通話がつながりにくくなる場合がある
デジタル簡易無線(登録局)との比較
届出制で使えるデジタル簡易無線(登録局)も、警備業でよく使われます。特定小電力・IP無線と比較します。
| 比較項目 | 特定小電力 | IP無線 | デジタル簡易無線(登録局) |
|---|---|---|---|
| 免許・届出 | 不要 | 不要 | 登録申請・届出が必要 |
| 通信距離 | 数十m〜200m | 携帯エリア全域 | 市街地1〜3km |
| 月額費用 | なし | あり(通信費) | 電波利用料のみ(年額) |
| レンタル | 可能 | 可能 | 登録局は可能 |
| 秘話性 | 低〜中 | 高(暗号化通信) | 中(デジタル方式) |
| 台数の管理 | 管理不要 | サービス契約で管理 | 開設届出が必要 |
警備業での用途別推奨
施設内の近距離警備(商業施設・オフィスビル等)
- 推奨: 特定小電力無線機
- 理由: 手続き不要、施設内なら通信距離が十分
交通誘導警備(屋外・工事現場)
- 推奨: デジタル簡易無線(登録局)
- 理由: 屋外の数百m〜数kmの通信に対応できる。レンタルも利用可
広域・複数拠点の警備業務
- 推奨: IP無線
- 理由: 携帯エリア内であれば距離に関係なく通信できる
大規模イベント警備
- 推奨: デジタル簡易無線(登録局)またはIP無線の組み合わせ
- 理由: 多人数・複数グループへの対応と、広域通信の両立
イベントでの無線機利用については「イベント会場での無線機利用ガイド」もご覧ください。
警備業で無線機を使う際の法令上の注意
通信内容に関するルール
警備業での無線通信は業務上の連絡に使用するものですが、電波法のルールが適用されます。
無線局は、免許状(中略)に記載された目的又は通信の相手方若しくは通信事項(中略)の範囲を超えて運用してはならない。
― 電波法 第52条
業務通信以外の使用(私的な会話等)は目的外使用にあたる場合があります。
他者の通信の傍受禁止
業務中に他の無線局の通信を傍受した場合でも、その内容を漏らすことは電波法第59条で禁じられています。
デジタル簡易無線の登録申請が必要な場合
デジタル簡易無線(登録局)を使用する場合は、事前に登録申請が必要です。
登録申請の手順については「デジタル簡易無線の登録申請|オンライン手順ガイド」、費用については「デジタル簡易無線の費用一覧|登録料・電波利用料」をご覧ください。
警備業特有の無線機の選び方についての詳細は「警備業の業務用無線|種類と申請方法」もあわせてご覧ください。
まとめ
警備業での無線機選びのポイントをまとめます。
- 特定小電力無線機: 免許・届出不要。施設内の近距離通信向け
- IP無線: 免許不要だが月額通信費あり。広域通信向け
- デジタル簡易無線(登録局): 登録申請が必要だが届出制で手軽。屋外の中距離通信に適する
- 用途(施設内・屋外・広域)と予算(初期費用・ランニングコスト)で選ぶ
- 特定小電力は手続き不要だが通信距離が短い点を理解した上で選ぶ
業務用無線全体の選び方は「業務用無線の選び方|免許局・登録局・IP無線を比較」をご覧ください。