目次
この記事でわかること
実験試験局を開設する際に気になるのが費用です。免許申請にかかる手数料、毎年の電波利用料、落成検査の費用など、複数の費用項目があるため、全体像を把握しにくいのが実情です。
この記事では、実験試験局の開設・運用にかかる費用の全項目を一覧形式で整理し、特定実験試験局との費用比較、行政書士への代行費用の相場もあわせて解説します。
費用の全体像
実験試験局にかかる費用は、大きく以下の4つに分類されます。
| 費用の分類 | タイミング | 概要 |
|---|---|---|
| 免許申請手数料 | 申請時(1回) | 総合通信局への申請手数料(収入印紙) |
| 落成検査手数料 | 設備設置後(1回) | 落成検査の受検費用 |
| 電波利用料 | 毎年 | 無線局の維持に必要な年間費用 |
| 行政書士代行費用 | 依頼時 | 申請手続きの代行を依頼する場合の費用 |
上記は行政手続きに関する費用であり、無線設備そのものの購入費用や設置工事費用は含まれていません。
免許申請手数料
実験試験局の免許申請手数料は、空中線電力(送信出力)によって異なります。
書面申請の場合
| 空中線電力 | 申請手数料(収入印紙) |
|---|---|
| 0.01W以下 | 3,550円 |
| 0.01Wを超え0.1W以下 | 5,350円 |
| 0.1Wを超え0.5W以下 | 8,750円 |
| 0.5Wを超え2W以下 | 13,850円 |
| 2Wを超え10W以下 | 18,200円 |
| 10Wを超え50W以下 | 22,750円 |
| 50Wを超え200W以下 | 27,900円 |
| 200Wを超え1kW以下 | 34,200円 |
| 1kWを超えるもの | 42,550円 |
※ 上記手数料は「電波法関係手数料令」に基づく(2025年10月改定後の金額)。
電子申請の場合
総務省の「電波利用 電子申請・届出システム Lite」を利用すると、申請手数料が軽減されます。
| 空中線電力 | 電子申請の手数料 | 書面との差額 |
|---|---|---|
| 0.01W以下 | 2,750円 | -800円 |
| 0.01Wを超え0.1W以下 | 4,250円 | -1,100円 |
| 0.1Wを超え0.5W以下 | 6,700円 | -2,050円 |
| 0.5Wを超え2W以下 | 10,400円 | -3,450円 |
| 2Wを超え10W以下 | 13,450円 | -4,750円 |
※ 上記手数料は「電波法関係手数料令」に基づく(2025年10月改定後の金額)。
電子申請を利用することで数千円程度の節約が可能です。
落成検査手数料
実験試験局の設備が設置された後に受ける落成検査の手数料です。
予備免許を受けた者は、工事が落成したときは、その旨を総務大臣に届け出て、その無線設備、無線従事者の資格及び員数並びに時計及び書類について検査を受けなければならない。
― 電波法 第10条第1項
| 空中線電力 | 落成検査手数料 |
|---|---|
| 0.01W以下 | 17,000円程度 |
| 0.1W以下 | 21,400円程度 |
| 0.5W以下 | 26,100円程度 |
| 2W以下 | 31,400円程度 |
| 10W以下 | 37,900円程度 |
※ 上記手数料は「電波法関係手数料令」に基づく。
落成検査が省略される場合
以下のケースでは、落成検査が省略される場合があります。
| ケース | 内容 |
|---|---|
| 特定実験試験局 | 公示条件の範囲内であれば落成検査が省略されることが多い |
| 登録検査等事業者の検査 | 登録検査等事業者による検査で代替可能 |
| 技適取得済み機器の使用 | 技適を取得した機器のみで構成される場合 |
落成検査の省略により、検査手数料と検査にかかる時間の両方を節約できます。
電波利用料
電波利用料は、免許を受けた無線局の免許人が毎年納付する費用です。電波利用料は、電波の監視・管理や不法電波の取締りなどの財源として使われます。
実験試験局の電波利用料
実験試験局の電波利用料は、無線局の種類と使用する周波数帯によって異なります。
| 周波数帯 | 年額の目安 |
|---|---|
| 770MHz以下 | 600円程度〜 |
| 770MHzを超え3.6GHz以下 | 600円程度〜 |
| 3.6GHzを超え6GHz以下 | 600円程度〜 |
| 6GHzを超えるもの | 600円程度〜 |
※ 電波利用料は電波法別表第六に基づく。
実験試験局の電波利用料は、商用の無線局に比べて比較的低額に設定されています。ただし、使用する周波数帯域幅や出力によって金額が変動する場合があります。
電波利用料の納付方法
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 納付時期 | 免許の応当日から30日以内 |
| 納付方法 | 銀行振込、電子納付(ペイジー) |
| 納付通知 | 総務省から納付通知書が送付される |
| 滞納した場合 | 督促状の送付、延滞金の加算 |
電波利用料の制度全体については「電波利用料とは?金額一覧と納付方法を解説」をご覧ください。
費用のシミュレーション
ケース1: 小規模な実験(出力0.1W以下)
| 費用項目 | 金額(電子申請) |
|---|---|
| 免許申請手数料 | 4,250円 |
| 落成検査手数料 | 21,400円 |
| 電波利用料(年額) | 600円 |
| 合計(初年度) | 約26,250円 |
ケース2: 中規模な実験(出力2W以下)
| 費用項目 | 金額(電子申請) |
|---|---|
| 免許申請手数料 | 10,400円 |
| 落成検査手数料 | 31,400円 |
| 電波利用料(年額) | 600円 |
| 合計(初年度) | 約42,400円 |
ケース3: 大規模な実験(出力10W超)
| 費用項目 | 金額(電子申請) |
|---|---|
| 免許申請手数料 | 13,450円〜 |
| 落成検査手数料 | 37,900円〜 |
| 電波利用料(年額) | 600円〜 |
| 合計(初年度) | 約52,000円〜 |
特定実験試験局との費用比較
特定実験試験局は、公示条件の範囲内であれば簡易な手続きで免許を取得できるため、費用面でもメリットがあります。
| 費用項目 | 通常の実験試験局 | 特定実験試験局 |
|---|---|---|
| 免許申請手数料 | 3,550円〜42,550円 | 3,550円〜 |
| 落成検査手数料 | 17,000円〜 | 省略の場合あり(0円) |
| 電波利用料(年額) | 600円〜 | 600円〜 |
| 合計(初年度目安) | 約21,000円〜 | 約4,000円〜 |
特定実験試験局では落成検査が省略されるケースが多いため、初期費用を大幅に抑えることが可能です。特定実験試験局の制度については「特定実験試験局の簡易免許|包括免許制度を活用」をご覧ください。
再免許の費用
免許の有効期間(原則5年)が満了する前に再免許を申請する場合の費用です。
| 費用項目 | 金額 |
|---|---|
| 再免許申請手数料 | 1,950円〜(電子申請の場合は軽減) |
| 検査手数料 | 設備に変更がなければ省略される場合あり |
| 電波利用料 | 引き続き年額を納付 |
再免許の手数料は、新規の免許申請よりも低額に設定されています。
行政書士への代行費用
実験試験局の免許申請を行政書士に依頼する場合の費用相場です。
| 依頼内容 | 費用相場 |
|---|---|
| 免許申請書類の作成・提出 | 5万円〜15万円程度 |
| 実験計画書の作成支援 | 5万円〜10万円程度 |
| 落成検査の立会い | 3万円〜5万円程度 |
| 干渉調整の代行 | 3万円〜10万円程度 |
| 再免許の申請 | 3万円〜5万円程度 |
※ 報酬額は事務所により異なります。上記は複数の行政書士事務所の公開情報を参考にした目安です。
費用は案件の難易度、出力、周波数帯、干渉調整の有無によって変動します。行政書士への代行の詳細は「特殊無線・実験局の行政書士代行|費用と依頼の流れ」をご参照ください。
費用を抑えるポイント
ポイント1: 電子申請の活用
電子申請を利用すると、申請手数料が数百円〜数千円軽減されます。
ポイント2: 特定実験試験局の活用
公示条件に合致する場合は、特定実験試験局を選択することで、落成検査の省略など大幅な費用削減が可能です。
ポイント3: 登録検査等事業者の活用
落成検査を登録検査等事業者に依頼することで、スケジュールの柔軟性が向上する場合があります。
ポイント4: 行政書士への依頼で手戻り防止
申請書類の不備による手戻りは時間とコストの無駄です。行政書士に依頼することで、一発で審査を通過できる書類を作成でき、結果的にコストを抑えられるケースもあります。
まとめ
実験試験局の電波利用料と費用について、要点を整理します。
| 費用項目 | 金額の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 免許申請手数料 | 2,750円〜42,550円 | 電子申請で軽減あり |
| 落成検査手数料 | 17,000円〜 | 特定実験試験局は省略の場合あり |
| 電波利用料(年額) | 600円〜 | 周波数帯・出力による |
| 再免許手数料 | 1,950円〜 | 新規より低額 |
| 行政書士代行費用 | 5万円〜15万円程度 | 案件の難易度による |
実験試験局の費用は商用の無線局に比べて低額ですが、実験の規模によっては複数の費用項目が積み上がります。事前に費用の全体像を把握し、予算計画を立てた上で申請に臨みましょう。
実験試験局の免許申請の全体像については「実験試験局の免許申請|研究開発に必要な手続き」をご覧ください。