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【FAQ】技適マークがない機器を使うとどうなる?

目次

  1. 結論:技適マークがない機器の使用は電波法違反
  2. 技適マークとは
    1. 技適の正式名称と制度の概要
    1. 技適マークの表示
    1. 技適が必要な機器の例
  3. 技適なし機器を使った場合の法的リスク
    1. 電波法違反の罰則
    1. 他の無線通信への妨害リスク
    1. 摘発の実態
  4. 技適の確認方法
    1. 機器本体での確認
    1. 総務省の技適マーク検索サイト
    1. 技適認証機関
  5. 技適マークがない機器を使える特例制度
    1. 特例制度(技適未取得機器を用いた実験等の特例制度)
    1. 特例の条件
    1. 届出の方法
    1. 特例が使えないケース
  6. 海外製品を購入・輸入する際の注意
    1. 技適問題が発生しやすいケース
    1. 日本正規品と海外版の違い
    1. ドローン関連機器の技適問題
  7. どうしても技適なしの機器を使いたい場合の選択肢
    1. 選択肢1: 技適を自分で取得する
    1. 選択肢2: 特例制度を利用する(短期間の実験・試験目的)
    1. 選択肢3: 技適取得済みの代替品を探す
    1. 選択肢4: 無線部分を無効化して使用する
    1. 選択肢5: アマチュア無線局として開局する(アマチュア無線帯の場合)
  8. 技適に関するよくある誤解
    1. 「技適は不要な規制だ」という誤解
    1. 「Bluetooth機器は技適不要」という誤解
    1. 「受信だけなら技適不要」は正しい
    1. 「個人使用なら見逃される」という誤解
  9. よくある質問
    1. Q. 海外で購入したスマートフォンを日本で使える?
    1. Q. 技適が切れることはある?
    1. Q. フリマアプリで買った機器に技適マークがない。返品すべき?
    1. Q. 技適マークが消えてしまった機器は使える?
    1. Q. 自作の無線機器に技適は取れる?
  10. まとめ

結論:技適マークがない機器の使用は電波法違反

技適マーク(技術基準適合証明等のマーク)がない無線機器を日本国内で使用すると、電波法第4条違反(無線局の不法開設)に該当し、1年以下の懲役または100万円以下の罰金の対象になります。

技適マークは、その無線機器が日本の電波法の技術基準に適合していることを示す証明です。Wi-Fiルーター、Bluetooth機器、トランシーバー、ドローンの送信機など、電波を発する機器にはすべて技適マークが必要です。

「知らなかった」「海外では合法だった」は言い訳になりません。この記事では、技適マークがない機器を使った場合のリスク、技適の確認方法、どうしても技適なしの機器を使いたい場合の選択肢までを解説します。

技適マークとは

技適の正式名称と制度の概要

技適マークの正式名称は「技術基準適合証明」および「工事設計認証」の2種類です。これらを総称して「技適」と呼んでいます。

種類 対象 内容
技術基準適合証明 個々の無線設備 1台ごとに技術基準への適合を証明
工事設計認証 同一設計の無線設備 設計(型式)に対して一括で認証

量産される市販品(スマートフォン、Wi-Fiルーター等)は主に工事設計認証を受けています。個別に製造された無線設備は技術基準適合証明を受けます。

技適マークの表示

技適マークは、無線機器の本体、パッケージ、取扱説明書などに以下の形式で表示されています。

  • マーク本体(郵便マークに似た形状のマーク)
  • 認証番号(数字とアルファベットの組み合わせ)

技適マークの表示がない機器は、日本の技術基準への適合が確認されていない機器と判断されます。

技適が必要な機器の例

日常的に使用する無線機器のほとんどに技適が必要です。

カテゴリ 具体例
通信機器 スマートフォン、Wi-Fiルーター、Bluetooth機器
無線機 トランシーバー、アマチュア無線機、業務用無線機
ドローン関連 送信機(プロポ)、映像送信機(VTX)、中継器
IoT機器 スマートスピーカー、スマートウォッチ、ワイヤレスカメラ
その他 ワイヤレスマイク、ワイヤレスイヤホン、リモコン

技適なし機器を使った場合の法的リスク

電波法違反の罰則

技適マークのない無線機器を使用して電波を発射すると、不法無線局の開設として以下の罰則が適用されます。

無線局を開設しようとする者は、総務大臣の免許を受けなければならない。

― 電波法 第4条第1項

違反の内容 罰則
不法無線局の開設(技適なし機器の使用) 1年以下の懲役または100万円以下の罰金(電波法第110条第1号)

「使っただけ」でも違法です。電波を発射する機器の電源を入れた時点で、不法電波の発射に該当する可能性があります。

他の無線通信への妨害リスク

技適を取得していない機器は、日本の電波環境に適合した設計がなされていない可能性があります。その結果、以下のような問題を引き起こすリスクがあります。

  • 他の無線通信への干渉: 許可された周波数帯以外に電波が漏洩し、他の無線局の通信を妨害
  • 航空無線への影響: 航空管制や航空機の通信に影響を及ぼす可能性
  • 医療機器への影響: 病院等の医療機器に干渉する可能性
  • 緊急通信への影響: 消防・警察の緊急通信に支障をきたす可能性

何人も、法律に基づいて開設された無線局の無線通信を妨害してはならない。

― 電波法 第108条の2

他の無線局の通信を故意に妨害した場合は、さらに重い罰則(5年以下の懲役または250万円以下の罰金)が適用されます。

摘発の実態

総務省(総合通信局)は全国に電波監視システム(DEURAS)を展開し、不法電波の監視を常時行っています。技適なし機器の使用による摘発は実際に行われており、以下のような形で発覚するケースがあります。

  • 総合通信局による電波監視: DEURASによる不法電波の探知・方向探知
  • 他の無線局からの通報: 干渉を受けた無線局からの苦情・通報
  • 税関での輸入時のチェック: 大量輸入品の技適有無の確認
  • 事故や事件の調査: 事故発生時に使用機器の適法性が調査される

技適の確認方法

機器本体での確認

技適マークは通常、機器本体に印刷またはシールで貼付されています。確認する場所の例は以下のとおりです。

  • 機器の底面または背面
  • バッテリー収納部の内側
  • 機器の画面上(電子表示の場合)
  • パッケージや取扱説明書

総務省の技適マーク検索サイト

総務省は技術基準適合証明等を受けた機器の検索サイトを公開しています。認証番号やメーカー名、型式名で検索することで、その機器が技適を取得しているかを確認できます。

検索サイトでは以下の情報が確認できます。

  • 認証番号
  • 認証年月日
  • 認証を行った機関(TELECなど)
  • 機器の型式名称
  • 電波の型式、周波数帯、空中線電力

技適認証機関

日本で技適の認証を行う主な機関は以下のとおりです。

認証機関 略称 特徴
テレコムエンジニアリングセンター TELEC 最大手の認証機関
日本品質保証機構 JQA 幅広い認証を手がける
テュフ ラインランド ジャパン TUV 国際的な認証機関
SGS Japan SGS 国際的な検査・認証機関

技適認証機関(TELEC)については「TELECとは?技適認証の仕組みと費用」で解説しています。

技適マークがない機器を使える特例制度

特例制度(技適未取得機器を用いた実験等の特例制度)

2019年11月に施行された制度で、技適マークのない無線機器を一定の条件のもとで短期間使用できる特例です。

技術基準適合証明等を受けていない特定無線設備を、実験、試験又は調査の用に供するために用いる場合は、届出をすることにより使用することができる。

― 電波法第4条の2第2項

特例の条件

この特例制度を利用するための主な条件は以下のとおりです。

条件 内容
目的 実験、試験、調査の用途に限定
届出 総務大臣への事前届出が必要(届出はWebで可能)
期間 最長180日間
対象機器 Wi-Fi、Bluetooth等の小電力無線局に相当する機器
場所 届出に記載した場所(屋内が原則)
混信防止 他の無線局に混信を与えないこと
技術基準 相当する日本の技術基準に適合する同等の外国基準(FCC、CE等)の認証を受けていること

届出の方法

特例制度の届出は、総務省の「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」のWebサイトから行います。届出に必要な情報は以下のとおりです。

  • 届出者の情報(氏名、住所等)
  • 使用する機器の情報(製造者名、型式、外国基準の認証番号等)
  • 使用場所
  • 使用期間
  • 使用目的

届出は無料で、Webサイトから即日手続きが可能です。

特例が使えないケース

以下のケースでは特例制度を利用できません。

  • 商業利用業務利用が主目的の場合
  • FCC等の外国の認証も受けていない機器
  • 大出力の無線設備(小電力無線局に相当しないもの)
  • 継続的な使用(180日を超える使用)
  • アマチュア無線帯の機器

海外製品を購入・輸入する際の注意

技適問題が発生しやすいケース

海外製品の購入や輸入時に技適問題が発生しやすい典型的なケースは以下のとおりです。

ケース リスク
海外通販サイト(Amazon.com、AliExpress等)での購入 日本向けでない製品は技適未取得の可能性が高い
海外旅行での購入 現地で合法でも日本では技適がなければ使用不可
並行輸入品の購入 正規代理店ルート以外の製品は技適がない場合がある
クラウドファンディング製品 開発段階の製品は技適未取得のことが多い
個人間取引(フリマアプリ等) 出品者が技適を意識していない場合がある

日本正規品と海外版の違い

同じメーカーの同じ製品でも、日本正規品と海外版では技適の有無が異なることがあります。

たとえば、あるWi-Fiルーターの日本正規品はTELECの技適を取得していますが、同じ型番の海外版はFCC認証のみで技適は取得していない、というケースがあります。

購入時に「日本正規品」であることを確認してください。特にオンラインショッピングでは、日本正規品と海外版が混在して販売されていることがあります。

ドローン関連機器の技適問題

ドローン関連機器は海外製品が多く、技適問題が頻繁に発生する分野です。

機器 技適の状況
DJI製ドローン(日本正規品) 技適取得済み
FPVドローンのVTX(5.8GHz帯) 技適未取得がほとんど(保証認定が必要)
海外製プロポ(送信機) 日本正規品は技適あり、並行輸入品は技適なしの場合がある
映像受信機(VRX) 受信のみなら技適不要

FPVドローンのVTXが技適を取得していない場合の対応については「FPVドローンに必要な免許と開局手続き」で解説しています。

どうしても技適なしの機器を使いたい場合の選択肢

選択肢1: 技適を自分で取得する

技適未取得の機器を日本で恒常的に使用したい場合、自分で技適を取得することが可能です。ただし、個人で技適を取得するのは手続きが煩雑で費用も高額です。

項目 内容
認証機関 TELEC、JQA等
費用 数万円〜数十万円(機器の種類、試験内容による)
期間 数週間〜数ヶ月
必要書類 技術仕様書、回路図、測定データ等

費用が高額になるため、個人使用の1台のために技適を取得するのは現実的ではない場合がほとんどです。メーカーやディストリビューターが日本市場向けに技適を取得するのが一般的な流れです。

技適取得の代行については「技適(技術基準適合証明)取得代行の流れと費用」をご覧ください。

選択肢2: 特例制度を利用する(短期間の実験・試験目的)

前述の「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」を利用すれば、最長180日間の短期間使用が可能です。ただし、実験・試験・調査の目的に限られます。

選択肢3: 技適取得済みの代替品を探す

多くの場合、海外製品に対応する日本正規品や技適取得済みの代替品が存在します。

  • Wi-Fiルーター: 国内メーカー品や日本正規品を選択
  • Bluetooth機器: 日本正規代理店から購入
  • ドローン関連: 日本正規品を取り扱うショップから購入
  • IoT機器: 日本市場向けに販売されている製品を選択

選択肢4: 無線部分を無効化して使用する

機器の無線機能を完全に無効化して使用するのであれば、電波を発射しないため電波法の規制対象にはなりません。ただし、以下の条件を満たす必要があります。

  • 無線機能がハードウェアレベルで無効化されていること
  • 誤って電波を発射するリスクがないこと
  • 無線機能以外の部分のみを使用すること

ソフトウェアによるOFFでは「いつでも有効化できる状態」とみなされる可能性があるため、確実に電波が発射されない状態にする必要があります。

選択肢5: アマチュア無線局として開局する(アマチュア無線帯の場合)

使用する周波数帯がアマチュア無線帯に該当する場合は、アマチュア無線局として開局することで合法的に使用できます。この場合、技適の代わりに保証認定を受けることで、技術基準への適合を証明します。

FPVドローンのVTX(5.8GHz帯)はこの方法で合法化するのが一般的です。保証認定については「FPVドローンのJARD保証認定|申請手順と必要書類」をご覧ください。

技適に関するよくある誤解

「技適は不要な規制だ」という誤解

技適制度を不必要な規制と見る意見もありますが、電波は有限の共有資源であり、技術基準に適合しない機器の使用は他の利用者への妨害を引き起こします。技適制度は日本の電波環境を秩序正しく維持するための制度です。

「Bluetooth機器は技適不要」という誤解

Bluetoothも電波を使用する無線通信です。日本国内で使用するBluetooth機器には技適が必要です。ただし、日本正規品として販売されているBluetooth機器はほぼすべて技適を取得済みです。

「受信だけなら技適不要」は正しい

電波法は電波の発射(送信)を規制しており、受信のみであれば技適は不要です。ラジオの受信、テレビの受信、FPV映像の受信(VRX)などは技適なしでも合法です。

「個人使用なら見逃される」という誤解

電波法は個人使用か業務使用かを問わず適用されます。個人使用であっても不法電波の発射は違法であり、摘発の対象になります。

よくある質問

Q. 海外で購入したスマートフォンを日本で使える?

技適マークがない海外製スマートフォンの使用は原則として電波法違反です。ただし、短期間の滞在者向けに「入国後90日以内は技適なしの携帯電話等を使用できる」特例があります。日本在住の方がこの特例を利用することはできません。

Q. 技適が切れることはある?

技適自体に有効期限はありません。 一度取得された技適は、その機器の設計が変更されない限り有効です。ただし、電波法の技術基準が改正された場合、旧基準で取得した技適の機器が使えなくなるケースがあります(スプリアス規格の改正など)。

Q. フリマアプリで買った機器に技適マークがない。返品すべき?

技適マークのない無線機器を日本で使用することは違法です。使用せず保管するだけであれば違法ではありませんが、使用する予定であれば返品するか、技適取得済みの製品を別途購入することを推奨します。出品者に技適の有無を確認してから購入する習慣をつけてください。

Q. 技適マークが消えてしまった機器は使える?

技適マーク自体が消えても、認証が有効であれば使用可能です。認証番号がわかれば、総務省の検索サイトで認証状況を確認できます。心配な場合は、メーカーに認証番号を問い合わせてください。

Q. 自作の無線機器に技適は取れる?

自作の無線機器でも技適を取得することは可能です。認証機関に試験を依頼し、技術基準に適合していれば技術基準適合証明を受けられます。ただし、費用が高額になるため、アマチュア無線帯の自作機器であれば保証認定を利用する方が現実的です。

まとめ

  • 技適マークがない機器を日本で使用すると電波法違反で1年以下の懲役または100万円以下の罰金
  • 技適はスマートフォン、Wi-Fi、Bluetooth、ドローン関連など電波を発する機器すべてに必要
  • 技適の有無は機器本体のマークまたは総務省の検索サイトで確認できる
  • 短期間の実験・試験目的であれば特例制度(最長180日間)が利用可能
  • 海外製品の購入時は日本正規品であることを必ず確認
  • 技適なしの機器を使いたい場合は、技適取得、特例制度利用、代替品の選択、保証認定などの選択肢がある
  • 受信のみであれば技適は不要だが、送信(電波の発射)には必ず技適が必要
  • 技適認証機関については「TELECとは?技適認証の仕組みと費用」、技適取得の代行は「技適(技術基準適合証明)取得代行の流れと費用」を参照

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