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衛星通信に必要な無線従事者資格一覧

この記事でわかること

衛星通信の地球局を運用するには、原則として無線従事者資格が必要です。ただし、地球局の種類や技術基準によって必要な資格が異なり、場合によっては資格が不要なケースもあります。

この記事では、衛星通信に関連する無線従事者資格の種類、地球局の種別ごとの必要資格、資格の取得方法を整理して解説します。

無線従事者制度の概要

電波法の規定

電波法は、無線局の操作を行う者に対して無線従事者資格を求めています。

無線局の無線設備の操作は、無線従事者でなければ行つてはならない。ただし、総務省令で定める簡易な操作を除く。 ― 電波法 第39条(要旨)

無線従事者資格は、電波法に基づく国家資格です。資格には複数の種別があり、操作できる無線設備の範囲が定められています。

無線従事者資格の体系

無線従事者資格は、大きく以下の区分に分かれます。

区分 主な資格 対象分野
総合無線通信士 第一級〜第三級 陸上・海上・航空すべて
海上無線通信士 第一級〜第四級 海上通信
航空無線通信士 航空通信
陸上無線技術士 第一級・第二級 陸上通信(技術操作)
陸上特殊無線技士 第一級〜第三級 陸上通信(特定の操作)
海上特殊無線技士 第一級〜第三級 海上通信(特定の操作)
アマチュア無線技士 第一級〜第四級 アマチュア無線

衛星通信に関連するのは、主に陸上特殊無線技士、海上特殊無線技士、航空無線通信士、陸上無線技術士です。

地球局の種別ごとの必要資格

固定地球局・VSAT局

固定地球局やVSAT局の操作には、以下の資格が必要です。

局の規模・条件 必要な資格
大型固定地球局 第一級陸上特殊無線技士以上
VSAT局(一般的な規模) 第一級陸上特殊無線技士
VSAT局(一定条件を満たす場合) 第二級陸上特殊無線技士
すべての技術操作 第一級陸上無線技術士

第一級陸上特殊無線技士(一陸特)が、VSAT局の操作において最も一般的に求められる資格です。

なお、第一級陸上無線技術士第二級陸上無線技術士は、陸上特殊無線技士の操作範囲を包含する上位資格です。これらの資格を持っている場合は、別途陸上特殊無線技士の資格を取得する必要はありません。

船舶地球局

船舶に搭載する地球局の操作には、海上系の資格が必要です。

局の種類 必要な資格
船舶地球局(インマルサット等) 第一級海上特殊無線技士以上
GMDSS対応船舶局 第一級海上特殊無線技士以上

GMDSS(海上における遭難及び安全に関する世界的な制度)に対応した船舶では、船舶地球局の操作に第一級海上特殊無線技士以上の資格が求められます。

航空機地球局

航空機に搭載する地球局の操作には、航空無線通信士の資格が必要です。

局の種類 必要な資格
航空機地球局 航空無線通信士

航空無線通信士は、航空機における無線通信全般を操作できる資格で、衛星通信を含みます。

携帯移動地球局(衛星携帯電話等)

技適マークが付された衛星携帯電話は、資格不要で利用できます。

端末の状態 資格の要否
技適取得済みの衛星携帯電話 資格不要
技適のない衛星通信端末 原則として利用不可

これは、電波法第39条の「総務省令で定める簡易な操作」に該当するためです。

まとめ表:地球局の種別と必要資格

地球局の種別 必要な資格 備考
大型固定地球局 一陸特以上 一陸技・二陸技でも可
VSAT局 一陸特(条件により二陸特) 最も申請が多い
船舶地球局 一海特以上 GMDSS対応
航空機地球局 航空無線通信士 航空法の関連も確認
衛星携帯電話(技適あり) 不要 誰でも利用可能

資格の取得方法

国家試験による取得

無線従事者資格は、公益財団法人 日本無線協会が実施する国家試験に合格することで取得できます。

資格 試験科目 試験実施頻度
第一級陸上特殊無線技士 無線工学、法規 年3回程度
第二級陸上特殊無線技士 無線工学、法規 年3回程度
第一級海上特殊無線技士 無線工学、法規、英語 年3回程度
航空無線通信士 無線工学、法規、英語、電気通信術 年2回程度

養成課程による取得

一部の資格は、総務大臣の認定を受けた養成課程(講習会)を修了することでも取得できます。

資格 養成課程の有無 講習期間の目安
第一級陸上特殊無線技士 あり 数日間
第二級陸上特殊無線技士 あり 1〜2日間
第三級陸上特殊無線技士 あり 1日間

養成課程は、試験を受けずに資格を取得できるため、業務上の必要に迫られている方には有効な手段です。

取得までの期間

取得方法 期間の目安
国家試験 申込から合格・免許交付まで2〜4か月
養成課程 講習日程に合わせて数日〜1か月程度

無線従事者の選任と届出

選任義務

免許が必要な地球局を運用する場合、無線従事者を選任し、総合通信局に届け出る必要があります。

免許人は、無線局の無線設備の操作を行わせるため、無線従事者を選任しなければならない。 ― 電波法 第39条(要旨)

届出の手続き

届出 内容
選任届 無線従事者を選任したときに提出
解任届 選任した無線従事者が離職等で変更になった場合

選任届には、無線従事者の資格証明書の写しを添付します。

資格不要で利用できる衛星通信

以下の場合は、無線従事者資格なしで衛星通信を利用できます。

  • 衛星携帯電話(技適取得済み): イリジウム、Thuraya等の正規端末
  • Starlink(技適取得済み端末): 個人・法人ともに資格不要
  • 衛星放送の受信: 受信のみであれば資格・免許とも不要

詳しくは「衛星携帯電話の免許と利用方法|イリジウム・サーストン」および「Starlinkの日本利用ガイド|免許・技適・届出のすべて」をご覧ください。

まとめ

衛星通信に必要な無線従事者資格のポイントは以下のとおりです。

  • VSAT局・固定地球局には、第一級陸上特殊無線技士以上の資格が必要
  • 船舶地球局には、第一級海上特殊無線技士以上の資格が必要
  • 航空機地球局には、航空無線通信士の資格が必要
  • 衛星携帯電話やStarlink(技適あり)は資格不要
  • 資格は国家試験または養成課程で取得可能
  • 地球局を運用する場合、無線従事者の選任届が必要

衛星通信の利用にあたって、どの資格が必要かは局の種類や技術条件によって異なります。不明な点がある場合は、電波法に精通した行政書士への相談が有効です。

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