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この記事でわかること
衛星通信の地球局を開設すると、免許人は毎年電波利用料を納付する義務があります。電波利用料は、電波の監視や無線局のデータベース管理など、電波行政に必要な費用を無線局の免許人が共同で負担する制度です。
この記事では、衛星通信(地球局)の電波利用料の仕組み、地球局の種別ごとの料額、納付手続き、減免制度を解説します。
電波利用料とは
制度の概要
電波利用料は、電波法第103条の2に基づく制度です。
免許人は、電波の適正な利用の確保に関し総務大臣が無線局全体の受益を直接の目的として行う事務の処理に要する費用に充てるため、電波利用料を納めなければならない。 ― 電波法 第103条の2(要旨)
電波利用料は無線局の免許を受けた者(免許人)が納付するものであり、技適により免許が不要な機器(衛星携帯電話やStarlinkの個人向け端末など)の利用者は対象外です。
電波利用料の使途
電波利用料は、以下のような電波行政の費用に充てられています。
| 使途 | 内容 |
|---|---|
| 電波の監視 | 不法無線局の取り締まり、電波の監視 |
| 総合無線局管理 | 無線局データベースの構築・運用 |
| 電波の研究開発 | 周波数の有効利用に関する研究 |
| 電波利用環境の整備 | 電波の安全な利用のための環境整備 |
電波利用料の制度全般については「電波利用料とは|免許人が毎年払う料金の仕組み」で詳しく解説しています。
地球局の電波利用料
料額の決まり方
地球局の電波利用料は、無線局の区分に応じて電波法別表第6に定められています。料額は無線局の種類や使用する周波数帯、空中線電力などによって異なります。
地球局の種別ごとの料額
地球局の電波利用料は、電波法別表第六に基づき、無線局の区分ごとに定められています。以下は2026年3月時点の代表的な局種別の料額です。
なお、料額は局の種類・空中線電力・使用する周波数帯によって異なります。以下は代表的な区分の例であり、全ての地球局に当てはまるものではありません。実際の料額は免許申請時または総務省の公式情報で必ず確認してください。
| 地球局の区分 | 年額(例) | 根拠 |
|---|---|---|
| 移動する地球局(船舶地球局・航空機地球局等) | 400円 | 電波法別表第六 |
| 移動しない地球局(空中線電力0.01W以下) | 5,900円 | 電波法別表第六 |
| 移動しない地球局(空中線電力0.01W超) | 19,000円 | 電波法別表第六 |
| 包括免許の地球局(移動する地球局) | 400円/局 | 電波法別表第六 |
| 携帯移動地球局(技適で免許不要の端末) | 対象外 | 電波利用料の納付義務なし |
※ 出典: 電波法別表第六(電波法第103条の2関連)。2026年3月時点。
上記は電波法別表第六に規定されている区分のうち、衛星通信の地球局に関連する代表的なものを抜粋したものです。衛星通信の地球局は多様な区分が存在し、使用する衛星システムや業務の種類によって該当する区分が異なります。正確な料額は、総務省電波利用ホームページの電波利用料額表または管轄の総合通信局で確認してください。
料額は電波法第103条の2に基づき、3年ごとの見直しが行われることがあります。衛星通信の地球局を開設する際は、事前に最新の料額を確認しましょう。
VSAT局の電波利用料
VSAT局は日本国内で多く開設されている地球局の一つです。VSAT局の電波利用料について、以下のポイントを押さえてください。
- 周波数帯: 使用する周波数帯(Ku帯、Ka帯等)により区分が異なる場合がある
- 空中線電力: 送信出力によって料額が変わる場合がある
- 包括免許: 包括免許で複数局を開設している場合、局数に応じた計算となる
VSAT局の免許申請全体については「VSAT(衛星通信)の免許申請|手続きの流れと費用」をご覧ください。
納付の手続き
納付の流れ
電波利用料の納付は、以下の流れで行われます。
Step 1: 納付告知書の受領
総務省(総合通信局)から、毎年納付告知書が送付されます。納付告知書には、以下の情報が記載されています。
| 記載内容 | 説明 |
|---|---|
| 無線局の呼出符号 | 免許された無線局の識別情報 |
| 電波利用料の額 | 納付すべき金額 |
| 納付期限 | 支払いの期限 |
| 納付方法 | 支払い方法の案内 |
Step 2: 納付
納付方法は以下のとおりです。
| 納付方法 | 概要 |
|---|---|
| 金融機関での納付 | 銀行・郵便局等の窓口で納付 |
| 口座振替 | 事前に申し込むことで自動引き落とし |
| 電子納付 | インターネットバンキング等での納付 |
Step 3: 納付の確認
納付後、総合通信局で入金が確認されます。領収証書は大切に保管してください。
納付期限
電波利用料は、納付告知書に記載された期限までに納付する必要があります。納付期限を過ぎると延滞金が発生する場合があります。
電波利用料を納付期限までに納めないときは、延滞金を徴収する。 ― 電波法 第103条の2 第31項(要旨)
複数局を開設している場合
衛星通信事業者など、複数の地球局を開設している免許人の場合、各局ごとに電波利用料が課されます。
| ケース | 電波利用料 |
|---|---|
| 個別免許で3局開設 | 3局分の電波利用料を納付 |
| 包括免許で10局開設 | 10局分の電波利用料を納付 |
包括免許の場合は、開設した無線局の数に応じて電波利用料が計算されます。包括免許の届出内容と実際の開設状況が一致しているか、定期的に確認することが重要です。
免許の失効・廃止と電波利用料
免許期間中の廃止
地球局の免許を期間途中で廃止(廃局)する場合、電波利用料は月割り計算となります。
| 手続き | 内容 |
|---|---|
| 廃止届の提出 | 総合通信局に無線局の廃止届を提出 |
| 電波利用料の精算 | 廃止日までの期間に応じた月割り計算 |
| 過払い分の還付 | 前払い分がある場合は還付される |
免許の更新時
地球局の免許の有効期間は通常5年間(電波法第13条に基づく)です。免許更新後も引き続き電波利用料の納付義務があります。
減免制度
電波法には、一定の条件を満たす場合に電波利用料を減免する制度が設けられています。
| 減免の対象 | 内容 |
|---|---|
| 公共性の高い無線局 | 防災、救急等の公共目的で使用する無線局 |
| 特定の条件を満たす局 | 法令で定められた要件に該当する場合 |
減免を受けるには、総合通信局への申請が必要です。衛星通信の地球局が減免の対象となるかは、局の用途や設置目的に応じて個別に判断されます。
電波利用料以外の費用
地球局を運用するにあたっては、電波利用料以外にも以下の費用がかかります。
| 費用項目 | 概要 |
|---|---|
| 免許申請手数料 | 免許申請時に収入印紙で納付 |
| 衛星回線利用料 | 衛星事業者に支払う回線使用料 |
| 設備維持費 | アンテナ・送受信機の保守費用 |
| 行政書士報酬 | 免許申請を行政書士に依頼する場合の費用 |
衛星通信の免許制度全体については「衛星通信のライセンス取得|地球局免許の申請ガイド」をご覧ください。
まとめ
衛星通信の電波利用料に関する要点は以下のとおりです。
- 電波利用料は、地球局の免許人が毎年納付する義務がある
- 料額は無線局の種別に応じて電波法別表第6に規定されている
- 技適機器(衛星携帯電話・Starlink端末等)の利用者は電波利用料の対象外
- 納付方法は金融機関・口座振替・電子納付に対応
- 納付期限を過ぎると延滞金が発生する場合がある
- 複数局を開設している場合は局数に応じた納付が必要
- 減免制度が適用される場合がある
電波利用料の具体的な金額や納付手続きについて不明な点がある場合は、管轄の総合通信局に確認するか、電波法に精通した行政書士にご相談ください。