目次
この記事でわかること
デジタル簡易無線には免許局(3B)と登録局(3R)の2種類があります。どちらを選ぶかで手続きの方法・チャンネル数・レンタルの可否が変わります。
この記事では、両者の違いを比較表で整理し、用途ごとにどちらを選ぶべきかの判断基準を解説します。
免許局と登録局の概要
デジタル簡易無線は、電波法に基づく簡易無線局のデジタル方式です。同じ「デジタル簡易無線」でも、使用する周波数帯とチャンネルによって制度上の区分が異なります。
| 区分 | 免許局(3B) | 登録局(3R) |
|---|---|---|
| 開設手続き | 免許申請 | 登録申請+開設届出 |
| 根拠条文 | 電波法第4条 | 電波法第27条の18 |
| 審査内容 | 技術審査あり | 形式審査のみ |
| 周波数帯 | 351MHz帯 | 351MHz帯 |
| 最大出力 | 5W | 5W |
| チャンネル数 | 65ch | 30ch(上空用15ch含む) |
| 有効期間 | 5年 | 5年 |
| 無線従事者 | 不要 | 不要 |
| レンタル | 不可 | 可能 |
免許局(3B)の特徴
免許局は、電波法第4条に基づく総務大臣の免許を受けて開設する無線局です。
何人も、総務大臣の免許を受けなければ、無線局を開設してはならない。
― 電波法 第4条
免許局のメリット
- チャンネル数が多い(65ch): 混信を避けやすく、多数のグループが同一エリアで使用する場面に適している
- 秘話グループ設定の柔軟性: チャンネル数が多いため、グループ分けしやすい
- 安定した通信: 使用できるチャンネルが多いため、混雑しにくい
免許局のデメリット
- 免許申請が必要: 書類作成・提出・審査のプロセスが必要
- 審査期間が長い: 通常1〜2か月かかる
- レンタル不可: 免許人のみが使用できる。第三者への貸し出しは電波法違反になる
- 免許状の管理が必要: 無線局免許状を常に無線機の設置場所に備え付ける義務がある
登録局(3R)の特徴
登録局は、電波法第27条の18に基づく登録制度で開設できる無線局です。免許局より簡便な手続きで開設できます。
登録を受けた者は、登録に係る無線局を開設しようとするときは、開設届出書を提出しなければならない。
― 電波法 第27条の21(趣旨)
登録局のメリット
- 手続きが簡便: 形式審査のみのため、1〜2週間程度で登録状が交付される
- 包括登録で一括管理: 複数台を1件の登録でまとめて管理できる
- レンタル可能: 第三者への貸し出しが認められている。レンタル業者からの調達が可能
- 開設届出で台数変更が容易: 包括登録後は開設届出のみで台数を増減できる
登録局のデメリット
- チャンネル数が少ない(30ch): 免許局より混信リスクがやや高い
- 使用目的が限定される: 簡易な業務用通信に限られる
どちらを選ぶべきか
用途別の選び方をまとめます。
| 状況 | 推奨 | 理由 |
|---|---|---|
| 複数台を会社所有で使う | 登録局 | 包括登録で管理が容易 |
| レンタル機を使いたい | 登録局 | 免許局はレンタル不可 |
| 大人数のグループで使う | 免許局 | チャンネル数が多く混信しにくい |
| 複数グループに細かく分ける | 免許局 | 65chのため柔軟なグループ設定が可能 |
| 急いで導入したい | 登録局 | 審査が形式審査のみで迅速 |
| イベント等の短期利用 | 登録局 | レンタル対応・手続きが簡便 |
チャンネル数の差が影響するケース
65ch(免許局)と30ch(登録局)のチャンネル数の差は、多数のグループが同一エリアで同時に使用する場面で影響します。例えば、大規模な建設現場や複数のチームが同時に通信する環境では、免許局のほうが混信を回避しやすい場合があります。
一般的な業務用途(警備・物流・小売等の社内通信)では、登録局の30chで十分なケースが多いです。
手続きの流れの比較
免許局の流れ
- 無線機の選定(技適確認)
- 免許申請書・工事設計書の作成
- 総合通信局へ提出(電子申請または書面)
- 技術審査(通常1〜2か月)
- 免許状の交付
- 運用開始
登録局の流れ
- 無線機の選定(技適確認)
- 登録申請書の作成
- 総合通信局へ提出(電子申請または書面)
- 形式審査(通常1〜2週間)
- 登録状の交付
- 開設届出書の提出
- 運用開始
登録局の申請手順の詳細は「デジタル簡易無線の登録申請|オンライン手順ガイド」をご覧ください。
免許状・登録状の管理義務
どちらの区分でも、交付された書類の管理義務があります。
| 区分 | 管理義務 |
|---|---|
| 免許局 | 無線局免許状を無線機の設置場所に備え付ける義務(電波法第22条) |
| 登録局 | 登録状の写しを保管する |
よくある質問
Q. 既存の免許局を登録局に変更できる?
直接の切り替え手続きはありません。免許局を廃止して新たに登録局として登録申請する必要があります。
Q. 同一会社で免許局と登録局を両方持てる?
可能です。用途に応じて使い分けることができます。
Q. 登録局はどんな業種でも使える?
簡易な業務用通信が用途の条件です。業種を問わず業務用途であれば使用できますが、放送や公共業務等の用途には別の無線局が必要になる場合があります。
まとめ
デジタル簡易無線の免許局と登録局の主な違いをまとめます。
- 免許局: チャンネル数65chで混信しにくい。審査期間1〜2か月。レンタル不可
- 登録局: 手続きが簡便(1〜2週間)。レンタル可能。チャンネル数30ch
- レンタルを使いたい場合: 登録局一択
- 大規模な多グループ通信: 免許局が有利
- どちらも無線従事者の資格は不要
業務用無線全体の選び方は「業務用無線の選び方|免許局・登録局・IP無線を比較」、費用の詳細は「デジタル簡易無線の費用一覧|登録料・電波利用料」をご覧ください。