目次
この記事でわかること
無線局免許の申請書には「電波の型式」を記載する欄があります。A1A、F3E、J3Eといった英数字の組み合わせで表記される電波の型式は、初めて見ると暗号のように感じるかもしれません。
この記事では、電波の型式の3文字コードの構成と読み方、代表的な型式の意味、無線局免許申請での記載方法をわかりやすく解説します。
電波の型式とは
電波の型式とは、電波の変調方式と伝送する情報の種類を3文字の英数字コードで表したものです。国際電気通信連合(ITU)の無線通信規則(RR)で定められた国際的な表記方法であり、日本の電波法でも採用されています。
電波の型式は、主搬送波の変調の型式、主搬送波を変調する信号の性質及び伝送情報の型式を表示する記号の組合せにより表示するものとする。
― 電波法施行規則 第4条の2
3文字コードの構成
電波の型式は3つの記号の組み合わせで構成されます。それぞれの記号が異なる情報を表しています。
| 位置 | 意味 | 表す内容 |
|---|---|---|
| 第1記号(英大文字) | 主搬送波の変調の型式 | 振幅変調(A)、周波数変調(F)、位相変調(G)など |
| 第2記号(数字) | 変調信号の性質 | デジタル信号(1)、アナログ信号(3)など |
| 第3記号(英大文字) | 伝送情報の型式 | 電信(A)、電話(E)、データ(D)など |
第1記号:主搬送波の変調の型式
| 記号 | 変調の型式 |
|---|---|
| N | 無変調 |
| A | 振幅変調(両側波帯) |
| H | 振幅変調(全搬送波・単側波帯) |
| J | 振幅変調(抑圧搬送波・単側波帯) |
| F | 周波数変調 |
| G | 位相変調 |
| D | 振幅変調と角度変調の組み合わせ |
第2記号:変調信号の性質
| 記号 | 信号の性質 |
|---|---|
| 0 | 変調信号なし |
| 1 | 副搬送波を使用しないデジタル信号(1チャネル) |
| 2 | 副搬送波を使用するデジタル信号(1チャネル) |
| 3 | アナログ信号(1チャネル) |
| 7 | デジタル信号(2チャネル以上) |
| 8 | アナログ信号(2チャネル以上) |
第3記号:伝送情報の型式
| 記号 | 伝送される情報 |
|---|---|
| N | 情報なし |
| A | 電信(聴覚受信用モールス符号) |
| B | 電信(自動受信用) |
| C | ファクシミリ |
| D | データ伝送、遠隔測定、遠隔制御 |
| E | 電話(音声) |
| F | テレビジョン(映像) |
| W | 上記の組み合わせ |
よく使われる電波の型式一覧
無線局免許申請で頻繁に登場する電波の型式を一覧にまとめます。
| 型式 | 読み方 | 用途 |
|---|---|---|
| A1A | エー・ワン・エー | モールス電信(CW)。アマチュア無線で使用 |
| A3E | エー・スリー・イー | AM音声通信。航空無線、中波ラジオ |
| F3E | エフ・スリー・イー | FM音声通信。業務用トランシーバー、アマチュア無線 |
| J3E | ジェー・スリー・イー | SSB音声通信。アマチュア無線のHF帯 |
| F1D | エフ・ワン・ディー | FMデータ通信。APRS、パケット通信 |
| F7W | エフ・セブン・ダブリュー | デジタル複合通信。デジタル簡易無線 |
| G7W | ジー・セブン・ダブリュー | デジタル複合通信。デジタル簡易無線(登録局) |
| F8W | エフ・エイト・ダブリュー | FM映像・音声複合。FPVドローンのアナログVTX |
| D1W | ディー・ワン・ダブリュー | デジタル映像伝送。FPVドローンのデジタルVTX |
| N0N | エヌ・ゼロ・エヌ | 無変調の連続波。レーダー |
無線局免許申請での記載方法
無線局免許申請書の「電波の型式並びに希望する周波数の範囲及び空中線電力」の欄に、使用する電波の型式を記載します。
記載のポイント
- 使用する全ての型式を列記する
- アマチュア無線では、使用する周波数帯と対応する型式を記載する
- 電子申請の場合はプルダウンメニューから選択する場合もある
アマチュア無線の申請例
アマチュア無線局の場合、運用する通信方式に応じて複数の型式を申請するのが一般的です。
| 通信方式 | 電波の型式 |
|---|---|
| CW(モールス) | A1A |
| SSB(音声) | J3E |
| FM(音声) | F3E |
| デジタルモード(FT8等) | F1D |
よくある質問
Q. 電波の型式はどこで確認できる?
無線局免許状に記載されています。免許状の「電波の型式」欄に、その無線局で使用が認められている電波の型式が記載されています。また、総務省の無線局等情報検索でも公開されている無線局の型式を確認できます。
Q. 免許申請で型式を間違えるとどうなる?
申請段階であれば補正を求められるだけで大きな問題にはなりません。ただし、免許状に記載されていない型式の電波を発射すると電波法違反(免許状記載事項違反)になるため、正確に記載することが重要です。
Q. A1AとA1Bの違いは?
どちらもモールス符号による電信ですが、A1Aは人が聴覚で受信するもの、A1Bは機械が自動受信するものです。アマチュア無線では通常A1Aを使用します。
Q. FPVドローンのVTXはどの型式?
アナログVTXはF8W(FM映像・音声複合)、デジタルVTX(DJI O3等)はD1W(デジタル映像伝送)が一般的です。申請時にはVTXの仕様に合った型式を記載する必要があります。
まとめ
電波の型式は、電波の変調方式と伝送情報を3文字の英数字コードで表す国際的な表記方法です。
- 第1記号: 主搬送波の変調の型式(A=振幅変調, F=周波数変調, J=SSB等)
- 第2記号: 変調信号の性質(1=デジタル1ch, 3=アナログ1ch等)
- 第3記号: 伝送情報の型式(A=電信, E=電話, D=データ等)
- 代表的な型式: A1A(CW)、F3E(FM)、J3E(SSB)、F8W(アナログVTX)
- 無線局免許申請書には使用する全ての型式を正確に記載する必要がある
- 免許状に記載のない型式の電波を発射すると電波法違反になる
無線局免許の申請手順は「無線局免許の申請方法|種類と手続きの流れ」、電波法の基本は「電波法とは?基本の仕組みをわかりやすく解説」をご覧ください。