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電気通信事業の届出と登録の違い|判断基準を解説

この記事でわかること

電気通信事業を始めるとき、手続きとして「届出」と「登録」の2種類があることに戸惑う方は多いのではないでしょうか。両者は設備の規模や種類によって区分されており、どちらに該当するかで手続きの難易度が大きく異なります。

この記事では、届出と登録の違い・判断基準、登録が必要な事業者の条件、手続きの比較を解説します。

届出と登録の基本的な違い

電気通信事業法では、電気通信事業を営もうとする者は届出または登録を行う義務があります。

電気通信事業を営もうとする者は、総務大臣の登録を受けなければならない。ただし、(中略)この限りでない。

― 電気通信事業法 第9条

比較テーブル

項目 届出 登録
対象 小規模な電気通信事業者 大規模な電気通信設備を設置する事業者
手続き 届出書の提出のみ 申請書の提出+審査
審査 なし(受理制) あり(登録拒否事由の審査)
処理期間 即日〜数日 1〜3か月程度
手数料 無料 無料
根拠条文 第16条第1項 第9条

届出で足りるケース

電気通信回線設備を設置しない、または設置していても一定の規模以下の場合は届出で足ります。

  • 他社の回線設備を借りてサービスを提供する事業者
  • クラウド上でチャットサービスを提供する事業者
  • 小規模なメッセージングサービスを運営する事業者

登録が必要なケース

以下のいずれかに該当する場合は登録が必要です。

電気通信回線設備を設置して電気通信事業を営もうとする者は、登録を受けなければならない。

― 電気通信事業法 第9条

  1. 電気通信回線設備(端末設備以外の設備)を設置する
  2. かつ、その設備が一の都道府県の区域を超える、または電話サービスの場合は端末数が一定以上
登録が必要な条件 具体例
一の都道府県を超える電気通信回線設備 複数の都道府県にまたがる光ファイバー網
電話サービスで一定規模以上 大規模なVoIPサービス

判断フロー

電気通信事業の届出・登録の要否は、以下のフローで判断します。

ステップ1: 電気通信事業に該当するか

他人の通信を媒介するサービスを事業として提供しているかを確認します。該当しない場合は届出も登録も不要です。電気通信事業の該当性については「電気通信事業の届出が必要なケース|SaaS・Webサービス向け」をご覧ください。

ステップ2: 電気通信回線設備を設置するか

自社で電気通信回線設備(光ファイバー、専用線など)を設置するかどうかを確認します。

  • 設置しない届出
  • 設置する → ステップ3へ

ステップ3: 設備の規模を確認

設置する設備の規模が以下に該当するかを確認します。

  • 一の都道府県の区域内に収まる届出
  • 一の都道府県の区域を超える登録

登録手続きの流れ

登録が必要な場合の手続きは以下のとおりです。

ステップ 内容
1 登録申請書と添付書類を準備
2 管轄の総合通信局へ提出
3 総務省による審査(登録拒否事由の確認)
4 審査通過後、登録簿に記載
5 登録通知の受領

登録拒否事由

以下のいずれかに該当する場合は登録が拒否されます。

拒否事由 内容
電気通信事業法に違反して刑に処せられた 刑の執行終了後2年を経過していない
登録の取消しを受けた 取消しから2年を経過していない
法人の役員に上記に該当する者がいる 役員の欠格事由
電気通信事業を適確に遂行できない 経理的・技術的基礎が不十分

届出と登録の義務の違い

届出事業者と登録事業者では、事業運営上の義務にも違いがあります。

義務 届出事業者 登録事業者
通信の秘密の保護 あり あり
利用者への説明義務 あり あり
事業の休廃止届出 あり あり
業務改善命令の対象 あり あり
報告書の提出 一部あり あり

報告書の提出義務については「電気通信事業者の報告書提出義務|年次報告の内容と期限」をご覧ください。

よくある質問

Q. クラウドサービス事業者は届出と登録のどちら?

ほとんどのクラウドサービス事業者は届出で足ります。自社で大規模な電気通信回線設備を設置していない場合は届出で対応できます。詳しくは「クラウドサービスに電気通信事業の届出は必要?」をご覧ください。

Q. 届出から登録への変更は可能?

可能です。事業拡大に伴い登録が必要になった場合は、改めて登録申請を行います。届出事業者が登録要件に該当するようになった場合は、速やかに登録手続きを行う必要があります。

Q. 登録の有効期間はある?

有効期間はありません。一度登録を受ければ、取消し事由に該当しない限り有効です。ただし、届出内容に変更が生じた場合は変更届出が必要です。

Q. MVNOは届出と登録のどちら?

多くのMVNO事業者は他社の回線設備を借りてサービスを提供するため、届出で足りるケースが一般的です。ただし、自社で一定規模以上の設備を設置する場合は登録が必要になります。

まとめ

電気通信事業の届出と登録は、設備の有無と規模で区分されます。

  • 届出: 回線設備を設置しない、または小規模な場合。受理制で審査なし
  • 登録: 大規模な回線設備を設置する場合。審査あり
  • 判断基準: 電気通信回線設備の設置有無と、一の都道府県を超えるか
  • ほとんどのWebサービス・SaaS事業者: 届出で足りる

届出の具体的な手順は「電気通信事業の届出が必要なケース|SaaS・Webサービス向け」、認定制度については「電気通信事業の認定制度|登録との違いと取得要件」をご覧ください。

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