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電気通信事業の届出判定フロー|業態別ガイド

この記事でわかること

「自社のサービスに電気通信事業の届出は必要なのか?」――この疑問を持つ事業者は増えています。SaaS、クラウド、VPN、IoTなどインターネットを介したサービスが広がる中、電気通信事業法の届出対象に該当するケースが急増しているためです。

この記事では、業態別の判定フローチャートを使って、あなたの事業に届出・登録が必要かどうかを確認できます。

届出が必要かどうかの判定フローチャート

以下のフローで判定します。

あなたのサービスは「他人の通信を媒介」しているか?
    → No → 届出は不要
    → Yes → ↓

「電気通信回線設備」を自ら設置しているか?
    → No → 電気通信事業の「届出」が必要
    → Yes → ↓

その設備の規模は一定以上か?
(端末系伝送路設備が一の市区町村の区域を超える、または中継系伝送路設備を設置)
    → No → 電気通信事業の「届出」が必要
    → Yes → 電気通信事業の「登録」が必要

「他人の通信を媒介」とは

他人の通信を媒介するとは、利用者間の通信や利用者とサーバー間の通信を仲立ちすることを指します。自社内の通信のみであれば電気通信事業には該当しません。

電気通信事業を営もうとする者は、総務大臣の登録を受けなければならない。(中略)登録を要しない者は、総務大臣に届出をしなければならない。

― 電気通信事業法 第9条・第16条(要旨)

届出と登録の詳しい違いは「電気通信事業の届出と登録の違い|判断基準を解説」をご覧ください。

業態別の判定結果

SaaS・Webサービス

判定ポイント 内容
他人の通信を媒介するか? チャット機能・メッセージ機能がある場合はYes
典型的な判定結果 届出が必要なケースが多い

ユーザー同士のメッセージ送受信やチャット機能を提供する場合は、他人の通信を媒介することになるため届出が必要です。単なるデータ閲覧・ダウンロード型のサービスであれば、届出は不要な場合があります。

詳しくは「SaaS事業者の電気通信事業届出|必要なケースと手順」をご覧ください。

ISP(インターネットサービスプロバイダ)

判定ポイント 内容
他人の通信を媒介するか? Yes(インターネット接続サービスの提供)
回線設備を自ら設置するか? 設備の規模による
典型的な判定結果 届出または登録が必要

ISP事業は電気通信事業の典型例です。自ら回線設備を設置し、その規模が一定以上であれば登録、それ以外は届出が必要です。

詳しくは「ISP事業の届出・登録ガイド」をご覧ください。

MVNO(格安SIM事業者)

判定ポイント 内容
他人の通信を媒介するか? Yes
回線設備を自ら設置するか? MNOの設備を利用(自ら設置しない場合が多い)
典型的な判定結果 届出が必要(設備を設置する場合は登録)

MVNO事業者は、MNO(大手キャリア)の回線設備を借りてサービスを提供します。自ら回線設備を設置しない場合は届出となります。

詳しくは「電気通信事業とMVNO参入の手続き」をご覧ください。

VPN・CDNサービス

判定ポイント 内容
他人の通信を媒介するか? Yes(第三者の通信をトンネリング・中継)
典型的な判定結果 届出が必要なケースが多い

VPNサービスやCDNサービスは、他人の通信を中継するため届出対象となる場合があります。

詳しくは「VPNサービスに電気通信事業の届出は必要?判断基準を解説」をご覧ください。

クラウドサービス(IaaS/PaaS)

判定ポイント 内容
他人の通信を媒介するか? サービス内容による
典型的な判定結果 ケースバイケース

IaaS(仮想サーバー提供)やPaaS(開発基盤提供)は、提供する機能によって判定が分かれます。利用者間の通信機能を含む場合は届出が必要となる場合があります。

詳しくは「クラウドサービスに電気通信事業の届出は必要?」をご覧ください。

アプリ開発者

判定ポイント 内容
他人の通信を媒介するか? チャット・通話機能がある場合はYes
典型的な判定結果 チャット・通話機能があれば届出が必要

スマートフォンアプリでユーザー間のメッセージ送受信や音声通話機能を提供する場合は、届出が必要となる場合があります。ゲームアプリのマルチプレイ通信も対象となりうるため注意が必要です。

詳しくは「アプリ開発者の電気通信事業届出チェックリスト」をご覧ください。

公衆Wi-Fiサービス

判定ポイント 内容
他人の通信を媒介するか? Yes
典型的な判定結果 届出が必要

カフェ・ホテル等で公衆Wi-Fiサービスを提供する場合は、他人の通信を媒介することになるため届出が必要です。

詳しくは「公衆Wi-Fiサービスの電気通信事業届出」をご覧ください。

業態別の判定結果まとめ

業態 届出の要否 届出 or 登録
SaaS(チャット機能あり) 必要 届出
SaaS(閲覧のみ) 不要な場合が多い
ISP 必要 届出 or 登録
MVNO 必要 届出(設備ありなら登録)
VPN・CDN 必要なケースが多い 届出
クラウド(IaaS/PaaS) ケースバイケース 届出
アプリ(チャット機能あり) 必要 届出
公衆Wi-Fi 必要 届出

判断に迷う場合は、管轄の総合通信局に事前相談することを推奨します。

届出が必要な場合の手続き

必要書類

届出に必要な主な書類は以下のとおりです。

書類 内容
届出書(様式第8) 事業者情報・提供するサービスの内容を記載
ネットワーク構成図 通信の仕組みを図で示す
提供条件の概要 利用約款・料金体系等
法人の登記事項証明書 法人の場合(発行から3ヶ月以内)

届出先

管轄の総合通信局(本社所在地を管轄する局)に提出します。郵送または持参で提出可能です。届出に手数料はかかりません。

届出にかかる費用の詳細は「電気通信事業の届出にかかる費用|自分でやる vs 代行」をご覧ください。

届出後にやるべきこと

届出が受理された後も、利用者情報の保護、外部送信規律への対応など事業者としての義務が発生します。

詳しくは「電気通信事業の届出後にやるべきこと一覧」をご覧ください。

届出しなかった場合の罰則

電気通信事業法では、届出をせずに電気通信事業を営んだ場合の罰則が定められています。

第九条の登録を受けず、又は第十六条第一項の規定による届出をしないで電気通信事業を営んだ者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

― 電気通信事業法 第185条第1号(要旨)

届出自体に費用はかからないため、該当する可能性がある場合は早めに届出を行うことを推奨します。

よくある質問

Q. 自社サービスが届出対象かどうか確信が持てない場合は?

管轄の総合通信局に事前相談ができます。サービスの内容を説明することで、届出が必要かどうかの見解を確認できます。

Q. 届出と登録の手続きにかかる期間は?

届出は提出後すぐに受理されるのが一般的です。登録は審査があるため、1〜3ヶ月程度かかる場合があります。

Q. 届出を行政書士に依頼できる?

依頼できます。特にネットワーク構成図の作成や届出書の記載に不安がある場合は、行政書士に依頼することで確実に手続きを進められます。詳しくは「電気通信事業の届出代行|行政書士に依頼するメリット」をご覧ください。

まとめ

電気通信事業の届出が必要かどうかは、「他人の通信を媒介しているか」が最大の判定ポイントです。

  • チャット・メッセージ・通話機能があるサービスは届出が必要な可能性が高い
  • 届出は無料で、提出すれば基本的にすぐ受理される
  • 届出せずに事業を営むと罰則の対象になる
  • 判断に迷う場合は総合通信局に事前相談

自社サービスが届出対象か確認する基本は「電気通信事業の届出が必要なケース|SaaS・Webサービス向け」を、届出と登録の違いは「電気通信事業の届出と登録の違い」をご覧ください。

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