目次
この記事でわかること
アマチュア無線で使える周波数帯は、保有する資格の級によって異なります。4級ではV/UHF帯が中心ですが、上級資格になるほど使える周波数帯と出力が拡大します。
この記事では、アマチュア無線の周波数帯を級ごとに表形式で整理し、各バンドの伝搬特性、FPVドローンとの関係、バンドプラン(周波数の使い方のルール)の基礎を解説します。
アマチュア無線の周波数帯とは
アマチュア無線で使用できる周波数帯は、国際電気通信連合(ITU)の無線通信規則に基づいて各国が割り当てを行っています。日本では総務省がアマチュア無線に使用できる周波数帯を定めており、JARL(日本アマチュア無線連盟)のバンドプランによって各周波数帯の使い方がさらに細かくルール化されています。
アマチュア局が動作することを許される周波数帯は、総務大臣が別に告示する。
― 電波法施行規則 第15条
資格の級と操作範囲
アマチュア無線の操作範囲は、資格の級によって以下のように制限されています。
| 資格 | 操作できる周波数帯 | 最大空中線電力 |
|---|---|---|
| 第四級アマチュア無線技士 | 制限あり(HF帯の一部+V/UHF帯) | 10W(HF帯は認められない周波数あり) |
| 第三級アマチュア無線技士 | 制限あり(HF帯が大幅に拡大) | 50W |
| 第二級アマチュア無線技士 | 全バンド | 200W |
| 第一級アマチュア無線技士 | 全バンド | 1kW(1,000W) |
必要な資格・条件
各周波数帯を使用するには、対応する級のアマチュア無線技士の資格を取得し、その周波数帯を含む無線局の免許を持っている必要があります。
資格の取得方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
級ごとの操作可能な周波数帯
4級で操作可能な周波数帯
第四級アマチュア無線技士で操作可能な主な周波数帯は以下のとおりです。
| バンド名 | 周波数帯 | 最大出力 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 21MHzバンド | 21.000〜21.450MHz | 10W | 海外通信(日中) |
| 28MHzバンド | 28.000〜29.700MHz | 10W | 海外通信(太陽活動期) |
| 50MHzバンド | 50.000〜54.000MHz | 10W | 国内中距離通信 |
| 144MHzバンド | 144.000〜146.000MHz | 10W | 国内近距離・レピーター |
| 430MHzバンド | 430.000〜440.000MHz | 10W | 国内近距離・レピーター |
| 1200MHzバンド | 1,260〜1,300MHz | 10W | 実験的通信 |
| 2400MHzバンド | 2,400〜2,450MHz | 10W | 実験的通信 |
| 5600MHzバンド | 5,650〜5,850MHz | 10W | FPVドローン |
4級でも5,650〜5,850MHzの周波数帯は操作可能です。FPVドローンの5.7GHz帯・5.8GHz帯のVTXは、4級の資格で開局できます。
3級で追加される周波数帯
第三級アマチュア無線技士では、4級の範囲に加えてHF帯(短波帯)が大幅に拡大します。
| バンド名 | 周波数帯 | 最大出力 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 1.9MHzバンド | 1,800〜1,875kHz | 50W | 国内夜間通信 |
| 3.5MHzバンド | 3,500〜3,575kHz、3,599〜3,612kHz、3,680〜3,687kHz、3,702〜3,716kHz、3,745〜3,770kHz、3,791〜3,805kHz | 50W | 国内通信の定番 |
| 7MHzバンド | 7,000〜7,200kHz | 50W | 国内・近隣国通信 |
| 10MHzバンド | 10,100〜10,150kHz | 50W | CW(モールス)通信 |
| 14MHzバンド | 14,000〜14,350kHz | 50W | 海外通信の花形 |
| 18MHzバンド | 18,068〜18,168kHz | 50W | 海外通信 |
| 24MHzバンド | 24,890〜24,990kHz | 50W | 海外通信 |
3級では7MHzバンドと14MHzバンドが使えるようになるため、国内外の長距離通信が楽しめます。また、最大出力も50Wに拡大します。
2級・1級で操作可能な周波数帯
| 項目 | 第二級 | 第一級 |
|---|---|---|
| 操作可能な周波数帯 | 全アマチュアバンド | 全アマチュアバンド |
| 最大空中線電力 | 200W | 1kW(1,000W) |
| 特徴 | 全バンドを十分な出力で運用可能 | 最大出力で国際コンテスト等に参加可能 |
2級以上を取得すると、すべてのアマチュア無線バンドを制限なく操作できます。1級と2級の違いは主に最大出力(200W vs 1kW)です。
各バンドの伝搬特性
アマチュア無線の各周波数帯には、電波の伝わり方に大きな違いがあります。
HF帯(短波帯): 1.9MHz〜28MHz
| 特性 | 内容 |
|---|---|
| 伝搬方式 | 電離層反射(空の電離層で電波が反射して遠方に届く) |
| 通信距離 | 国内〜世界中(数百km〜数万km) |
| 時間帯の影響 | 大きい(昼と夜で伝搬状況が変わる) |
| 太陽活動の影響 | 大きい(太陽黒点が多いほど高い周波数帯が開ける) |
| アンテナ | 大型(波長が長いため、アンテナも大きくなる) |
HF帯はアマチュア無線の醍醐味ともいえる帯域で、電離層の状態によっては地球の裏側とも交信できます。
VHF帯: 50MHz・144MHz
| 特性 | 内容 |
|---|---|
| 伝搬方式 | 直接波(見通し距離内)+ 散乱波(スポラディックE層等) |
| 通信距離 | 数十km〜数百km |
| 特徴 | レピーター(中継局)を利用した通信が盛ん |
| アンテナ | 中型 |
UHF帯: 430MHz・1200MHz
| 特性 | 内容 |
|---|---|
| 伝搬方式 | 直接波(見通し距離内) |
| 通信距離 | 数km〜数十km |
| 特徴 | ハンディ機で手軽に運用可能、レピーター多数 |
| アンテナ | 小型 |
SHF帯: 2.4GHz・5.6GHz
| 特性 | 内容 |
|---|---|
| 伝搬方式 | 直接波(見通し距離のみ) |
| 通信距離 | 数百m〜数km |
| 特徴 | FPVドローンのVTXがこの帯域を使用 |
| アンテナ | 極小型(パッチアンテナ等) |
FPVドローンとの関係
FPVドローンのVTXは、アマチュア無線の5.7GHz帯(5,650〜5,755MHz)と5.8GHz帯(5,755〜5,850MHz)を使用します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 必要な資格 | 第四級アマチュア無線技士以上(4級で十分) |
| 必要な免許 | アマチュア無線局の開局免許 |
| 保証認定 | 必要(技適のないVTXのため) |
| 最大出力 | 1W(実際のFPV運用では25mW〜600mWが一般的) |
FPVドローン目的でアマチュア無線の資格を取る場合、4級で十分です。5.7GHz/5.8GHz帯はすべての級で操作可能で、FPVドローンのVTX出力は通常1W以下のため、4級の出力制限(10W)を超えることはありません。
FPVドローンの周波数帯の詳細は「FPVドローンで使える周波数帯|5.7GHz・5.8GHzの違い」で解説しています。
バンドプランの基礎
バンドプランとは
バンドプランとは、各周波数帯の中を通信モード(電話・CW・データ通信等)ごとに区分するルールのことです。JARLが策定し、アマチュア無線家が自主的に遵守しています。
バンドプランの構成
各バンドは、おおまかに以下のように区分されています。
| 区分 | 使用する通信モード |
|---|---|
| CW(モールス信号) | 電信による通信 |
| SSB(電話) | 音声による通信 |
| FM(電話) | 音声による通信(レピーター等) |
| デジタル | FT8・RTTY等のデジタルモード |
| ATV / 画像 | アマチュアTV・SSTV等 |
FPVドローンのVTXはATV(アマチュアテレビジョン)に分類され、バンドプラン上で画像伝送が認められている周波数帯で運用する必要があります。
バンドプラン遵守の重要性
バンドプランは法律ではなく自主規制ですが、無線局運用規則第258条の2により、アマチュア局は「アマチュア業務に使用する電波の型式及び周波数の使用区別」に従って運用することが求められています。バンドプランを守ることは、他のアマチュア無線家との共存のための基本的なマナーです。
費用・手数料
周波数帯の使用自体に追加の費用はかかりません。かかる費用は以下のとおりです。
| 項目 | 費用 |
|---|---|
| アマチュア無線技士の資格取得 | 5,163円〜23,150円(級・取得方法による) |
| 開局申請 | 2,900円(電子申請)/ 4,300円(書面) |
| 電波利用料 | 300円/年 |
| 周波数帯の追加(変更申請) | 1,500円(電子申請) |
使用する周波数帯を増やす場合は、無線局の変更申請が必要です。変更申請の手順は「アマチュア無線の変更申請|住所変更・設備変更の手順」をご覧ください。
電子申請と書面申請の違い
開局申請や変更申請の方法による違いは以下のとおりです。
| 項目 | 電子申請 | 書面申請 |
|---|---|---|
| 開局申請手数料 | 2,900円 | 4,300円 |
| 変更申請手数料 | 1,500円 | 1,800円 |
| 処理速度 | やや早い | やや遅い |
| 操作 | PC・スマホから完結 | 書類を印刷・郵送 |
電子申請が手数料も安く手軽です。
よくある質問
Q. 4級でHF帯(7MHzなど)は使える?
4級で使えるHF帯は限定的です。21MHz帯と28MHz帯は操作可能ですが、3.5MHz帯・7MHz帯・14MHz帯などの主要なHFバンドは3級以上が必要です。HF帯で本格的に運用するなら3級の取得がおすすめです。
Q. 4級から3級に上げたら変更申請は必要?
資格のアップグレード自体は変更申請不要ですが、3級で使える周波数帯を無線局に追加する場合は、変更申請が必要です。また、出力を10Wから50Wに上げる場合も変更申請が必要です。
Q. 海外で日本のアマチュア無線の資格は使える?
相互運用協定を結んでいる国では、日本のアマチュア無線技士の資格で運用できる場合があります。ただし、操作可能な周波数帯や出力は相手国の規制に従います。
Q. バンドプランに違反した場合の罰則は?
バンドプランは自主規制であり、違反しても直接的な法的罰則はありません。ただし、無線局運用規則に基づく総務省の行政指導の対象になる可能性があります。他の無線局との共存のためにバンドプランは遵守してください。
まとめ
アマチュア無線の周波数帯は、資格の級によって操作範囲が異なります。
- 4級: V/UHF帯中心+21/28MHz帯、最大10W、FPVドローンに十分
- 3級: HF帯が大幅拡大(7MHz・14MHzなど)、最大50W
- 2級: 全バンド、最大200W
- 1級: 全バンド、最大1kW
- FPVドローンの5.7GHz/5.8GHz帯は4級で操作可能
- 使用する周波数帯を増やすには変更申請が必要
- バンドプランを守って運用する
開局申請の手順は「アマチュア無線の開局申請|電子申請での手順を解説」をご覧ください。