目次
この記事でわかること
アマチュア無線の免許を取得し、いざ無線機を購入しようとすると、種類が多くて迷いがちです。この記事では、初心者が自分に合った無線機を選ぶためのポイントを解説します。技適マークの確認方法、周波数帯ごとの特徴、出力の違い、中古無線機の注意点を整理しました。
無線機選びの前提知識
技適マークの確認が最優先
アマチュア無線で使用する無線機には、技術基準適合証明(技適)が必要です。技適マークのない無線機を使用すると、電波法違反となります。
技術基準適合証明を受けた無線設備を使用する無線局は、(中略)検査を省略することができる。
― 電波法 第38条の2
確認のポイント:
- 無線機本体に技適マーク(丸にTのマーク)が付いているか
- 技適番号が記載されているか
- 総務省の「技術基準適合証明等を受けた機器の検索」で番号を照合できるか
海外メーカーの無線機の中には、日本の技適を取得していない製品があります。技適なしの無線機は、保証認定を受けないと使用できません。
操作可能な範囲は資格で決まる
購入前に、自分の資格で操作できる周波数帯と空中線電力を確認しましょう。
| 資格 | 操作可能な空中線電力 | 主な周波数帯 |
|---|---|---|
| 第4級 | 20W以下(HF帯は10W以下) | 144MHz帯、430MHz帯、HF帯の一部 |
| 第3級 | 50W以下 | 4級の範囲 + HF帯が広がる |
| 第2級 | 200W以下 | ほぼ全てのアマチュア無線周波数 |
| 第1級 | 制限なし(1kW以上は個別審査) | 全てのアマチュア無線周波数 |
資格の範囲を超える無線機を購入しても、その出力で運用することはできません。自分の資格に合った出力の無線機を選ぶことが重要です。
資格の違いについて詳しくは「アマチュア無線の資格の選び方」をご覧ください。
無線機の種類と特徴
ハンディ機(携帯型)
最も手軽に始められるタイプの無線機です。
特徴:
- 小型・軽量で持ち運びやすい
- 出力は1W〜5W程度が主流
- 144MHz帯・430MHz帯のデュアルバンドが一般的
- バッテリー駆動で屋外運用に向く
- 価格帯は1万円台〜3万円台程度
向いている人:
- 初めてアマチュア無線を始める方
- 移動運用やアウトドアでの運用を楽しみたい方
- まずは近距離の交信を試したい方
モービル機(車載型)
車に取り付けて使用するタイプの無線機です。
特徴:
- 出力は10W〜50Wが主流
- 144MHz帯・430MHz帯のデュアルバンドが一般的
- 車のバッテリーから電源を取るため長時間運用可能
- ハンディ機より交信距離が長い
- 価格帯は2万円台〜5万円台程度
向いている人:
- 車で移動しながら交信したい方
- ハンディ機より広い範囲で交信したい方
- ある程度の出力を確保したい方
固定機(据え置き型)
自宅に設置して使用する本格的な無線機です。
特徴:
- 出力は50W〜100Wが主流(第2級以上の資格が必要な機種もあり)
- HF帯〜UHF帯まで幅広い周波数に対応するものが多い
- アンテナと組み合わせて遠距離通信が可能
- 受信性能が高く、弱い信号も聞き取りやすい
- 価格帯は5万円台〜数十万円と幅広い
向いている人:
- 自宅から本格的に運用したい方
- HF帯で国内遠距離・海外交信を楽しみたい方
- 第2級以上の資格を持っている方
周波数帯で選ぶ
144MHz帯・430MHz帯(VHF/UHF)
初心者に最もおすすめの周波数帯です。
- 近距離〜中距離の交信に適している
- レピーター(中継局)を利用すれば交信範囲が広がる
- ハンディ機やモービル機の選択肢が豊富
- 4級の資格から運用可能
HF帯(短波)
遠距離通信を楽しめる周波数帯です。
- 電離層の反射を利用して、数百km〜海外との交信が可能
- 条件が良ければ地球の裏側とも交信できる
- 固定機とHF用アンテナが必要
- 3級以上の資格があると使える周波数帯が広がる
50MHz帯・1200MHz帯
特定の目的に向いた周波数帯です。
- 50MHz帯:電離層の異常伝搬(Eスポ)で思わぬ遠距離通信が楽しめる
- 1200MHz帯:高い周波数で見通し距離の通信に限られるが、混信が少ない
周波数帯ごとの詳細は「アマチュア無線の周波数帯」をご覧ください。
中古無線機の注意点
アマチュア無線機は中古市場も活発ですが、購入にはいくつかの注意が必要です。
スプリアス規制への対応
古い無線機には、現行のスプリアス発射の強度の許容値(新スプリアス基準)に適合していない機種があります。
旧スプリアス基準の無線機は、使用期限が設けられていたものの、総務省により期限の延長・見直しが行われています。旧基準機の扱いについては最新の情報を総務省の電波利用ホームページで確認してください。
スプリアス規制の詳細は「スプリアス旧基準の移行期限」で解説しています。
技適番号の確認
中古無線機を購入する際は、必ず技適番号を確認しましょう。技適番号が消えていたり、改造されて技適が無効になっている可能性があります。
チェックポイント:
- 技適マークと番号が本体に残っているか
- 内部の改造(出力アップ等)がされていないか
- 付属品(マイク、電源ケーブル等)が揃っているか
保証書・取扱説明書の有無
メーカー保証が切れていても、取扱説明書があると設定や操作で困りません。メーカーのWebサイトからPDFをダウンロードできる場合もあります。
無線機購入後の手続き
無線機を購入したら、そのまま電波を出すことはできません。開局申請が必要です。
新規開局の場合
- 技適番号を確認する
- 総務省の電子申請Liteで無線局免許申請を行う
- 免許状が届いたらコールサインが付与される
- コールサインを名乗って運用を開始する
開局申請の手順は「アマチュア無線の開局申請」で詳しく解説しています。
無線機を追加・交換する場合
既に開局済みで無線機を追加・交換する場合は、変更申請が必要です。新しい無線機の技適番号を記載して、電子申請Liteから変更届出を行います。
機器変更の手続きは「アマチュア無線の機器変更時の手続き」をご覧ください。
選び方のまとめ
無線機選びで最も重要なのは、自分の資格・目的・予算に合った機種を選ぶことです。
| 条件 | おすすめのタイプ |
|---|---|
| 初めての1台 | 144/430MHzデュアルバンドのハンディ機 |
| 車で使いたい | 144/430MHzのモービル機 |
| 遠距離通信をしたい | HF帯対応の固定機(3級以上推奨) |
| 予算を抑えたい | 中古のハンディ機(技適・スプリアス確認必須) |
まず技適マークがある正規品を選び、自分の資格で操作できる範囲の無線機を購入しましょう。購入後は忘れずに開局申請または変更申請を行ってください。