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インカムに免許は必要?種類別の手続きと選び方

この記事でわかること

飲食店・ホテル・イベント運営・警備などで使われるインカム。「免許が要るのか」「資格を取らないと違法なのか」という疑問への答えは、どの方式のインカムを使うかで決まります

インカムの方式 免許・登録 従事者資格
特定小電力トランシーバー 不要 不要
Bluetooth・スマホアプリ型 不要(技適は必要) 不要
IP無線機(携帯電話網利用) 不要 不要
デジタル簡易無線(登録局) 登録が必要 不要
デジタル簡易無線(免許局)・業務用無線 免許が必要 原則不要(一部の業務無線は必要)

つまり、インカム=すべて免許不要ではなく、すべて免許が必要でもありません。この記事では、方式ごとの法的根拠と手続き、業種別の選び方、違反になるケースを解説します。

なお「インカム」は通話用の小型無線機の通称で、法令上の用語ではありません。電波法の世界では、その機器がどの無線局の区分に当たるかで扱いが決まります。

店舗や現場で使われる小型無線機
インカムの免許の要否は方式(特小・登録局・免許局等)で決まる

なぜ免許が不要なインカムがあるのか(法的根拠)

電波法の原則は「無線局の開設には総務大臣の免許が必要」です(電波法第4条本文)。ただし同条ただし書が例外を定めており、インカムに関係するのは次の2つです。

無線機の手続きを、免許不要局、登録局、免許局の3段の階段で示した図。上の段ほど手続きが重い
免許不要 ・ 登録 ・ 免許 の3段 ・ 前提は技適
  • 第4条第3号: 空中線電力1W以下の小電力の無線局のうち総務省令で定めるもので、適合表示無線設備(技適マーク付き)のみを使用するもの → 特定小電力トランシーバーはここに該当し、免許不要
  • 第4条第4号: 電波法第27条の21第1項の登録を受けて開設する無線局(登録局)→ デジタル簡易無線(登録局)は免許は不要だが登録が必要

出典: 電波法(昭和25年法律第131号)第4条(e-Gov法令検索で2026年8月時点の条文を確認)

ポイントは2つあります。第一に、免許不要の根拠はいずれも技適マーク(適合表示無線設備)が前提であること。海外製の技適なしインカムは、出力が小さくてもこの例外に乗れません。第二に、登録局の「登録」は免許より簡易な手続きですが、省略はできないことです。「登録局だから何もしなくていい」は誤りです。

方式別の詳細と手続き

業務用インカムを、特定小電力、Bluetooth連携、IP無線、デジタル簡易無線登録局、免許局の5方式に分け、使う距離と必要な手続きで判定する図
距離 → 方式 → 手続き

特定小電力トランシーバー(免許・登録とも不要)

出力10mW以下の特定小電力無線局を使うインカムで、家電量販店で買ってそのまま使えます。飲食店・美容室・小規模店舗のインカムの多くはこのタイプです。

項目 内容
免許・登録 不要
従事者資格 不要
電波利用料 不要
通信距離の目安 見通しのよい屋外で数百m程度。屋内・障害物で短くなる
注意点 技適マーク付きであることが免許不要の前提

手軽さの半面、出力が小さいためフロアをまたぐ大型施設や屋外の広い現場では通信が途切れやすいのが弱点です。制度の詳細は「特定小電力無線とは|免許不要で使える無線機」をご覧ください。

Bluetooth・スマホアプリ連携型(免許不要)

近年、飲食店やホテルで増えているのが、Bluetoothヘッドセットとスマートフォンアプリを組み合わせるタイプです。通信はBluetoothと携帯電話網(インターネット)で行うため、無線局の免許・登録は不要です。

ただし、Bluetooth機器そのものは電波を発射するため技適マークが必要です。海外通販で購入したヘッドセットに技適がない場合、使用は電波法違反になり得ます。確認方法は「技適マークがない?機器別の確認方法と違法になる境界線」で解説しています。

IP無線機(免許不要)

携帯電話網(LTE等)を使って通話するタイプで、通信距離の制限が実質的にないのが特長です。携帯キャリアの回線を使うため無線局免許は不要ですが、月額の回線利用料がかかります。エリアは携帯電話の圏内に限られます。詳細は「IP無線は免許不要?業務用無線との違いを比較」をご覧ください。

デジタル簡易無線・登録局(登録が必要)

出力最大5Wで、特定小電力より格段に飛ぶため、中〜大規模施設・イベント・工事現場で広く使われます。登録局は誰でも使える共用チャンネル(2023年6月の増波後は97ch)を使い、免許ではなく登録で開設します。

項目 内容
手続き 総合通信局への登録申請(個別登録/包括登録)
従事者資格 不要
電波利用料 年額 個別登録200円/包括登録290円(1局あたり・2025年10月改定後)
レンタル 可能(登録局はレンタル・他人への貸与が認められている)
追加の義務 包括登録の場合、開設から15日以内の開設届(電波法第27条の34)

登録申請の手順は「登録局の開設届出|包括登録と個別登録の手順」、費用の全体像は「デジタル簡易無線の費用一覧|登録料・電波利用料」で解説しています。

デジタル簡易無線・免許局/その他の業務用無線(免許が必要)

免許局は免許人専用の周波数運用(他者と共用しない波)で混信に強く、業務での安定運用に向きますが、無線局免許の申請が必要で、レンタルや他人への貸与はできません。さらに本格的な業務用無線(タクシー無線・MCA無線等)も免許制です。免許局と登録局の違いは「免許局と登録局の違い|業務用無線の選び方」で詳しく比較しています。

業種・用途別の選び方

業種・用途 向いている方式 理由
飲食店・カフェ(1フロア) 特定小電力 or Bluetooth型 距離が短く免許不要で十分
ホテル・旅館(複数フロア) デジタル簡易無線(登録局) or IP無線 鉄筋の建物内は特小では届きにくい
イベント・展示会 デジタル簡易無線(登録局・レンタル) 短期利用はレンタルが合理的。登録局は貸与可
警備業 用途により特小〜免許局 常設現場は免許局も選択肢
建設現場・工場 デジタル簡易無線(登録局/免許局) 広さ・騒音・混信対策で選ぶ
配送・広域移動 IP無線 距離制限がない

イベントでの短期利用は「イベント会場での無線機利用ガイド」、レンタル時の免許関係は「無線機のレンタルと免許の関係|短期利用の注意点」も参考にしてください。

インカムで違反になる3つのパターン

インカムは手軽な機器ですが、次のケースは電波法違反になり得ます。

パターン1: 技適のない海外製インカムを使う

海外通販で売られている安価なトランシーバー型インカムには、日本の技適を取得していないものが多くあります。技適がなければ、免許不要の例外(電波法第4条第3号)に該当せず、使用した時点で不法無線局の開設(1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金・電波法第110条第1号)に問われる可能性があります。

パターン2: 登録局を登録せずに使う

デジタル簡易無線の登録局対応機は、買っただけでは使えません。登録を受けてから運用を開始する必要があります。中古購入・知人からの譲り受けの場合も、自分名義の登録(または承継手続き)が必要です。

パターン3: 免許局の無線機をレンタル・又貸しする

免許局は免許人自身の業務のための無線局で、他人への貸与やレンタルはできません。レンタルで使えるのは登録局・特定小電力・IP無線です。

よくある質問

Q. インカムを使うのに資格(無線従事者免許)は必要?

店舗・イベント等で使う一般的なインカム(特小・登録局・IP無線・Bluetooth型)には不要です。デジタル簡易無線は免許局・登録局とも無線従事者資格なしで運用できる制度設計になっています。資格が必要になるのは、MCA無線の一部や航空・海上無線など、別の業務無線の世界です。

Q. 家電量販店で売っているインカムはそのまま使える?

特定小電力トランシーバーなら購入後すぐ使えます。ただし、同じ売り場にデジタル簡易無線(登録局)対応機が並んでいることがあり、こちらは登録が必要です。パッケージや仕様表の「特定小電力」「登録局」の表記を必ず確認してください。

Q. 中古やフリマアプリで買ったインカムの注意点は?

3点あります。技適マークの有無技適検索のやり方|出てこない5つの原因と番号の正しい入力で確認できます)、登録局なら自分名義の登録、そしてアナログ簡易無線機でないことです。350MHz帯・400MHz帯のアナログ簡易無線は2024年11月30日で使用期限が終了しており、現在使用すると電波法違反になります。

Q. 会社でまとめて10台導入したい。手続きは?

デジタル簡易無線(登録局)なら包括登録を使うと複数台を一括で登録できます。法人導入の全体像は「会社で無線機を導入する手順|法人向けガイド」で解説しています。

まとめ

  • インカムの免許の要否は方式で決まる。特定小電力・Bluetooth型・IP無線は免許不要、デジタル簡易無線は登録局=登録、免許局=免許が必要
  • 免許不要の前提は技適マーク。海外製の技適なしインカムは出力が小さくても違法になり得る
  • 従事者資格は一般的なインカムでは不要
  • 短期利用・レンタルは登録局か特小で。免許局は貸与不可
  • 迷ったら「距離・建物構造・台数・利用期間」の4点から方式を絞り、手続きが必要な場合は「無線機に免許は必要?申請・登録・免許不要の判定チャート」で判定できます

登録局の申請を確実に済ませたい場合や、免許局の申請書類の作成が難しい場合は、行政書士への依頼も選択肢です(業務用無線の免許申請代行|行政書士に依頼する費用と流れ)。

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