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電気通信事業の届出が必要なケース|SaaS・Webサービス向け

この記事でわかること

Webサービスやアプリを提供していると、「電気通信事業の届出は必要ですか?」という疑問に直面することがあります。電気通信事業法では、一定の通信サービスを提供する事業者に届出を義務付けています。

この記事では、電気通信事業の届出が必要になる判断基準、「他人の通信を媒介する」の意味、SaaS・Webサービスとの関係、届出手順と必要書類、届出しない場合の罰則まで解説します。

電気通信事業とは

電気通信事業とは、電気通信設備を用いて他人の通信を媒介し、その他電気通信設備を他人の通信の用に供することを業として行うことです。

電気通信事業とは、電気通信役務を他人の需要に応ずるために提供する事業をいう。

― 電気通信事業法 第2条第4号

「他人の通信を媒介する」とは

他人の通信を媒介するとは、利用者間のメッセージ・データのやり取りを、自社の設備を通じて中継・仲介することを指します。

該当するケース 該当しないケース
ユーザー間のチャット機能 自社からユーザーへの一方的な情報配信
メッセージ送受信機能 自社Webサイトの閲覧提供
メール中継サービス ECサイトでの商品販売
VoIPサービス 社内システムの運用

ポイントは「利用者と利用者の間の通信」を自社の設備で仲介しているかどうかです。自社からの情報発信のみであれば、原則として電気通信事業には該当しません。

届出が必要なケースの判断基準

電気通信事業の届出が必要かどうかは、以下のフローで判断します。

判断フロー

  1. 電気通信役務を提供しているか → 他人の通信を媒介しているか
  2. 事業として行っているか → 反復継続して提供しているか(無料でも該当し得る)
  3. 電気通信回線設備を設置しているか → 設備の規模で届出か登録かが分かれる

上記1・2に該当し、大規模な回線設備を設置していない場合は届出が必要です。大規模な回線設備を設置している場合は登録が必要になります。届出と登録の違いは「電気通信事業の届出と登録の違い|判断基準を解説」をご覧ください。

SaaS・Webサービスとの関係

SaaSやWebサービスであっても、ユーザー間の通信を媒介する機能を持つ場合は届出が必要になり得ます。

サービス例 届出の要否
チャット機能付きSaaS 必要(ユーザー間通信を媒介)
メッセージ送受信機能付きアプリ 必要(ユーザー間通信を媒介)
Webサイトの情報配信のみ 不要(自社からの一方的配信)
業務管理SaaS(通信機能なし) 不要(他人の通信を媒介しない)

詳しくは「SaaS事業者の電気通信事業届出|必要なケースと手順」をご覧ください。

届出の手順と必要書類

届出先

総務省の各総合通信局に届出を行います。届出先は事業者の本店所在地を管轄する総合通信局です。

必要書類

書類 内容
電気通信事業届出書 様式第8(総務省HPからダウンロード)
ネットワーク構成図 提供するサービスのネットワーク構成
法人の登記事項証明書 法人の場合のみ
事業の概要説明書 サービスの概要を説明する書類

届出の流れ

  1. 総務省HPから届出書の様式をダウンロード
  2. 必要事項を記入し、添付書類を準備
  3. 管轄の総合通信局へ提出(郵送または窓口)
  4. 届出受理の通知を受領

届出は登録と異なり審査がないため、書類に不備がなければ受理されます。届出の費用については「電気通信事業の届出にかかる費用|自分でやる vs 代行」をご覧ください。

届出しない場合の罰則

電気通信事業を営むにもかかわらず届出を行わなかった場合、罰則が科されます。

第9条の規定に違反して電気通信事業を営んだ者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

― 電気通信事業法 第186条

違反内容 罰則
届出をせずに電気通信事業を営んだ場合 6月以下の懲役または50万円以下の罰金
届出内容に虚偽がある場合 30万円以下の罰金

罰則を避けるためにも、自社のサービスが電気通信事業に該当するかどうかは早い段階で判断し、必要であれば速やかに届出を行いましょう。

よくある質問

Q. 無料サービスでも届出は必要?

必要になる場合があります。電気通信事業法では、有料・無料を問わず「事業として」行っているかで判断します。無料であっても反復継続して他人の通信を媒介していれば届出が必要です。

Q. 個人事業主でも届出できる?

届出できます。電気通信事業の届出は法人・個人を問いません。個人事業主の場合は法人の登記事項証明書の代わりに、住民票等の本人確認書類が必要です。

Q. 届出にはどのくらい時間がかかる?

届出は審査がなく受理制のため、書類に不備がなければ提出後すぐに受理されます。ただし、書類の準備期間を含めると、2〜4週間程度を見込んでおくとよいでしょう。

Q. 届出後にサービス内容を変更した場合は?

届出内容に変更があった場合は変更届出が必要です。変更届出の手続きについては「電気通信事業の変更届出|届出内容に変更があった場合」をご覧ください。

まとめ

電気通信事業の届出は、他人の通信を媒介するサービスを事業として提供する場合に必要です。

  • 判断基準: 利用者間の通信を自社設備で仲介しているか
  • SaaS・Webサービス: チャット・メッセージ機能があれば届出が必要になり得る
  • 届出先: 本店所在地を管轄する総合通信局
  • 届出費用: 基本無料(行政手数料なし)
  • 罰則: 届出をせずに営業すると6月以下の懲役または50万円以下の罰金

届出と登録の違いは「電気通信事業の届出と登録の違い|判断基準を解説」、届出の代行については「電気通信事業の届出代行|行政書士に依頼するメリット」をご覧ください。

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