目次
この記事でわかること
電気通信事業法には、届出・登録のほかに認定という制度があります。認定電気通信事業者は、道路や河川などの公共用地に電気通信設備を設置できるなど、特別な権利を認められます。
この記事では、認定電気通信事業の制度概要、登録との違い、認定が必要なケース、取得要件と手続きを解説します。
認定電気通信事業とは
認定電気通信事業とは、電気通信事業法第117条に基づく認定を受けた電気通信事業です。認定を受けることで、公益事業特権と呼ばれる特別な権利が付与されます。
電気通信回線設備を設置して電気通信事業を営む電気通信事業者又は営もうとする者は、(中略)総務大臣の認定を受けることができる。
― 電気通信事業法 第117条
公益事業特権とは
認定電気通信事業者には、以下の公益事業特権が認められます。
| 特権 | 内容 | 根拠条文 |
|---|---|---|
| 土地の使用権 | 道路、河川、公園等の公共用地に設備を設置 | 第128条 |
| 他人の土地の使用 | 他人の土地に電柱・管路等を設置 | 第128条 |
| 土地の立入り | 設備の設置・保守のための土地立入り | 第136条 |
これらの権利は、光ファイバーケーブルの敷設や電柱の設置など、大規模な通信インフラの整備に不可欠です。
登録との違い
認定と登録は異なる制度であり、目的と効果が異なります。
| 項目 | 登録 | 認定 |
|---|---|---|
| 目的 | 電気通信事業の適法な運営 | 公益事業特権の付与 |
| 対象 | 大規模な設備を設置する事業者 | 公共用地等への設備設置が必要な事業者 |
| 必須か任意か | 該当すれば必須 | 任意(必要な場合に申請) |
| 審査基準 | 登録拒否事由の審査 | 認定基準の審査 |
| 効果 | 電気通信事業を営める | 公益事業特権が認められる |
| 根拠条文 | 第9条 | 第117条 |
登録は必須、認定は任意
| 区分 | 説明 |
|---|---|
| 登録 | 大規模な電気通信回線設備を設置する場合に必須 |
| 認定 | 公共用地に設備を設置する場合に必要に応じて取得 |
つまり、登録は事業を営むために必須の手続きですが、認定は公益事業特権を得るために任意で取得する制度です。登録を受けずに認定を受けることはできません。
認定が必要なケース
以下のような事業を行う場合に、認定の取得が必要になります。
| ケース | 理由 |
|---|---|
| 道路下に光ファイバーを敷設 | 公共用地(道路)への設備設置 |
| 電柱を設置して通信線を架設 | 他人の土地の使用 |
| 河川を横断して通信ケーブルを敷設 | 公共用地(河川)への設備設置 |
| 鉄道沿線に通信設備を設置 | 他人の土地の使用 |
認定が不要なケース
| ケース | 理由 |
|---|---|
| クラウド上でサービスを提供 | 公共用地への設備設置がない |
| データセンター内の設備のみ | 自社施設内の設備 |
| 他社の回線設備を借りる(MVNO等) | 自社の設備設置がない |
取得要件
認定を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。
認定基準
| 基準 | 内容 |
|---|---|
| 電気通信回線設備の設置 | 電気通信回線設備を設置していること |
| 事業計画の適切性 | 事業の開始・継続が適確に行える計画 |
| 経理的基礎 | 事業を安定的に運営できる財務状況 |
| 技術的能力 | 設備の維持・管理に必要な技術力 |
| 設備の基準適合 | 技術基準への適合 |
認定拒否事由
以下のいずれかに該当する場合は認定が拒否されます。
| 拒否事由 | 内容 |
|---|---|
| 電気通信事業法違反の前科 | 刑の執行終了後2年以内 |
| 認定の取消し歴 | 取消しから2年以内 |
| 経理的・技術的基礎の不足 | 事業を適確に行えない |
| 法令に基づく事業計画が不適切 | 事業の継続が困難 |
手続きの流れ
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 1 | 登録を受けていることを確認(未登録の場合は先に登録) |
| 2 | 認定申請書と添付書類を準備 |
| 3 | 総務大臣に認定申請を提出 |
| 4 | 審査(認定基準への適合確認) |
| 5 | 認定通知の受領 |
必要書類
| 書類 | 内容 |
|---|---|
| 認定申請書 | 所定の様式 |
| 事業計画書 | 事業の概要・計画 |
| ネットワーク構成図 | 設置する設備の概要 |
| 経理的基礎を示す書類 | 財務諸表等 |
| 技術的能力を示す書類 | 技術者の配置等 |
| 法人の登記事項証明書 | 法人の場合 |
よくある質問
Q. 認定なしで公共用地に設備を設置できる?
原則としてできません。認定を受けずに公共用地に電気通信設備を設置する場合は、道路法等の個別法に基づく許可が必要であり、手続きが煩雑になります。認定を受けることで、手続きが簡素化されます。
Q. 認定の有効期間はある?
有効期間はありません。一度認定を受ければ、取消し事由に該当しない限り有効です。ただし、認定内容に変更が生じた場合は変更手続きが必要です。
Q. 中小の通信事業者にも認定は必要?
クラウドサービスやMVNOなど、自社で物理的な通信設備を公共用地に設置しない事業者には認定は不要です。認定が必要になるのは、主に光ファイバー網やケーブルテレビ網の敷設を行う事業者です。
Q. 認定と届出・登録は別物?
別の制度です。届出・登録は電気通信事業を営むための手続きであり、認定は公益事業特権を得るための手続きです。認定を受けるためには、事前に登録を受けている必要があります。
まとめ
認定電気通信事業は、公益事業特権を必要とする事業者のための制度です。
- 認定の目的: 公共用地への電気通信設備の設置を可能にする
- 登録との違い: 登録は事業運営に必須、認定は公益事業特権のために任意
- 対象: 光ファイバー敷設、電柱設置等を行う事業者
- 要件: 経理的基礎、技術的能力、事業計画の適切性
届出と登録の違いは「電気通信事業の届出と登録の違い|判断基準を解説」、電気通信事業の届出全般は「電気通信事業の届出が必要なケース|SaaS・Webサービス向け」をご覧ください。