目次
この記事でわかること
電気通信事業者には、事業の状況を総務大臣に報告する義務があります。年次報告書の提出はその代表的なもので、事業の収支や利用者数などを報告します。
この記事では、報告書提出の義務、報告内容と提出期限、対象事業者の範囲、報告を怠った場合の罰則を解説します。
報告書提出の義務
電気通信事業法に基づき、電気通信事業者は事業の状況について総務大臣に報告する義務があります。
総務大臣は、この法律の施行に必要な限度において、電気通信事業者に対し、その事業に関し報告をさせることができる。
― 電気通信事業法 第166条
報告の種類
| 報告の種類 | 内容 | 提出頻度 |
|---|---|---|
| 電気通信事業報告書 | 事業の概要、収支状況 | 年1回 |
| 電気通信事業収支報告書 | 詳細な収支報告 | 年1回(登録事業者等) |
| 事故報告 | 重大な事故が発生した場合 | 事故発生時 |
| 臨時報告 | 総務大臣から求められた場合 | 随時 |
報告内容と提出期限
電気通信事業報告書
電気通信事業報告書は、毎事業年度終了後に提出する年次報告書です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 報告期間 | 1事業年度 |
| 提出期限 | 事業年度終了後3か月以内 |
| 届出先 | 管轄の総合通信局 |
報告書の記載事項
| 記載事項 | 内容 |
|---|---|
| 事業の概要 | 提供する電気通信役務の種類 |
| 営業収益 | 電気通信事業の売上高 |
| 営業費用 | 電気通信事業に関する費用 |
| 利用者数 | サービスの利用者数・契約数 |
| 設備の状況 | 電気通信設備の概要 |
| 役員の状況 | 役員の氏名・役職 |
電気通信事業収支報告書
一定規模以上の登録事業者には、より詳細な収支報告書の提出が求められます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 一定規模以上の登録電気通信事業者 |
| 内容 | 詳細な損益計算書、役務別の収支 |
| 提出期限 | 事業年度終了後3か月以内 |
対象事業者の範囲
報告義務の対象
| 事業者区分 | 電気通信事業報告書 | 収支報告書 |
|---|---|---|
| 届出事業者 | 提出義務あり | 不要(一部例外あり) |
| 登録事業者 | 提出義務あり | 提出義務あり |
| 認定事業者 | 提出義務あり | 提出義務あり |
届出事業者の報告義務
届出事業者であっても、電気通信事業報告書の提出が求められます。ただし、小規模な届出事業者の場合、記載項目が簡略化されることがあります。
| 事業規模 | 報告内容 |
|---|---|
| 小規模事業者 | 事業の概要、基本的な収支 |
| 中規模以上の事業者 | 詳細な事業報告 |
事故報告
電気通信サービスに重大な事故が発生した場合、速やかに報告する義務があります。
報告が必要な事故
| 事故の種類 | 報告基準 |
|---|---|
| 通信の全面停止 | サービスの全部が停止した場合 |
| 大規模な通信障害 | 一定数以上の利用者に影響 |
| 情報漏洩 | 利用者の通信に関する情報の漏洩 |
報告の流れ
| ステップ | 内容 | 期限 |
|---|---|---|
| 1 | 事故の把握 | 即時 |
| 2 | 速報の提出 | 事故発生後直ちに |
| 3 | 詳報の提出 | 事故復旧後30日以内 |
報告を怠った場合の罰則
報告書の提出を怠った場合、罰則の対象となります。
第166条第1項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、30万円以下の罰金に処する。
― 電気通信事業法 第189条
| 違反内容 | 罰則 |
|---|---|
| 報告書を提出しなかった場合 | 30万円以下の罰金 |
| 虚偽の報告を行った場合 | 30万円以下の罰金 |
報告書の作成と提出
報告書の入手方法
報告書の様式は総務省のWebサイトからダウンロードできます。
提出方法
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| 郵送 | 管轄の総合通信局に郵送 |
| 窓口提出 | 総合通信局に直接提出 |
| 電子申請 | 総務省の電子申請システム |
行政書士への依頼
報告書の作成・提出は行政書士に依頼することも可能です。
| サービス | 費用の目安 |
|---|---|
| 報告書の作成代行 | 3万〜8万円 |
| 報告書の作成+提出代行 | 5万〜10万円 |
よくある質問
Q. 売上が少なくても報告書の提出は必要?
必要です。電気通信事業者として届出を行っている以上、売上の多寡にかかわらず報告書の提出義務があります。売上がゼロでも、事業の状況を報告する必要があります。
Q. 報告書の提出を忘れていた場合はどうすれば?
速やかに報告書を作成し、遅延理由とともに提出しましょう。遅延があったとしても、提出しないよりは提出した方が罰則のリスクが低くなります。
Q. 事業を廃止した場合、その年度の報告書は必要?
事業を廃止した場合でも、廃止日までの期間に係る報告書の提出が必要です。廃止届出と合わせて報告書を提出しましょう。廃止届出の手続きは「電気通信事業の廃止届出|事業をやめる時の手続き」をご覧ください。
Q. 設立初年度でも報告書は必要?
設立初年度であっても、事業年度が終了した時点で報告書の提出義務が生じます。ただし、事業年度が12か月に満たない場合は、その期間に応じた報告を行います。
まとめ
電気通信事業者の報告書提出義務は、事業の透明性を確保するための重要な制度です。
- 対象: 届出事業者・登録事業者いずれも提出義務あり
- 提出期限: 事業年度終了後3か月以内
- 報告内容: 事業の概要、収支状況、利用者数、設備の状況
- 罰則: 報告を怠ると30万円以下の罰金
- 事故報告: 重大事故は発生後直ちに速報を提出
電気通信事業の届出全般は「電気通信事業の届出が必要なケース|SaaS・Webサービス向け」、届出と登録の違いは「電気通信事業の届出と登録の違い|判断基準を解説」をご覧ください。