この記事でわかること
アマチュア無線局を開設するには、総合通信局への開局申請が必要です。2026年現在、申請手続きは電子申請が主流で、自宅のパソコンから手続きを完了できます。
この記事では、アマチュア無線局の開局申請を電子申請Liteで行う手順、必要な資格と書類、保証認定の役割、費用、電子申請と書面申請の違い、そして2025年10月に導入されたデジタル免許状の影響までまとめて解説します。
アマチュア無線の開局申請とは
アマチュア無線局の開局申請とは、電波法に基づいて総務大臣(総合通信局)に無線局の免許を申請する手続きです。
無線局を開設しようとする者は、総務大臣の免許を受けなければならない。
― 電波法 第4条
アマチュア無線は個人的な無線技術への興味を目的とする業務であり、営利目的での使用はできません。
アマチュア業務とは、金銭上の利益のためでなく、もつぱら個人的な無線技術の興味によつて行う(中略)無線通信業務をいう。
― 電波法施行規則 第3条第1項第15号
必要な資格・条件
アマチュア無線技士の資格
開局申請を行うには、アマチュア無線技士の資格(無線従事者免許証)が必要です。
| 資格 | 操作範囲 | FPVドローンへの対応 |
|---|---|---|
| 第4級アマチュア無線技士 | 全アマチュア帯域、10W以下(HF帯は20W以下) | 対応(VTXは1W以下で運用) |
| 第3級アマチュア無線技士 | 全アマチュア帯域、50W以下 | 対応 |
| 第2級アマチュア無線技士 | 全アマチュア帯域、200W以下 | 対応 |
| 第1級アマチュア無線技士 | 全アマチュア帯域、出力制限なし | 対応 |
最も取得しやすいのは第4級で、一般的なアマチュア無線の運用やFPVドローンの映像伝送には十分です。FPVドローンのための4級取得については「FPVドローンのためのアマチュア無線4級取得ガイド」で解説しています。
無線従事者免許証
国家試験の合格または養成課程講習会の修了後、無線従事者免許証の交付申請を行い、免許証を受領している必要があります。免許証は終身有効です。
申請の手順
Step 1: 電子申請Liteのアカウントを作成する
総務省の電子申請Liteは、アマチュア無線局の開局・変更・再免許等の申請ができるオンラインシステムです。
- 電子申請Liteのサイト(https://www.denpa.soumu.go.jp/public2/)にアクセス
- 「ユーザー登録」から新規アカウントを作成
- メールアドレスの認証を完了
- ログインIDとパスワードを設定
注意: 電子申請Liteはアマチュア無線局専用のシステムです。業務用無線局や陸上移動局等の申請はできません。
Step 2: 無線設備を準備する
開局申請には、使用する無線設備の情報が必要です。無線設備には以下の2種類があります。
| 無線設備の種類 | 技適の有無 | 保証認定 | 具体例 |
|---|---|---|---|
| 技適マーク付きの無線機 | あり | 不要 | 国内メーカーの市販ハンディ機等 |
| 技適マークなしの無線機 | なし | 必要 | 自作機、海外製VTX、旧型無線機等 |
技適マーク付きの無線機を使用する場合は、保証認定は不要で、電子申請Liteから直接開局申請を行えます。
技適マークのない無線機(FPVドローンのVTXを含む)を使用する場合は、先に保証認定を受ける必要があります。
Step 3: 保証認定を受ける(技適なしの場合)
技適マークのない無線設備を使用する場合は、JARD(日本アマチュア無線振興協会)またはTSS(東洋信号通信社)で保証認定を受けます。
保証認定の申請に必要な書類は以下のとおりです。
- 保証願書
- 無線局の工事設計書
- 無線設備の系統図(ブロックダイアグラム)
- 無線設備の仕様書
保証認定が完了すると保証書が発行されます。この保証書を開局申請時に添付します。
JARDとTSSの違いについては「TSS保証認定とJARDの違い|FPV開局はどちらに申請?」で、系統図の書き方は「FPVドローンVTXの系統図の書き方|開局申請に必要」で解説しています。
Step 4: 電子申請Liteで開局申請を行う
電子申請Liteにログインし、以下の手順で開局申請を進めます。
- 「申請・届出」メニューから「開局申請」を選択
- 申請者情報の入力: 氏名、住所、無線従事者免許証の番号
- 無線局の情報の入力: – 希望する電波の型式・周波数・空中線電力 – 無線設備の工事設計書の内容 – 技適番号(技適機の場合)または保証書の番号(保証認定を受けた場合)
- 設置場所の入力: 常置場所の住所(移動する局の場合は常置場所)
- 内容の確認・送信
- 手数料の支払い: オンラインで電子納付(ペイジー等)
Step 5: 審査・免許状の受領
申請後の流れは以下のとおりです。
| 段階 | 内容 | 期間の目安 |
|---|---|---|
| 審査 | 総合通信局が申請内容を審査 | 1〜3週間 |
| コールサイン付与 | 審査合格後にコールサインが付与される | 審査完了と同時 |
| 免許状発行 | デジタル免許状がシステム上で発行される | 審査完了後すぐ |
| 運用開始 | 免許状の記載内容に従って運用可能に | 免許状発行日から |
2025年10月以降、免許状は原則として「デジタル免許状」での交付となりました(後述)。
費用・手数料
開局申請にかかる費用は以下のとおりです。
| 費用項目 | 電子申請 | 書面申請 |
|---|---|---|
| 開局申請手数料 | 2,900円 | 4,300円 |
| 保証認定料(技適なしの場合) | 3,000〜5,000円 | 3,000〜5,000円 |
| 電波利用料(年額) | 300円 | 300円 |
| 合計(技適機の場合) | 約3,200円 | 約4,600円 |
| 合計(保証認定ありの場合) | 約6,200〜8,200円 | 約7,600〜9,600円 |
電子申請のほうが1,400円安いです。手続きの利便性も電子申請が優れているため、電子申請Liteの利用を強く推奨します。
電波利用料について
アマチュア無線局の電波利用料は年額300円です。免許を受けた翌年度から、総務省から納付書が届きます。口座振替やクレジットカード払いにも対応しています。
電子申請と書面申請の違い
| 比較項目 | 電子申請Lite | 書面申請(郵送) |
|---|---|---|
| 申請方法 | パソコンからオンライン | 申請書を郵送 |
| 手数料 | 2,900円 | 4,300円 |
| 申請書の入手 | 不要(オンラインで入力) | 総合通信局から取り寄せ |
| 記入ミスの防止 | システムがチェック | 自分で確認 |
| 審査期間 | 1〜3週間 | 2〜4週間 |
| 免許状の受領 | デジタル免許状 | デジタル免許状(2025年10月以降) |
| 利用可能時間 | 24時間 | 郵便局の営業時間 |
2026年現在、アマチュア無線局の申請は電子申請の利用率が80%以上に達しています。書面申請のメリットはほとんどなく、電子申請Liteの利用が標準です。
デジタル免許状の導入(2025年10月〜)
デジタル免許状とは
2025年10月から、無線局免許状は紙の免許状からデジタル免許状に移行しました。
デジタル免許状は、総務省の電子申請システム上で電子データとして交付・保管される免許状です。従来の紙の免許状の郵送は原則として廃止されました。
デジタル免許状の特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 交付方法 | 電子申請システムからダウンロード |
| 携帯方法 | スマートフォン等に保存して携帯 |
| 有効期限の確認 | システム上でいつでも確認可能 |
| 再発行 | 紛失の心配なし(いつでもダウンロード可能) |
| 紙の免許状 | 希望者は有料で交付可能 |
開局申請への影響
デジタル免許状の導入により、免許状の郵送待ち時間がなくなりました。審査完了後、すぐにデジタル免許状をダウンロードして運用を開始できます。
なお、無線従事者免許証(アマチュア無線技士の資格証明)は引き続きカード形式で交付されます。デジタル免許状に移行したのは無線局免許状のみです。
よくある質問
Q. 開局申請にはどれくらいの時間がかかる?
電子申請の場合、申請から免許状の交付まで約1〜3週間です。書面申請の場合は2〜4週間程度かかります。年度末(3月)など繁忙期はさらに長くなることがあります。
Q. 技適マーク付きの無線機なら保証認定は不要?
はい、不要です。技適マーク付きの無線機は、電子申請Liteの画面で技適番号を入力するだけで工事設計書の記載が完了します。保証認定の手続きを省略できるため、最短で開局できます。
Q. 複数の無線設備を1つの免許に登録できる?
はい、可能です。1つのアマチュア無線局の免許で複数の無線機・VTXを登録できます。開局申請時に全ての設備を記載するか、開局後に「変更申請」で設備を追加します。
Q. 移動する局と固定局の違いは?
アマチュア無線局は「移動する局」と「固定する局」の2種類があります。FPVドローンや携帯型無線機を使う場合は「移動する局」で申請します。自宅にアンテナを立てて運用する場合は「固定する局」です。多くの方は「移動する局」で開局します。
Q. コールサインは選べる?
原則として、総合通信局が自動的に割り当てます。ただし、希望する文字列のコールサインを指定して申請する制度(希望番号制度)もあります。以前使用していたコールサインの再取得も可能です。
Q. 開局後、すぐに運用を始められる?
はい、免許状の交付日から運用可能です。デジタル免許状の導入により、審査完了後すぐにダウンロードして運用を開始できるようになりました。
Q. 行政書士に開局申請を依頼できる?
はい、行政書士に開局申請の代行を依頼できます。特に保証認定が必要な場合(FPVドローンのVTX等)は、書類作成から申請までまとめて依頼すると効率的です。代行費用の相場は「ドローン飛行許可の申請代行|費用相場と依頼の流れ」を参考にしてください。
まとめ
アマチュア無線の開局申請は、電子申請Liteを使えば自宅から簡単に手続き可能です。
- 必要な資格: アマチュア無線技士 第4級以上の無線従事者免許証
- 技適マーク付きの無線機なら保証認定不要で最短1〜3週間で開局
- 技適なしの無線機(FPV VTX等)は保証認定が必要
- 費用: 電子申請で2,900円+電波利用料 年額300円(+保証認定料)
- 電子申請は書面申請より1,400円安く、審査も早い
- 2025年10月からデジタル免許状に移行。郵送待ちが不要に
FPVドローンの開局申請については「FPVドローン5.8GHz帯の開局申請|手順と必要書類」で、保証認定の詳細は「JARD保証認定とは?FPVドローンの開局に必要な手続き」で解説しています。旧基準の無線機を使用中の方は「アマチュア無線のスプリアス規制|旧基準機器の対処法」で対応方法を確認してください。